バハ1000サスペンション選びとセッティング成功の秘訣

バハ1000サスペンション選びとセッティング成功の秘訣

バハ1000サスペンション選びとセッティング

フロントを硬くするとリアが沈んでアンダーが出ます

この記事の3つのポイント
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バハ1000の極限サスペンション

ストローク量600mm超、時速200km超の砂漠を24時間走破する過酷な環境に耐える技術

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やりがちなセッティングミス

フロント圧側を硬くしすぎ、リア伸側を放置する典型的な失敗パターンとその対策

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正しい調整の順序

サグ測定から始める段階的なアプローチで、バランスの取れた挙動を実現

バハ1000レースで求められるサスペンション性能


バハ1000は、メキシコのバハ・カリフォルニア半島で開催される世界最大級のオフロードレースです。このレースでは、サスペンションストローク量が前後それぞれ600mm以上にも達するマシンが使用されています。


参考)バハ1000 - Wikipedia


通常のバイクのストローク量が120mm程度であることを考えると、バハ仕様は約5倍のストロークを持っているということですね。


この驚異的なストローク量は、砂漠の激しい起伏を時速200km超で走破するために必要不可欠です。普通のバイクならタイヤが浮くような路面でも、しっかりと接地を維持できるため、高速走行時の安定性が格段に向上します。


参考)世界一過酷な『Baja1000』参戦マシンは選手の手作り


バハ1000のバイククラスでは、軽量な2ストローク単気筒エンジンが長年主流でした。最高出力60ps超、乾燥重量100kg強というパワーウェイトレシオにより、砂漠での最高速は時速170kmに迫りました。この強大なパワーを受け止めるため、フレームの剛性強化とサスペンションの進化が急速に進んだのです。


参考)BAJA1000|歴代優勝バイクの遍歴|派生トレール機の買取…


レース用サスペンションには、KINGのコイルオーバーショックとバイパスショックが各輪に装着されることが一般的です。これらは24時間近く走り続ける過酷な環境下で、大量の粉塵や3次元のあらゆる方向から襲う衝撃に耐える異次元の耐久性を持っています。


参考)【ヨコハマ】挑戦~Baja1000×ジオランダー


バハ1000マシンのサスペンションセッティング実例

実際のバハ1000参戦チームは、レース前のテスト走行でサスペンションを頻繁に調整します。TEAM JAOSの事例では、初日のテスト結果を踏まえて、サスペンションを硬めのセッティングに変更する作業が行われました。


参考)BAJA1000 2024 DAY3


硬めのセッティングが基本です。


四輪車両の場合、フロントが独立懸架式ダブルウィッシュボーン、リアが3リンク式でストロークは前後それぞれ660mm/864mmという設定が一般的です。17インチホイールに外径39インチ(約99cm)の巨大なタイヤを装着し、路面の激しい衝撃を吸収します。


バイクの場合、KYBがサスペンション、TOYO TIRESがタイヤをサポートする体制で挑むケースが多く見られます。しかし、電子系統のトラブルや想定外の路面状況により、どれだけ準備しても完走できないリスクがあるのがバハ1000の厳しさです。


参考)バハ1000|地平線の向こうまでぶっ飛ばせ! 土埃の舞う赤茶…


セッティング作業では、テスト走行と調整を繰り返す地道な作業が不可欠です。限られた時間の中で、チーム全員が一丸となって最適なバランスを見つけ出します。GPS頼りの視界不良の中、前走車が巻き上げた土埃で何も見えない状況でアクセル全開するため、サスペンションの信頼性が生死を分けます。


参考)昨年の雪辱を晴らすBAJA1000に向けてTEAM JAOS…


バイクサスペンションセッティングでやりがちな失敗

一般のバイク乗りが陥りやすいサスペンションセッティングの失敗パターンがあります。最も典型的なのは、サグ(1G')をちゃんと計測せずに調整を始めてしまうことです。


参考)「バイクサスペンションセッティング」やりがちな大失敗とその対…


フロント圧側が固すぎ、フロント伸側が柔らかすぎ、リア圧側が柔らかすぎという組み合わせが非常に多く見られます。リアプリロードも柔らかすぎる状態で、結果的にリアが低すぎるバイクになってしまうのです。


これが問題になるのは?
アクセルを開けた時にアンダーステアになり、思うように曲がらなくなります。フロントの圧側だけを硬くすると、ストレートエンドでフルボトムは防げますが、クリップ以降のアクセルオープンでフロントサスが瞬時に延びてしまいます。リアサスとタイヤに荷重をかけられず、二次旋回で曲がらないバイクになってしまうのです。


死んでいるタイヤでセッティングを出そうとすることも大きな間違いです。空気圧も走行シーンに合った適切な調整ができていないケースが多く、冷間時と温間時の違いすら理解していない状態で調整を試みる人もいます。


さらに、リアの伸び側減衰を理解せず放置したまま、リア圧側だけ柔らかくして止めを刺すパターンも頻発します。新車の時より狭いS字コーナーの切り返しが重く、ヒラヒラとバイクが軽快に舞えなくなっている状態です。


バハ1000から学ぶサスペンションストローク管理

サスペンションストローク量の適切な管理は、バハ1000のような極限環境でも一般走行でも重要です。SSクラスのバイクは約120mmのストローク量を持ち、その70%をストローク領域として使い、30%をマージンとして残すのが理想とされています。


120mmの場合、36mmがマージンです。


ストローク量が不足すると、ギャップの吸収性が悪くなり、旋回性も悪化します。プリロードをかけすぎると、例えば120mmあったストロークが50mmに減ってしまう状況が発生するのです。


ストローク管理のためには、タイラップを使った簡易測定法が有効です。インナーチューブにタイラップを軽く巻き付け、走行後にタイラップが移動した距離を測定することで、実際のストローク使用量を確認できます。締めすぎると動かないため、後ろに回る程度の緩さで取り付けるのがコツです。


バハ1000の車両では600mm超のストロークにより、じつに乗り心地が良いという報告があります。これは、クルマの動きが解りやすく、普通ならタイヤが浮くような大起伏でもしっかり接地するためです。一般のバイクでも、ストローク量を適切に活用することで、路面追従性と快適性を大きく向上させられます。


バイクサスペンション調整の正しい順序と考え方

正しいサスペンションセッティングは、段階的なアプローチが必要です。まず、新鮮なタイヤと適切な空気圧を確保することが前提条件となります。


最初にサグを正確に測定します。


街乗り、峠のスポーツラン、サーキット走行と、走りが激しくなるほど、使用タイヤのグリップも強くなる傾向があります。そのため、リアの圧側やプリロードを弱くする前に、フロント伸び側ダンパーを強くしてウィリーしにくくし、アクセルオンでリア荷重をかけられるようにする必要があります。


ZX-10Rのような高性能バイクでも、フロントのフォークスプリングとトップアウトスプリングが硬すぎて動きを演出できないケースがあります。主バネが硬いとストロークを深く入れづらく、トップアウトも硬く伸び切らない状態では、極端に短く要約すると「フォークのストロークが短い」という問題になります。


参考)SHOWA,BFFの構造 - セイクレッドグランド【SACR…


バハ1000のレース環境では、サスペンションを硬めにする傾向がありますが、これは高速走行と激しい衝撃に対応するためです。一方、一般走行では硬すぎると路面追従性が低下し、かえって危険になります。


セッティングの目的は、ストレートでの直進安定性、コーナーでの旋回性、ギャップの吸収性のバランスを取ることです。一つの要素だけを改善しようとすると、他の部分が悪化する典型的な失敗パターンに陥ります。


サスペンション調整で迷った時は、まず標準設定に戻し、サグ測定からやり直すのが確実です。


<参考リンク>
バハ1000の詳細な歴史と車両規定について
バハ1000 - Wikipedia
サスペンションセッティングの具体的な失敗例と対処法
「バイクサスペンションセッティング」やりがちな大失敗とその対処法 - モトフリーク
プリロード調整の基本と測定方法
【サスセッティング②】超簡単!最適なプリロード量の見分け方 - YouTube
バハ1000参戦チームの実例
バハ1000|地平線の向こうまでぶっ飛ばせ! 土埃の舞う赤茶けた砂漠を駆け抜けるランドクルーザー - CALOG




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