チェーン張力とバイクの物理現象|駆動系の遊びが必須な理由

チェーン張力とバイクの物理現象|駆動系の遊びが必須な理由

チェーン張力とバイクの物理現象

チェーンをピンと張るとサスが全く沈まなくなります。


この記事の3つのポイント
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スプロケット軸間距離は変化する

リアサスの動きに応じて、前後スプロケット間の距離が伸縮し、チェーン張力に影響を及ぼす物理現象が発生します

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適切な遊びは20~30mm

チェーンには必ず遊びが必要で、張りすぎるとサスペンションが縮まず、ベアリングやスプロケットに過大な負荷がかかります

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張りすぎは転倒リスクに直結

チューブレスタイヤでは突起を踏んだ際にリムが曲がり、一瞬でエアが抜けて転倒する危険性があります

チェーン張力が変化する物理的メカニズム


バイクのチェーン張力は、走行中に刻一刻と変化しています。これはスイングアームが扇状に動くことで、エンジン側のドライブスプロケットと後輪側のドリブンスプロケットの軸間距離が変わるためです。


参考)チェーンの張り過ぎに注意!【ライドナレッジ038】


リアサスペンションが縮むほど、ほとんどのバイクでチェーンは張ってきます。パワフルなスーパースポーツや、サスストロークが長いオフロード系・アドベンチャー系ほどこの傾向は顕著です。


最も軸間距離が長くなるのは、一般的にサスペンションが3/4ほど縮んだ位置です。この位置で最適な張りに調整すると、通常時は弛んで見えます。


これがチェーンの遊びの正体です。



参考)チェーンの張り調整、張りすぎると何がどうなる? - Webi…


スイングアームピボットの位置や角度、スイングアームの長さによって軸間距離の変化量は異なります。


車種ごとに指定値が違うのはこのためですね。



チェーン遊び20mmが駆動系を守る根拠

チェーンには必ず20mm程度の遊びが指定されており、「遊び無し=0mm」という車両は存在しません。多くのバイクでチェーンの遊び範囲は15~35mm程度に設定されています。


遊びがないとサスペンションの動きによる軸間距離の変化を吸収できず、チェーンに伸ばそうとする力が加わります。ピンやローラーの摩耗が劇的に進行し、最悪の場合チェーンが切れる可能性があります。


オフセットスプロケットを使った車両では、シャフトとの連結部分に捻りの力が加わります。スプラインという溝部分がメチャクチャに摩耗し、交換にはエンジン分解が必要になります。工賃を含めると数万円から十万円超えの出費です。


スプロケットやスイングアームの軸を支えるベアリングにも強大な力がかかり、内部のボールやニードルが破損してバラバラになることもあります。


遊びがあれば回避できます。



チェーン張りすぎによるサスペンション機能停止

チェーンをピンと張った状態で車体を地面に接地させると、サスペンションが全く沈みません。人が跨ってもビクともしない状態になり、足つき性が著しく悪化します。


リアサスが沈まないと、ショックはすべてタイヤが吸収しなければなりません。突起物が大きいとホイールのリム部分を曲げてしまい、チューブレスタイヤでは一瞬でエアが抜けて突然転倒します。


バイクは普通に走るだけ、普通に曲がるだけでサスペンションが縮むように設計されています。張りすぎた状態では、コーナリング時にタイヤがグリップできず、安定した走行が不可能になります。


サスペンションが良く動いているからこそタイヤがグリップしていられます。体重が軽いから、ジャンプしないからという理由は関係ありません。


つまり日常走行で支障が出るということですね。



駆動力とスプロケット配置の物理関係

エンジン側ドライブスプロケット、スイングアームピボット軸、後輪ドリブンスプロケットの3点間の位置関係は、ピボット軸が高くなるよう設定されています。これはアンチスクワットという車体構成要素です。


駆動力が加わったとき、後輪のアクスルシャフトは距離の近い下側へ応力が働きます。多くのライダーが加速時にリアサスは沈むと思い込んでいますが、実際はジワッとテールリフトしようとしています。


スロットルを開けるとチェーン上側がピンと張り、下側が弛みます。減速時は逆に下側が張り、上側が弛む仕組みです。この張りの反転時に「ガクッ」「ドンッ」というショックが発生します。


駆動力が路面を効率よく蹴って安定して曲がれる能力をトラクションと呼びます。この基本機能が正常に働くには、適切なチェーン張力が不可欠です。


チェーン張力の点検タイミングと測定方法

シールチェーンの場合は2000kmに1回、ノンシールチェーンは500kmに1回の点検が推奨されています。チェーンのたるみが35mm以上になった場合は、距離に関係なく調整が必要です。


測定はフロントスプロケットとリアスプロケットの中間位置で行います。指でチェーンを上下に動かし、25~35mm程度の遊びがあるか確認してください。サービスマニュアルに指定数値が記載されているので、必ず確認しましょう。


参考)バイクのチェーン張り調整方法


リアサスを上から強く押してストロークさせたとき、チェーンがピンと張っていないかもチェックポイントです。この時点で張っていれば、走行中にサスが縮めなくなります。


左右スイングアームのチェーンアジャスター目盛りは、必ず同一に合わせます。ここがずれるとチェーンアライメントが狂い、偏摩耗や異音の原因になります。


ノギスを使うとより正確です。



バイクのチェーンメンテナンスに関する詳細情報は、以下のリンクが参考になります。シュアラスターの公式サイトでは、チェーン洗浄から注油までの具体的な手順を画像付きで解説しています。


バイクのチェーンメンテナンス方法 - シュアラスター

チェーン伸びが駆動ショックを増大させる理由

チェーンが伸びてくると、アクセルON/OFF時の駆動ショックが大きくなります。これは弛んでいるチェーンの張りが加減速で反転する際、「緩んでいる→ピンと張る」の差が大きくなるためです。


減速時はチェーン下側にマイナス方向の駆動力がかかりピンと張り、上側は弛みます。スロットルを開けた途端に駆動力が逆転し、上側が張って下側が弛むという物理現象が起こります。


毎日乗っていると変化を感じにくく、気づいた時にはデロデロに伸びていることがあります。ショックの度に駆動系に衝撃が加わり、ハブダンパークラッチダンパーが無駄に痛みます。


吸収しきれなかった衝撃は、ミッション内部、スイングアームピボット、最終的にはクランクシャフトまで伝わります。伸びたまま乗り続けると、チェーンやスプロケットだけでは済まないということですね。


チェーン張りすぎの判別症状と対処法

チェーンとスプロケットから、強い圧力で擦れているゴリゴリ音がする場合は張りすぎです。走行中のチェーン下側が全くブレずに常にピンピンしていたら、即座に調整が必要です。


ホイールに金属粉が付着している場合、かなりの確率で張りすぎです。スプロケットかチェーン、あるいは両方が削れており、既に大ダメージを受けています。洗車時にブレーキダストとは異なる金属粉を発見したら要注意です。


ホイールベアリングからキーキー音がしている症状も、張りすぎによるベアリング破損のサインです。エンジン側ドライブスプロケット駆動軸のベアリングに大きな負荷が加わり、耐摩耗性の寿命を縮めます。


これらの症状を発見したら、すぐにバイク屋さんに行って症状を伝えましょう。自分で調整する場合は、必ずサービスマニュアルの指定値内に収めてください。


適正な遊びがあれば問題ありません。



チェーンの張り調整に関する具体的な作業手順は、以下のリンクで詳しく解説されています。工具の使い方やトルク管理まで、初心者でも安全に作業できる内容です。


15分あればOK!チェーン調整のやり方をご紹介 - バイクノート

チェーン固着時の張力ムラと交換判断

チェーンの張り具合が場所によって違ってムラがある場合、ほぼ全てがチェーンリンクの一部が固着しているのが原因です。稀にスプロケットの真円度が悪くてブレていることもありますが、圧倒的にリンク固着が原因です。


リンクが固着して曲がったまま伸び切らなくなると、チェーン全体の周長が短くなります。これは潤滑用の油分がなくなって固着するほど状態が悪いという末期症状です。


この状態ではいつ切れても不思議ではない超危険な状態です。走行中にチェーンが切れると大暴れし、クランクケースを叩き割る可能性もあります。飛んでいった先に歩行者がいれば、全力でチェーンで殴ったのと同じ事態になります。


チェーンに場所による張力ムラを発見したら、すぐにチェーン交換してください。


伸びとか関係なしに即交換が必要です。


チェーンとスプロケットは同時交換が基本ですね。


チェーンが伸びる仕組みについて詳しく知りたい方は、以下のリンクが参考になります。ピンとブッシュの摩耗による隙間の広がりが、チェーン全体の伸びにつながるメカニズムを解説しています。


バイクのチェーンは「伸びる」って、どういうこと? - バイクニュース




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