

タイヤ空気圧を下げてもチャターは悪化します。
参考)バイクで起こる〇〇現象~チャタリング現象|ハーレーライフを1…
チャターとは、コーナリング時にフロントタイヤが細かく上下に振動し、その振動がステムを通じて増大される現象です。この振動により車体のコントロール性能が著しく低下し、バイクを操縦することが困難になります。
つまり危険な状態です。
参考)バイクのトラブル?チャタリングとは – 愛車はホ…
チャターが発生するメカニズムは共振という物理現象にあります。タイヤがスリップとグリップを繰り返すことで特定の周波数の振動が発生し、それがバイクの固有周波数と一致すると両者が調和して共鳴します。この共鳴により振動が相互に増幅されるのです。
参考)MotoGP テクニック: チャタリング、またはハーモニーが…
この物理現象は、橋や建物が倒壊する原因と同じメカニズムです。軍隊が橋の上で行進を中止しなければならない理由も、この共振による破壊力を避けるためです。同じタイヤを使用していても、すべてのライダーがこの現象に悩まされるわけではありません。
バイクの構造や設定が異なるためです。
チャターの根本原因は、タイヤ内で発生する振動がバイクの他の周波数と共鳴することにあります。タイヤがスリップとグリップのシーケンスを繰り返すことで特定の周波数の振動が生まれ、その振動がフォークやショックアブソーバーを通じてバイク全体に伝わります。この時タイヤが断続的に路面から離れているため、思うような操縦ができなくなるのです。
参考)新たな問題はフロントの振動『チャタリング』。その要因と対策を…
すべての物体には固有の共振周波数があり、その周波数で振動が増幅される特性があります。
これが基本です。
バイクの場合、各コンポーネントの多くの個別周波数の合計がバイク全体の固有周波数を形成し、タイヤから伝わる振動周波数と一致すると破壊的な共鳴が起こります。
チャターの原因を完全に特定することが難しい理由は、サスペンションやフレームの特性以外にも、エンジンからの振動やカウルに発生した振動でも発生しうるためです。各部品の共振ポイントがネガティブにシンクロナイズしている状態が問題なのです。MotoGPでも多くのライダーがチャターに悩まされており、この問題の複雑さを物語っています。
参考)https://www.honda.co.jp/WGP/spcontents2012/analysis/2-2/
チャターが発生すると、バイクの下で車体が振動して踊るような状態になります。この振動により、ライダーはアクセルを開けることができず、スピードや自信を失うことになります。フロントタイヤの細かな跳ねがバイクの内部に伝わり、より激しく震えるようになって車体をコントロールできなくなるのです。
この現象は特にブレーキング時や移行期に発生しやすい特徴があります。ライダーがブレーキ圧力を解放した直後、再びスロットルを開けるまでの間に多く発生します。通常は転倒しませんが、ターンごとに時間がかかる上にライダーに大きな心理的負担を与えます。
参考)https://www.goobike.com/magazine/ride/technique/61/
チャターは走行性能を著しく低下させ、不安定なライディングをもたらします。グリップが継続して失われやすくなるため、ワインディングロード走行時などコーナリングが多いシーンでは特に注意が必要です。フロント回りにチャターや細かい振動が出る場合は、原因を突き止めなくてはいけません。
参考)チャタリング
チャター対策の第一歩は、タイヤ空気圧が適正値になっているか確認することです。バイクのタイヤには車種ごとにメーカーが定める「指定空気圧」があり、一般的には150~300kPa(1.5~3.0kg/cm²)の範囲で設定されていることが多いです。空気圧が不適切だとチャターの原因となるため、月に一度はチェックする習慣が重要です。
参考)https://www.zurich.co.jp/motorbike/guide/cc-bike-tire-changetime/
サスペンションセッティングの見直しも効果的な対策です。公道で発生するチャターの8割は、セッティングをメーカーの基準値に合わせることで解決します。バネが硬すぎたり減衰が効いていないなど、サスセッティングが極端に合っていない場合、タイヤのグリップにサスペンションが負けてステムが振動し、チャターとなってハンドル操作に影響を及ぼします。
参考)モトクロスライダーヨシキのライテク講座#5 チャタリング撲滅…
チャターが出にくいタイヤに交換する方法や、フロントフォークオフセットを変更することでチャターを改善する方法もあります。また、外的要因や基本的な剛性不足などはステアリングダンパーを装着することで良い結果が得られる場合があります。ステアリングダンパーを装着すると、フロントタイヤ14%・リアタイヤ10%の摩耗低減効果も期待できます。
参考)バイクの「ステアリングダンパー」つけるとどんな効果がある?
ライディングポジションの最適化は、チャター発生を抑える重要な要素です。極端な前荷重や後ろ荷重はタイヤのグリップ力を正しく使えず、チャターが発生する原因になります。特にオフロードではただでさえチャターが起こりやすい路面であるにも関わらず、ハンドルにしがみつくような前傾姿勢を取るとあっという間にチャターが発生します。
意識的にフロントの荷重を抜くテクニックが有効です。無意識のうちにフロント荷重で乗ってしまうと、フロントタイヤに大きなトラクションが発生し、サスとタイヤのバランスが崩れてチャターの原因になります。バイクを「曲げ」た瞬間に車体にかかる荷重分布はフロント寄りからリア寄りに移るため、適切な荷重配分を意識することが大切です。
参考)高田速人さんのスポーツライディングブートキャンプ|Vol.7…
チャターが発生した際は、どのタイミングで起こるのかを明確にして原因を突き止めることが重要です。例えば「ブレーキング時」「コーナリング中」「スロットル開け始め」など、発生状況を振り返ることで対処方法が見えてきます。バイクの「張力」が比較的弱いときに発生しやすく、多くの場合ライダーがブレーキ圧力を解放した直後に発生し、再びスロットルを開けるとすぐに消えます。
川崎重工業では、チャターという課題に対して本格的な研究開発を行っています。チャターはある条件が重なることでコーナリング時に発生する車体の振動であり、車体各部の加速度データなどを測定して原因究明に取り組んでいます。この研究により、バイクメーカーはチャター現象の物理的メカニズムをより深く理解し、設計段階から対策を盛り込めるようになってきています。
参考)https://www.khi.co.jp/rd/magazine/pdf/175/175.pdf
MotoGPなどの最高峰レースでは、チャターが大きな技術課題となっています。2024年シーズンでも新たな問題としてフロントの振動「チャタリング」が注目され、多くのライダーがこの問題に悩まされました。プロライダーの中には、わざとタイヤのグリップを逃がすことでチャターの発生を抑えようとするテクニックを使う者もいます。
レベルが高いですね。
チャターの原因は多岐にわたり、1つだけとは限りません。たまたま諸条件が重なって起きることが多いため、考えられることをすべて具現化して検討し、それに見合う対処をしていかなければなりません。マウンテンバイクのディスクブレーキでもスキール音とチャター現象が研究対象となっており、二輪車全般においてチャター現象は重要な研究テーマとなっています。