ロングストロークバイクのデメリット振動と回転限界メンテナンス費用

ロングストロークバイクのデメリット振動と回転限界メンテナンス費用

ロングストロークバイクのデメリット

ロングストロークバイクの主なデメリット
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振動の大きさ

ピストンの上下動が長いため、エンジン振動が大きくなり長時間走行で手や腕に疲労が蓄積しやすい

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高回転の限界

ピストンスピードの物理的制約により、高回転化が難しく最高出力を抑え気味になる

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エンジン重量増加

回転ムラを抑えるため重いフライホイールが必要となり、排気量に比べてエンジン重量が増える

ロングストロークバイクの振動が大きい理由


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ロングストロークエンジンの最も顕著なデメリットは、エンジン振動の大きさです。ピストンの上下移動距離が長いため、往復運動による慣性力が大きくなり、結果として車体全体に強い振動が伝わります。この振動は「鼓動感」として楽しむライダーもいますが、長時間のツーリングでは手や腕への負担となり、疲労の原因になります。
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特に単気筒エンジンのロングストロークバイクでは、爆発間隔が長いため振動がより顕著に感じられます。ハーレーダビッドソンやGB350などのロングストローク車は、この強い鼓動感を個性として打ち出していますが、振動に慣れていないライダーには負担となる可能性があります。​
振動対策としては、ゲル素材を内蔵した耐振グリップへの交換や、バーエンドウェイトの装着が有効です。デイトナのPROGRIP耐振GELシリーズなど、振動吸収に特化したグリップを使用することで、手への負担を軽減できます。
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ロングストロークバイクの高回転限界と出力特性

ロングストロークエンジンは、構造上高回転化が困難というデメリットがあります。ピストンの上下移動距離が長いため、同じ回転数でもピストンスピードが速くなり、物理的な限界に早く到達してしまいます。一般的にピストンスピードは秒速25メートル程度が限界とされており、ロングストロークでは回転数を上げるほどこの限界に近づきやすくなります。
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このため、ロングストロークバイクの最高回転数は通常7000回転前後に設定されることが多く、ショートストロークのスポーツバイクのように1万回転以上回すことは困難です。結果として最高出力も抑えられる傾向にあり、高速走行やスポーツ走行には向いていません。
参考)【スペックから読み解くバイク基礎知識】「総排気量と内径×行程…

ただし、これは必ずしもマイナスばかりではありません。一般道での走行では60km/h、高速道路でも120km/hまでしか出せないため、低中回転域で十分なトルクを発生するロングストロークエンジンの方が実用的という見方もあります。​

ロングストロークバイクのエンジン重量とフライホイール

ロングストロークエンジンには、回転ムラを抑えるために重いフライホイールが必要となり、これがエンジン重量増加の原因となります。フライホイールは「弾み車」と呼ばれ、遠心力によって回転運動の慣性を維持する部品ですが、ロングストロークでは特に大きく重いものが要求されます。​
このため、同じ排気量のショートストロークエンジンと比較して、ロングストロークエンジンは重量が増加する傾向にあります。エンジンの重量増加は車体全体の重量配分に影響し、取り回しや運動性能に影響を与える可能性があります。​
一方で、重いフライホイールには低回転時でもエンジンが粘り強く回り続けるというメリットもあります。スロットルを緩めても回転数がすぐに落ちないため、コーナリング後の再加速がスムーズに行えるという利点があります。​

ロングストロークバイクの燃費性能と実用面

ロングストロークエンジンの数少ないメリットの一つが、優れた燃費性能です。ボア径が小さいため燃焼室がコンパクトになり、燃焼時の熱損失が減少します。また、ピストンスピードが速いことで混合気の流動が活発になり、燃焼速度が向上することも燃費向上に寄与します。
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実用面では、低回転域から十分なトルクを発生するため、街乗りや通勤での使い勝手が良いという特徴があります。スーパーカブや原付二種スクーター、ホンダのGB350シリーズなど、実用性を重視したモデルに多く採用されている理由はここにあります。
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ただし、高回転を多用するスポーツ走行では、かえって燃費が悪化する可能性もあります。ロングストロークエンジンは高回転域での効率が低いため、常に高回転で走行すると期待した燃費性能を発揮できない場合があります。
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ロングストロークバイクのメンテナンスコストと耐久性

ロングストロークエンジンは、振動が大きく高回転を多用しないという特性から、メンテナンスには特有の注意点があります。振動が大きいため、ボルトやナットの緩みが発生しやすく、定期的な増し締めが必要になる場合があります。特にマフラーやハンドル周りなど、振動の影響を受けやすい部分は注意が必要です。​
エンジン内部では、ピストンの移動距離が長いためシリンダー壁の摩耗が進みやすい傾向があります。適切なオイル管理と定期的なオイル交換が重要となり、メンテナンスを怠ると早期のエンジントラブルにつながる可能性があります。
参考)ショートストロークとロングストロークの違い - バイクの系譜

一方で、高回転を常用しないという特性は、エンジンへの負担が少ないという利点でもあります。バルブスプリングやカムシャフトなどの高回転部品への負荷が小さく、適切にメンテナンスすれば長寿命が期待できます。ロングストローク車の代表格であるカワサキW800やホンダのスーパーカブは、高い耐久性で知られています。
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