

レインモードは晴れた日でも使えます。
モードセレクターは、ボタンひとつでバイクのエンジン出力特性を変更できる電子制御システムです。メーカーによって呼び方が異なり、スズキではSDMS(Suzuki Drive Mode Selector)、ヤマハではD-MODE、ホンダではパワーセレクター、カワサキではパワーモードと呼ばれています。
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基本的な仕組みは、スロットルバルブの開度特性を変化させることで、アクセル操作に対するエンジンのレスポンスを調整するものです。スポーツモードではスロットルの開けはじめから高い出力を発生し、レインモードでは開けはじめの出力を低く抑えて滑りやすい路面でのスリップを防ぎます。
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つまりスロットル制御が核心です。
多くの車両では左ハンドルのスイッチで3~4つのモードから選択でき、走行中でもモード切替が可能です。選択されたモードはメーターパネル内に表示されるため、現在どのモードで走行しているか一目で確認できます。
参考)走行性能
スズキのSDMSは2007年のGSX-R1000で初めて採用され、A・B・Cの3つのモードから選択できる構成が一般的です。2021年以降のハヤブサではSDMS-αという進化版が搭載され、さらに細かな制御が可能になっています。
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ホンダのCB1000Rでは、エンジン出力レベル・トルクコントロールレベル・エンジンブレーキレベルの3要素で構成され、SPORT・STANDARD・RAIN・USERの4モードが選択できます。USERモードではライダーが各要素を自由に組み合わせて、自分好みの設定を作れるのが特徴です。
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ヤマハのD-MODEはスロットル開度特性のみを変化させる方式で、最高出力そのものは原則変わりません。これは他メーカーのパワーモードとは異なる点で、中間開度域のレスポンスだけを調整する設計思想です。
カワサキのNinja ZX-10R SEなどスーパースポーツモデルでは、モードに連動してトラクションコントロール・ABS・ウィリーコントロールの介入度まで変化する高度なシステムを採用しています。
レインモードは雨天専用ではなく、晴れた日でも積極的に活用できる設定です。スロットル操作に対するレスポンスが鈍くなるため、走り出してバイクに慣れるまでの間や、タンデム走行で後席の同乗者とヘルメットがぶつからないよう配慮する場面でベテランライダーも使用しています。
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具体的には、低回転域でスロットルを大きく開けてもタイムラグがあってジンワリと加速するため、急激な加速による不安感を和らげる効果があります。立ちゴケなどで心が折れた後の不安解消にも効果的です。
街乗りではRAINまたはSTANDARDモードが基本です。
スポーツモードは主にサーキットやワインディングロードでの走行に最適化されており、街中の低速域では扱いにくく感じることもあります。信号待ちが多い市街地では、穏やかな出力特性のモードを選ぶことで疲労軽減につながります。
高速道路での巡航時は、走行環境に応じてモードを切り替えることで、ライダーの好みに応じた快適な走りが実現できます。ワインディング・市街地・高速道路など、様々なライディングコンディションに対応できるのがモードセレクターの利点です。
レインモード活用法の詳細(ヤングマシン)
雨でなくても運転の不安を解消するレインモードの効果的な使い方が解説されています。
モードセレクターはパワーをカットするフェイルセイフ目的の機能ではなく、グリップ性能を最大限引き出すための制御システムです。初心者は「レインやアーバンは怖がりな人向け」と誤解しがちですが、実際はあらゆる技量のライダーが状況に応じて使い分けるべき機能です。
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購入当初は複数のモードを試すものの、だんだんと一つのモードしか使わなくなるライダーも多くいます。しかし各モードの特性を理解して使い分けることで、バイクの性能を最大限活用できます。
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モード切替は走行中も可能です。
ただし走行中の切替操作は、スイッチ操作に気を取られて前方不注意にならないよう注意が必要です。信号待ちや安全な場所で停車してから切り替える習慣をつけると、より安全にモード選択ができます。
最新のスーパースポーツでは、エンジンからサスペンションまで1~4など数字の組み合わせで細かく設定する必要がある車種もあります。このような高度なシステムでは、まず最も穏やかな設定から始めて、徐々に自分の走りに合ったセッティングを探していくのがおすすめです。
タンデム走行時にレインモードを選択すると、急激な加速を抑えて同乗者の快適性が向上します。ヘルメット同士がゴツンとぶつかるのを防ぐため、ベテランライダーもこの使い方を実践しています。
慣れない車両に初めて乗る際は、どのモードでも構わないのでまず穏やかな設定からスタートすることで、バイクの特性を安全に把握できます。走り出してすぐの間は、レインモードで車両の癖を理解してから、徐々にスポーツモードに切り替えていく方法が効果的です。
低回転域の実験が安心につながります。
サスペンションがモードと連動している高性能バイクでは、レインモード選択時に路面追従性が優先されたやんわりとした動きになり、リーンなど操作も軽快になるメリットがあります。これは雨天以外でも乗りやすさを向上させる要素です。
ワインディングロードでは、コーナーの入り口と出口でモードを使い分けることも可能です。ただし頻繁な切替は操作ミスを招く可能性があるため、基本的には区間全体を通して同じモードで走り、休憩時に見直す程度が現実的です。
長距離ツーリングでは、疲労度に応じてモードを変更することで、最後まで快適に走り続けられます。朝は集中力が高いのでスポーツモード、午後に疲れてきたらスタンダードやレインモードに切り替えるといった使い分けが有効です。
ホンダCBR1000RR-R 公式サイト
カスタマイズライディングモードUSER1・USER2の詳細な設定方法が確認できます。