北京・ウランバートル・ラリー バイク参加費用と過酷ルート攻略術

北京・ウランバートル・ラリー バイク参加費用と過酷ルート攻略術

北京・ウランバートル・ラリー参加ガイド

タルバガンの巣穴で転倒すると骨折だけでは済みません。


この記事で分かること
💰
参加費用と準備

エントリー費用は選手1名69万8千円+バイク輸送35万円が基本。約100万円の予算が必要です

🏍️
ラリールートの実態

10日間で北京からモンゴルのゴビ砂漠を走る3,400kmの過酷なコース。SSとリエゾンを組み合わせた本格的ラリー

⚠️
危険回避のポイント

タルバガンの巣穴、ラクダ草、ウォッシュアウトなど、ハイスピード走行時の危険要素を事前に把握

北京・ウランバートル・ラリーの参加費用と準備期間

北京・ウランバートル・ラリーは、SSER ORGANISATIONが主催する国際ラリーイベントで、中国の首都北京からモンゴルの首都ウランバートルまで約10日間をかけて走破します。参加費用は2月25日までに申し込むCASE-2というエントリー方法で、選手1名につき69万8千円、400cc以下のバイク輸送が35万円となり、合計で約105万円の予算が必要です。


参考)北京~ウランバートルラリーの記録 - 前編|bigtank6…


これは10日間のラリーとしては比較的リーズナブルな価格設定です。


エントリー後は、ラリー用のトリップメーター(ICO)の準備、コマ図の読み方の習熟、ビバーク用装備の調達など、綿密な準備が求められます。主催者はスペアタイヤやスペアホイールのほか、20kgバッグ(カミオンで運搬)と10kgバッグ(ヘリで運搬)の2つを運搬してくれるため、10日間分の装備を合計30kgに収める必要があります。


10kgバッグにはテント、シュラフ、最低限の着替え、翌日分のコマ図、食器などビバーク到着後すぐに必要なものを入れます。20kgバッグにはスペアパーツなどを入れますが、到着が10時間遅れることもあるため、重要度の低いものに限定します。


ライディングウェアの着替えは諦める覚悟が必要です。


北京・ウランバートル・ラリーの走行距離とルート構成

ラリーのルートは北京から出発し、モンゴルのゴビ砂漠を経由してウランバートルにゴールする約3,400kmの長距離コースです。総走行距離1,561kmの鉄道ルートとは異なり、ラリーではオフロードを含む過酷な道のりを10日間かけて走破します。


参考)https://ameblo.jp/tonymae1/entry-12549837188.html


コースはSS(スペシャルステージ)とリエゾン(移動区間)で構成されています。


SSは競技区間で、タイムアタックを行う本番のラリー走行です。リエゾンは次のSSやビバークまでの移動区間で、指定時間内に到着する必要があります。2006年の大会では、ホテルから30kmほどリエゾンを走った後、郊外でSSがスタートする形式でした。


参考)Route Information


ラリーでは、距離・区間・分岐や景観を簡単に図示したコマ図と呼ばれるナビゲーションツールを使って走行します。ラリー用トリップメーター(ICO)の補正値を正確に調整することが、コマ図を正しく読むための重要なポイントです。


コマ図を外れて走ると危険箇所の警告を見逃します。


北京・ウランバートル・ラリーのバイク装備と燃料対策

ラリー参戦には、ベース車両の選定から装備の追加まで、専門的な準備が必要です。2006年大会ではKTM400EXCRで参戦した記録があり、ほぼエンデューロ仕様と変わらない軽量マシンが深いサンドでも有利に働きました。


燃料タンクの容量確保は生命線です。


KTM 690 ENDURO Rで参戦したライダーは、ビッグタンクを付けず、ウルフマンのパニアバッグに携行缶を合計6ℓ持って走行しました。燃料タンクと合わせて18ℓとなり、リッター20kmとして計320kmは走る計算になります。モンゴルの草原では給油ポイントが限られるため、燃料計算を誤ると致命的なリタイアにつながります。


参考)MIKAMI'S REPORT 006 - 1 -…


スペアパーツは20kgバッグに入れますが、到着が遅れることを想定し、SSを走り切るために必要な最低限の工具と消耗品はバイクに積載しておくべきです。CDIのパンクなど電装系のトラブルでリタイアしたケースもあるため、予備の電装パーツも重要です。


北京・ウランバートル・ラリーの危険要素と回避方法

モンゴルの草原をハイスピードで走行する際、複数の危険要素が存在します。最も注意すべきはタルバガン(マーモットに似た大型げっ歯類)の巣穴で、140km/hで走行中にこの穴に突っ込むと吹っ飛ばされ、骨折や重傷につながります。


タルバガンはペスト菌を運ぶリスクもあります。


参考)タルバガン、オオカミのモンゴルニュース - motobei’…


ラクダ草も危険な障害物で、わずかなオーバーランでぶつかるとクラッシュの原因になります。ウォッシュアウト(雨水で侵食された溝)への落下、続いていると思った道が突然足元から消える崖、馬との衝突など、いずれもハイスピード走行に起因するアクシデントです。


コマ図にはシングルコーション「!」、ダブルコーション「!!」、トリプルコーション「!!!」と段階的に危険度が表示されています。コマ図を外れて走行している時は、これらの警告を見逃すため、さらに危険度が高まります。


どういうことでしょうか?
コマ図に従って走れば、事前に危険箇所を把握できますが、ルートを外れると予期せぬ危険に遭遇する確率が跳ね上がるということです。50kmほどコースを外れて走ったケースもあり、この間は警告なしで走ることになります。


スピードのなかで障害物を的確に発見し、100%の割合で避ける技術が求められます。気を抜いたら本当に終わりだという意識で走行する必要があります。


北京・ウランバートル・ラリーのビバーク生活と1日の流れ

ビバークとは、ラリー中の宿泊拠点のことで、テントを張って野営する形式です。10kgバッグがヘリで運ばれてくるため、ライダーがビバークに到着する前にテント設営に必要な装備が届いていることが多いです。


早い時には到着して間もなく10kgバッグが届きます。


しかし20kgバッグは場所によって10時間遅れ、翌日に到着することもあるため、夜間の整備が必要な場合は時間との戦いになります。メカニックサポートがない個人参戦の場合、ビバークに戻ってもほとんど寝ることなく準備を行い、次のSSにスタートするハードなスケジュールになります。


1日の流れは、ビバークからリエゾンでSSスタート地点へ移動し、SSを走破した後、再びリエゾンで次のビバークへ移動するパターンです。SSは競技区間なので全力で走りますが、リエゾンは指定時間内に到着すればよいため、ペース配分とマシンの温存が重要です。


食事は自分で準備する必要があり、食器も10kgバッグに入れて持ち運びます。モンゴルの草原では補給ポイントが限られるため、保存食や調理器具の選定も重要な準備項目です。


ライディングウェアの着替えは諦めましょう。


北京・ウランバートル・ラリー独自視点:リタイアを防ぐメンタル管理術

ラリーで完走するには、技術や装備だけでなく、10日間のメンタル管理が鍵を握ります。ハイスピードライディングが続くため、怪我が最も怖いと参戦者は語っており、「絶対に転倒はしない」という強い意識を持つことが重要です。


しかし過度な緊張は判断力を鈍らせます。


モンゴルを以前にも走っている経験者でさえ、不安はいっぱいだと述べています。この不安を受け入れつつ、集中力を維持する方法として、SSごとに目標を細分化する戦略が有効です。「今日のSSを無事に走り切る」という短期目標に集中することで、10日間という長期戦のプレッシャーを軽減できます。


優勝候補の筆頭だったモンゴルのモータースポーツ界の英雄、ビヤンバ・ガントルガでさえ、スタート直後に配線ショートによるCDIパンクでリタイアしました。このように、どれだけ実力があってもトラブルは起こり得るという現実を受け入れることが、過度な自責やモチベーション低下を防ぎます。


つまり完璧を目指さないことが完走の秘訣です。


マシントラブルが発生しても、その場で対処できる範囲で修理し、次のビバークまでたどり着く柔軟性が求められます。「完璧に走る」ではなく「生き残る」というマインドセットが、長期ラリーでは有効に働きます。


夜間の整備時間が限られる中、優先順位を明確にする判断力も重要です。走行に直結する箇所を優先し、完璧な整備よりも翌日のスタートを切ることを目標にする割り切りが必要です。


  • 💪 1日単位の目標設定でプレッシャー軽減
  • 🔧 完璧よりも「走り続ける」ことを優先
  • 🧠 トラブルは起こるものと受け入れる
  • ⏰ 夜間整備は優先順位を明確に
  • 😌 過度な緊張を避け集中力を維持

メンタル管理のもう一つの側面は、仲間との交流です。ビバークで他の参戦者と情報交換することで、孤独感を和らげ、トラブル対処のヒントを得られます。北京飯店の裏手でぼったくりに遭った参戦者のエピソードのように、笑い飛ばせるトラブルもあります。


こうした余裕が長期戦を乗り切る力になります。


体調管理も見逃せません。モンゴルの草原は昼夜の寒暖差が激しく、10kgバッグに入れるシュラフの性能が睡眠の質を左右します。睡眠不足は判断力低下と事故リスク増加に直結するため、軽量でも保温性の高いシュラフを選ぶことが完走への投資になります。


食事も単なるカロリー補給ではなく、モチベーション維持の要素です。お気に入りの保存食を少量持ち込むことで、過酷な環境でも「明日も頑張ろう」と思える心の支えになります。30kgという制限の中で、わずかな余裕を作る工夫が、メンタル面での大きなリターンを生みます。


北京~ウランバートルラリーの詳細な参戦記録と現地の様子
北京・ウランバートル・ラリーは、技術・体力・装備・メンタルの全てが試される真の冒険です。100万円を超える参加費用、10日間で3,400kmという過酷な距離、タルバガンの巣穴やラクダ草といった独特の危険要素、そして限られた荷物でのビバーク生活。これら全てを乗り越えた先に、世界一美しい大地を走った記憶が刻まれます。