フォークオフセット(レイク) 直進安定性と操縦性を決める物理現象

フォークオフセット(レイク) 直進安定性と操縦性を決める物理現象

フォークオフセット(レイク) バイクの物理現象

オフセットを増やすと直進安定性が上がると勘違いしていませんか

この記事でわかること
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フォークオフセットの定義

ステアリング軸の延長線と前輪軸心との垂直距離がバイクの性格を決める

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トレイル量との関係

オフセット量がトレイルに影響し操縦性と直進性のバランスが変わる

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実走行での影響

ブレーキングで5°も変化するキャスター角が実際の走行特性を左右する

フォークオフセット(レイク)の基本的な定義と測定方法

フォークオフセット(レイク)とは、ステアリングコラム(ヘッドチューブ)の中心線を延長した線と、前輪の車軸中心との垂直距離を指します。この距離は一般的にミリメートル(mm)単位で表され、バイクの操縦特性を決定する最も重要なジオメトリ要素の一つです。


参考)フォークオフセット (フォークレイク、fork offset…


測定は簡単です。ステアリング軸の延長線を地面まで引き、前輪軸心から垂直に線を下ろした時の水平距離がオフセット量になります。


参考)オフセットとトレイル - 甘酒悠々


一般的なフォークは前方に円弧状に曲がっており、この曲がりによってオフセットが生まれます。BMXのフラットランド用では0mm~15mm、ストリート用では15mm~33mmというように、用途によって数値は大きく異なります。ロードバイクでは43mm~50mm程度が標準的な値です。


参考)自転車のフォークとトレイル – 自転車探検!


バイクでは25mm~28mmという小さな数値が採用されるケースが増えています。たった数ミリの違いでも、乗り味は全く変わります。


フォークオフセットとトレイル量の物理的関係性

フォークオフセットが変わると、必ずトレイル量も変化します。トレイル量とは、ステアリング軸の延長線が地面と交わる点と、前輪の接地点との水平距離のことです。


この関係は反比例になっています。オフセットが大きくなるとトレイルは短くなり、オフセットが小さくなるとトレイルは長くなります。極端な例では、オフセットが非常に大きくなると、トレイル量がゼロになってしまうこともあります。


トレイル量は直進安定性と操縦性のバランスを決める数値です。トレイルが長いほどフロントホイールの直進安定性が向上しますが、その一方で操縦に必要な力が増大し、低速でのハンドル操作が難しくなります。つまり、直進性が増す代わりに操縦性は低下するということですね。


参考)オフセットテクノロジー


ロードバイクでは58mm~62mm程度のトレイル量が快適なハンドリングに最適とされています。この数値を維持するために、フレームサイズごとにフォークオフセットを変更するメーカーもあります。


参考)フレームサイズとフォークの関係性。ヘッド角・オフセット・トレ…


フォークオフセットが操縦性に与える具体的影響

オフセット量の変更は、バイクの操縦性を根本から変えてしまいます。オフセットが大きい(トレイルが短い)とハンドルの動きが軽く早くなり、クイックなハンドリングになります。


逆にオフセットが小さい(トレイルが長い)と、直進安定性が高まりますが、ハンドル操作に必要な力は増加します。コーナリング中はバンク角に対して切れる力が強くなり、ハンドリングが重く感じられます。


参考)BMXフォークオフセットの奇々怪々|AngelicaNigo


実際のレース経験では、インチダウンした際にフォークオフセットを適切に調整しないと、直線で振られたり、コーナーで曲がらなかったりする問題が発生します。CB-Fのレースでは合計6種類のフォークオフセットを試し、最適な数値を見つけ出したという事例もあります。


参考)続・トレールの持つ意味 コラムvol4|ジェイズ JAPAN…


フォークオフセットで変化するのは不安定になるか、鈍重になるかの調整です。クイックさや安定性を得るために調整すべきは、実はフレームのヘッド角なのです。


フォークオフセットと走行中のキャスター角変化

走行中キャスター角(ヘッド角)は常に変化しています。


特にブレーキング時の変化は劇的です。


車種によって異なりますが、フルブレーキングによる減速Gでフォークが沈むと、キャスター角は約5°も変わることがあります。


この5°の変化は、トレイル量にして10mm~20mmもの変化に相当します。


これは非常に大きな数値です。


例えば、BMXのフラットランド用フォークの標準的なオフセット範囲が0mm~15mmであることを考えれば、その影響の大きさがわかります。


参考)フロントフォークについて


旋回中もキャスター角は変化します。ブレーキレバーを放してバンク角をキープしている時は、ブレーキを引きずりながらバンクさせている最中よりもキャスター角が寝ている状態になります。


キャスター角が大きい(寝ている)と直進安定性が高くなり、小さい(立っている)とクイックなハンドリングになります。走行状況に応じてこの角度が自動的に変化することで、バイクは状況に適した特性を発揮できるわけです。


フォークオフセット変更時の注意点とリアタイヤとの関係

フォークオフセットの適正値は、インチ数だけでは決まりません。使用するリアタイヤの幅、扁平率、タイヤのキャラクターによって、フロントの適正なオフセットは変わってきます。


実際のテストでは、フォークを延長して車高を稼いでも、トレイル量が不足すると直線で振られ、コーナーで曲がらないという問題が発生しました。フォーク延長よりも、フォークオフセットの変更の方がトレイル量への影響が大きいのです。


トレイル設定がずれると、タイヤが一定方向に安定しようとする力が不足します。結果として「起こす→寝る→起こす→寝る」が連続し、車体が振られてしまいます。これを「鉄フレームが弱いからハイグリップタイヤに負けてフレームがよじれる」と誤解されることもありますが、実際はトレイル設定の問題です。


適切なオフセット値に変更すると、直線では振られず、コーナーでもフロントのグリップ感を取り戻します。フロントは適度に切れて、内側へ向く力が増すマシンに変わります。


最近のスーパースポーツではフォークオフセット28mm、25mmまで数値が小さくなってきていますが、この数値が全てのバイクに通用するわけではありません。それぞれのバイクに合った適正値を見つける必要があります。