

エンジン回転を上げると車体が不安定になると思っていませんか?
バイクのエンジン内部では、ピストンが爆発エネルギーによって激しく上下運動をしています。しかし、この上下運動だけではタイヤを回すことができません。そこで登場するのがクランクシャフトで、ピストンの上下運動を回転運動に変換する重要な役割を担っています。
参考)https://ameblo.jp/ducatihamamatsu/entry-12547427275.html
市販バイクの多くは、横置きエンジンの場合、車体を右側から見た時に右回り(時計回り)が主流です。これは排気量や気筒数、エンジン形式に関わらず、昔から採用されてきた標準的な回転方向となっています。
クランクシャフトはエンジンの構成パーツの中で最も重く、例えば中型バイクでは9kg以上、大型では20kgにもなる重量物です。この重量物が高速で回転することで、様々な物理現象が発生します。
参考)https://ridersclub-web.jp/column-756640/
ジャイロ効果とは、高速で回転する物体が回転軸をその場に維持しようとする力のことです。バイクの場合、前後の車輪とクランクシャフトがこの効果を生み出す主要な部品となっています。
エンジンの回転数を上げると、クランクシャフトが高速で回転するため、ジャイロ効果が強まります。その結果、車体の安定感が増すという効果が得られます。高速道路で横風を受けた際、1速低いギアで回転数を1000~2000rpm高めに保つと、ジャイロ効果によって車体が安定し、煽られにくくなります。
これは覚えておけばOKです。
参考)バイクの安定感を高めて横風を受け止める!! - BikeJI…
一方で、エンジンが高回転になればなるほど、コーナーでバイクをリーンさせる時に重く感じます。
つまり曲がりにくさに繋がるということですね。
並列4気筒エンジンは単気筒と比べてクランクシャフトが長いため、ジャイロ効果の影響が大きくなります。
スロットルを開けてエンジンの回転数が上昇する時、クランクシャフトという重量物の回転数を上げようとすると、車体に対して回転方向と逆の力(反力)が生じます。この反作用は、大パワーでピックアップの良いエンジンほど顕著に現れます。
参考)現代バイク用語の初心者講座【逆関数クランクシャフト】 - B…
正回転クランクのバイクでは、この反作用が車体の後ろ側を下に押し下げる方向に働きます。
つまり、前輪が浮きやすくなるということです。
急加速時にウイリーしやすいのは、パワーの立ち上がりだけでなく、クランクシャフトの回転モーメントも影響しているんです。
参考)https://ridersclub-web.jp/column/motorcycle-life-756640/
スロットルを戻してエンジン回転が下がる時も、同様に反力が発生します。エンジンブレーキをかけた際の車体の挙動にも、クランクシャフトの回転による物理現象が関わっています。
参考)【Q&A】「逆回転クランク」って、ナニが「逆」?「逆」だとど…
逆回転クランクシャフトとは、通常のバイクとは逆方向(車体右側から見て反時計回り)にクランクを回転させる技術です。MotoGPのマシンやドゥカティ、MVアグスタなどの高性能バイクで採用されています。
逆回転クランクの最大のメリットは、前後輪の回転方向とクランクの回転方向が逆になることで、ジャイロ効果をある程度相殺できる点です。これによりハンドリングが軽くなり、マシンの向きを変えるのが早まります。
クイックな旋回ができるということですね。
参考)BMW F750GS/試乗レポ「逆回転270度クランクが心地…
また、加速時の反作用が車体のクランクシャフトより前側を路面に押し付けるように働くため、ウイリーを抑制できます。
パワーを有効に使いやすくなるのが原則です。
ただし、理論上は逆回転クランクシャフトはコーナーにおけるアンダーステアが増え、コーナーの出口でワイドにはらんでしまう可能性があります。これはライダーがコーナーの出口でアクセルを開けられないという課題につながります。
ドゥカティの逆回転エンジンに関する詳しい技術解説(ドゥカティ浜松)
日常的なライディングにおいて、クランクシャフトの回転による物理現象を意識することで、より安全で快適な走行が可能になります。特に高速道路での横風対策として、エンジン回転数を活用する方法は実用的です。
通常は4速や5速で走行しているところを、あえて1速低いギアに入れることで、エンジン回転数が1000~2000rpm程度高くなります。これにより、クランクシャフトの回転によるジャイロ効果が強まり、車体の安定感が増します。ただし、あまり高回転だとスロットルのわずかな開閉でギクシャクするため、この程度の回転数アップが安全です。
一方で、ワインディングロードなどでのスポーツライディングでは、高回転域を多用するとコーナリング時にバイクが重く感じられ、曲がりにくさを感じることがあります。低回転域を活用したスムーズなライディングを心がけると、より軽快にコーナーを曲がれます。
これは使えそうです。
気筒数によってもジャイロ効果の影響が異なります。単気筒エンジンよりも並列4気筒エンジンの方がクランクシャフトが長く、ジャイロ効果の影響が大きくなります。自分のバイクのエンジン特性を理解しておくことで、それぞれの状況に応じた最適なライディングができるでしょう。