

走行中に固定が甘いシートバッグが落下すると、あなたが後続車に対して損害賠償責任を負います。
シートバッグは、バイクのタンデムシート(リアシート)の上に載せて使うソフトタイプのバッグです。キャリアを後付けしなくても使えるため、スポーツバイクやネイキッドバイクのように荷台がない車種でも活用できる点が最大の魅力です。
他の積載方法と比べると、シートバッグには明確なアドバンテージがいくつかあります。まず、取り付けと取り外しが数分で完了するため、普段使いと週末のツーリングを気軽に切り替えられます。パニアケースのように常設する必要がなく、バイクのシルエットをスッキリ保てる点もライダーに好まれます。また、価格帯が幅広く、3,000円前後の入門モデルから、完全防水仕様の本格派まで選択肢が豊富です。
一方で、シートバッグには弱点もあります。ソフトバッグのため中の荷物に衝撃が伝わりやすく、精密機器の保護という点ではパニアケースに劣ります。また、荷物の重さや形によってはバッグが変形し、走行中に後輪に接触するリスクも皆無ではありません。
使いやすいです。それが理由でシートバッグは初心者ライダーにも定番の選択肢になっています。
| 積載方法 | 取り付けの手軽さ | 容量の目安 | 防水性 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| シートバッグ | ◎(ベルト固定) | 10〜75L | △〜◎(製品による) | 3,000〜30,000円 |
| パニアケース | △(専用ステー必要) | 20〜50L×2 | ◎ | 30,000〜100,000円以上 |
| タンクバッグ | ○(マグネット・吸盤) | 5〜25L | ○ | 5,000〜20,000円 |
| リアボックス | △(キャリア必要) | 20〜60L | ◎ | 10,000〜50,000円 |
「大は小を兼ねる」という発想でやみくもに大容量バッグを選ぶと、毎回荷物が少ないのにバッグだけがブカブカになり、走行中にバタついて不安定になります。容量はツーリングの用途に合わせて選ぶのが原則です。
日帰りツーリングなら10〜20Lが適切な目安です。グローブの予備、レインウェア上下、財布、スマートフォン充電器、簡単な工具セットをまとめると、おおよそ10〜15Lに収まります。余裕を持って20L前後を選んでおけば、道の駅で購入したお土産なども詰め込めます。
1泊〜2泊の宿泊ツーリングなら25〜35Lを目安にしましょう。着替え一式(シャツ・下着・靴下)、洗面道具セット、レインウェア、モバイルバッテリー、薄手のダウンジャケットあたりがこのクラスに収まります。A4用紙をイメージすると分かりやすく、30Lのバッグは大型の書道バッグほどの容積感です。
キャンプツーリングには40L以上が必要です。寝袋・マット・テント・コッヘル(鍋)・バーナーといったキャンプ用品が加わるため、着替えや食料を合わせると軽く40Lを超えます。タナックスの「キャンピングシートバッグ2(MFK-101)」は49〜75Lまで容量可変で対応でき、キャンプツーリングの定番モデルとして知られています。
重要なのが「可変式」という機能です。拡張ジッパーで容量を増やせるモデルは、荷物が少ない日帰りにも、荷物が多いキャンプ泊にも1つで対応できます。最初の1本を選ぶなら、可変式のモデルが圧倒的にコストパフォーマンスが高いです。
用途が決まれば自然に容量の目安も見えてきます。まずは自分が最もよく行くツーリングのスタイルを1つ決めて、そこに合わせた容量を基準にするとよいでしょう。
バイクの荷物積載には、道路交通法および道路交通法施行令によって細かいルールが定められています。「大型バイクなら何kg載せても大丈夫」と思っているライダーは少なくありませんが、それは間違いです。
重量制限については、50ccを超える二輪車(普通・大型自動二輪)の最大積載重量は60kgと法律で定められています。1,000cc超の大型バイクも125ccの小型二輪も、法律上の上限は同じ60kgです。一方、原付一種(50cc以下)は30kgが上限で、大容量シートバッグにキャンプ道具を詰め込んだだけで超過してしまうケースもあります。
サイズ制限については、荷物が積載装置(キャリアやシート)からはみ出せる範囲が決まっています。前後方向は積載装置の端から各30cm以内、左右方向は各15cm以内(合計で最大30cm)が上限です。高さについては、地面から2m以内に収める必要があります。
法律違反になった場合の罰則は以下の通りです。
| 違反の種類 | 違反点数 | 反則金(二輪) | 反則金(原付) |
|---|---|---|---|
| 積載物重量制限超過 | 1点 | 6,000円 | 5,000円 |
| 積載物大きさ制限超過 | 1点 | 6,000円 | 5,000円 |
| 乗車積載方法違反 | 1点 | 6,000円 | 5,000円 |
| ナンバー表示義務違反 | 2点 | 罰金(50万円以下) | |
特に注意が必要なのがナンバープレートの隠れです。大きなシートバッグを積んだとき、バッグの下部がテールランプやナンバーに被さってしまう状態になる場合があります。ナンバーが1文字でも隠れると「番号表示義務違反」に該当し、これは道路運送車両法に関わる違反のため、反則金制度ではなく刑事罰(罰金)の対象になる可能性があります。
1点が条件です。一般的な積載違反の点数は1点ですが、複数の違反が重なると点数が加算されるケースもあるため、注意が必要です。
バイクの積載制限に関する情報は、日本自動車工業会(JAMA)のウェブサイトでも詳しく解説されています。
荷物、積み過ぎてない?違反の危険があるバイクの積載量をチェック|日本自動車工業会(JAMA)
積載ルールを守ることと同じくらい重要なのが、バッグを確実にバイクへ固定することです。走行中にシートバッグが落下した場合、「転落積載物等危険防止処置義務違反」(違反点数1点)に加え、後続車が落下物に乗り上げて事故になった場合は損害賠償責任が生じます。これが思わぬ出費になるケースがあります。
一般的なシートバッグの固定方法は主に2種類あります。1つはシートを外してベルトをシート下の骨格(シートレール)に通す方法で、最も安定した固定ができます。もう1つは車体のフレームやグラブバーにベルトを引っかける方法で、シートを外せない車種向けです。どちらの方法でも、ベルトは複数本使い、互いに引っ張り合う方向に張ることで緩みにくくなります。
注意したいのがゴムネット(バンジーネット)の使いすぎです。ゴムは伸縮性があるため、走行中の振動でバッグが少しずつ動いてしまいます。ゴムネット単体でシートバッグを固定するのは、荷物が比較的軽い日帰り用途にとどめ、キャンプなど重量のある積載には非伸縮性のラッシングベルトを2本以上使うのが基本です。
シートバッグが前方にズレていくことを防ぐには、シート下のベルトを前端側に寄せて固定し、バッグをシート後端側に押しつけるように引っ張るのが効果的です。バッグ底面にノンスリップマット(滑り止めシート)を敷くだけでも、前ズレを大幅に軽減できます。
後ろからしゃがんで確認するのが基本です。出発前の最終チェックでは、ライダーの目線ではなく後続車の高さから、テールランプ・ウィンカー・ナンバープレートが全て見えているか確認するようにしましょう。
どれだけしっかり固定しても、荷物の詰め方が悪ければバイクの走りは乱れます。正しいパッキングを知ることは、法律を守ることと同じくらい大切です。
基本ルールは「重いものを下・中央に」配置することです。重心が高くなると、バイクを少し傾けただけで強い転倒方向への力が働きます。スーパーの袋のレジ袋を片手に持つとき、底が重いと安定して持てるのと同じ理屈で、シートバッグも底面に密度の高い荷物(工具・モバイルバッテリー・衣類を圧縮したもの)を集め、上部に軽いもの(レインウェア・帽子など)を詰めると走行安定性が格段に上がります。
また、左右の重量バランスを均等に保つことも重要です。シートバッグは形状上、真ん中に積載するものですが、荷物の偏りはバイクの直進安定性に影響します。特にキャンプ道具のように形がばらばらな荷物を積むときは、意識的に左右が同じような重さになるよう調整しましょう。
高速道路での走行を考えると、バッグの高さにも気をつける必要があります。シート高70〜80cmのバイクに、さらに高さ50cmのバッグを積むと合計130cm前後になります。高速域では受ける風圧が増し、横風のたびにバイクが振られます。高速道路を使うツーリングでは、できるだけ背の低いバッグを選ぶか、横方向に荷物を広げてバッグの高さを抑えるパッキングを心がけましょう。
つまり「低く・広く・均等に」がパッキングの原則です。
荷物の積み方に慣れてくると、目的地に到着したときの疲労感が明らかに変わってきます。荷物との戦いではなく、バイクが荷物を自然に運んでくれている感覚が生まれるようになれば、パッキングの腕前が上がったサインです。
キャンプツーリングの積載に関して、より詳しいアドバイスは以下のサイトも参考になります。
バイクキャンプのプロが教える積載方法と役立つ豆知識|バイカン
「防水」と書いてあるバッグを買ったのに、雨でずぶ濡れになった——そんな失敗をしたライダーは多くいます。実は「防水」という表現は製品によって意味が異なり、その違いを知らずに選ぶと後悔します。これは意外と知られていない落とし穴です。
防滴(ウォーターレジスタント)は、小雨や水しぶき程度であれば中に水が入りにくい設計ですが、豪雨や水没には対応していません。多くの「防水シートバッグ」はこのレベルで、バッグ自体への縫い目やジッパー部分から水が侵入してきます。
一方、完全防水(ウォータープルーフ)のバッグは、素材自体が防水フィルムで構成され、ジッパー部分もシールドされているか、ロールトップ(くるくる巻いて閉じる)構造になっています。代表例はENDURISTAN(エンデュリスタン)の「XS ベースパック」などで、完全水没にも耐えられる設計です。ただし価格は3〜5万円前後と高価です。
コストパフォーマンスを重視するなら、「レインカバー付きの防滴モデル」を選ぶのが現実的です。バッグ本体は防滴対応で、付属のレインカバーを被せることで雨天走行に対応するタイプです。タナックスの「ミドルフィールドシートバッグ」やデイトナの「シートバッグBASIC」シリーズがこのカテゴリーに該当し、1万円台で購入できます。
メーカー選びの観点では、タナックスとデイトナは日本のバイク用品メーカーとして信頼性が高く、国産バイクのシート形状に合わせたデザインが豊富です。バッグ底面の形状が日本車に合いやすいため、ベルト固定時のフィット感が良いとユーザーから評価されています。
素材の確認が条件です。購入前には必ず「防水」の定義をスペック欄で確認し、レインカバーの有無も合わせてチェックするようにしましょう。
積載のしやすさを追求するために、シートバッグとあわせて検討してほしい製品がひとつあります。シートバッグのズレ防止には、バイク用品店で販売されているノンスリップシート(シートバッグ用滑り止め)が非常に効果的です。バッグとシートの間に敷くだけで、ベルトの締め込みが半分以下でも安定するほどの効果を発揮します。価格も1,000〜2,000円程度と手頃なので、バッグと同時購入がおすすめです。

ヘンリービギンズ(Henly Begins) デイトナ バイク シートバッグ PRO2 Sサイズ(20-26L) ホテル1泊 小型 ツーリング DH-757 26211