

バーエンドミラーを付けたまま車検に通した人のうち、幅を正確に測ったことがある人は少数派です。
バーエンドミラーを取り付けているライダーの多くが「ミラーは車体の一部ではないから幅には関係ない」と思っています。これは大きな誤解です。
道路運送車両法の保安基準では、バックミラー(後写鏡)も含めた「最大幅」が車両の全幅として扱われます。つまり、バーエンドミラーがハンドルバーの端から外側に飛び出していれば、その分が全幅に加算されます。
具体的には、二輪車の全幅の上限は2,000mm(2メートル)以内と定められています。一般的なネイキッドバイクのハンドル幅は700〜800mm程度ですから、左右合わせても余裕があるように見えます。しかし社外のバーエンドミラーは取り付け方によっては片側50〜100mm以上外側に張り出すケースもあり、油断は禁物です。
数値だけ見ると「余裕では?」と感じるかもしれません。ただし問題は全幅の上限だけではありません。
保安基準第44条では、後写鏡の取り付け基準として「鏡面が後方を確認できる角度であること」「取り付け部が堅固であること」「鏡面の端部が丸みを帯びているか保護されていること」という条件も求められています。これらすべてを満たして初めて車検に通ります。幅さえクリアすれば合格というわけではないのです。
つまり、複数の条件を同時に満たすことが基本です。
「幅は余裕のはずなのになぜ落ちたの?」という声は、実際に車検場やユーザー車検の掲示板でも散見されます。引っかかる原因は幅の数値だけではありません。
まず最も多いケースがミラーの可動域の問題です。検査員はミラーを実際に動かして確認することがあります。バーエンドミラーは通常のミラーと異なり、ハンドルのエンド部(端)にボルト固定されるため、締め付けが甘いとぐらつきが生じます。「堅固に取り付けられていること」の条件を満たせず、不合格になるのです。
次に多いのが鏡面サイズの不足です。保安基準では、後写鏡の鏡面の面積は少なくとも69cm²(片面)以上が必要と定められています。A5用紙(148×210mm)の半分ほどのサイズが基準の目安です。コンパクトなデザインが魅力のバーエンドミラーでは、このサイズを下回る製品も市販されており注意が必要です。
面積が足りない製品は、見た目がいくら格好よくても保安基準非適合です。
また、鏡面の端部処理も見られます。バーエンドミラーはデザイン重視の製品が多く、鏡面の縁(フチ)が鋭く仕上げられているものもあります。保安基準では、鏡の端部は丸みを帯びているか、衝突時に危険とならないよう処理されていることが必要です。アルミ削り出しの安価な輸入品には、この処理が不十分なものが存在します。
これは見落としやすい部分ですね。
国土交通省:二輪車の後写鏡に関する保安基準の詳細(第44条関連)
幅を自分で測ったことがないライダーは多いです。しかし、自分で確認しておくことが車検トラブルを防ぐ最短ルートです。
正しい計測方法は次のとおりです。まず車体を直立させ(センタースタンドまたはメンテナンススタンド使用が理想)、ハンドルをまっすぐ前を向いた状態にします。その状態で、左のバーエンドミラーの最外端から右のバーエンドミラーの最外端まで、水平方向の距離をメジャーで計測します。
ミラーを取り付ける角度によって数値が変わる点に注意です。
一般的なバーエンドミラーは、ミラー本体が外側に向いた状態が「後方確認に適した角度」であるため、取り付け時点でハンドル幅より100〜200mm広くなることが多いです。これをコンパクトに収める方法として、ミラーをわずかに内側に傾ける「内向き取り付け」を採用しているライダーもいます。ただし内側に向けすぎると後方視界が確保できなくなり、別の保安基準に抵触します。
バランスが条件です。
参考までに数値を示すと、ハンドル幅750mmのバイクに片側+75mmのミラーが左右に付いた場合、全幅は750+75+75=900mmとなります。これは全幅2,000mmの制限に対して大きな余裕があります。しかし「ミラーを後方確認に適した角度で保持したまま取り付けること」を守りつつ、鏡面サイズや端部処理もクリアするほうが難易度は高く、結果として幅よりも他の条件で不合格になるケースが後を絶ちません。
幅だけ覚えておけばOKではないということですね。
車検に通ったからといって、すべてが安全とは言い切れません。これは意外と知られていない事実です。
車検は「検査時点での状態」を確認するものです。車検合格後にミラーの角度がずれたり、走行振動でミラー本体がぐらついてきたりした場合、走行中に警察官から整備不良車両として指摘を受けることがあります。
整備不良(尾灯・後写鏡等)の違反点数は2点、反則金は普通車・二輪ともに9,000円です。一発で罰則を受けるわけではありませんが、違反点数が加算されれば免許停止にも直結します。
痛いですね。
特にバーエンドミラーはハンドル操作時の振動を直に受けるため、長距離ツーリング後にミラーの固定が緩むことがよくあります。取り付けに使用するボルトには、ネジロック剤(ロックタイトなど)を使用するか、定期的にトルク管理をすることが推奨されます。
ネジロック剤は1本500〜1,000円程度で市販されており、バイク用品店やホームセンターで手に入ります。固定強度を保つための投資としてはかなり低コストです。整備不良による反則金9,000円と比べれば、費用対効果は明らかです。
これは使えそうです。
また、バーエンドミラーのアーム部分が折れたり、鏡面が脱落したりするケースも報告されています。特に安価な輸入品では素材強度が不十分なものがあり、走行中に脱落すると後続車への危険を及ぼします。購入時は「JIS規格相当」や「保安基準適合品」という表記を確認するのが基本です。
バーエンドミラーを選ぶ際、ほとんどのライダーはデザインと取り付け方法だけを見ています。しかし見落とされがちな視点が、ライダー自身の「腕の長さ・体格」とミラーの視認距離の関係です。
バーエンドミラーは位置が低く、ハンドル端部にあるため、ライダーの乗車姿勢によって見え方が大きく変わります。身長が高く腕が長いライダーは、ハンドルを握った状態でミラーを覗き込む角度がきつくなり、後方の視野角が極端に狭まることがあります。
角度が変わると見える範囲も変わります。
国内外の一部インプレッション記事や検証動画では、バーエンドミラーのアーム長が短いタイプ(アーム長50mm以下)は身長170cm以上のライダーに向かないケースがあると指摘されています。後方確認の死角が通常ミラーの約1.5倍になるとする測定例もあり、これは保安基準の「後方を確認できる角度」の条件に抵触する可能性があります。
実は幅ではなく視認性で落ちるケースが存在するということですね。
対策としては、アーム長が70mm以上ある製品を選ぶか、ミラー面の角度調整が細かくできるボールジョイント式の製品を選ぶことが挙げられます。ボールジョイント式は多方向に角度調整ができるため、体格にかかわらず後方視野を最大化しやすいです。
また、バーエンドミラーに換装した後は、必ず静止した状態だけでなく、実際に走行しながら後方確認のしやすさをチェックすることを強くおすすめします。車検の検査員も最終的には「後方が実際に確認できるか」を重視します。確認できないミラーは、スペック上の幅が合っていても不合格になることがあります。
後方視認性が条件です。
ここまでの内容を踏まえて、車検前に自分でできる確認事項をまとめます。チェックを一通り終えれば、車検当日に焦ることなく臨めます。
まず確認すべきは鏡面の面積です。購入した製品の仕様書や商品ページに「鏡面サイズ」が記載されている場合は必ず確認し、片面69cm²以上を満たしているかチェックします。記載がない場合はメジャーで計測してください。縦×横の面積が69cm²以上であれば基準をクリアしています(例:縦85mm×横82mm=69.7cm²)。
次に取り付けの堅固さを確認します。ミラーを手で軽く揺すってグラつきがないか、ボルトが規定トルクで締まっているかを確認します。トルクレンチが手元にない場合でも、一般的なバーエンドミラーの固定ボルトは5〜8N・m程度が目安です。
そして鏡面端部の処理を目視で確認します。鏡の縁が金属の切りっぱなしになっていないか、バリや鋭利な部分がないかを指で軽く確認します(怪我に注意)。問題がある場合は、エッジ保護用のゴムモールや透明テープを貼ることで対応できます。
最後に全幅の実測をします。前述の方法でメジャーを使い、2,000mm以内に収まっているか確認します。
全項目をクリアすれば問題ありません。
それでも不安な場合は、車検前に予備検査場(テスター屋)を活用する方法があります。予備検査場では本番の車検と同じ機器で事前確認ができ、費用は1,000〜3,000円程度です。不合格箇所をあらかじめ修正できるため、ユーザー車検を初めて通す人には特に有効な手段です。
予備検査は時間とコストの節約になります。
自動車検査独立行政法人(NAVI):ユーザー車検の手順と事前確認のポイント(二輪車向け)

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