

リアブレーキを強くかけすぎて転倒するのは、あなたの握力が強いからじゃない。
バイクでブレーキをかけると、必ず荷重が前方へ移動します。これは慣性の法則によるもので、減速しようとする車体に対して、質量のあるライダーとバイクの重心が前向きの力を保とうとするからです。
重心の位置に関係なく、ブレーキをかけ始めると前輪に荷重が移動し、その結果後輪の荷重が失われます。つまり前に移った分だけ後ろが減るということですね。
参考)MotoGP テクニック: ブレーキングの繊細な芸術 (2/…
具体的な数値で見ると、車重1140kgのS13シルビアの場合、1.0Gのフルブレーキングで約230kgもの荷重が前輪へ移動します。バイクでも同様の物理現象が発生し、制動Gが大きいほど荷重移動量も増加します。
荷重移動量は「車重×重心高÷ホイールベース×加速度G」で計算できます。重心が高いほど、またホイールベースが短いほど、荷重移動は大きくなる仕組みです。
この物理現象を理解していないと、リアブレーキを強くかけすぎて後輪をロックさせ、転倒やスライドを引き起こすリスクが高まります。
フロントブレーキはリアの数倍の制動能力を持っています。制動能力で言えば、フロントブレーキはリアの数倍はあります。
これが前70~80%:後20~30%という表現になるわけです。ただしこれは機械としての制動能力の比率であって、ライダーが意識的にかける力の比率ではありません。
ブレーキをかけたときは、減速Gにより前輪側へ大きな荷重が加わります。その影響を受けて、自然と後輪側の荷重は減少します。前輪に荷重が増えると、タイヤが路面に押し付けられてグリップ力が増すため、より強いブレーキ力をかけられるようになります。
参考)【ブレーキング】ブレーキングの比率は「前輪7:後輪3」が基本…
一方、後輪は荷重が減少するため、グリップ力も低下します。急制動でリアだけロックさせてしまった経験がある人は多いと思いますが、それは「リアブレーキを強く掛けすぎたから」ではなく、ブレーキを強く掛けた事で「リア荷重(グリップ力)が通常より落ちたから」です。
前後のブレーキをあるバランスでかけると、合力点の位置が変化します。前輪だけブレーキをかけたら合力点は後輪の真上、後輪だけなら前輪の真上になります。前輪70%、後輪30%の場合はホイールベースの前輪から70%のところが合力点になります。
制動時と加速時の力の釣り合い[モーターサイクルの運動学講座] - MotorFan
※制動時の合力点の位置と荷重配分の関係を図解で詳しく解説しています
リアブレーキで後輪をロックすると、重心のバランスによっては倒れてスライディングしてしまいます。特にバイクを傾けた下りのコーナーではこのリスクが高まります。
参考)https://frm.media/apps/mg/wp/2018/09/breaking-02/
初心者が起こしがちな自損・単独事故の大半はブレーキに起因する転倒です。代表的なのがパニックブレーキ(急ブレーキ)でフロントタイヤをロックさせ転倒してしまう「握りごけ」というやつです。
ただし、前輪ロックより後輪ロックの方が制御しやすい面もあります。オフロード専門のライダーによれば、思いっきりフロント80%くらいでフルブレーキングしてもバイクが真っ直ぐ立っている状態ならフロントタイヤが若干ロックしても結構転ばないとのことです。
前輪(フロント)ブレーキだけだと前のめりになって転倒の危険がありますし、リアブレーキだけ使ってもブレーキが効かずに思うように止まることができません。ブレーキは前後とも一緒にかけることが重要です。
ロックはしなかったけど止まったと同時にバランスを崩して転倒するパターンもあります。これはフロントブレーキを強く掛けて止まった事で勢いよく沈んだフロントフォークが勢いよく戻るからです。
路面状況によってロックしやすさは変わります。ウェットなら、ロックする限界で0.5G、スノーなら同じくロックする限界でも0.3Gとなります。
リアブレーキを使った二輪の疑似VSCという技術があります。車速vがリアブレーキでv′に減速すると、遠心力とバランスを取るために旋回半径rがr′に小さく変化するのです。
つまりコーナリング中ですね。
ブレーキングの姿勢のまま、ブレーキレバーを全てリリースせずに前傾を保ったままコーナーへ入っていくと減速しながら速いスピードでコーナーへ侵入できます。ただし、ブレーキをかけている間はバイクが起きようとしてくるので、さらに内側へも荷重移動する必要があります。
コーナーのクリップ付近でブレーキレバーをリリースするとさらに内側へ傾いて向きが変わります。
肘を動かさないようにロックすれば、ブレーキングによって発生したGを、ハンドル操作する力や、サスペンションやタイヤへの荷重へと、うまく変換できます。減速Gをサスペンションを縮ませ、タイヤをつぶすという力に変換することで、旋回力が生まれます。
参考)肘をロックするブレーキング|【青木宣篤のコア・ライテク】 -…
街中や交差点などを低速で通過したい時にフロントブレーキを握ってしまうと、バランスを崩して転倒しそうになることもあります。そういう場面ではリアブレーキでバイクを安定させましょう。
ブレーキングにおいては、前輪に荷重が移るため、後輪荷重を少し先に使い、前輪への荷重移動を抑えると車体が安定して減速できます。そしてブレーキングが終了しコーナリングに移ったら、その荷重を極力後輪に移動させます。
参考)”荷重”って一体何?
走行中にブレーキがきかなくなるトラブルも発生する可能性があります。もし長い下り坂や平面走行をしているときにブレーキがきかなくなってしまったら、まずは落ち着いてシフトダウンをしてエンジンブレーキをきかせるようにしましょう。
エンジンブレーキが基本です。
バイクに乗る際は、ブレーキがしっかり効くかどうか事前にチェックしておくことが大切です。少しでも違和感があったら無理に走行せず、故障の原因を突き止めるようにしましょう。
参考)バイクのブレーキが効かない!ブレーキ故障の原因と対処方法 -…
リザーブタンクを開けてブレーキフルードの状態をチェックしたり、ブレーキパッドが摩耗していないか確認することで、故障の原因を突き止めることができます。
走行の最中にブレーキへの異変を感じたら、ブレーキが完全に効かなくなる前に停車して、安全を確保するようにしましょう。無理に走行を続けると、思わぬ事故を引き起こす可能性もあります。
ゴミが挟まってブレーキが効かなくなっていた程度の不具合ならばゴミを取り除くだけで解決できますが、その他の場合だとなかなか応急処置をするのは難しいです。そのような場合は効いているブレーキだけを使って走行するようなことはせずに、レッカーなどを利用するようにしましょう。
転倒後のブレーキは見た目は大丈夫でも要注意です。外観上は問題のないブレーキキャリパーやローターでも、転倒した後の最初のブレーキングでまったく効かない場合があります。これは転倒時にフロントフォークやホイールに衝撃が加わることで起きる現象です。
転倒時の衝撃によりブレーキローターが波打ち、ブレーキパッドとピストンを押し戻してしまう現象が起きます。直後はパッドとローターの距離が過剰に広がるため、最初のブレーキがまったく効きません。走り出す前にブレーキレバー及びペダルを作動させ、パッドとローターを密着させましょう。
転倒したら、次に走り出す前にしっかり空ブレーキを行う - BikeJIN
※転倒後のブレーキチェック手順と空ブレーキの重要性について解説しています

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