

バイクで颯爽と走るライダーには、実車スタント一切なしのマット・デイモンが参考になります。
『グリーン・ゾーン』は2010年公開のアメリカ戦場サスペンス映画で、イラク戦争下のバグダッドを舞台に大量破壊兵器の真実を追う物語です。主演は『ボーン』シリーズでおなじみのマット・デイモンが務め、彼はCIAの大量破壊兵器調査を補佐するアメリカ陸軍上級准尉ロイ・ミラー役を演じています。デイモンはこの役でも本格的な身体トレーニングと武術訓練を行い、自らスタントをこなしました。
共演陣も実力派揃いです。グレッグ・キニアがアメリカ政府高官クラーク・パウンドストーン役、ブレンダン・グリーソンがCIA捜査官マーティン・ブラウン役、エイミー・ライアンがジャーナリストのローリー・デイン役を演じています。特にライアン演じる記者は、パウンドストーンからリークされた大量破壊兵器の情報を裏付け調査なしで記事にしていたという複雑な設定が用意されています。
参考)グリーン・ゾーン
つまり演技派が揃った構成です。
ジェイソン・アイザックス、アントニ・コロン、ハリド・アブダラといった脇を固める俳優陣も、114分の上映時間を緊張感で満たすために重要な役割を果たしています。バイク乗りが長距離ツーリングの休憩中に観るなら、このキャスト陣の演技力が疲れを忘れさせてくれるでしょう。
監督を務めたのはポール・グリーングラス、彼は『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』でデイモンとタッグを組んだ実績があります。グリーングラスの最大の特徴は、ほとんどのシーンをハンドヘルト(手持ちカメラ)で撮影する手法です。これによりカメラそのものが観客の"眼"となり、戦場の混乱や緊迫感を直接体験できる映像に仕上がっています。
参考)https://movie.maeda-y.com/movie/01461.htm
この手法が生まれた背景には、過去のドキュメンタリー作品の経験があります。グリーングラスは前作の監督ダグ・ライマンがステディカムとハンドヘルトを併用した撮影に対し、リアリティをさらに突き詰めるため手持ちのみを選択しました。市街地での追跡劇や対人戦闘では、カメラを車と一緒に動かしたり、格闘シーンでカメラマン自身が動き回ることで、まるでその場に居合わせたような臨場感を実現しています。
参考)ハリウッド映画のアクションを再定義した、監督ポール・グリーン…
リアリティが基本です。
本作でも照明を極力使わず、実際の市民や元兵士を起用することで、作り物に見せない工夫が徹底されています。バイクでツーリング中に体感する風や振動のように、映像からも生々しい緊張が伝わる作品となっています。アクション映画としてのキレの良さと大作感のある映像作りの巧さは、グリーングラスの真骨頂です。
参考)【特集】マット・デイモンが魅せる追走劇×スリル溢れるカメラワ…
『グリーン・ゾーン』の撮影は2008年1月にスペインで開始され、その後モロッコに移されました。具体的には、スペイン南東部ムルシア地方のロス・アルカサレス空軍基地で撮影が始まり、2月2日からはモロッコのケニトラ(首都ラバトから北へ40km)で7週間にわたるロケが行われました。グリーングラスと美術監督ドミニク・ワトキンスは、これらの場所で2003年当時のバグダッド市内とグリーン・ゾーン内外を再現したのです。
参考)グリーン・ゾーン
中東を舞台にした映画の多くはモロッコで撮影されます。実際のイラクでは安全上の理由から撮影が困難なため、スペインやモロッコの街並みや建築物が代替ロケ地として選ばれました。ラバト周辺の路地では、市街戦や追跡劇のシーンが撮影され、ハンドヘルドカメラが狭い通路を駆け抜ける映像が生み出されました。
参考)Anecdotes du film Green Zone -…
モロッコが舞台です。
バイク乗りにとって、モロッコはアフリカ大陸へのツーリングルートとしても魅力的な場所です。映画の撮影地を巡るツーリング計画を立てるなら、ラバトやケニトラの街並みを実際に走ってみるのも一興でしょう。現地のバイクレンタル情報は、モロッコ観光局の公式サイトで事前に確認できます。
映画の詳細設定とストーリー背景はWikipediaで確認できます
マット・デイモンは『ボーン』シリーズで培ったアクション技術を、本作でも遺憾なく発揮しています。彼は軍隊格闘術をメインに複数の武術の動きを取り入れており、ペンやタオルなど身の回りの物を武器として使う技術は元CIAエージェントからもお墨付きをもらっています。デイモン自身も「どんなシーンでも自分自身で演じる」と語り、撮影中に何度も打撲や怪我を負いながらスタントをこなしました。
参考)[男優] マット・デイモン Matt Damon - 洋画の…
『グリーン・ゾーン』では、イラクの街中を駆け抜ける追跡シーンや建物内での近接戦闘が多数登場します。華麗な動きよりも、その状況から臨機応変に確実に相手を倒すことを最優先にした動きが特徴です。これはバイクでの運転にも通じる考え方で、派手なテクニックより安全で確実な判断が重要という点で共通しています。
自らスタントをこなすのが原則です。
デイモンのアクションシーンを見ると、バイク乗りが安全運転講習で学ぶ「予測運転」の大切さを思い出すかもしれません。実際、彼の演技は状況判断の速さと正確さが際立っており、二輪車での危機回避にも似た判断力が表現されています。ツーリング前にこの映画を観れば、安全意識が高まるかもしれません。
バイク乗りにとって『グリーン・ゾーン』は、単なるアクション映画以上の価値があります。手持ちカメラによる映像は、ヘルメットにアクションカメラを装着して撮影するツーリング動画と似た視点を提供してくれるからです。グリーングラスの「カメラを観客の眼にする」という手法は、まるで主人公と一緒にバグダッドの街を走り抜けているような没入感を生み出します。
映画内の市街地追跡シーンでは、狭い路地を高速で駆け抜けたり、急激な方向転換を繰り返したりする場面が多数あります。これはバイクでのワインディング走行に似た感覚を呼び起こし、スロットル操作やバンク角の判断といった身体感覚と結びつきます。普段ツーリングで磨いている空間認識能力や危険予測スキルを、映画鑑賞を通じて別の角度から楽しめるのです。
これは使えそうです。
自宅でこの映画を観る際は、臨場感を高めるためにサラウンドシステムを使うと効果的です。エンジン音や銃声、足音といった音響効果が、ボーンシリーズではアカデミー賞の音響効果賞を受賞しているほど緻密に作り込まれています。バイクのマフラー音にこだわるライダーなら、映画の音響演出にも注目してみてください。週末のツーリング後、疲れた体でソファに座りながら観るのに最適な114分です。
参考)マット・デイモン主演『ボーン・アルティメイタム』|NHK B…