

フープスを飛ぼうとするほど転倒リスクが3〜4倍に跳ね上がります。
モトクロスコースを走っていると、必ず目に飛び込んでくるのが「フープス(Whoops)」と呼ばれるセクションです。コブが連続して並ぶこの区間は、以前は「ウォッシュボード(洗濯板)」とも呼ばれていましたが、現在ではフープスという呼称が定着しています。ジャンプセクションと並んでモトクロスコースを代表するセクションであり、サンデーレースから全日本モトクロス選手権まで、あらゆるレベルのコースに設置されています。
コブの大きさやピッチ(間隔)はコースによって大きく異なります。たとえばオフロードヴィレッジのフープスはコブの間隔が広めで谷間も深く、「連続ジャンプ」に近い印象を受けます。一方でモトクロスヴィレッジのフープスはコブが12個並び、初心者でもチャレンジしやすい設定になっています。コースによってこれだけ差があるということですね。
スーパークロスのフープスはさらに規模が大きく、1つ1つのコブが膝の高さ以上に達するものも珍しくありません。千葉県印西市の「REAL RIDE SX-PARK」には、AMAスーパークロスのフープスと同じピッチ・サイズで作られた本格的な10連フープスが設置されており、日本国内でスーパークロスレベルのフープス練習ができる数少ない施設として注目されています。
フープスはコース全体の中でも「勝負どころ」として機能することが多く、ここでタイムを稼げるかどうかが順位に大きく影響します。苦手意識を持つライダーが多いセクションですが、正しい手順で練習すれば着実に上達できます。まずはフープスの基本構造をしっかり理解しておくことが大切です。
参考:フープスを含むモトクロスコース専門用語集(Honda公式)
全日本モトクロス選手権 チームHRCモトクロス用語集|Honda
初心者がフープスで最もやってしまいがちなのは、「コーナーの内側を走ったままフープスに斜めに進入する」というミスです。フープスに斜めに入った状態でアクセルを開けると、マシンのバランスが大きく崩れ、転倒リスクが一気に高まります。これは実際に多くのライダーが経験しているNG行動です。
解決策は、フープス手前のコーナーから逆算してラインを組み立てることです。「フープスに真っすぐ進入できるライン」を最優先に考え、コーナーでのライン取りを決めることが基本です。世界的ライダーである渡辺学選手も「手前のコーナーからフープスに真っすぐ進入できるラインを組み立てること。フープス走行中はライン変更をせず、真っすぐ通過することがポイント」と強調しています。
もう一つのNGが「1個目のコブから勢いよく飛ぼうとすること」です。いきなり最初から飛び始めると、途中でバランスを崩した際にリカバリーができなくなります。3〜4個目に差し掛かったところでマシンに弾き飛ばされ、全身打撲になるリスクがあります。痛いですね。
さらに見落とされがちなのが、ギア選択のミスです。多くのライダーが本能的に2〜3速でフープスに進入しますが、硬質路面のフープスでは5速という高めのギアを使った方がマシンの挙動が安定し、トラクションも確保しやすくなります。J・マクグラスが神宮スーパークロスを訪れた際、日本人ライダーが2〜3速で走っていたフープスを4速で通過し、関係者を驚かせたという逸話も残っています。つまり「低いギア=安全・速い」は思い込みということです。
参考:フープス進入と走り方の基礎(ヤングマシン)
コブが連続するセクション=フープスにチャレンジしてみよう!!|ヤングマシン
初めてフープスに挑戦するライダーに最初に覚えてほしいのが「ベタナメ」と呼ばれる走法です。ベタナメとは、前後輪を一度も浮かせることなくすべてのコブに接地させたまま通過する方法のことです。「飛ばない」という選択が最初のステップです。
具体的な走り方は次の通りです。
アクセル操作のリズムを意識するだけで、思ったより速く通過できることに驚くはずです。これは使えそうです。実は「飛ばなくてもかなり速く走れる」という事実は、多くの初心者にとって意外なポイントです。
スタンディングポジションでの走行も重要です。座ったままフープスに進入すると路面からの衝撃が体幹に直接伝わり、バランスを崩しやすくなります。ステップに立つことで膝がサスペンションとして機能し、マシンの挙動を体全体でコントロールできます。つま先と土踏まずの中間付近でステップを踏み、膝を柔らかく使うことが基本です。
ベタナメがリズミカルにこなせるようになったら、いよいよ「飛ぶ練習」へのステップアップです。ただし、ここでも順序があります。1個目からではなく、まず「最後の2個」から練習するのが鉄則です。最後の2個なら、万が一ミスしてもリカバリーできる余裕があります。その後は「最後の4個」「最後の6個」と、逆算しながら徐々に増やしていきます。
フープスの走り方には大きく3つのアプローチがあります。それがベタナメ・スキミング・ジャンピングです。ベタナメは初心者向けの基本技術として前のセクションで解説しましたが、タイムを縮めるうえで重要になるのが「スキミング」と「ジャンピング」の違いです。
スキミングとは、フープスのコブの頂点だけをタイヤでかすめるように走る技術のことです。谷間にタイヤを落とさず、コブの頂点だけを連続してかすめていくイメージです。マシンが上下に大きく動かず、速度を保ちながらスムーズに通過できます。プロライダーが高速でフープスをこなす場合に多用するのがこの走法です。
ジャンピングは、コブを2〜3個ずつ飛んで通過する方法です。最初は最後の2個を飛ぶ練習から始め、慣れてきたら4個、6個と逆算して増やしていく進め方が安全です。フープスの形状によっては1個→2個→1個のリズムで飛んでもよく、必ずしも「2個ずつ」が最善ではありません。つまり、コースに合わせたリズムを自分で見つけることが条件です。
重要なのはギア選択との組み合わせです。T.E.SPORTの辻健二郎選手はオフロードヴィレッジのフープスを5速で走っています。高いギアで走るとエンジン回転数が抑えられ、マシンの挙動が落ち着きます。ただし高いギアで走るには、フープス進入時に十分な速度を維持していることが前提です。フープス手前で速度を落としすぎないことが、実はタイムロスの大きな原因になっています。
1回のスリップで0.5秒のタイムロスが発生するというデータもあります。「派手にスライドしながら走るほうが速そう」というイメージは、実際のタイム計測では裏切られることが多いのです。グリップ走行でじわじわアクセルを開け、トラクションを確保して前に進む感覚を大切にしましょう。
参考:オフロードヴィレッジでの実践的フープス攻略(バイクブロス)
オフロードヴィレッジを攻略する Vol.04|バイクブロス
フープスを集中的に練習したいライダーにとって、どのコースを選ぶかは非常に重要です。日本には全国に100か所以上のモトクロスコースがありますが、フープスのセクションを充実させている施設は限られています。
中でも注目されているのが、千葉県印西市の「REAL RIDE SX-PARK」です。2024年5月にリニューアルオープンしたこのコースは、AMAスーパークロスで実際に使われているフープスのピッチ・高さを忠実に再現した10連フープスを備えています。コブの高さは膝が隠れるほどあり、1日走行料はフルサイズマシン4,000円(税込)です。完全予約制で土・日・祝のみ営業と制限はありますが、本場さながらのフープスを日本で体験できる希少な施設です。
関東でフープスを含むモトクロスコースが充実しているのが、埼玉県比企郡のオフロードヴィレッジです。スーパークロスコースに近いレイアウトのAコース、全日本モトクロス選手権でも使われるBコース、初心者コース、キッズコースと4種類のコースが揃っており、レンタルバイク・ウエアも揃っているため手ぶらで参加することも可能です。
関西では大阪府河内長野市のRACINGプラザ阪下が、日本最大規模のオフロードコースとして知られています。初級者用の練習コースから上級者も満足できるテクニカルなコースまで揃っており、フープスの練習環境としても充実しています。
ここで一つ、検索上位の記事ではあまり触れられていない視点を紹介します。フープス上達において「コース外での補助トレーニング」が非常に効果的です。フープスの走行では膝・腰・腕の3か所に断続的な衝撃が繰り返しかかります。体幹が弱いとバランスを保つだけで精一杯になり、アクセルワークに集中できません。コースに行く以外の日でも、バランスボードや体幹トレーニングを10〜15分行うだけで、フープスでの安定感が明らかに変わります。週2〜3回のトレーニング習慣が上達を大きく加速させます。
また、プロテクターの選択もフープス練習においては重要です。フープスでは転倒した際に膝・すねへの衝撃が大きくなるため、ニーシンガードの着用は必須です。「ニーシンガード」はひざとすねを打撃から守るのに対し、「ニーブレース」はひねりからも守る構造になっています。フープスで激しく練習するなら、ニーブレースの使用も選択肢として検討する価値があります。
参考:日本でスーパークロスが練習できるコース詳細(off1.jp)
日本でスーパークロスの練習ができる「REAL RIDE SX-PARK」|off1.jp
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