

九州ツーリングで「阿蘇だけ行けば満足」と思っているライダーは、実は九州の魅力の半分以上を見逃しています。
やまなみハイウェイは、大分県由布市から熊本県阿蘇市までを結ぶ全長約52kmの絶景ルートです。九州横断道路の一部でもあり、別府から阿蘇を一本でつなぐこのルートは、ライダーなら一度は走りたい名道として全国的に知られています。
沿道の見どころは豊富です。九重連山の雄大なパノラマ、飯田高原の草原風景、標高1,330mの牧ノ戸峠、そして阿蘇五岳を見渡せる城山展望所——これだけのコンテンツが1本の道に凝縮されています。日本風景街道にも認定されており、観光目的の車も多く集まるスポットです。
注意が必要なのは、由布院付近の渋滞です。由布岳を背景にした温泉街は観光客に非常に人気が高く、週末や連休にはやまなみハイウェイの終盤で観光バスを含む車列が発生します。せっかくの爽快ルートも、渋滞にはまるとかなりストレスになります。
ここで覚えておきたいのが「早朝出発」の作戦です。朝7時台にやまなみハイウェイに入ると、交通量は圧倒的に少なく、草原に朝霧がかかった幻想的な景色の中を独占感覚で走ることができます。スタート地点の別府付近に前泊する、または名門大洋フェリーを使って新門司港に早朝入りするプランとの相性が特に良いです。
走行距離は往復で100km超になりますが、途中の温泉立ち寄りや展望所での休憩を含めると、半日ツーリングとしても十分に楽しめるルートです。
九州のおすすめツーリングスポット7選(なっぷ)— やまなみハイウェイからケニーロード、生月サンセットウェイまで各ルートの特徴が詳しくまとめられています
九州ツーリングを計画して「阿蘇の火口まで行こう!」と決めたライダーが、現地に到着して初めて通行止めを知る——このパターンが驚くほど多いです。
阿蘇山の中岳火口へ続く阿蘇山公園有料道路は、噴火警戒レベルによって通行規制が変動します。レベル1(活火山に留意)であれば通常見学できますが、レベル2(火口周辺規制)に引き上げられると火口から概ね1km以内が立入禁止となり、火口展望台へのルートは閉鎖されます。
重要なのは、この規制が非常に頻繁に変わることです。2024年7月から2025年7月にかけてはレベル1と2を繰り返しており、週単位どころか日単位でステータスが変化する場合もあります。さらに、火山ガスや濃霧の発生時には、レベルが1であっても一時的に立入規制がかかります。遠方から交通費をかけて来たにもかかわらず、「今日は入れません」で終わるのは、金銭的にも時間的にも大きなダメージです。
対策はシンプルです。出発前日と当日の朝に、阿蘇火山火口規制情報(aso-volcano.jp)を必ず確認する習慣をつけましょう。ライブカメラで現地の状況を目視確認できるページもあるため、これも併用すると安心です。
また、火口見学が目的でなくても、阿蘇パノラマラインを走る場合は全長約37kmのコース選択肢があります。草千里ヶ浜や米塚の見える赤水線など、火口エリアに入らなくても十分に楽しめるルートが複数存在します。規制で火口に行けなかった日も、阿蘇の絶景は諦めないで大丈夫です。
阿蘇火山火口規制情報(公式)— 現在の規制レベルとゲート開閉状況をリアルタイムで確認できます。出発前の必読ページです
九州の絶景ロードというと阿蘇に話題が集まりがちですが、沿岸部にも「走りに来てよかった」と言わせる道が点在しています。その代表格が、長崎県と宮崎県の2本です。
生月サンセットウェイ(長崎県・生月島)
長崎県平戸市の生月島西岸を走る農道で、全長は約10kmです。「農道」という名称から地味な印象を持たれますが、実際はCMやテレビのロケ地として何度も使われるほどの絶景ルートです。柱状節理の断崖がせり出した海岸線を抜けながら、東シナ海の水平線を右手に眺めながら走る体験は、国内の他の道ではなかなか味わえません。
名前通り、夕暮れ時が最大の見どころです。日没の1時間前くらいに入島するスケジュールを組むと、黄金色に染まる海面を背景にした圧倒的なサンセットを走りながら楽しめます。島の一周は約1時間、生月大橋を渡るアクセス込みでも半日あれば十分に満喫できます。
日南フェニックスロード(宮崎県)
宮崎県の海岸線に沿って走る総延長約84kmのシーサイドルートです。フェニックス(ヤシの木)が並ぶ南国感あふれる風景と、太平洋の開放感が特徴で、ライダーの間では「国内最高クラスのシーサイドルート」と評価する声も少なくありません。途中には鬼の洗濯岩(青島)など固有の地形スポットも点在しており、走るだけでなく観光としても成立します。
この2本は九州南部・西部に位置するため、阿蘇や由布院と組み合わせて3泊4日以上の日程を組む際に組み入れると、九州の多様な表情を一度の旅で体験できます。
生月サンセットウェイ詳細(JAFメイト)— 柱状節理の断崖と絶景の詳細ルート案内が掲載されています
九州は「年中温暖」というイメージを持たれやすいですが、バイクで走ることを考えると季節ごとの特性を把握しておく必要があります。
春(4月〜5月)と秋(10月〜11月)がベストシーズン
気温が20〜25℃前後で安定し、空気も澄んでいます。阿蘇の草千里では春の新緑と秋の枯れ草原でまったく異なる表情が楽しめ、どちらの時期も撮影映えします。大観峰周辺のミルクロードでは10〜11月の早朝に雲海が発生する確率が最も高く、条件が揃えば阿蘇五岳が雲の海に浮かぶ幻想的な景色を見ることができます。これは早朝5〜6時に大観峰に到着できる前泊プランでのみ狙える光景です。
夏(7月〜8月)は高温多湿に注意
九州の夏は本州より蒸し暑く、標高の低いエリアでは日中の気温が35℃を超えることもあります。一方、阿蘇の外輪山上(標高900m超)や九重の山岳エリアは気温が5〜8℃ほど低く、夏でも涼しく走れます。夏ツーリングは標高を意識したルート組みが快適さを左右します。
冬(12月〜3月)は阿蘇の凍結に要注意
九州は温暖なイメージがある分、見落とされやすいのが冬の阿蘇の路面凍結です。阿蘇エリアは12月から3月にかけて山間部で20〜40cmの積雪が発生することがあり、特に早朝・深夜のやまなみハイウェイやミルクロードは凍結が非常に危険です。
バイクはタイヤが2輪しかないため、路面凍結の影響が四輪車よりはるかに大きいです。「九州だから大丈夫だろう」という思い込みが、スリップ転倒につながります。冬季に阿蘇・くじゅう方面を走る場合は、前日の天気予報と路面情報を必ず確認することが原則です。
沿岸部(長崎・宮崎・鹿児島の海岸線沿い)は冬でも気温が10℃前後を保つことが多く、装備を整えれば十分ツーリング可能です。冬の九州は「エリアを選べば走れる」と理解しておきましょう。
九州ツーリング絶景おすすめスポット6選(天草観光公式)— ベストシーズンや防寒対策の基本情報が整理されています
九州一周ツーリングの総走行距離は約1,200〜1,500kmになります。これを高速道路を使いながら移動すると、通常料金のままでは相当な費用がかかります。実際、福岡から鹿児島まで高速を使うだけで片道3,000〜4,000円前後の出費になります。
これを大幅に節約できるのが、二輪車限定のETCツーリングプランです。毎年春から秋にかけて(2025年は4月1日〜11月30日)実施されており、九州エリアでは熊本・大分・福岡などの高速道路が対象エリア内で乗り放題になる仕組みです。割引率は通常料金比で約40〜50%。日数に応じた定額料金を支払うことで、対象区間を自由に乗り降りできます。
プランの申込みはNEXCO各社の公式サイト(みち旅 / ドラぷら)から、利用開始前までにETCカード番号を登録して完了させる必要があります。現地についてから申し込むことはできないので、出発前日までに手続きを済ませておきましょう。
なお、このプランはETC搭載バイクのみ対象です。ETCが未搭載の場合は利用できません。もしまだETCを導入していない場合は、高速料金の節約効果(九州一周で数千円〜1万円単位)を考えると、車載器の購入費用を十分に回収できます。申込みに必要なのは「ETCカード番号」と「ご利用開始日の設定」だけなので、手続き自体は5分程度で完了します。
加えて、NEXCO西日本管内のSA・PAで税込1,000円以上の飲食・購入をした際に使える100円割引クーポンも進呈されます。グルメ立ち寄りが多い九州ツーリングでは地味に活躍するおまけです。
ETC二輪車限定ツーリングプラン公式告知(NEXCO東日本)— 対象エリア・料金・申込み方法の詳細が記載されています
検索上位記事ではあまり触れられていない視点として、「九州を"縦断"ではなく"ゾーン分け"して攻略する」考え方があります。九州は7県あり、一度にすべてを回ろうとすると1日あたりの走行距離が400km超になることもあります。これだと走るだけで終わってしまい、スポットをじっくり楽しむ時間が取れなくなります。
そこで有効なのが、北部ゾーン・中部ゾーン・南部ゾーンの3つに分けて、別々のツーリングとして計画する方法です。
| ゾーン | 主なスポット | おすすめ日数 |
|---|---|---|
| 🟡 北部(福岡・佐賀・長崎) | 平尾台・門司港・虹の松原・生月サンセットウェイ | 2〜3日 |
| 🔵 中部(大分・熊本) | やまなみハイウェイ・ミルクロード・大観峰・天草パールライン | 3〜4日 |
| 🔴 南部(宮崎・鹿児島) | 日南フェニックスロード・都井岬・桜島周回ルート | 2〜3日 |
この「ゾーン別アプローチ」のメリットは、1日あたりの走行距離を150〜250kmに抑えながら、各スポットに時間をかけて滞在できる点にあります。フェリーを活用すると特に効率的で、大阪〜新門司間の名門大洋フェリーや阪九フェリーを使えば、走行距離を大幅に節約しながら翌朝すぐに北部九州のルートへ入れます。
また、意外に知られていないのが「佐賀県」の魅力です。唐津市の虹の松原(全長約4.5kmの松並木)や玄海町の波戸岬など、渋滞が少なく走りやすいルートが揃っており、福岡から日帰りでも十分に楽しめます。九州ツーリングで佐賀を素通りするライダーが多いですが、立ち寄った人の満足度は実は高いエリアです。
ゾーン分けツーリングで得られるメリットをまとめると:
- 1日の走行距離が適正になり、疲労が翌日に残りにくい
- 各スポットの滞在時間に余裕が生まれ、写真・食事を楽しめる
- 宿泊地を1〜2か所に絞れるため、予約・荷物の管理が楽になる
- リピートしても毎回「新鮮な体験」になる
九州ツーリングは「一度で全部」より「何度かに分けて深く」が、長期的に見て最もコストパフォーマンスの高い楽しみ方です。これだけ覚えておけばOKです。
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