

頭囲が同じでも、ジャストフィットとは限りません。
アライヘルメット RX-8 は、アライのフルフェイスラインナップの中でも長年にわたって支持されてきたモデルで、現行の後継モデルであるRX-7Xへと引き継がれています。RX-8時代から続くアライ独自のサイズ体系は、ライダーにとって知っておくべき特徴があります。
アライのサイズ表記は頭の「周長(頭囲)」をベースにしており、以下のように設定されています。
| サイズ | 対応頭囲(目安) | 帽体(シェル)の種類 |
|--------|-----------------|---------------------|
| XS | 53〜54 cm | XSサイズ帽体 |
| S | 55〜56 cm | Sサイズ帽体 |
| M | 57〜58 cm | M・L共通帽体 |
| L | 59〜60 cm | M・L共通帽体 |
| XL | 61〜62 cm | XLサイズ帽体 |
ここで驚く人が多いのが、MサイズとLサイズの「帽体(外側のシェル)が同じ」という点です。つまり外観の大きさはMもLも変わりません。サイズの差は内装(インナーパッド)の厚みで吸収されています。これがアライの設計思想のひとつで、内装を薄くすればLサイズ、厚くすればMサイズ相当のフィット感になる仕組みです。
つまり内装で調整できるということですね。
この構造を知らないと、「LサイズがMサイズより外側が大きい」という誤った思い込みで購入してしまい、かぶった時に頭全体が遊んでしまったり、逆にキツすぎたりというトラブルにつながります。頭囲が57〜58cmのライダーと59〜60cmのライダーでは同じ帽体サイズを使っていても、内装の厚みが異なることを覚えておいてください。
また、XLサイズだけは専用の帽体が使われています。頭囲が61cm以上の方は、帽体自体が大きくなることを念頭に置いてください。アライはXLサイズ帽体用の内装パーツも「IV(フォー)」という専用品になっており、他サイズとは互換性がないため注意が必要です。
参考リンク:アライ公式のサイズ微調整ページ。システム内装・システムパッドの種類や枠サイズの仕組みが詳しく解説されています。
サイズ選びで最初にやるべきことは、正確な頭囲の計測です。意外と自己流で計測して失敗するライダーは少なくありません。
正しい計測手順は次のとおりです。
- 💡 眉の上約1cm(おでこの一番出ている部分) にメジャーを当てる
- 💡 側頭部のもっとも張り出した部分を通すように水平に一周する
- 💡 後頭部の一番高い位置に合わせてぐるりと測る
- 💡 メジャーはきつく引っ張らず、指1本が入る程度の緩さで測る
計測した頭囲にプラス1cmした数値が目安のヘルメットサイズです。たとえば計測値が57cmなら「57〜58cm(Mサイズ)」が適合サイズになります。これが基本です。
ただし、頭囲だけでサイズを決めてしまうのは不十分です。頭の「形」も大きく影響します。日本人を含むアジア系の頭型は「真丸型(ラウンド型)」に近い傾向があり、欧米人に多い「長丸型(オーバル型)」とは異なります。アライのヘルメットは比較的丸みのある頭型に合わせた設計になっているため、前後に長い頭型のライダーは左右にきつく感じることがあります。
頭の形を測るには、頭の一番広い「頭幅」と前後の「頭長」の両方をメモしておくとよいでしょう。頭幅と頭長の比率が「頭型指数(頭長÷頭幅×100)」として使われ、75〜80程度が日本人の平均的な値です。
頭型指数が低い(70〜75程度)ほど前後に長い欧米型に近く、その場合はアライよりもSHOEIのほうが合うケースもあります。一方、頭型指数が80を超えるほどの真丸型の方には、アライが非常にフィットしやすい傾向があります。
いずれにせよ、数値だけで判断しないのが原則です。必ず店頭で試着してください。
参考リンク:ホンダGO BIKE LABによるアライ公認のサイズ選び解説。頭囲・頭幅・頭長の計測方法とプロショップ活用法を詳しく紹介しています。
ヘルメットの正しいサイズの選び方をアライヘルメットで聞いてみた!|HondaGO BIKE LAB
正しいサイズのヘルメットを選んでも、長時間のツーリングで「こめかみが痛い」「ほほが圧迫される」という悩みを感じるライダーは多いです。そういう場合に使えるのが、アライ独自の「システム内装」と「システムパッド」による内装交換です。
アライのシステム内装(ハチ回りのサイズを調節するパッド)には複数の厚みがあり、一段階ずつ調整できます。たとえばLサイズ(59〜60cm)用の場合、標準が「Ⅲ-7mm」であれば、一段階緩くした「Ⅲ-5mm」に交換することで、きつさを解消できます。この差はわずか2mmですが、かぶった時の圧迫感が大きく変わります。わずか数mmの差、意外ですね。
システムパッド(ほほ・あご周りのサイズを変えるパッド)も同様で、標準の15mmを12mmに変えるだけで頬への圧迫感がかなり改善されます。ちなみに実際にこの交換を行ったバイクライター(二輪専門誌編集長)によると、「しゃべりやすくなったし、気のせいか呼吸もしやすくなった」とのこと。快適さへの影響は想像以上に大きいです。
内装交換のポイントをまとめると以下のとおりです。
- 🔧 システム内装:ハチ周りの圧迫感に対して調整。厚みを薄くすると緩く、厚くするとキツくなる。
- 🔧 システムパッド(チークパッド):ほほ・あごへの圧迫感に対して調整。12mm、15mm、20mm、25mmのバリエーションがある(サイズによって標準厚みが異なる)。
- ⚠️ 枠のサイズに互換性がある点に注意:システム内装の「枠サイズ」はヘルメットのサイズ(S/M/L)に対応しており、異なるサイズ用のものは取り付けできません。一方、システムパッドはどのサイズのヘルメットでも使用可能です。
パーツの単価は、システム内装が税込約4,070円、システムパッドが税込約3,080円が目安です。これはコーヒー1〜2杯分の出費で快適さが劇的に変わると考えれば、試してみる価値は十分あります。これは使えそうです。
ただし、内装を極端に薄くしすぎると安全性に影響が出ます。アライ公式のサイズ調整表を見ながら、推奨範囲内で交換することが条件です。
参考リンク:Bike Life Labによる内装調整の実例レポート。アライ「ラパイド-ネオ」での実際の調整手順と使用した内装パーツの品番・価格が詳細に紹介されています。
意外と簡単!ヘルメットの内装調整をしてみよう|Bike Life Lab(2りんかん)
サイズ選びで最大の失敗は「ネットで試着なしに買う」ことです。これは断言できます。頭囲が同じでも、頭の形・額の出具合・耳の位置・後頭部の形状などによって、フィット感は人それぞれ全く異なります。
特に注意が必要なのは、購入後30分以上かぶっていると痛みが出るケースです。試着時は5〜10分程度しかかぶっていないため異常を感じなくても、ツーリングに出かけた後に「どこかが痛い」と気づくことが少なくありません。以下の4つの違和感は、サイズが合っていないサインです。
- ❌ 30分以上かぶっていると痛みを感じる(特にこめかみや頬)
- ❌ 被っている時に隙間を感じる部分がある
- ❌ 眉毛が隠れるほど深くかぶれてしまう(深すぎる)
- ❌ 頭を大きく振るとぐらつく
こうした問題を解決できるのが「アライ・テクニカルプロショップ」です。全国各地にあり、アライヘルメット特別技術講習を修了した専門スタッフ(A.C.E.認定スタッフ)が常駐しています。
テクニカルプロショップで新規にヘルメットを購入した場合、以下のサービスが基本料金無料で受けられます。
- 📍 頭部の計測(頭囲・頭幅・頭長)
- 📍 適切なサイズのご提案
- 📍 システム内装の厚み変更(初回購入時のみ)
- 📍 システムパッド・イヤーカップの厚み変更(初回購入時のみ)
無料です。ただし、適切なサイズへの調整に必要なパーツ代(システム内装・システムパッド等)は別途費用がかかる場合があります。事前に確認しておくと安心です。
反対に、他店やネットで購入したヘルメットを持ち込んだ場合は、フィッティング費用が有料になるケースがほとんどです。たとえばSHOEIのテクニカルショップでは、購入後3ヶ月超の場合に6,600円(税込)のフィッティング料金がかかります。これを知っておくと、最初からプロショップで購入する判断がしやすくなります。
参考リンク:アライ・テクニカルプロショップの全国店舗リスト。近くのプロショップを探せます。
アライ・テクニカルプロショップ 店舗一覧|アライヘルメット公式
RX-8はすでに廃盤モデルのため、中古市場での流通が主なルートになります。コストを抑えたいライダーには魅力的ですが、中古ヘルメット購入には特有の注意点があります。これは知らないと大きな損につながります。
まず最も重要な点として、アライヘルメットはSGマーク(製品安全協会の被害者救済制度)の有効期限として「着用開始から3年」を交換目安として公式に案内しています。製造からの経過年数で考えると、製造から7年以内が安全に使用できる限界とされています。
つまり製造年から7年以上経過したヘルメットは、外観に傷がなくても安全性が保証されないということです。中古で購入する際は、必ず製造年月を確認してください。ヘルメットの製造年はストラップ付近や内装の裏側に刻印またはラベルで記載されています。
また、内装が劣化したまま使用しているケースが多いのも中古品の問題です。内装のスポンジ・ウレタンは汗や皮脂で経年劣化し、フィット感が著しく低下します。前のオーナーの頭の形に合わせて内装が変形している可能性もあります。そのため、中古品を購入した場合は内装交換を前提に考えるのが現実的です。
内装交換のコストは前述のとおり、システム内装が約4,070円、システムパッドが約3,080円。2点合わせて約7,000〜8,000円が最低限の出費になります。価格が安いからといって中古を選んでも、結果的に費用がかさむことになります。厳しいところですね。
さらに、中古品では衝撃を受けた履歴があるかどうかわかりません。ヘルメットは一度でも強い衝撃を受けると、外観上は無傷でも内部のライナー材(衝撃吸収材)が破損している場合があります。こうした状態のヘルメットは、次の衝撃に対して十分な保護性能を発揮できません。アライをはじめ各メーカーは、落下・衝突後のヘルメットは外観に異常がなくても使用しないことを推奨しています。
中古RX-8を検討する場合は、以下のチェックリストを参考にしてください。
- ✅ 製造年月の確認(製造から7年以内が目安)
- ✅ 内装の状態確認(ヘタリ・臭い・変形がないか)
- ✅ 外装・帽体にクラック・傷がないか
- ✅ ストラップ・バックルの作動確認
- ✅ 前オーナーが落下・衝突させた履歴がないか(確認が難しい場合は購入自体を再考する)
参考リンク:バイクヘルメットの寿命・耐用年数の考え方について詳しく解説。アライの公式見解も紹介されています。
バイクヘルメットの寿命と耐用年数はどのくらい?何年使えるのか|ライダーズアカデミー
ヘルメット購入を検討するライダーが必ずと言っていいほど迷うのが「アライとショウエイ、どっちが自分の頭に合うか」という問題です。RX-8(現行後継:RX-7X)を含むアライのフルフェイスと、SHOEIのZシリーズ(Z-8など)には、サイズ体系と帽体設計に根本的な違いがあります。
最大の違いは帽体の種類です。アライはMとLが共通帽体ですが、SHOEIは各サイズごとに専用帽体を使用しています。これはつまり、SHOEIのLサイズはMサイズより外側も大きくなるということです。見た目のバランスを重視するなら、各サイズに最適化されたSHOEIが有利な場合もあります。
被り心地の違いも大きく異なります。アライの特徴は、内装が比較的薄めで適度に硬く、頭全体を包み込むようなスポーティなフィット感です。レカロのスポーツシートに座るような、体にしっかりフィットする感覚です。一方、SHOEIは内装が厚めでクッション性が高く、初めて被っても「柔らかく包まれる」感覚があります。
頭型別の簡易目安はこちらです。
| 頭の形 | アライ(RX-8/RX-7X) | SHOEI(Z-8等) |
|--------|---------------------|----------------|
| 真丸型(丸みが強い) | ◎ 非常によく合う | △ やや合いにくいことも |
| 標準型(日本人平均) | ○ 合いやすい | ○ 合いやすい |
| 長丸型(前後に長い) | △ 左右がきつくなりやすい | ◎ 合いやすい |
ただし、これはあくまで傾向です。同じアライでも、モデルによってシェル形状が微妙に異なります。RX-7Xは比較的オーバルな形状で、アストロGXはやや丸みが強いと言われています。モデルを問わず試着が最優先です。
アライのフィット感を一言で表すなら「圧倒的なホールド感」です。頭が遊ばず、高速走行時に安定感を得やすいため、スポーツ走行やサーキット志向のライダーに長年支持されています。フィット感に対してはシビアな評価基準が設けられており、それがアライのブランド価値の根本にあります。フィット感こそが命綱です。
どちらのメーカーにするか迷っている方は、まず両方を実際にかぶり比べることをおすすめします。頭の感触は言葉で説明しきれない部分が多く、自分でかぶってみるのが条件です。
参考リンク:アライとショウエイのサイズ・帽体・被り心地の違いを詳細に比較したページ。サイズ別帽体の一覧表付きで非常に参考になります。
アライとショウエイのヘルメットサイズ比較|帽体の大きさと選び方