ヘッドアングルとバイクの物理現象の関係

ヘッドアングルとバイクの物理現象の関係

ヘッドアングル バイクの物理現象

ヘッドアングルが大きいほど直進性が弱まります。


この記事のポイント
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ヘッドアングルと直進安定性

角度が小さいほどセルフアライニングトルクが大き くなり、直進性が強まる物理現象が働きます

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トレールの重要性

ヘッドアングルとフォークオフセットで決まるトレール量が、実際の操舵フィーリングを左右します

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コーナリング特性への影響

角度が大きいとクイックなハンドリングになり、タイトコーナーでの旋回性能が向上します

ヘッドアングルの基本と物理的な意味


ヘッドアングルとは、フロントフォークが回転するステアリング軸が地面となす角度のことです。この角度はバイクの直進安定性と旋回性能を決定する最も重要なジオメトリ要素の一つで、一般的にスポーツバイクでは25度から30度程度の範囲に設定されています。


参考)シクロクロスのジオメトリ② ~ヘッド角とフォークオフセット~…


角度が小さい(フォークが寝ている)ほど直進安定性が高まり、角度が大きい(フォークが立っている)ほどクイックなハンドリングになります。これは物理的にはセルフアライニングトルクと呼ばれる力の変化によるものです。


つまり角度の違いが操縦特性を決めるんですね。



この角度は単独で働くのではなく、後述するトレールやフォークオフセットと組み合わさって、バイク全体の運動特性を作り出しています。ヘッドアングルを理解することは、自分の走り方に合ったバイク選びの第一歩です。


バイクのカタログには必ず記載されている項目なので、購入前にチェックしておくと良いでしょう。特にツーリング重視なのかワインディング重視なのかで、適切な角度は変わってきます。


ヘッドアングルとトレールの関係性

トレールとは、ステアリング軸の延長線が地面と交わる点と、前輪の接地点との水平距離のことです。このトレール量がバイクの直進安定性を決める最も重要な要素となっています。一般的なスポーツバイクでは90mmから120mm程度に設定されています。


ヘッドアングルが大きくなる(立つ)とセルフアライニングトルクが小さくなって直進性が弱まり、逆にヘッドアングルが小さくなる(寝る)とトルクが大きくなって直進性が強まるという物理現象が起こります。これが操縦フィーリングの違いを生む原因なんです。


参考)自転車ロードフレームオーダー サムソン


実はトレール量はヘッドアングルだけでなく、フォークオフセット(フォークが前方に曲がっている量)によっても変化します。例えばヘッドアングル74度でフォークオフセット39.5mmの場合、トレールは58.3mm程度になりますが、最近の流行ではオフセット20mmでトレール75.5mmという設計も見られます。


参考)【コラム】ケルビム・今野真一「自転車、真実の探求」第12回“…


この組み合わせを変えることで、メーカーは狙ったハンドリング特性を実現しています。つまりヘッドアングルだけを見ても、実際の乗り味は分からないということですね。


バイクのコーナリング時の物理現象

バイクがコーナーを曲がるには、車体をインサイドに傾斜させなければなりません。これはコーナーを回ることでバイクにかかる遠心力に抵抗しバランスをとるためで、スピードが速いほどバンク角は深く取る必要があります。


参考)バイクの正しいコーナリングについて – バイク安…


ヘッドアングルが大きい(立っている)バイクはクイックなハンドリングになり、タイトコーナーが連続するコースをアグレッシブに攻めていけます。ただしテクニックが伴わないと転倒しやすいという特性があります。


これはスポーツ走行向きの設定です。



逆にヘッドアングルが小さく(寝ている)長めのトレールを確保したバイクは、素早い姿勢変化が苦手なかわりに外乱に対して安定しています。コーナリング中に小石を踏んで弾かれてもバイクのほうがフォローしてくれる特性があります。


トレールがあることによって、ステアリングヘッドの動きに引っ張られてフロントタイヤは曲がるという物理現象が働いています。バイクの傾きよりもステアリングヘッドの横方向の移動量が重要となる理屈なんですね。


ヘッドアングルとキャスター角の違い

実は多くのバイク乗りが混同しているのですが、ヘッドアングルとキャスター角は同じ意味です。どちらもフロントフォークのステアリング軸が地面となす角度を指しています。


参考)ヘッドチューブ角 (head tube angle、head…


キャスター角という呼び方は、買い物カートのキャスターと同じ原理から来ています。角度が小さい(見た目にはフロントフォークが立っている)ほど、スピードが高い状態で車体を傾けた際にフロントタイヤが軽快に素早く切れます。角度が大きい(見た目にはフロントフォークが寝ている)と高速時は直進安定性が強くなります。


興味深い実験として、キャスター角0度(ヘッドパイプが完全に直立)のバイクも走行可能であることが確認されています。ただし二輪車特有の自動操舵機能が働かないため、倒れそうになった方向にハンドルを切るという操作が必要になります。


バランスを取りながら進むことになりますね。



参考)バイクはヘッドパイプが直立(キャスター角0度)でも走れるのだ…


この実験から、ホイールベースもハンドリングキャラを決定する大きな要素だと分かりました。ヘッドアングルだけでなく、車体全体の設計が乗り味を作っているということです。


ヘッドアングルの変更がもたらす影響

ヘッドアングルを変更すると、車体に通常では想定されていない負荷がかかるようになります。また角度が変わることでどんなハンドリングになるかも予測が難しくなります。すべて自己責任となりますので注意が必要です。


参考)https://ameblo.jp/tanuki-goya/entry-12805421778.html


角度変更による影響は垂直方向にも現れます。フォーク長の変更により、フレームは後輪軸を中心に回転移動するため、後輪軸に近い方が移動量が少なく遠い方が大きく移動することになります。その結果「BBの移動量<ヘッドトップの移動量」となり、ポジションにも変化が出ます。


参考)フォーク(ヘッド角)変更に影響される”長さ&#8…


ちょっと古めのバイクを今風のジオメトリーにするという改造も可能ですが、安全性を最優先に考える必要があります。特にフレーム強度や他の部品との相性を慎重に検討しなければなりません。


メーカーが設定したヘッドアングルは、そのバイクのコンセプトに合わせて最適化されています。むやみに変更するよりも、最初から自分の用途に合ったジオメトリのバイクを選ぶことをおすすめします。


実トレール量という見落としがちな概念

カタログに記載されているトレール量は、バイクが直立状態での数値です。しかし実際の走行中、特にコーナリング時にはバイクはバンクしているため、実際に効いているトレール量(実トレール量)は変化しています。


バンク角が大きくなるほど実トレール量は小さくなり、ハンドリングが軽くなります。この現象により、深くバンクした状態ではより繊細なハンドル操作が可能になるわけです。コーナリング中の感覚はこれで説明できますね。


キャスター角よりもトレール量の影響を大きく受けていることが分かります。極端な場合を考えると、キャスター角が90度(ハンドルの回転軸が地面と平行)な場合は、いくらハンドルを切ろうがバイクをバンクさせようが実舵角は0度のままです。


この実トレール量の概念を理解しておくと、コーナリング中のバイクの挙動がより深く理解できます。速度と回転半径によってバンク角が決まり、それによって実トレール量が変化し、ハンドリングフィーリングも変わるという一連の物理現象が働いているのです。


キャスターとトレールの詳細な解説はこちら
スペック表の読み解き方について、軽快性と安定性に影響する要素が分かりやすく説明されています。


ヘッド角とフォークオフセットの関係性についてはこちら
シクロクロスを例に、ジオメトリが走行特性に与える影響が具体的に解説されています。




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