

50cc以下のサイドカーは人を乗せたら違反です。
サイドカーTTレースは、マン島で1923年から開催されている世界最古のサイドカー競技です。当初は500ccクラスから始まり、1925年まで一旦終了しましたが、1954年に再開されました。現在は600cc四気筒、675cc三気筒、900cc二気筒のエンジンが搭載可能で、多くのエントラントは600cc四気筒エンジンを使用しています。
参考)【2012 マン島TTレース】 第9回 60kmの難コースに…
これが基本ルールです。
レースの最大の特徴は、ドライバーとパッセンジャーの二人乗りで時速200km以上の速度で公道を走る点にあります。パッセンジャーは単なる同乗者ではなく、車体のバランサー兼重りとして重要な役割を担っています。左カーブでは車体越しに身を乗り出し、右カーブではサイドカー部分のタイヤカバーの上に乗って荷重をかけるのです。
シートベルトは一切ありません。
時速200km以上で走行中も、パッセンジャーはヘルメットを路面に擦り付ける寸前まではみ出して荷重をかけます。この常軌を逸した運転スタイルが、サイドカーTTを世界で最もスリリングなモータースポーツの一つにしています。2025年のレースでは、ベン・バーチャル選手とトム・バーチャル選手の兄弟コンビが平均時速193km(119.9mph)で優勝し、通算14勝を記録しました。
参考)2023【マン島TT 現地速報!】10日目 サイドカーTT&…
サイドカーを運転するには、排気量に応じた免許が必要になります。50cc以下のサイドカーは原付免許で運転できますが、定員が1名のため側車に人を乗せることは禁止されています。荷物の積載は許可されているので、愛犬や荷物を載せてのツーリングは可能です。
参考)https://m-bike-mk.com/column/useful/moped-sidecar-law/
50cc超125cc以下なら普通自動二輪免許が必要で、高速道路の走行は不可です。125cc超400ccのサイドカーは普通自動二輪免許またはAT限定普通自動二輪免許で運転でき、高速道路も走行可能になります。400cc超は大型自動二輪免許が必要で、こちらも高速道路を走行できます。
つまり排気量次第ということですね。
なお、側車が切り離せないタイプのサイドカーは「三輪車」扱いになり、普通自動車免許で運転できます。一方、側車を切り離して走行可能なサイドカーは「側車付二輪自動車」として扱われ、バイクの免許で運転する必要があります。購入前に車検証で車両区分を確認しておくと安心です。
サイドカーの免許区分と保険について詳しく解説されています(チューリッヒ保険)
サイドカーは左右非対称で重心が偏っているため、通常のバイクとは全く異なる運転技術が求められます。最大の特徴は、加速すると左(側車側)に曲がろうとし、減速すると右(本車側)に曲がろうとする点です。この特性を理解して活用することが、スムーズな運転の鍵になります。
参考)https://www.zurich.co.jp/motorbike/guide/cc-whatis-sidecar-license/
左カーブでは、コーナー手前の直線部分でバイク運転時の半分くらいまで減速します。十分に減速してからアクセルを少し開けると、加速時に車体が左に曲がっていく特性を利用でき、より曲がりやすくなります。リアブレーキを80%くらいの感覚で使うと車体が安定します。
右カーブはより慎重な操作が必要です。
ハンドルを右に切り、アクセルオフで減速しながら曲がると、減速で車体が右に曲がっていく特性を利用できます。特に注意すべきは、サイドカーに人が乗っていない状態で右コーナーをスピードを出しすぎると、サイドカー側のリアタイヤが浮いてコントロールを失う危険があることです。曲がり始めたらブレーキはかけず、アクセルオフで減速するのが原則です。
参考)サイドカー最高か!【その3】~傾かずに曲がるって、こんなに大…
💡 右コーナー対策の基本
右コーナーでの側車タイヤ浮き上がりは、カー側に重心を寄せることで防げます。一般的には、本車のバッテリーをカーに移設したり、錘(おもり)を積んだりして対処します。また、側車に同乗者がいる場合は浮き上がりのリスクが大幅に減るため、複数人でのツーリングでは安定性が向上します。ただし、定員を守ることと、コーナー前の十分な減速は必須です。
サイドカーを導入するには、側車本体、取り付け・改造、構造変更・登録、仕上げと付帯装備の4つの費用が必要です。総額の相場は100万〜300万円で、キャビン付きの大型モデルや広範な足まわり改造を伴う場合はさらに高額になります。
参考)アメリカンバイクにサイドカーを付ける魅力と費用相場を徹底解説…
側車本体の価格は、中古で50万〜120万円、新品で150万〜300万円が目安です。大型バイク用の新品は150万円から200万円程度が相場となります。取り付け・改造費用は30万〜80万円前後で、重度の改造が必要な場合は100万円を超えることもあります。この費用にはマウント製作、フレーム補強、配線、初期アライメント調整が含まれます。
参考)ハーレーのサイドカー後付けに必要な費用と取り付け手順を紹介
構造変更は数万〜十数万円です。
さらに、トレールリデューサー(25万円)、側車ブレーキ(20万円)、特注塗装(20万円)などのオプションを追加すると、新品キャビン型で総額367万円前後になるケースもあります。一方で、汎用・中古側車と最小限の加工でまとめれば、100万円台前半で導入できる可能性もあります。
サイドカーTTレースには、ソロバイクにはない独自の魅力があります。レギュレーションで定められたエンジンを搭載し、ドライバーとパッセンジャーの2人が乗車するため車重があり、走行のほとんどで高回転域を駆使しています。そのため、甲高い4気筒エンジン音が鳴り響き、ソロとは異なる様相を呈します。
現在のサイドカーTTは、土曜日にサイドカーAレース、水曜日にサイドカーBレースの2回レースが行われています。コースは60kmのマウンテンコースで、1960年から使用されています。排気量は1984年からF2レギュレーションの600ccで競われていますが、それ以前は1968年から750cc、1975年から1,000ccで争われていました。
意外ですね。
レースの見どころは、パッセンジャーの命がけの体重移動にあります。ニック・クロウ選手のようにレース中の事故で大けがを負う例もありますが、その息子ライアン・クロウ選手とカラム・クロウ選手の兄弟組が2019年に初出場し、6位で完走してルーキーイヤーとしては前例のない好成績でデビューしました。家族の絆が受け継がれる点も、サイドカーTTレースの魅力の一つです。
参考)マン島TTレース再開記念!……サイドカーレースって知ってます…

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