

あなたの常識どおりに走ると今年のマン島では命より財布が先に削れます。
2025年のマン島TTで、一番バイク乗りの常識を裏切ったのは「シニアTTが走られなかった」という事実です。
「最終日にシニアTTを見るために現地入りすればOK」と考えていた人ほど、今年は高い飛行機代と宿泊費を払ってメインディッシュを食べ損ねた形になりました。
つまり「シニアTTだけ狙い撃ち観戦」は、10万円単位の旅費をドブに捨てるリスクがある、ということですね。
今回の中止理由は、雨ではなく「強風による危険性」です。
参考)2025マン島TTレースレポート:稀にみる天候不順にシニアT…
路面は乾いていたのに、マーシャルと主催側はマウンテンセクションでの横風リスクを重く見てレースキャンセルを決定しました。
参考)2025年マン島TT、史上2回目のシニアTTキャンセルで閉幕…
日本のサーキット走行会しか経験がないライダーほど「走れる路面ならOK」と考えがちですが、公道レー スでは風向きひとつで死亡リスクが桁違いに跳ね上がります。
結論は「マン島TT観戦は、最終日の一発勝負に予定を絞るのはダメ」です。
観戦プランのリスクだけでなく、ライダー側の準備も丸ごと無駄になる可能性があります。
ワークス待遇のスター選手でさえ、数週間の滞在費やテスト走行、マシン運搬などを積み上げると、1回のイベントで数百万円規模のコストがかかると言われています。
参考)https://motorcyclesports.net/ja/isle-of-man-tt-2025-the-results-ja/
そのうえで「走れない日」があるのがマン島です。
天候前提の現地観戦とエントリーは、外れを引くと高額な授業料になるということですね。
こうしたリスクを下げるには、現地観戦なら最低でも決勝ウィーク前半から入り、複数クラスを狙う組み立てが有効です。
参考)Isle of Man TT 2025 Results
走行予定や中止情報は公式アプリやサイトで頻繁に更新されるため、スマホで「セクターごとのコンディション」を確認できる環境も欲しくなります。
リスクに備えたいなら、航空券やフェリーを「日程変更可」のプランにするのもひとつの手です。
フットワークと情報チェック、この2つだけ覚えておけばOKです。
2025年のマン島TTは、シニアTTこそ中止だったものの、各クラスで「常識外れ」の数字が次々と更新されました。
スーパーバイクTTではBMW M1000RRに乗るデイビー・トッドが、4周のレースを1時間8分20秒628で走り切り、平均時速は132.495mph、約213km/hに達しています。
日本の高速道路を時速100km/hで巡航している感覚からすると、2倍以上のスピードで「公道を1時間以上」走り続ける計算です。
これはまさに、公道レースというより「時速200km/hのラリー」ということですね。
スーパースポーツクラスではマイケル・ダンロップが連勝し、通算勝利数を32まで伸ばしました。
参考)2025年マン島TT決勝3日目「スーパースポーツ」は鉄人ダン…
レース2では平均速度127mph超(約204km/h)のラップを重ね、4周合計で約240kmの距離を1時間50分前後で走破している計算になります。
感覚的にいえば、「東京から名古屋までをほぼ信号なしで一気に走り抜ける」ようなイメージです。
数字だけ聞くとピンときませんが、距離と時間に置き換えると異常さがよく見えますね。
さらにスーパーツインでは、ダンロップが自身の通算勝利を33に伸ばし、TT通算50回の表彰台という前人未到の記録に到達しました。
スーパーツイン2レースでは、最終ラップで123.056mph(約198km/h)の新ラップレコードを叩き出し、2位に26.775秒差という大差での勝利です。
1周約60kmのマウンテンコースで30秒近く差をつけるのは、一般公道で言えば前の車が完全に「見えなくなる」レベルの差です。
圧倒的というより、別カテゴリーと言っていい支配力ですね。
サイドカーTTでは、クロウ兄弟が120mph超(約193km/h)の平均速度でラップレコードを更新し、1分17秒もの大差をつけて勝利しました。
参考)2025 Isle of Man TT Results (U…
ライダー1人+パッセンジャー1人の2人体制で、車体を左右に振りながら東京ドームを数十周するような速度域です。
日本の峠でタンデム走行を経験したことがある人ほど、この数字の異常さがわかるはずです。
速度と距離のイメージがつかめると、マン島TTのリスクもよりリアルに感じられますね。
公式サイトや大手メディアはクラス別リザルトを一覧で公開しているため、観戦前に「誰がどのクラスで速いのか」を把握しておくと楽しみ方が変わります。
数字に強い人なら、平均速度やラップタイムを元に「自分が同じ距離を走るなら何時間かかるか」を逆算してみるのも面白いでしょう。
自分のツーリングペースと比べれば、プロの異常さが一瞬でわかります。
リザルトを一度じっくり眺めておくのが基本です。
マン島TT 2025 全クラスのリザルトとラップレコードの詳細がまとまっています。
Cyclenews 2025 Isle of Man TT Results(英語・全結果一覧)
バイク乗り目線で外せないのが、日本人ライダー・山中正之選手の挑戦です。
2025年はスーパーツインTTのレース1とレース2に出場し、レース1は周回数が3周から2周に短縮される中で41分20秒867、平均109.500mph(約176.2km/h)で32位完走。
レース2ではフルディスタンス3周で1時間2分24秒672、平均108.817mph(約175.1km/h)を記録し、25位完走を果たしました。
日本国内のサーキット経験があるライダーでも、この平均速度を聞くと「想像がつかない」と感じるはずです。
プロに混じって完走している時点で、レベルの高さは察せられますね。
しかし、もっと現実的なインパクトがあるのは「マン島参戦にかかる費用」と時間です。
スポンサードがあるとはいえ、日本からマシン・メカニック・本人が渡航し、2週間以上現地で滞在するだけでも、旅費・輸送・保険・テスト走行費を合計すれば数百万円規模になるケースが少なくありません。
一般のフルカスタムSSを2台は組める額が、1イベントの挑戦費用として消えていくイメージです。
挑戦する側には、時間的にも金銭的にも大きな覚悟が要るということですね。
あなたが社会人ライダーなら、「マン島の観戦やパレードラップに行こう」と考えた場合でも、長期休暇と予算の確保は避けて通れません。
参考)やっぱり雨か…… とにかく天気に翻弄された5日間 【マン島T…
5月末から6月上旬にかけて2週間の休みをまとめて取るのは、日本の会社員にはかなりハードルが高い話です。
そこで現実的な選択肢として、パドックパスや屋根付き観戦席よりも「現地民家のホームステイ+路肩観戦ポイント」を組み合わせてコストダウンする方法が使われています。
現地の宿泊スタイルを調べるのが条件です。
リスクの高い公道レースだからこそ、山中選手のような日本人参戦者は、装備面にもかなり投資をしています。
エアバッグ付きレザースーツ、FIM認証のフルフェイス、通信機能付きのインカムなど、日本国内のサーキットでもそのまま使える装備が中心です。
「いつか海外サーキットにも行きたい」と思っているなら、マン島仕様を意識した装備選びを国内ツーリングから始めるのも悪くありません。
装備投資は命と健康を守る保険料ということですね。
山中選手のラップタイムや参戦レポート、日本からの挑戦の経緯が詳しく紹介されています。
Young Machine 山中正之選手 マン島TT2025レポート
2025年のマン島TTは、予選ウィークから決勝まで「とにかく天気に振り回された」年として語り継がれるレベルでした。
予選走行はほぼ半分が中止または短縮され、決勝レースも一部は周回数減、そして前述のとおりシニアTTは強風のため中止。
日本のロードレースイベントの感覚で「多少の雨でもやるでしょ」と思っていると、現地で1日中待たされて結局何も走らない、という事態になります。
厳しいところですね。
具体的には、スーパーバイクやスーパーストックの一部レースが2周短縮されるなど、想定していた燃費計算やタイヤの使い方が丸ごと変わる事態も発生しました。
ライダーとチームは、朝のブリーフィングで走行可否や周回数の変更を知らされ、短時間で戦略を組み直さなければなりません。
サーキットレースに慣れたライダーほど「事前に決まったレース距離」を前提に準備しますが、マン島ではその前提が簡単に崩れます。
マン島では柔軟さが原則です。
観戦側にとっても、この天候不順はそのまま「お金」と「時間」のロスになります。
せっかく有料観戦席を押さえても、その日のレースが中止・短縮になれば、長時間の待機と移動時間だけが残ります。
ツーリングライダーがマン島に行くなら、「走り」と同じくらい「待ち時間」をどう楽しむかを考えておく必要があります。
つまり、観戦も耐久戦ということですね。
このリスクを減らすために、近年はライブ配信やオンデマンド配信を組み合わせる観戦スタイルも増えています。
現地に行くかわりに、自宅やガレージで大型モニターに配信を映し、仲間と一緒に「夜の耐久観戦」をする人もいます。
旅費数十万円を配信サブスクとリプレイ視聴に振り替えるイメージです。
配信と現地観戦のバランスを考えるのが条件です。
予選ウィークの天候推移と、それに伴うスケジュール変更の実例が写真付きで解説されています。
carview! やっぱり雨か……天気に翻弄されたマン島TT2025
ここからは検索上位にはあまりない、「マン島TT2025の結果を日常の公道ライディングにどう生かすか」という視点で見ていきます。
一見別世界に思える135mph(約217km/h)や120mph(約193km/h)のラップ記録も、「どの場所で速度を落としているか」「どこをトレースライン重視で走っているか」を観察すると、公道ツーリングで役に立つポイントが多くあります。
たとえば、マウンテンセクション手前の高速区間ではブラインドクレストを目前に必ず速度を落とし、視界が開けるポイントで一気に加速しています。
つまりマン島のトップライダーも、「見えないところは無理しない」という基本に忠実です。
また、路面コンディションの読み方は、そのまま日本のワインディングにも応用できます。
参考)RST x D3O スーパーバイクTT デイビー・トッド劇的…
2025年のマン島TTでは、ディーゼル燃料の漏れや局所的な路面温度差が問題となり、一部区間でグリップが極端に落ちました。
トップライダーでも「ラインを数十センチずらす」「1段ギアを上げてトルクをマイルドにする」といった対処で、スリップリスクを減らしています。
マン島のリスク対処は、峠の路面の読み方にも直結するということですね。
もうひとつ注目したいのが、「集中力の配分」です。
1レースで60km×数周=200km以上を走るマン島では、途中のピットストップや速度制限区間で意図的に脳を休める工夫が見られます。
ツーリングでも、長距離の高速移動では1時間ごとにサービスエリアなどで5分だけヘルメットを脱ぐだけでも、事故リスクをかなり下げられるはずです。
集中力を「使い切らない」走り方が大切です。
装備の選び方も、リザルトやクラッシュレポートを読むと考え方が変わってきます。
エアバッグ付きレザースーツやプロテクション性能の高いグローブ、ブーツは、「転ばない前提」ではなく「転ぶ前提」で選ばれています。
日本のツーリングでも、速度は低くてもガードレールや縁石との接触リスクは同じです。
結論は「自分の走りより1ランク上のレベルを想定した装備を選ぶべき」ということですね。
最後に、情報収集の習慣もマン島TTから学べます。
リザルトやオンボード動画を定期的にチェックしていると、ライン取り・ブレーキングポイント・コーナーの繋ぎ方など、ライダーとしてのイメージトレーニングになります。
ツーリング前夜に好きなクラスのオンボードを1本だけ見ておくだけでも、翌日の走りの「目線」が変わるはずです。
これは使えそうです。
マン島TTのオンボード映像や解析記事が多数まとまっており、ライン取りや視線の使い方の参考になります。
Goodwood Isle of Man TT 2025 Results & Onboard