

軽自動車でも完走できるが装備は最小限がカギ
ラリーレイド・モンゴル(現在はラリーモンゴリアと呼ばれることもある)への参加には、まとまった予算が必要です。二輪部門の早期申し込みでエントリーフィーが約75万5000円、バイク輸送費が450cc以下で42万円かかり、合計で117万5000円から118万円程度が基本費用となります。
参考)https://ameblo.jp/nobuwalk/entry-12788830211.html
これに加えて、日本からモンゴルへの渡航費用(ホテル代含むパッケージツアー)が約18万円必要です。さらにラリーマシンの購入費用や改修費用を含めると、総額で約380万円という参加者の実例もあります。
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参加費用が高額ということですね。
ただし、軽自動車でのエントリーには10%割引が適用されるという粋なレギュレーションがあり、予算を抑えたい参加者には朗報です。事故車を20万円で修理・塗装して生き返らせたジムニーで参加し、スペアパーツやラリー用品をリサイクルで調達することで、大幅にコストを削減した事例もあります。
参考)http://www.j-r-m.co.jp/rrm/mongol-satoko/mongol-satoko.html
ラリーレイド・モンゴルのルートは、基本的にモンゴル国の首都ウランバートルをスタートし、8日から10日間でモンゴル国内を4000kmから5000kmにわたって走破します。最終的にウランバートルに戻ってくる周回設定となっており、2023年の大会では約4100kmを8日間で走破するコースでした。
開催時期は気候の温暖な7月から8月におこなわれ、草原・砂漠・山岳地帯を走破します。モンゴル中部・北部の草原地帯、ゴビ砂漠などの砂漠・土漠地帯、モンゴル西部のハンガイ山脈やアルタイ山脈などの山岳地帯を織り交ぜながらルート設定されるのが特徴です。
8日間で4000km超が基本です。
コースは基本的に一般の生活道を用いて構成され、そのほとんどが未舗装路です。一般的なダート・ロードや水が流れた跡に生じたクリーク(溝)、砂漠地帯では砂丘の中を走破したり、山岳地帯では岩盤が剥き出しの路面や、大小の岩石がゴロゴロ転がるような過酷な路面状況もあります。
ラリーレイド・モンゴルの最大の特徴の一つが、標高の変化の激しさです。南部のゴビ砂漠での標高800m程度から山岳地帯では3000mを超える標高に至ることもあり、参加車両のセッティングに大きな影響を及ぼします。2023年の大会では標高1450mのキャンプが使用されるなど、高地での走行が続きます。
参考)ROUTE INFORMATION – Rall…
加えて気温の変動も著しく、ゴビ砂漠では50℃近くになることもあれば、山岳地帯では朝晩は10℃近くまで低下することもしばしばです。この気温差は体力の消耗だけでなく、バイクのコンディション管理にも影響します。
標高差2000m超は注意が必要です。
標高と気温の変動に対応するため、装備の選択が重要になります。ただし、後述する最小限装備の原則とのバランスを取りながら、必要なものだけを厳選する判断力が求められます。この変動幅を事前に理解しておくことが、完走への第一歩です。
ラリーレイド・モンゴルは完走率の低さでも知られる過酷なレースです。初回の第1回大会では完走率が30%以下という厳しい結果でした。2024年に近い大会でも、二輪部門の完走率が50%という厳しいレース展開となった年があります。
参考)ラリーモンゴリア2019 - RIVERS JOURNAL
リタイアの原因は様々です。ある参加者は夜遅くになっても帰らず、GPSを頼りに関係者が捜索し、真夜中にようやく見つけたときには、精も根も尽き果て荒野の暗闇に倒れていたといいます。別の日にはモンゴル人のトップライダーが派手にクラッシュして意識不明の重体になり、レースを中断して救助活動が行われました。
完走率50%が現実です。
興味深いのは、オート部門(四輪)の事例です。ある年は経済状態を反映してオート部門のエントリーが3台だけでしたが、ドライバーは3人とも50歳代で、完走率100%を達成しました。二輪の完走率が50%という厳しい状況の中、50歳代パワーの粘り強さが際立つ結果となりました。
ラリーレイド・モンゴルの車両装備で意外なのは、「最小限にとどめる」ことが完走の秘訣という点です。軽自動車ジムニーで参加したある事例では、ロールバーを入れただけで、補強はそれ以外に施していません。
足回りのセッティングも、ショックアブソーバーとリーフサスペンションを強化しただけで、取付方法・本数は変えていません。タイヤは純正サイズのブリヂストンDUELER A/T 693を選び、ホイールも純正の鉄チンホイールで行くという徹底ぶりでした。
最小限装備が完走の鍵です。
この考え方の背景には「壊さないで走ればいいんだよ」という哲学があります。過剰な補強や装備は重量増を招き、かえって壊れやすくなるリスクがあります。必要最小限の装備で軽量化を図り、慎重な走りで完走を目指す方が、結果的に成功率が高いのです。
軽自動車の場合、高速走行は苦手分野ですが、それは絶対スピードが遅い分、より長い時間バイクに乗っていられるということにもつながります。制限時間めいっぱい使ってモンゴルを堪能するという、開き直った姿勢も完走には有効かもしれません。
ラリーレイド・モンゴルは1995年に第1回大会が開催され、当初は二輪車のみが競技対象でした。その後、四輪も競技対象となり、現在では二輪・四輪自動車を使用するラリー競技会として発展しています。
2002年までは「ラリーレイドモンゴル(Rally Raid Mongol)」という名称で開催されていましたが、その後「ラリーモンゴリア(Rally Mongolia)」という名称に変更されました。現在でも両方の名称が使われることがあり、古い参加者は「ラリーレイドモンゴル」の呼び方を好む傾向があります。
名称は2002年に変更されました。
主催は日本に本拠地のある団体で、モンゴル国内でおこなわれる国際的なラリー競技です。過去にはベルギー人のガストン・ライエ(モトクロス世界チャンピオン、パリ・ダカール・ラリー優勝)や、日本のプロフェッショナル・ドライバーである長谷見昌弘、ダカール・ラリーで活躍している菅原義正などが参加しています。
参考)https://www.nismo.co.jp/M_SPORTS/2000/rrm2000/index.html
ラリーレイド・モンゴルへの参加には、肉体的な準備だけでなく、精神的な覚悟も必要です。草むらに隠れていた大きな石にバイクを吹き飛ばされて倒れるという事故は珍しくなく、救助活動に参加していたライダー自身が数日後に同じ状況に陥ることもあります。
広大なモンゴルの大地では、方向感覚を失いやすく、ミスコースのリスクも常につきまといます。しかし、バラエティに富んだ大自然の壮観な景色に、競技中でもウットリさせられるという魅力もあります。広大な緑色のじゅうたんにはホッと心が和み、アルプスの少女ハイジや孫悟空、ジンギス・ハーンを次々と想像させるモンゴルの大地が待っています。
競技と絶景が両立しますね。
参加者は「競技に勝つ」という目標だけでなく、「完走する」「モンゴルを堪能する」という複数の目標を持つことが、精神的な支えになります。制限時間めいっぱい使って走ることを恥じるのではなく、それだけ長くモンゴルの自然と向き合えると前向きに捉える姿勢が、過酷なレースを乗り切る秘訣です。
近年では、モンゴル勢のラリーへの取り組み、マシンの製作も競技中のサービスも、ワールドクラスになっており、各部門の上位3台、計9台をモンゴル勢が独占するなど、地元選手の活躍も目立っています。こうした環境の中で、自分のペースを守りながら完走を目指すメンタルの強さが求められます。