赤外線温度計で料理を格段においしく仕上げる方法

赤外線温度計で料理を格段においしく仕上げる方法

赤外線温度計で料理の温度管理を完全マスターする方法

赤外線温度計で肉の中心温度が測れると思っていたら、実は表面しか測れず食中毒リスクがゼロにならない。


🌡️ この記事の3つのポイント
🔍
赤外線温度計の仕組みと得意・不得意

赤外線温度計は「表面温度」を約1秒で測定する非接触ツール。揚げ油やフライパンには超便利だが、食材の中心温度は測れないという根本的な限界がある。

🍳
シーン別の正しい使い方と注意点

揚げ物・テンパリング・フライパン料理・パン作りなど、場面ごとに適切な使い方が異なる。誤用すると誤差が数℃〜十数℃にも膨らむことがある。

🛒
目的別おすすめ機種の選び方

家庭用なら1,500円〜5,000円の製品で十分対応可能。測定範囲・精度・防水性をチェックするだけで、自分の料理スタイルにぴったりの一台が見つかる。


赤外線温度計の仕組みと料理での基本的な役割


赤外線温度計(放射温度計)は、すべての物体が放出している「赤外線」のエネルギー量を計測し、温度に換算して表示するツールです。引き金(トリガー)を引くだけで、約0.5〜1秒という驚くほど短時間で温度が表示されます。


重要なのは、これが「表面温度」を測るものだという点です。食材の内部温度ではなく、あくまでその物体の表面から放出されている赤外線だけを読み取ります。つまり、油の温度やフライパンの表面温度を測るのには非常に向いている一方で、鶏肉や豚肉の「中心温度が75℃以上になっているか」を確認するためには使えません。これは赤外線温度計の根本的な原理によるもので、どんな高性能な機種でも変わらない制限です。


料理において温度管理が重要な場面は多くあります。揚げ物の油温(低温150〜160℃、中温170〜180℃、高温180〜190℃)、フライパンの予熱温度、チョコレートのテンパリング温度(スイートなら50〜55℃で溶解、27〜29℃まで冷却、31〜32℃で調温)、パン生地の発酵温度(約28〜30℃)など、温度が仕上がりを直接左右します。


これらのうち「表面から測れるもの」に対しては、赤外線温度計は強力な武器になります。




また、赤外線温度計には「放射率」という概念があり、これが誤差の主な原因のひとつです。放射率とは、物体が赤外線を放出しやすい度合いのことで、素材によって異なります。たとえば磨き上げた金属(ステンレスやアルミの光沢面)は放射率が非常に低く、正確な測定ができません。一方、食材や油、フライパンのコーティング面(テフロンなど)は比較的放射率が高いため、測定しやすいとされています。


つまりこういうことです。ステンレス鍋の光沢面を直接狙っても、正確な油温は出ません。鍋の内側の暗い部分や油の表面を狙うことが基本です。


参考として、A&Dの公式ブログでは放射温度計を使った料理中の温度測定について詳しく解説されています。


A&D公式ブログ|放射温度計による料理中の温度測定(油・フライパン・スープの測り方の注意点まで解説)


赤外線温度計が料理で特に活躍する揚げ物・炒め物シーン

揚げ物や炒め物は、温度管理が仕上がりの9割を左右するといっても過言ではありません。油温が低すぎると食材に余分な油が染み込んでベタつき、高すぎると外側が焦げて中が生のままになります。赤外線温度計はこの油温管理において、抜群の実力を発揮します。


従来の棒状温度計(スティック型)は、油に直接差し込んで数秒〜十数秒待つ必要があり、使用後は洗浄が必要です。これに対し赤外線温度計なら、鍋に向けてトリガーを引くだけで約1秒以内に温度が確認でき、洗浄も不要です。


揚げ物の代表的な温度の目安は次の通りです。


  • 🌡️ 低温(150〜160℃):根菜類・さつまいも・里芋など、じっくり火を通したいもの
  • 🌡️ 中温(170〜180℃):唐揚げ・天ぷら・コロッケなど、一般的な揚げ物の黄金温度帯
  • 🌡️ 高温(180〜190℃):仕上げの二度揚げや、衣をカラッとさせたいとき


中温の170〜180℃を正確に狙えるかどうかで、唐揚げのサクサク感はまったく変わります。これが体感できると、温度管理の重要性がよくわかります。




ただし、揚げ油を測る際には一点注意があります。沸騰・湯気が出ている状態で測ると、湯気の温度も拾ってしまい、実際の油温より低い値が出ることがあります。湯気が落ち着いたタイミングで測るか、油の表面を少し角度をつけてから測るようにしましょう。


フライパンで炒め物をするケースでも、予熱温度の把握に役立ちます。一般的な炒め物の適温はフライパン表面で約180〜200℃。この温度に達していないまま食材を投入すると、食材から水分が出て「蒸し焼き」状態になり、シャキシャキ感が失われます。赤外線温度計でフライパン温度を確認してから投入することで、野菜炒めの食感は格段に変わります。これは使えそうです。


赤外線温度計でテンパリング・お菓子作りの温度管理をする方法

チョコレートのテンパリングは、温度管理が命の作業です。適切な温度で結晶化させることで、ツヤが出て口溶けがよくなり、割れ目がきれいに出ます。これを逆にいえば、温度がわずか数℃ずれるだけで白いブルームが出たり、ツヤのない仕上がりになったりします。


テンパリングの温度は種類によって異なります。


  • 🍫 スイートチョコレート:溶解 50〜55℃ → 冷却 27〜29℃ → 調温 31〜32℃
  • 🍫 ミルクチョコレート:溶解 40〜45℃ → 冷却 26〜28℃ → 調温 29〜30℃
  • 🍫 ホワイトチョコレート:溶解 35〜40℃ → 冷却 23〜25℃ → 調温 26〜27℃


赤外線温度計は1秒で測定できるため、大理石や作業台に広げたチョコレートの温度をリアルタイムで追いかけることができます。これが従来の棒状温度計では難しかった部分です。棒状型だとチョコレートに毎回差し込んで待機する必要があり、チョコが固まりかけたところを掻き乱すリスクもありました。


テンパリング専用の赤外線温度計で有名なのが、A&Dの「AD-5635」(市場価格6,000〜7,000円前後)です。測定範囲が−38〜+365℃で、精度は±2.5℃(23℃環境下)。テンパリングや揚げ物まで幅広くカバーします。より手軽に始めたい場合は、dretec(ドリテック)の料理用赤外線温度計(市場価格4,000〜5,000円前後)も人気があります。0〜250℃の測定範囲で、家庭の調理シーンにはほぼ対応できます。




ただし、ここで注意すべき落とし穴があります。チョコレートのテンパリングでは「表面と内部の温度差」が生まれやすいため、全体を均一にかき混ぜたあとに測定することが鉄則です。混ぜる前に表面温度だけ測っても、内部はまだ高温という状態になっている可能性があります。測定前に必ず全体を均一にする、というのが原則です。


お菓子作りやパン作りでも、赤外線温度計の使いどころは多くあります。パン生地の発酵では、生地表面が28〜30℃程度が最適ですが、手で触っても微妙な温度差は把握しにくいものです。赤外線温度計なら毎回同じ基準で確認できるため、発酵の安定化につながります。


赤外線温度計で「測れないもの」と食中毒リスクを防ぐ正しい知識

これが最も重要な注意点です。赤外線温度計は「表面温度しか測れない」という事実を、多くの人が意外と軽く見ています。実際、鶏肉や豚肉の中心温度が75℃に達しているかどうかを赤外線温度計で確認しようとしても、それは不可能です。食材の表面が75℃を示していても、中心はまだ50〜60℃台という状態は十分起こりえます。


食品衛生法の観点では、食品の中心温度を75℃で1分以上加熱することが食中毒防止の基本です。特に鶏肉ではカンピロバクター、牛肉では腸管出血性大腸菌(O157)、豚肉ではE型肝炎ウイルスが問題になります。これらは中心温度が不十分だと死滅しません。


つまり、肉料理の安全確認には赤外線温度計は不向きで、中心温度計(スティック型)が必須です。




同様に、スープや汁物の温度測定にも落とし穴があります。液体が沸騰しているとき、または湯気が大量に立ち上っている状態で赤外線温度計を向けると、湯気(水蒸気)の温度を拾って実際より低い数値が出る場合があります。スープの温度を確認したいときは、湯気が落ち着いてからよく混ぜて均一にしたうえで、表面を狙うのが正しい方法です。


赤外線温度計が「測れないもの・苦手なもの」を整理すると次のようになります。


  • 肉・魚などの中心温度:表面しか測れないため、食中毒管理には使えない
  • 光沢のある金属表面(磨き上げたステンレス鍋など):放射率が低く、大幅な誤差が出る
  • ガラス越しの温度:ガラスが赤外線を遮断するため、ガラス表面の温度しか測れない
  • 湯気が多い液体の正確な温度:湯気が誤差の原因になる
  • 斜め45度以上の角度からの測定:角度が大きくなるほど誤差が増える


これらを知っておくだけで、測定ミスによる料理の失敗や食中毒リスクを大幅に減らすことができます。肉料理の火入れ確認には、別途スティック型の中心温度計を用意するのが最善策です。市場価格1,000〜2,000円程度の製品でも十分に使えます。


飲食店.COM|食の安全を守る「調理用温度計」の種類と用途を解説(放射温度計・中心温度計の使い分けが詳しく紹介されている)


バイク乗りが料理シーンで赤外線温度計を使いこなす独自活用術

バイク乗りにとって料理との接点が増えるのは、なんといってもキャンプツーリングの場面です。テントサイトでの自炊、道の駅や峠の絶景スポットでのランチ、仲間との野営バーベキューなど、外での調理機会は多いです。そうした場面で、赤外線温度計は驚くほど活躍します。


アウトドアでの調理では、ガスバーナーやキャンプ用コンロの火力が不安定なことが多く、「油がちゃんと温まったのかどうか」の判断が家庭より難しくなります。炎の色や鍋の様子から判断するベテランもいますが、それよりも温度計で170〜180℃を確認してから食材を投入するほうが、断然確実です。しかも赤外線温度計は非接触なので、バーナー周りの熱い環境でも安全に使えます。




さらに、コーヒー好きのライダーには赤外線温度計がとても相性よく使えます。コーヒーの抽出適温は一般的に92〜96℃といわれており、ドリップ前のお湯温度をサッと確認するだけで、抽出の安定度が上がります。峠で飲む一杯のコーヒーが格段においしくなります。これはいい使い方ですね。


バイクに積載するという観点でも、赤外線温度計は優秀です。コンパクトなガンタイプのものはバッグの小さなポケットにすっぽり収まるサイズで、重量も一般的に80〜120gほど(スマートフォン約1〜1.5枚分程度)です。スティック型温度計に比べてかさばらず、使い終わっても汚れないため、収納に困りません。


持ち運びにおすすめのモデルとして、dretecのクッキング用赤外線温度計(型番:O-900など、重量約36g、測定範囲−10〜300℃)は、バイクのシートバッグの内ポケットにもすっきり収まるサイズ感です。ハンドガンタイプで操作も直感的なので、キャンプ料理初心者でも迷わず使えます。




また、赤外線温度計はバイクのメンテナンスシーンにも活用できるというのは、あまり知られていない使い方です。ツーリング後にブレーキディスクやエンジン周りの温度を確認し、熱の入り方のムラをチェックするライダーもいます。料理用に購入したものが、ガレージでも活躍するという一石二鳥な展開もありえます。


もちろん、料理以外でも使えることを前提として選ぶなら、測定範囲が広めの製品(−30〜400℃以上)を選ぶのが賢明です。1台で多目的に使い回せる点は、荷物を減らしたいライダーのスタイルにもぴったり合います。


A&D公式製品ページ|AD-5635(測定範囲−38〜+365℃。防水仕様や精度スペックの詳細が確認できる)




KT600Y 赤外線温度計ガンKETOTEKデジタルIR温度計-50℃〜600℃(-58℉〜1112℉)食品/調理/オーブン用温度チェッカー(人間用ではありません)