
ニンジャH2 SXに搭載されるバランス型スーパーチャージャーは、元祖H2のエンジンとは大きく異なる設計思想で作られています。最大の特徴は圧縮比が8.5から11.2へと大幅に高められている点で、これにより過給への依存度を抑え、必要に応じて過給する効率的な制御を実現しています。
参考)Ninja H2 SX/SEのメカニズムを解説。バランス型ス…
吸排気ポートは絞られ、スロットルバルブ径も50mmから40mmへ小径化されることで、流速を高めて扱いやすさが向上しました。インペラ翼の角度と長さも変更され、低中回転域でもスムーズな吸気流れを実現し、吸気温度を低く保つことでノッキング対策も施されています。
参考)世界に先駆けるカワサキの技術、スーパーチャージドエンジンのメ…
この設計変更により、ニンジャH2から25%の燃費向上と200馬力のハイパワーを両立させることに成功しました。実際のオーナーレビューでは、3000〜4000回転に抑えたツーリング走行で満タン400kmの航続距離を達成したという報告もあり、燃費性能の高さが裏付けられています。
参考)https://minkara.carview.co.jp/car/kawasakiindustry/ninjah2sx/review/detail.aspx
カワサキ公式サイトのバランス型スーパーチャージャー解説記事では、エンジンの詳細な設計思想が紹介されています
ニンジャH2 SX SEは標準モデルと比較して、圧倒的に豪華な装備を持つ上位グレードです。最大の違いはブレンボ製Stylemaフロントブレーキキャリパーの採用で、このモノブロックキャリパーは軽量でダイレクト感に優れ、高い冷却性能を持つブレンボのストリート用最上級モデルです。
参考)Ninja H2 SXとSEの違い【徹底解説】スペック/維持…
装備項目 | 標準SX | SE | SE+ |
---|---|---|---|
フロントブレーキ | 日信製キャリパー | ブレンボStylema | ブレンボStylema |
サスペンション | フルアジャスタブル | フルアジャスタブル | KECS電子制御 |
メーター | TFTカラー液晶 | TFTカラー液晶 | TFTカラー液晶 |
クイックシフター | オプション | 標準装備 | 標準装備 |
コーナリングライト | なし | LED装備 | LED装備 |
車両重量 | 256kg | 260kg | 262kg |
価格帯 | 約200万円 | 約220万円 |
約277万円 |
2025年モデルでは日本国内においてSEモデルのみが新車として販売され、メーカー希望小売価格は3,135,000円に設定されています。ARAS(アドバンスト ライダー アシスタンス システム)は両モデル共通で、ACC(アダプティブクルーズコントロール)、FCW(前方衝突警告)、BSD(死角検知)が含まれ、長距離ツーリングの負担を軽減します。
参考)Kawasaki Ninja H2 SX
ニンジャH2とH2 SXは同じスーパーチャージドエンジンを搭載しながらも、走行特性は大きく異なります。H2は前傾がハードなスーパースポーツ的なポジションに対し、SXはステアリングが高く近い位置にあり、長距離走行でも疲れにくい設計です。
参考)2018H2 SX vs H2href="https://young-machine.com/2018/06/08/10259/" target="_blank">https://young-machine.com/2018/06/08/10259/amp;#038;14R公道比較イン…
ワインディングでの挙動も対照的で、H2は8000回転以上でスーパーチャージャーが二次曲線的に炸裂するため、初めての峠や低中速コーナーでは相当な気を遣います。一方SXは6000回転でスーパーチャージャーが作動しても安心してコーナリングを楽しめ、シーンを選ばず活躍できる特性を持っています。
車両重量はH2が238kg、SX SEが260kgと差がありますが、SXは高級セダンのようなどっしりとした乗り味で段差の突き上げ感も少なく、路面状況に左右されない安定性を発揮します。最高出力は両車とも200馬力(147kW/11,000rpm)を発揮しますが、最大トルクはSXが137N・m/9,500rpmと、より実用的な回転域で発生する設定です。
参考)Ninja H2 SX SEを1,000km試乗。軽量・ハイ…
2019年に登場したSE+(現在のSE上位相当)に搭載されたKECS(カワサキ エレクトロニック コントロール サスペンション)は、ニンジャH2 SXシリーズの快適性を劇的に向上させる装備です。前後サスペンション内のストロークセンサーが0.001秒ごとにECUに情報を送り、路面状況や速度に応じて瞬時に減衰力を自動調整します。
参考)Z H2 / Z H2 SE の違い
KECSには複数の走行モードが用意されており、ROAD、SPORT、RIDERなどのモードから選択できます。凹凸が多い路面のワインディングでは少し柔らかく感じるROADモードが適しており、スタンダード設定のRIDERモードも乗り心地とサスペンションの動きが絶妙に調整されています。
参考)カワサキハイエンドモデルに採用される、電子制御サスペンション…
最大の特徴はスカイフックテクノロジーの採用で、サスペンションの動きを重視しながら必要以上に車体姿勢の変化に介入せず、バイクを操っている感覚は従来どおり保ちながら安定感を増すことに成功しています。実際の走行では制御をほとんど感じさせず、自然に路面状況に合った減衰特性になるため、ライダーは走りに集中できます。
カワサキ公式サイトのKECS解説記事では、電子制御サスペンションの詳細な動作原理が紹介されています
ニンジャH2 SXシリーズはスーパーチャージドエンジンを搭載しながらも、ツーリング性能に特化した設計が施されています。大型ウインドシールドとフルフェアリングによるウインドプロテクションは大幅に強化され、高速道路走行時のライダーの疲労を軽減します。
燃料タンク容量は19Lで、WMTC燃費は17.9km/Lとなっており、カタログ値での航続距離は340.1kmです。実際のオーナーからは平均燃費17km/L程度という報告があり、回さなければ満タンで400km走行も可能という優秀な燃費性能が報告されています。
参考)カワサキ Ninja H2 SX SE のスペックと維持費 …
維持費に関しては、10000km走行での燃料代は約108,940円(ガソリン価格195円/Lと仮定)と試算されます。ただしパワーと車重があるため消耗品の交換サイクルは早めで、アクセルを全開にすると燃費は極端に悪化する傾向があります。車検までの年間維持費は走行距離や使用状況により変動しますが、ハイパフォーマンスバイクとしては比較的現実的な数値といえます。
参考)h2sxseの車検までの年間維持費はいくらですか? - 年1…
クルーズコントロールやクイックシフター(SE標準装備)などの先進装備により、長距離走行時の疲労軽減効果は絶大で、1000kmのツーリングもアッという間に走り切れたというインプレッションが多数報告されています。
ニンジャH2 SXシリーズには多彩なカスタムパーツが用意されており、オーナー独自のスタイルを追求できます。ケイズスタイルからはカーボン製カスタムパーツが各種リリースされており、上質な外観と軽量化を同時に実現できます。
参考)Ninja H2 SXシリーズをより快適に、上質化させる各種…
マフラーカスタムではトリックスター製サイレンサーやヨシムラ製エキゾーストシステムが人気で、スリップオンタイプなら比較的手軽に音質と外観の変更が可能です。エーテック製のドライブレコーダーやカバー類、ヒールガードなども機能性とデザイン性を両立したアイテムとして選ばれています。youtube+1
参考)Ninja H2 SX SE by エーテック
ブレーキシステムのアップグレードとして、標準SXからSE+のブレンボStylemaキャリパーへの換装も可能で、制動力とコントロール性の向上が体感できます。タイヤとサスセッティングの組み合わせはシビアとされており、路面状況や走行スタイルに合わせた細かな調整が乗り味を大きく左右します。
参考)brembo Brembo brake system のパー…
パニアケース装着に対応したトレリスフレームは積載性を飛躍的に向上させ、ロングツーリングでの実用性を高めます。SE+モデルのホイールリム部は切削加工タイプとなっており、高級感と精密な仕上がりが特徴です。
参考)【カワサキ新型ニンジャH2 SXシリーズ詳細解説】レーダー搭…