

富士山一周ルートを「1日あれば余裕」と思っているライダーの8割が、帰路で日没を迎えて後悔しています。
富士山を一周するルートの総距離は、走るルートによって異なりますが、おおよそ110〜130kmが目安です。一般的には、山梨県側の河口湖・山中湖エリアと、静岡県側の朝霧高原・富士宮エリアをつなぐ形でぐるりと周回します。
距離だけ見ると「あっという間に終わりそう」と感じるかもしれません。しかし実際には違います。
富士山周辺は直線が少なく、ワインディングロードや信号のある観光地が点在するため、平均速度は思いのほか上がりません。純粋な走行時間だけで3〜4時間、休憩・観光・食事を含めると最低でも6〜8時間を見ておく必要があります。
出発は遅くとも午前9時までに設定するのが基本です。特に秋〜冬シーズンは日没が早く、山中で暗くなると路面の見通しが悪くなり危険度が増します。
代表的な周回ルートはこのような構成になります。
反時計回りが基本です。朝の光を背に受けながら走れるため、写真映えも格段に上がります。
ルートを把握したら、次は立ち寄りスポットの選別です。欲張って全部回ろうとすると時間が足りなくなります。優先度の高い5か所に絞るのが現実的です。
① 山中湖(パノラマ台)
標高1,137mのパノラマ台からは、山中湖と富士山を同時に望む絶景が広がります。駐車場は無料で、バイクも停めやすい広さがあります。朝の空気が澄んでいる時間帯が特におすすめです。
② 白糸ノ滝(富士宮市)
国の名勝・天然記念物に指定された滝で、幅150m・高さ20mという規模は東京ドームのグラウンドをゆうに超える壮観さです。駐車場から徒歩5分程度でアクセスでき、夏場は涼しさもあってライダーに人気のスポットです。
③ 朝霧高原(道の駅 朝霧高原)
富士山を正面に見ながら走れる絶景区間の中継地点です。道の駅では地元産の牛乳やソフトクリームが有名で、休憩ついでに補給できます。眼前の富士山との距離感が近く、ここが「富士山一周の主役区間」と言うライダーも少なくありません。
④ 本栖湖
千円札の裏側に描かれている富士山の構図が見られる撮影スポットとして有名です。湖畔の遊歩道を少し歩くと「中ノ倉峠展望台」があり、あの構図をそのまま再現した写真が撮れます。
⑤ 富士山本宮浅間大社(富士宮市)
全国に約1,300社ある浅間神社の総本社です。ライダーの交通安全祈願スポットとしても知られており、ツーリング参拝に訪れるライダーも多くいます。境内の湧玉池は富士山の雪解け水が湧き出す天然の池で、見る価値があります。
これは使えそうです。5か所すべて回ると2〜3時間は消費するため、出発時間との兼ね合いで取捨選択してください。
バイクライダーが見落としがちなのが、富士山周辺のガソリンスタンドの少なさです。
特に問題になる区間は、富士宮から朝霧高原を抜けて本栖湖・精進湖方面に向かう国道139号線沿いです。この約30kmの区間には営業中のスタンドがほぼなく、燃料に余裕がない状態で進むとガス欠のリスクが現実になります。
小排気量車(125cc〜250cc)でタンク容量が10L以下のバイクは特に注意が必要です。
対策はシンプルです。
燃料管理が条件です。ツーリング全体の中でも特に優先度の高い準備事項の一つです。
富士山一周ルートは、標高約800mの河口湖・山中湖エリアから、標高約50mの富士市・富士宮市の平野部まで、標高差が700m以上あります。標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がるのが一般的です。単純計算で4〜5℃の差が生まれますが、体感ではさらに大きく感じることが多いです。
夏の富士山麓は油断しがちですね。
平地で気温30℃の真夏日でも、山中湖・パノラマ台エリアでは24〜25℃程度になることがあります。走行風が加わればさらに体感温度は下がります。薄手のウィンドブレーカーや、インナーダウン・メッシュジャケットに取り外し可能なライナーを組み合わせた装備が現実的です。
季節ごとの装備の目安は以下のとおりです。
グローブとシューズは季節を問わず防風性能のあるものを選ぶと安心です。手足の冷えはライダーの集中力と反応速度に直結するため、軽視しないことが大切です。
一般的なライダー向けツーリング記事では「河口湖スタートで反時計回り」が定番として紹介されています。しかし実際には、季節・時間帯・天候によって最適なスタート方向は変わるというのがポイントです。
これは意外ですね。
たとえば夏の午後は、朝霧高原から河口湖方面にかけて午後2〜3時ごろから夕立・局地的豪雨が発生しやすい傾向があります。このため、午前中に朝霧高原エリアを通過する「時計回り(富士宮方向から先に向かう)」スタートにすることで、雨雲と出会うリスクを大幅に下げることができます。
また、早朝スタート(午前6〜7時出発)には複数のメリットがあります。
早朝スタートが原則です。特に連休シーズンは昼以降に国道138号・139号が観光渋滞になることも多く、早出することで渋滞を完全に回避できます。
天気予報の確認はYahoo!天気の「雨雲レーダー」が役立ちます。1時間ごとの雨雲の動きをリアルタイムで把握でき、出発前夜のルート調整に活用できます。
参考:富士山周辺の道路交通情報・規制情報は国土交通省の道路情報提供システムでも確認できます。
国土交通省 道路局 – 道路情報・規制情報
富士山スカイラインの通行規制(夜間閉鎖・マイカー規制)については公式情報を必ず事前確認してください。