ブロックタイヤ スタッドレス選び方とバイク冬の安全走行

ブロックタイヤ スタッドレス選び方とバイク冬の安全走行

ブロックタイヤとスタッドレスの違い

この記事で分かること
🏍️
タイヤの特徴と違い

ブロックタイヤとスタッドレスタイヤの構造や性能の違いを理解できます

❄️
選び方のポイント

走行環境や用途に応じた最適なタイヤの選び方が分かります

⚠️
安全走行の注意点

冬の路面でバイクを安全に走らせるための重要なポイントを学べます

バイクで冬道を走行する際、タイヤ選びは安全性を大きく左右する重要な要素です。ブロックタイヤとスタッドレスタイヤは、一見似ているように見えますが、実は構造も目的も全く異なるタイヤです。​
ブロックタイヤは、トレッドパターンが大きなブロック状に独立した形で配置されているタイヤで、主に未舗装路での走行を目的として開発されています。オフロードバイクでよく見られるタイヤで、泥や石をブロック部分で後方へ掻き出すことで高いグリップ力を発揮します。
参考)https://www.craft-web.co.jp/blogs/urban_suzuka/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%82%8C%E3%82%92%E9%81%B8%E3%81%B9%E3%81%B0%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A4/

一方、スタッドレスタイヤは凍結路や積雪路での走行を目的とした冬用タイヤです。低温でも柔軟性を保つ特殊なゴム素材を使用し、細かい溝(サイプ)が多数刻まれているのが特徴です。この柔らかいゴムが雪道で路面を捉え、氷上での水膜を除去することでグリップ力を発揮します。​
最も重要なのは、ブロックタイヤは雪道用ではないということです。ブロックタイヤのゴムは固く、未舗装路で土をかき出すために設計されています。そのため、凍結路面や雪道での使用は危険であり、冬の路面にはスタッドレスタイヤやタイヤチェーンが適切です。
参考)ブロックタイヤとは?雪道では最適?燃費などのメリットからデメ…

ブロックタイヤの基本構造と特徴


学研 Gakkenニューブロック タイヤパーツ(対象年齢:2歳以上)83742

 

ブロックタイヤのトレッドパターンは、一つ一つが大きなブロックで独立した形状をしています。このブロック構造により、未舗装路やぬかるんだ土に食い込み、通常のタイヤでは得られないグリップ力を発揮できます。​
ブロックタイヤには主に3つの種類があります。​
マッドテレーン(M/T)
最も大きなブロックパターンを持ち、山道や林道などの過酷な未舗装路での走破性を重視したタイヤです。ゴツゴツとした外観が特徴で、泥や石を効果的に後方へ掻き出します。​
オールテレーン(A/T)
M/Tタイヤよりも細かなブロックパターンで、街乗りと軽いオフロードの両方に対応できるタイヤです。ロードノイズを軽減し、舗装路での快適性も考慮されています。スノーフレークマークを取得しているモデルはオールシーズンタイヤとして使用可能です。​
ラギッドテレーン(R/T)
M/Tのようなサイドパターンと、A/Tのようなトレッドパターンを併せ持つハイブリッドタイプです。オンロード・オフロード双方で活躍できる万能性が特徴です。​
ブロックタイヤのゴムは硬めに作られており、耐久性に優れていますが、舗装路での走行時は乗り心地が硬く、走行音が大きくなる傾向があります。​

ブロックタイヤとスタッドレスの性能比較

ブロックタイヤとスタッドレスタイヤは、使用目的が全く異なるため、性能を直接比較することは適切ではありません。それぞれが得意とする路面状況と性能特性を理解することが重要です。​
ゴムの性質の違い
ブロックタイヤのゴムは固く、摩耗に強い素材で作られています。一方、スタッドレスタイヤのゴムは指で押すとゴムが動くほど柔らかく、低温でも柔軟性を保つ特殊な配合になっています。この柔らかさが冬の路面での性能を左右する重要な要素です。
参考)スタッドレスタイヤが効果を発揮するシーンとは?注意点や交換時…

トレッドパターンの違い
スタッドレスタイヤのトレッドパターンは一見ブロック状に見えますが、ブロックタイヤとは構造が異なります。スタッドレスタイヤには、雪を掻き出す深い溝に加えて、細かい切り込み(サイプ)が無数に施されています。これらの細かい溝が氷上の水膜を除去し、グリップ力を生み出します。
参考)スタッドレスタイヤの特徴とは?

項目 ブロックタイヤ スタッドレスタイヤ
主な用途 未舗装路・オフロード​ 雪道・凍結路​
ゴムの硬さ 硬い​ 柔らかい​
溝の特徴 大きなブロック​ 深い溝+細かいサイプ​
氷上性能 低い(危険)​ 高い​
舗装路走行 やや不快​ 快適​

雪道での性能差
ブロックタイヤでの雪道走行は非常に危険です。ゴムが硬いため、凍結路面では十分なグリップが得られず、スリップやコントロール不能に陥る危険性が高くなります。冬の路面では必ずスタッドレスタイヤやスパイクタイヤを使用することが安全運転の基本です。​

ブロックタイヤをスタッドレスの代わりに使う危険性

ブロックタイヤをスタッドレスタイヤの代わりに冬道で使用することは、絶対に避けるべき危険な行為です。両者は見た目が似ているように見えても、根本的な設計思想が異なります。​
グリップ力の不足
ブロックタイヤのゴムは低温環境で硬化しやすく、凍結路面では路面を捉えることができません。特に氷上では、ブロックタイヤは滑りやすく、制動距離が大幅に伸びてしまいます。バイクは四輪車と比べて元々安定性が低いため、この危険性はさらに増大します。​
制動性能の低下
冬の路面でブレーキをかけた際、ブロックタイヤでは十分な制動力が得られず、止まりたい場所で止まれない可能性が高くなります。特に下り坂や交差点での停止時に危険です。急ブレーキをかけるとタイヤがロックし、転倒のリスクが極めて高くなります。​
コーナリング時の危険
カーブを曲がる際、ブロックタイヤでは遠心力に対抗するグリップ力が不足し、外側に滑り出してしまう危険があります。バイクは車体を傾けて曲がる特性上、この危険性は致命的です。​
冬季にバイクで走行する場合は、必ず冬用タイヤ(スタッドレスまたはスパイクタイヤ)を装着し、それでも急な操作は避け、速度を抑えた慎重な運転が必要です。「ブロックタイヤでも雪道を走れるだろう」という誤解は、重大な事故につながる危険な考えです。​

バイク用スタッドレスとスパイクタイヤの選び方

バイク用の冬タイヤには、主にスタッドレスタイヤとスパイクタイヤの2種類があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、走行環境や使用頻度に応じて選択することが重要です。​
スパイクタイヤの特徴
金属のピン(スタッド)がタイヤに埋め込まれており、凍結路面での効きは最高レベルです。坂道や早朝・夜間など凍結路面を多く走行する方に適しています。平均3シーズン程度使用でき、意外と長持ちします。​
ただし、価格がスタッドレスより高く、最高速度が落ちてハンドルに違和感が生じることがあります。また、原付の場合は冬季間(12月~3月)のみ装着が許可されており、それ以外の期間は装着禁止です。夏場にスパイクタイヤで走行すると整備不良として取り締まりを受け、罰金の対象となります。​
スタッドレスタイヤの特徴
ピンがない冬用タイヤで、価格がスパイクに比べて安価です。舗装路での走りはスパイクよりも快適で、使用期間の制限もありません。​
デメリットとして、アイスバーン(氷の路面)ではほぼ無力で、雪道でもそこそこ走れる程度の性能です。また、消耗が早く平均2シーズン程度で交換が必要になります。​
ハイブリッド装着という選択肢
フロントにスタッドレス、リアにスパイクを装着する混合履きも可能です。フロントタイヤは舵取りの役目なので乗り心地が良いスタッドレスを、リアタイヤは駆動するため滑っては進まないスパイクを装着することで、両方の良いとこ取りができます。​

走行環境 推奨タイヤ 理由
坂道が多い スパイク​ 登らない・止まらないは命取り
早朝・夜間走行 スパイク​ 凍結路面が危険
雪国での使用 スパイク​ 冬季間ずっと雪道
年数回の雪対策 スタッドレス​ 突然の雪への備え
街乗りメイン スタッドレス​ 快適性重視

人気のバイク用スノータイヤとしては、IRCやダンロップのD503などが評価されています。選ぶ際は、自分のバイクのタイヤサイズを確認し、チューブレスかチューブ入りかを事前に調べておくことが重要です。​

ブロックタイヤのサイズと適合性の確認方法

タイヤを選ぶ際には、必ず現在装着されているタイヤのサイズを確認することが基本です。タイヤサイズはタイヤの側面(サイドウォール)に刻印されています。
参考)スタッドレスタイヤの選び方|車や走行環境に応じた最適なタイヤ…

タイヤサイズの読み方
例えば「205/65R15 94H」という表記の場合、それぞれの数字が以下を表しています。​

  • 205: タイヤ幅(mm)- タイヤの横幅​
  • 65: 偏平率(%)- タイヤ幅に対する断面高さの比率​
  • 15: リム径(インチ)- ホイールの直径​
  • 94: ロードインデックス - タイヤが負荷できる最大質量​
  • H: 速度記号 - 走行できる最高速度​

適合性の確認ポイント
新車時に装着されているタイヤと同じサイズを選ぶことが原則です。ただし、すでにサイズ変更されている可能性もあるため、車検証や取扱説明書で純正サイズを確認しておくと安心です。​
スタッドレスタイヤを選ぶ際も、ロードインデックスは純正タイヤを下回らないように注意が必要です。ロードインデックスが不足すると、タイヤに過度な負荷がかかり、破損やバーストの危険性が高まります。​
チューブレスとチューブ入りの見分け方
最近のスクーターやバイクはほとんどがチューブレスタイヤですが、古い車両やホイールが変形・錆びてエア漏れが発生した車両では、応急処置としてチューブレスタイヤに敢えてチューブを入れているケースもあります。​
タイヤ側面に「TUBELESS」と表記があればチューブレスタイプです。不明な場合は、購入前にバイクショップで確認することをおすすめします。原付の場合、車種によってチューブレス・チューブ入りが異なるため、必ず現物確認が必要です。​

ブロックタイヤとスタッドレスの保管方法の違い

タイヤは適切に保管しないと劣化が早まり、次シーズンに使用できなくなる可能性があります。ブロックタイヤとスタッドレスタイヤでは、保管時の注意点が一部異なります。
参考)スタッドレスタイヤの保管方法は?適した保管場所やNGポイント…

共通の基本保管方法
どちらのタイヤも、保管前に空気を少し抜いておくことが重要です。適正空気圧の半分程度まで減らすことで、タイヤにかかるストレスを軽減できます。ただし、ペチャンコにするまで抜いてはいけません。​
保管場所は、直射日光が当たらず、雨風を避けられる場所が理想的です。日光や雨風はゴムの劣化を早める原因となります。また、油脂類やガソリンなどの化学物質から離れた場所に保管することも重要です。
参考)タイヤの正しい保管方法とは?適切な置き方と保管場所 - タイ…

タイヤのみの場合の保管方法
ホイールが付いていない状態のタイヤは、立てて保管します。横積みにすると下のタイヤが重みでつぶれ、変形してしまう恐れがあるためです。タイヤラックを利用すると、蒸れを防止でき、場所の有効活用にも役立ちます。​
ホイール付きタイヤの場合
ホイールが装着されている状態では、横積みまたは吊り下げて保管します。立てかけて保管すると、接地部分に負荷が集中し、変形の原因となります。
参考)タイヤの正しい保管方法と便利グッズをプロがご紹介!

スタッドレスタイヤの特別な注意点
スタッドレスタイヤのゴムは特に柔らかいため、保管環境による劣化の影響を受けやすくなります。温度変化が少なく、湿度が低い環境での保管が望ましいです。また、保管前に汚れや小石を取り除き、タイヤワックスなどで保護しておくと劣化を遅らせることができます。
参考)スタッドレスタイヤ保管時の劣化速度は事前メンテナンスと環境要…

ひび割れが発生していないか、保管中も定期的に確認することが大切です。ひび割れが進行するとバースト(破裂)のリスクが高まります。スタッドレスタイヤは3年、通常のタイヤは製造から10年が交換の目安です。​

ブロックタイヤの交換時期と寿命の見極め方

タイヤの交換時期を正しく見極めることは、安全走行のために非常に重要です。ブロックタイヤもスタッドレスタイヤも、それぞれに適切な交換タイミングがあります。​
スリップサインの確認
すべてのタイヤには「スリップサイン」という目印があります。溝の深さが1.6mmになるとこのサインが表面に現れ、法律上タイヤ交換が必要になります。スリップサインが出たタイヤでの走行は違法であり、車検にも通りません。
参考)タイヤがこうなってしまうと危険です|タイヤの交換時期について

ブロックタイヤの場合、中心部のブロックがほぼ摩耗し、ベースのタイヤが接地してしまう一歩手前が交換の目安です。ブロックの高さが著しく低くなると、本来の性能を発揮できなくなります。
参考)https://www.dirtbikeplus.jp/blog/blog_20211026

スタッドレスタイヤの特別な基準
スタッドレスタイヤには、スリップサインとは別に「プラットフォーム」という目印があります。これは溝の深さが50%まで摩耗した時点を示すもので、スタッドレスタイヤとしての性能が低下する目安です。​
法律上は1.6mmまで使用できますが、スタッドレスタイヤは50%摩耗した時点で冬用タイヤとしての使用が認められなくなります。プラットフォームが表面に現れたら、冬タイヤとしては寿命です。​
100円玉を使った簡易チェック
100円玉をタイヤの溝に「100」の文字が直角になるように差し込み、「1」の文字が見えたら残り溝は約5mmです。この時点でそろそろ交換時期と考えてよいでしょう。​
走行距離と経年劣化
タイヤの寿命は走行距離だけでなく、経年劣化も考慮する必要があります。バイクのタイヤの場合、走行距離5,000km~25,000kmが交換の目安とされますが、乗り方によって大きく変動します。​

タイヤの種類 寿命の目安 備考
スタッドレス 3年​ 最も寿命が短い
通常タイヤ 5年点検​ 製造から5年経過で点検必要
すべてのタイヤ 10年交換​ 製造から10年で交換推奨

どんなに溝が残っていても、ゴムの硬化によりひび割れが発生している場合は早期交換が必要です。外気温7度以下になったら冬タイヤへの交換を検討しましょう。転んでからでは遅く、安全に快適に走行することが最優先です。​

ブロックタイヤ装着時の冬季走行テクニック

冬季にバイクで走行する際は、どのようなタイヤを装着していても、通常よりも慎重な運転が求められます。特にスタッドレスタイヤやスパイクタイヤを装着していても、完全に滑りを防げるわけではありません。​
基本的な走行テクニック
急な動作は絶対に避けることが最も重要です。スロットル、ブレーキ、ステアリング操作は常にゆっくりと行いましょう。2速でゆっくりとスタートし、リアタイヤの過度なスピンを避けることが推奨されます。​
急加速・急減速・急ハンドルは避け、スムーズな走行を心がけてください。冬の雪道では、通常の路面よりもさらに「急」のつく操作が危険です。​
速度管理と制動距離
スピードを抑えることで、車体のコントロールがしやすくなり、安全性が向上します。常に通常よりも低速で走行し、ゆっくりとしたペースを保つことが重要です。​

  • カーブや坂道ではさらに速度を落とし、慎重に走行する​
  • 他の車両と余裕を持って車間距離を保つ​
  • 制動距離は通常の路面よりも長くなるため、ブレーキは早めにかけ始める​

視界確保と被視認性
雪道では視界が悪くなることがあるため、明るい色の服やリフレクターを使用して他のドライバーから見えやすくすることが重要です。バイクは車体が小さいため、雪の中では特に見落とされやすくなります。​
凍結時の特別な注意
凍結路面は雪道以上に滑りやすく危険です。タイヤの空気圧を確認し、適切な圧に調整することがポイントです。できるだけ車体を垂直に保ち、カーブではバイクを傾けずハンドルをまっすぐに保つ努力が必要です。​

対策 効果
タイヤチェーンの使用​ 凍結した路面でのグリップを大幅に向上
砂や塩を携行​ スタックした際に路面にまいてグリップを確保

天候が悪化した場合は無理をせずに予定を変更し、安全なルートや移動手段を選ぶことを考慮しましょう。「ゆっくり走り、ゆっくり止まる」を徹底することが、冬の安全走行の基本です。​

 

 


4本セット MONSTA RT HYBRID 165/60R15 83S XL RWL サマータイヤ モンスタ RT ハイブリッド ホワイトレター 4本 165/60-15 15インチ