

追従性の高い建材を選ぶと、外壁塗装の保証期間が最大で通常塗料の2倍近くになることがある。
「追従性(ついじゅうせい)」とは、建築材料や仕上げ材が、下地や構造体の動き・変形・ひび割れに対して、破断・剥離することなく「追いかけて変形できる」性質のことを指します。簡単に言えば、建物が動いてもそれに合わせて伸び縮みできる「しなやかさ」のことです。
コンクリートや外壁の下地は、季節の温度変化・地震・乾燥収縮などによって常に微細に動いています。この動きに塗膜やシーリング材が追いつけないと、ひび割れや剥離が起きて防水性能が失われます。つまり追従性とは、建物の耐久性を左右する根本的な性能です。
建築の世界では「追従性」という言葉は、ひとつの意味だけで使われるわけではありません。使われる部位や材料によって、「ひび割れ追従性」「変形追従性」「層間変位追従性」「延伸追従性」など、複数の呼び名で使い分けられます。それぞれが指す状況や要求される性能レベルも異なります。
バイクに乗る人にとっても、愛車を保管するガレージや駐輪場の外壁・屋根の状態は無関係ではありません。追従性の低い材料を使った外壁はひび割れやすく、雨水が侵入してバイクの錆・腐食の原因になります。知っておくことが、愛車を守ることにつながります。
参考:ひび割れ追従性の評価基準について(トソウペディア)
https://aponline.jp/term/paint/crack-followability/
建築における追従性は、大きく3つの種類に分けられます。それぞれで対象となる「動き」の規模や場所が異なるため、使い分けが重要です。
① ひび割れ追従性
外壁や床の下地コンクリートにひび割れが生じたとき、その上に塗られた塗膜やシート材がそのひび割れに沿って伸びながらも破断しない性能を「ひび割れ追従性」と呼びます。JIS規格(JIS A 6021)および国土交通省の基準では、常温(20℃)でのひび割れ追従性は塗膜の伸びが0.8mm以上、低温(−10℃)では0.4mm以上が評価基準となっています。0.8mmというのはコピー用紙を約8枚重ねた厚さに相当します。小さな数字に見えますが、塗膜にとってはかなりの変形量です。
高いひび割れ追従性を持つ代表的な材料は、アクリルゴム系の弾性塗膜防水材です。一般の外壁塗料と比べて伸び率が大幅に高く、ひび割れからの雨水侵入を長期にわたって防ぐことができます。
② 変形追従性
塗り床材や防水材が、下地の面全体が変形したときにも追従できる性能を指します。工場の床や駐車場など、荷重や振動にさらされる場所で特に求められる性能です。美濃窯業株式会社の用語集では「塗り床材を施工した下地面が変形した際に、塗り床材がその変形に追従できるか否かの性能」と定義されています。
③ 層間変位追従性
地震や強風で建物が揺れたとき、上下階の間でずれが生じます。このずれを「層間変位」と言い、カーテンウォールや外壁パネルがそのずれに追従して破損しない性能が「層間変位追従性」です。建築基準法では層間変形角(層間変位÷階高)を原則1/200以内に抑えることが定められています。これは3mの階高なら15mmのずれに相当します。身近なもので言うと、Suicaカード(1.5mm)約10枚分のずれが上下階で生じるイメージです。
追従性の種類ごとに適した材料も変わります。それが条件です。
| 種類 | 対象部位 | 代表的な材料 |
|---|---|---|
| ひび割れ追従性 | 外壁塗膜・防水材 | 弾性塗膜防水材・アクリルゴム系塗料 |
| 変形追従性 | 塗り床・防水シート | ウレタン系塗り床・FRP防水シート |
| 層間変位追従性 | 外壁パネル・カーテンウォール | メタルカーテンウォール・PCカーテンウォール |
参考:変形追従性の定義(美濃窯業株式会社)
https://www.mino-ceramic.co.jp/glossary/detail/%E5%A4%89%E5%BD%A2%E8%BF%BD%E5%BE%93%E6%80%A7/
外壁の目地(パネルとパネルの間の継ぎ目)は、温度変化によって1日に何度も伸び縮みを繰り返しています。このムーブメントに対応するために「追従性の高いシーリング材」が必要になります。これは重要な知識です。
建築用シーリング材のJIS規格(JIS A 5758)では、耐久性区分を「9030」「8020」「7020」などと表記します。この数字の意味は「最高温度(℃)・変形率(%)」のことです。例えば「9030」は、90℃の高温環境で30%圧縮、−10℃で30%引張変形に耐えられることを意味します。外壁で一般的によく使われるシーリング材の耐久性区分は「8020」や「9030」クラスです。
追従性の面から特に優れているのは「変成シリコーン系」と「シリコーン系」です。これらは硬化後も高い弾性を保ち、外壁の微細な動きに対して柔軟に対応します。一方で「アクリル系」や「油性コーキング系」は追従性が低く、目地の動きが大きい外壁部位には不向きとされています。
外壁の目地幅の設計において、シーリング材がムーブメントに追従するための設計目地幅は「予想変形量÷許容変形率」で計算します。これが原則です。目地幅が狭すぎると、シーリング材が変形量に追いつけず破断してしまいます。特にサイディングボードを使った住宅では、目地幅10〜15mmが一般的ですが、設計段階でシーリング材の追従性能をもとに計算するのが正確なやり方です。
目地のシーリングが劣化・破断すると、そこから雨水が侵入します。一般的な戸建て住宅(30坪程度)でシーリングを打ち替える場合の費用は、目地の総延長が150〜200m程度になるため、1mあたり900〜1,200円の単価で計算すると、総額15〜24万円程度が相場です。早めのメンテナンスが、大規模修繕を防ぐための有効な手段です。
参考:シーリング材の種類と追従性・耐久性区分(YKK AP)
https://www.ykkap.co.jp/business/law/tec/sealing/
高層ビルやショッピングモールなど大型の建築物で、外壁が地震で崩落する映像を見たことがある人もいるかもしれません。あのような事故を防ぐために設計段階で重視されているのが「層間変位追従性」と「エキスパンションジョイント(Exp.J)」です。
カーテンウォールの層間変位追従性
カーテンウォールとは、建物の構造躯体とは別に取り付けられる非耐力の外壁のことです。建物の荷重を直接支えない代わりに、地震時の揺れに対して追従する(または変位を逃がす)能力が求められます。一般財団法人建材試験センター(GBRC)の資料によれば、高層建築物の外壁・カーテンウォールは「地震や強風によって生じる建築物の変形による荷重を負担せず、変形が可能なように設計される」と定められています。
カーテンウォールの取付け方法には「スウェイ方式」と「ロッキング方式」の2種類があります。スウェイ方式は水平方向のずれに追従し、ロッキング方式は回転によって変位を吸収します。1級建築士試験でも頻出の区分です。
エキスパンションジョイント(Exp.J)の変位追従性
エキスパンションジョイントとは、構造の異なる建物をつなぐ継ぎ目部分に設けられる部材です。その使命を果たすためには、X(左右)・Y(前後)・Z(上下)の3方向への変位追従性が必要とされます。建物用エキスパンションジョイントカバーには、クリアランスの100%変位に対応できる「Fタイプ」や50%対応の「Gタイプ」など、変位量に応じた製品ラインナップが存在します。
免震建築物では±500〜±800mmという大きな変位に対応できるEXJも設計されており、これは一般住宅の廊下幅(約780mm)とほぼ同じ振れ幅を許容する計算になります。
層間変位追従性の確保は、地震後の二次被害(外壁材の落下・ガラス破損)を防ぐためにも不可欠です。東日本大震災や熊本地震でも、追従性の低い外装材が多数脱落するという問題が記録されています。これは見落とせない点です。
参考:層間変位追従性能試験の詳細(一般財団法人建材試験センター)
http://www.gbrc.or.jp/assets/test_series/documents/cl_10.pdf
参考:エキスパンションジョイントの基礎知識(ABCトレーディング)
https://www.abc-t.co.jp/study/columns/201701expj.html
バイク乗りにとって、ガレージや駐輪場は愛車の命綱とも言える空間です。しかし外壁や屋根の防水性能が落ちると、雨水が侵入してバイクのフレームやエンジン周りの錆、電装系の腐食といった深刻なダメージを引き起こします。そこで「追従性」が直接関係してきます。
なぜガレージに追従性の高い防水材が必要なのか
ガレージや駐輪場のコンクリート・モルタル壁は、夏の日差しで60℃以上になることもあれば、冬には氷点下に達することもあります。この温度差による膨張・収縮が繰り返されると、表面にひび割れが生じます。追従性の低い塗料(ウレタンでも低弾性タイプ)を塗ってしまうと、このひび割れに追いつけず塗膜が割れてしまいます。つまりひび割れ追従性の高い材料が条件です。
JIS A 6021に適合する弾性系外壁塗膜防水材(アクリルゴム系など)は、常温での追従性が0.8mm以上のひび割れに対応し、繰り返し試験(−10℃〜常温で2,000回以上の伸縮)にも合格した製品です。一般的な外壁塗料とは追従性能の次元が異なります。
費用感と工法の目安
バイクを格納するガレージであれば、特に屋根からの雨漏りと外壁目地の劣化が2大リスクです。費用を抑えたい場合でも、「ひび割れ追従性の明記がある弾性塗料」または「JIS A 6021適合品の塗膜防水材」を選ぶのが最低限のラインです。
また、コンクリートのひび割れが0.3mm以上に達している場合は、追従性の高い塗料だけでは対応できないこともあります。0.3mmはシャープペンシルの芯と同じ太さのひび割れです。このクラスになると、先にシーリング材で下地補修してから弾性塗装を施す「下地補修→弾性塗装」の2段構えが必要になります。業者に相談するときは「ひび割れ幅と追従性の対応範囲」を確認することをおすすめします。
独自視点:バイクオイルがガレージ床の変形追従性を損なう問題
実は見落とされがちなのが、ガレージ床の追従性です。コンクリート床やエポキシ系塗り床は、エンジンオイルやチェーンオイルが染み込むと塗膜の密着力が著しく低下します。これにより「変形追従性が高い材料を選んで施工しても、油汚染が原因で塗膜が剥離する」という問題が起きます。つまり油対策が先決です。
対策としては、オイル耐性の高い「ウレタン系塗り床材(油面対応プライマー使用)」を選び、定期的に専用クリーナーで清掃することが有効です。追従性だけ高くても、密着性が保たれていなければ意味がありません。
参考:ガレージ防水工事の費用と工法ガイド(新東亜工業)
https://shintoakogyo.co.jp/column/posts/139427/
追従性の高い建材を選ぶ際に、実際の製品スペックで確認すべきポイントがいくつかあります。カタログや仕様書の「どこを見るか」を知っておくと、業者との打ち合わせや材料選定で迷わずに済みます。
確認ポイント①:ひび割れ追従性の数値(mm)
製品カタログには「ひび割れ追従性:●mm以上」と記載されていることがあります。一般的な弾性塗料で0.5mm前後、高追従の塗膜防水材で0.8〜2.0mm以上という製品もあります。この数値が大きいほど、広いひび割れにも対応できます。
確認ポイント②:JIS規格の適合種別
外壁用途の場合は「JIS A 6021(建築用塗膜防水材)」適合品を選ぶのが一つの基準です。この規格には「耐疲労性能」としてひび割れ追従性試験の基準が設定されており、2,000回以上の伸縮繰り返し試験を通過した材料に適用されます。
確認ポイント③:伸び率(引張伸び率)
製品によっては「引張伸び率200%以上」などと記載があります。これは元の長さの2倍まで伸びても切れないという意味で、追従性の高さを示す指標の一つです。ゴムバンドのように伸びる特性を持つ弾性系塗料に多く見られます。
確認ポイント④:低温での追従性
バイクガレージのように、冬季に氷点下になる環境では「低温時の追従性」が重要です。前述のJIS基準では−10℃で0.4mm以上が必要とされますが、寒冷地では−20℃での追従性を明記している製品を選ぶ方が安心です。
一つだけ覚えておけばOKです。「JIS A 6021適合品かどうか」を確認することが、ひび割れ追従性を持つ外壁防水材を選ぶ最もシンプルな判断基準になります。
業者に依頼する際は「どの製品のJIS適合品を使うか、メーカー名と品番を書面で教えてほしい」と伝えると、材料の品質を発注前に確認できます。これはメンテナンス費用の無駄遣いを防ぐための有効な手段です。
参考:JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の解説(関西ペイント)
https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/decorative/fm/other_pdf/623.pdf

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