

タミヤ1/6スケールのZ1300プラモデルは、現在すでに生産休止となっており、メルカリでは未開封品が2万円超で取引されています。
カワサキZ1300は1979年に国内販売が開始された、当時の国産バイクとしては最大の排気量を誇る怪物マシンです。排気量1286ccの水冷並列6気筒DOHCエンジンを搭載し、最高出力120psを発生、最高速度は220km/hを超えるというスペックは、同時代の4気筒バイクが90ps前後だったことを考えると、まさに次元の違うモンスターでした。
実はZ1300の開発は、Z1(900 Super4)発売の翌年にあたる1973年から「コードナンバー203」として秘密裏にスタートしていたことはあまり知られていません。開発期間は実に5年以上にわたり、その間に2stスクエア4やツインロータリーエンジンといった別のフラッグシップ候補が排ガス規制の壁に阻まれてお蔵入りになるなど、様々な紆余曲折がありました。
エンジン形式は当初6連キャブが検討されましたが、最終的には2バレル×3連キャブレターという形に落ち着いています。シャフトドライブの採用もこのバイクの大きな特徴で、実はこのシャフトドライブの技術は自動車メーカーのいすゞから請け負っていたトラック用設備をそのまま流用したという、バイクファン界隈でも意外と知られていないエピソードがあります。
発売当初、西ドイツではZ1300の120psというスペックに驚いた政府が急遽100馬力規制を施行し、ドイツ仕様だけ99psにデチューンされるという事態も起きました。それだけ強烈なインパクトを世界に与えたバイクだったわけです。
車両重量は装備重量で325kgと、フルタンクにライダーが乗れば400kgに迫る重量になります。まさにロングツーリングに特化した「グランドツアラー」として誕生したZ1300は、1983年にZG1300Aへとモデルチェンジし、最終的に1989年まで生産が続けられました。
このような歴史的バックグラウンドを持つZ1300は、実車の熱狂的なファンが多いのはもちろん、バイクのプラモデル界隈でも特別な存在感を放つキットとなっています。
参考:Z1300の開発経緯や歴史的背景が詳しく解説されているサイト
独走のレジェンダリー6 Z1300/KZ1300 系譜と背景 - バイク系譜
Z1300のプラモデルキットは、実車の高い人気に反してラインナップが非常に限られていることで知られています。これが意外ですね。
現在入手を検討できるキットは主に以下の種類です。
| メーカー | スケール | 品番 | 内容 | 定価(税込) |
|---|---|---|---|---|
| タミヤ | 1/6 | 16019 | Z1300 フルモデル | 12,100円(生産休止) |
| タミヤ | 1/6 | 16020 | KZ1300Bツーリング フルモデル | (生産休止) |
| タミヤ | 1/6 | 16023 | Z1300 エンジン単体(展示台付) | 4,400円(特別販売) |
| 童友社(元:日東科学) | 1/8 | — | Z1300 欧州仕様・KZ1300 北米仕様 | (生産終了・中古のみ) |
タミヤの1/6フルモデル(品番16019)は完成時の全長が390mmにも達するビッグスケールキットで、現在は生産休止扱いになっています。メルカリやヤフオクでの落札相場を見ると、未開封品で2万円前後、中古組み立て済みでも8,000円〜15,000円程度での取引が確認されています。タミヤの公式ページにも「生産休止」と明記されている状態です。
一方、エンジン単体キット(品番16023)は2017年11月に「特別販売商品」として再販され、4,400円という比較的手頃な価格で入手した人が多いです。こちらもタミヤ公式では「特別販売商品」の扱いとなっており、常に在庫があるわけではありませんが、フルモデルに比べると入手難易度は下がります。
童友社版(元:日東科学製)の1/8キットは、欧州仕様のZ1300と北米仕様のKZ1300の2種類が存在します。ただし注意が必要なのは、童友社版の組立図がKZ1300の図面をそのまま流用しているため、説明書の名称がZ1300と異なるケースがある点です。デカールの劣化も進んでいるため、購入前の状態確認は必須です。
初めてZ1300のプラモデルを作るなら、まずエンジン単体キット(16023)でメッキパーツの処理や塗装を練習するのがおすすめです。フルモデルはパーツ数が多く難易度も高いため、エンジンキットで腕試しをしてからフルモデルに挑戦するというルートが、完成度を高めやすいです。
参考:タミヤ公式のZ1300エンジンキットの詳細スペックと製品情報
タミヤ 1/6 カワサキZ1300 エンジンキット 公式ページ
Z1300プラモデルの製作で最初に壁にぶつかるのが、メッキパーツの処理です。これは必須です。
タミヤの1/6キットにはクロームメッキとアルミメッキの2種類のメッキパーツが豊富に使われています。見栄えはとても良いのですが、メッキのままでは通常のプラモ用接着剤が効かないという問題があります。ランナーから切り取った断面もメッキが剥がれた状態になるため、そのまま組み立てると継ぎ目が目立つ原因になります。
メッキの剥がし方には主に2つのアプローチがあります。1つ目は、ハセガワが販売している「模型用メッキはがし剤」にパーツを1〜2日漬け込む方法です。手間はかかりますが確実に剥がせます。2つ目は、塩素系漂白剤(キッチンハイター)に漬け込む方法で、こちらは比較的短時間でメッキが落ちますが、プラスチック本体へのダメージに注意が必要です。
実際にZ1300を製作したモデラーの記録によれば、メッキを剥がした後にタミヤの「アルミシルバー」や「クロームシルバー」で再塗装すると、見た目を維持しながら接着もきれいにできます。全パーツを剥がさず、接着箇所だけ部分的にメッキを落として「セメダインSUPER X」系の接着剤でつなぐという方法も有効です。つまり場面に応じた使い分けが条件です。
塗装の順序については、次の流れが基本です。
エアブラシがあると仕上がりは格段に上がりますが、筆塗りでも「薄く重ねる」原則を守れば十分きれいに仕上げられます。筆塗りの場合は、塗料を牛乳程度の粘度に薄めて一定方向に塗り、完全乾燥後に重ねるのがコツです。重ね塗り2〜3回で本来の発色が出てきます。
製作中のトラブルとしてよく報告されているのが、ケーブルパーツの径の不一致です。実際の製作記録では、ハンドルからキャブレターに繋ぐケーブルが外径φ1.0mmしかなく、ガイド穴に通らないというトラブルが起きています。その場合は別売りのタミヤ製φ1.2mmパイピングケーブルで代用するのが確実な対処法です。これは使えそうです。
参考:プラモデルのメッキパーツ処理の詳しい解説
プラモデルのメッキパーツ処理「メッキの剥がし方」徹底解説
Z1300最大の見どころは、何といっても水冷並列6気筒DOHCエンジンのプラモデル上での再現度です。
タミヤの1/6スケールキットは、エンジン本体だけでなく、ラジエター、エアクリーナー、シャフトドライブの駆動系まで丸ごとモデル化しています。1/6スケールは原寸の6分の1、つまり実物の全長がおよそ2,300mmとすると模型の全長は約390mm。これはA4用紙(297mm)より長い、かなりの迫力サイズです。
エンジン部分に注目すると、実車の3連2バレルキャブレター(計6連の吸気口)が精巧に再現されており、小さなボルト類からヘッドカバーの複雑な造形まで、実車を知るライダーが見ても唸るレベルの再現度があります。
さらに注目したいのが、エンジン単体キット(16023)の構成です。このキットには展示台が付属しており、エンジンを単独で飾ることができます。展示台へはビスとナットで固定する本格的な構造で、プラモデルを完成させた後もエンジンの造形美を間近で楽しめる点が、バイク乗りのモデラーから特に好評です。
ラジエターのストーンガードには実際の金属ネットが採用されており、ドライブシャフトのブーツには合成ゴム部品が使われています。こういった異素材の混在がリアリティを高めています。意外ですね。バイクのプラモデルでここまで素材にこだわったキットはなかなかありません。
実車のZ1300が持つシャフトドライブ特有のデザインも、キット上でしっかり再現されています。通常のチェーンドライブとは異なり、シャフトドライブ機構の複雑な構造をプラモデルで組み立てながら学べるという点は、実際にZ1300やシャフトドライブ車に乗っているライダーにとって特別な楽しみになるでしょう。
6気筒エンジンのプラモデルは世界的に見てもラインナップが希少です。市販バイクで直列6気筒を搭載した量産車は、Z1300、ホンダCBX1000(1979年)、そしてイタリアのベネリ・セイ(1972年)の3機種のみとされており(量産バイクの直6として)、その希少性がプラモデルとしての付加価値をさらに高めています。
Z1300プラモデルをこれから入手しようと考えているなら、中古市場を中心に動くのが現実的です。
ヤフオクの過去120日分の落札データによると、タミヤ製z1300関連キットの平均落札価格は約11,000円前後で推移しています。未開封品のフルモデル(16019)は2万円を超えるケースもあり、KZ1300Bツーリングモデルは2万円台後半での取引も見られます。状態の良い中古品を根気よく探すのが、出費を抑えながら入手するための鍵です。
メルカリでは「タミヤ 1/6 カワサキZ1300」で検索すると、エンジン単体キット(16023)の未組み立て品が8,000〜15,000円程度、フルモデルの未組み立て品が1万5,000円〜2万円超で出品されています。組み立て途中の中断品も時々出品されており、パーツの欠損さえなければリーズナブルに入手できる可能性があります。
プラモデルの楽しみ方として、バイク乗りならではの独自の視点があります。それは「実車と見比べながら作る」というアプローチです。実際にZ1300のオーナーやZ系旧車ユーザーの中には、キット製作中に実車の写真や当時のカタログを並べながら塗装色や仕様の差異を確認し、ディテールアップを楽しむ人がいます。たとえばエンジンブロックの塗装色をサービスマニュアルの色指定に合わせたり、北米仕様と欧州仕様で異なる細部(ウインカーの形状、タンクストライプの違いなど)を忠実に再現するといったカスタム的な楽しみ方です。
また、プラモデルをケースに飾るだけでなく、完成品を自分のガレージやバイク部屋の「インテリア」として活用するのも近年増えている楽しみ方のひとつです。実車を手放せない、あるいは実車は維持費が高くて持てないという状況でも、精密なプラモデルは「あのバイクへの憧れ」を形にする手段になります。
買取市場においてもZ1300のプラモデルは評価されており、和歌山県内の中古プラモデル買取業者のリストには「1/6 カワサキ Z1300 タミヤ」が「買取強化中」として名指しで掲載されているほどです。これは価値が認められているということですね。大切に保管しておいた未組み立て品は、将来的に価値が下がりにくいコレクターズアイテムになる可能性を持っています。
Z1300のプラモデルは「作って楽しむ」だけでなく「コレクションとして所持する」という価値も年々高まっています。バイク乗りとして、実車では乗ることのできない伝説の1台を手のひらサイズで味わう——そんな特別な体験を、このキットは提供してくれます。
参考:タミヤ公式のZ1300フルキット製品情報と模型要目
タミヤ 1/6 カワサキZ1300 フルキット 公式製品ページ