重心の位置がバイク物理現象に与える影響と操作技術

重心の位置がバイク物理現象に与える影響と操作技術

重心の位置とバイク物理現象

重心を低くすればバイクは安定すると思っていませんか?

この記事で分かる3つのポイント
⚖️
理想の重心位置

ホイールベースと重心高の比率が2:1が最適で、ウィリーとジャックナイフのバランスが取れる

🔄
コーナリング時の重心移動

肩を横に動かすのではなく、体幹を下方向へ移動することで素早く安定した旋回が可能

🎯
物理現象の理解

セルフステアやジャイロ効果といった現象を知ることで、バイクの動きを予測できる

バイクの重心位置が安定性を決める仕組み


バイクの重心位置は、ライダーと車両を合わせた質量の中心点を指します。この位置が走行時の安定性や操作性に直接影響するため、バイク設計において最も重要な要素の一つです。


参考)理想の重心位置[モーターサイクルの運動学講座・その2]


一般的な舗装路で通常タイヤを使用する場合、摩擦係数μ=1.0として、ホイールベースと重心高の比率が2:1になる位置が理想とされています。例えばホイールベースが1400mmのバイクなら、重心高は700mmが最適です。この比率により、ウィリー限界、ジャックナイフ限界、ホイールスピン限界の3つがバランスします。


参考)理想の重心位置[モーターサイクルの運動学講座・その2]|J.…


重心位置の理想値は路面状況によって変化します。ダート路走行でブロックタイヤを履いた場合のように摩擦係数が小さくなると、理想の重心高は高くなります。理想の重心高は「ホイールベース×1/2÷μ」という式で計算できます。


重心が前輪と後輪の接地点を結ぶ線上から外れると、バイクは転倒します。走行中に右に微妙に傾いた場合、前輪も右に転舵すると前輪の接地点が右に移動し、重心三角形の面が重力ベクトルと重なって転倒モーメントがゼロになります。


これがバイクの自立原理です。



重心の位置とウィリー・ジャックナイフの関係

バイクの重心位置によって、加速時のウィリーと減速時のジャックナイフの起こりやすさが決まります。重心が高く後方にあるとウィリーしやすく、重心が高く前方にあるとジャックナイフを起こしやすくなります。


参考)ウィリーとジャックナイフ[モーターサイクルの運動学講座・その…


ジャックナイフ開始減速度は「前輪から重心までの水平距離÷重心高」で計算できます。この値が小さいほど、簡単にジャックナイフを起こしてしまいます。一旦後輪が持ち上がると重心高が上がり、前輪から重心までの距離も小さくなるため、ジャックナイフの維持減速度はさらに小さくなります。


つまり止めるのが難しくなるわけです。



重心位置が適切でないと、タイヤの限界を使うことができません。ウィリー領域に重心があると加速時にウィリーして限界になり、ジャックナイフ領域に重心があると減速時に前輪がスリップする前にジャックナイフを起こします。


加減速時の安全性を確保するには、両方の限界をバランスさせる重心位置が必要です。理想の重心位置であれば、加速時も減速時もタイヤの性能を最大限に活用できます。


コーナリング時の重心移動とバンク角の物理

コーナリング時には、重力と遠心力の合力の方向に車体を傾ける必要があります。車体の傾きは、バイクにかかる重力と遠心力の合力の方向と一致し、これはコーナリング中の荷重の方向とも一致します。


多くのライダーが誤解しているのは、肩を横に移動すれば曲がると思っている点です。肩を横へ移動すると、シート座面から両肩が遠い位置へ移動するため、体重が抜けてしまいます。これではバイクが傾くのに時間がかかり、バンク角も成り行き任せになります。


効果的な重心移動は、体幹を下方向へ移動する操作です。腰の位置と両肩の距離を変えずに上半身を移動させ、内側の肩が真横ではなく斜め下方向となる扇形に移動します。この方法なら小さなアクションでバイクが素早く曲がり始め、バンク角も深くする必要がありません。


下へ移動するだけで済みます。



バンク角を深めるほど、グリップ力の作用点はタイヤの内側へ移動します。重心が乗りやすい腰をやや内側に入れることで安定感が増しますが、極端にバンク角を深めて腰を入れすぎるとスリップや転倒の可能性が高まります。コーナリング時のスピードをコントロールして、遠心力とグリップ力のバランスを取ることが重要です。


バイクのセルフステアとジャイロ効果の影響

セルフステアとは、バイクを傾けると自然にハンドルが切れて旋回する現象です。タイヤの断面は楕円形状になっており、旋回時にセンター部とサイド部が同時に接地すると外周差が発生し、直径の小さい側に向かって曲がっていきます。


参考)今更聞けないライディングの基本、セルフステアリングの話


ジャイロ効果は、回転する物体の姿勢を安定させる現象です。回転物が重く回転速度が大きいほど強くなり、走行中のホイールだけでなく回転するエンジン部品や駆動系部品にも働きます。


ジャイロ効果が基本です。



参考)セルフステアリング効果とは?車体の傾きで旋回力を生み出す【バ…


セルフステアとジャイロ効果は相反する性質を持ちます。セルフステアは車体を傾けた方向に曲がろうとしますが、ジャイロ効果は傾けた方向と逆の力を発生させます。したがって安定して旋回するには、ジャイロ効果に打ち勝つ力でバイクを傾けることが必要です。


参考)青木宣篤のアドバンスド・ライディングテクニック【非セルフステ…


速度域が上がると、車輪のジャイロ効果などにより、バイクには現状を維持しようとする力が強く働きます。高速で進むバイクを曲げるには、この強い力に抗って車体を傾けなければなりません。しかしセルフステアは車体を起こそうとしてしまうため、高速コーナリングでは非セルフステア的な操作も必要になる場合があります。


重心位置と荷重配分の違いを理解する技術

重心と荷重は別の概念であり、多くのライダーが混同しています。重心はライダーと車両を合わせた質量の中心で位置を示し、荷重は重力や慣性力によってタイヤを通じて地面に伝わる力を示します。


位置と力という違いですね。



参考)バイクで曲がるとき、前後の重心はどっちにしていますか?ハイサ…


バイクはブレーキングとアクセルで荷重移動できますが、これは重心移動とは異なります。例えば重心を後ろに引いたまま、ブレーキを軽く当てることで前輪の荷重を増やすことができます。この技術により、重心は動かないまま前輪の荷重が増えます。


参考)ロードバイクのカーブは重心を下げるのか?|Ride Eat …


荷重と重心の違いを理解していないと、コーナリングで誤った操作をしてしまいます。


バイクの重心は低すぎると曲がりません。


これは4輪と最も異なる点で、4輪は低ければ低いほど曲がりますが、2輪では適度な重心高が必要です。


参考)第2回 ライディング姿勢と解剖学的骨格の形態 コラム『医学で…


前輪により荷重をかけたいが前輪の仕事は増やしたくない場合、重心位置の調整が鍵になります。重心を適切に配置することで、前輪のグリップを維持しながら安定したコーナリングが可能になります。アウト側にわずかに広がるか、より倒す必要がある状況を避けられます。


重心高が走行安定性に与える意外な影響

一般的に重心は低い方が安定すると思われがちですが、バイクでは必ずしもそうではありません。重心位置が高くさらに重量が重いとロールモーメントが大きくなり、バイクが倒れるまでの時間が長くかかります。


参考)2リン、ドクトリン 【2】 重心は高い方が安定する!|羽田 …


ロールモーメントとは、バイクが傾く際の回転力です。ロールモーメントが大きいと、激しい変化がなく物事が落ち着いた状態になります。つまり高重心でも安定性が向上する場合があるということです。


バイクの重心は車両の中心あたりに位置し、人間が乗ると人間とバイクの合成重心はもっと高い位置に移動します。この合成重心の位置が、実際の走行時の特性を決定します。ライダーの姿勢変化による影響は大きいですね。


高速走行時のフラつきは、ヴィークルダイナミクス的にはウィーブというヨーとロールが連成する二輪固有の現象です。重心位置による安定性は高速でも同じことが言えるため、適切な重心管理が必要です。


参考)【元ヤマハエンジニアから学ぶ】二輪運動力学からライディングを…


体重移動でバイクが傾くとすると、体重移動したままではバイクは傾き続け最後には転倒してしまうことになります。しかし実際は遠心力とつり合いが取れて転倒することはありません。


これは物理法則が働いているからです。



Motor-Fan - 理想の重心位置とウィリー・ジャックナイフの関係について詳細な計算式と図解
Riders Club - 二輪運動力学の専門家による重心三角形と転倒メカニズムの解説
BikeBros - バンク角と重力・遠心力の合力の関係についての基礎理論




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