

バイオディーゼル燃料は、廃食用油や植物油を原料とした再生可能な燃料として注目を集めています。この燃料の主成分が**脂肪酸メチルエステル(FAME:Fatty Acid Methyl Ester)**と呼ばれる化学物質です。FAMEは廃食油にメタノールを反応させることで、トリグリセリドが低分子化され粘度の低い物質へと変換されたもので、副産物としてグリセリンが生成されます。
参考)https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/03/1363586840.pdf
従来の軽油と比較して、FAMEは植物由来の廃食油を原料とするため、廃棄物のリサイクルに貢献し、貴重な資源の有効活用、さらには水質汚濁の未然防止にも繋がる環境負荷低減に大きく貢献する燃料といえます。理論的には1つのトリグリセリドに対して3つのメタノールを反応させ、3つのFAMEと1つのグリセリンが生成され、ほぼ原料と同じ量のFAMEが得られます。
参考)バイオディーゼル燃料「FAME」の強みとは?~カーボンニュー…
バイオディーゼル燃料の表記方法として「B○○」という記号が使われます。この数字は軽油との混和率を示しており、「B5」なら軽油に5%のバイオディーゼル燃料、「B30」なら軽油に30%を混和したものを意味します。B100は、バイオディーゼル燃料100%の純粋な状態を指します。
参考)バイオ燃料とは? 種類や原料、製造方法を徹底解説

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脂肪酸メチルエステルの製造原理は、エステル交換反応と呼ばれる化学反応です。この反応では廃食用油の主成分であるトリグリセリドが低分子化され、粘度の低い脂肪酸メチルエステル(FAME)へと変換されます。製造工程では「廃食油」「メタノール」「アルカリ性の触媒」の3種類の材料を60度前後に加熱し混ぜ合わせることで反応が進行します。
参考)https://agreenmiyagi.roukyou.gr.jp/bdf.html
現在最も普及している製造方法はアルカリ触媒法です。この方法では水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や水酸化カリウムを触媒として用い、エステル交換反応を促進させます。反応後は副生したグリセリンを比重により分離し、生成したバイオディーゼル燃料に残留したグリセリン・メタノール・触媒などの不純物を温水洗浄により除去します。最後に水分を除去することで完成となります。
参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/files/081212.pdf
アルカリ触媒法以外にも、無触媒過熱メタノール蒸気法という製造技術が開発されています。この方法はアルカリ触媒を必要とせず、高温に加熱した原料油と高温のメタノール蒸気をほぼ大気圧下で反応させる技術です。生成したFAMEやグリセリンは原料油脂よりも沸点が低いため生成と同時に気化し、シンプルな設備構成でFAMEの生成と蒸留(精製)を同時に連続して実現できる特徴があります。
天ぷら油は動粘度が大きく、そのままではエンジンで上手く燃焼しないことから、エステル交換反応を利用することで動粘度や発火点などの性状を軽油に近づけ、一般的なディーゼルエンジンで利用できるように加工されています。この化学的な処理により、廃棄物が高品質な燃料へと生まれ変わるのです。
脂肪酸メチルエステル(FAME)と従来の軽油には、いくつかの重要な性質の違いがあります。FAMEの最大の特徴は、製造しやすく安価である点ですが、一方で低温流動性や貯蔵安定性といった性能が軽油に比べて劣っています。このため基本的には軽油との混合利用が前提となっています。
FAMEはエステルとして存在するのに対し、石油由来の軽油は炭化水素です。この化学構造の違いが、燃料系統ゴムの膨潤や燃料漏れといった問題を引き起こす可能性があります。高濃度でバイオディーゼル燃料を利用する際には、布巻きホースやフッ素系ゴムに交換するなどの対応が必要です。
参考)https://www.jora.jp/wp-content/uploads/2020/06/bdf_guideline.pdf
バイオディーゼル燃料混合軽油を給油後、長時間滞留させておくと酸化が進み、燃料フィルターの目詰まりや燃料タンク等の金属部分の腐食のおそれがあります。このため使用頻度が多く給油回数の多い車両等への利用をシフトするなどの措置が重要となります。
日本国内の品質確保法では、軽油への混合比率が5%(B5)までが強制規格として定められています。B5を超える高濃度利用では、バイオディーゼル燃料混合軽油を利用する車両を限定し、一定の管理の下で使用しなければなりません。新長期排ガス車両以降の新型車両については、エンジンオイルへの影響も考慮する必要があります。
参考)https://www.jora.jp/wp-content/uploads/2024/03/bdf_guideline_20240307.pdf
脂肪酸メチルエステル(FAME)を使用したバイオディーゼル燃料は、優れた環境性能を持つことが実証されています。空気中の二酸化炭素を吸収した植物から製造されているため地球温暖化の抑制に有効です。実際の排出ガス試験では、バイオディーゼル燃料の燃焼により未燃焼炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、粒子状物質(PM)が従来の化石燃料ディーゼルと比較して低減することが確認されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7312013/
バイオディーゼル混合燃料の使用により、CO、THC(総炭化水素)、PN(粒子数)、PM(粒子状物質)の排出が減少し、その効果はバイオディーゼル比率の増加とともに強まります。黒煙や硫黄酸化物の排出も大幅に抑えることができ、大気をクリーンに保つことができます。ライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)排出量の削減効果も40%から69%の範囲で確認されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9228054/
しかし課題も存在します。バイオディーゼル燃料は窒素酸化物(NOx)と呼ばれる有害な排出ガスを従来の軽油使用時と比べて多く排出することが知られています。このため最新のディーゼル車にバイオディーゼル燃料を使用した際の窒素酸化物の排出実態把握と、排出を抑制するための燃料およびエンジンの技術的な対策について研究が進められています。また二酸化炭素(CO2)排出についても、若干の増加が観測されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8892655/
排出ガス特性は車両の速度や負荷状態にも依存し、エンジンの排出基準(China-III、IV、Vなど)によっても明確な違いが見られます。このためバイオディーゼル燃料をディーゼル車に使用する際には、技術的な指針に基づいた適切な運用が求められます。
参考)https://www.ntsel.go.jp/kankyo/ondanka/k_on9.html
バイオディーゼル燃料の使用は、従来のバイクには直接的な適用が困難な状況です。バイオディーゼル燃料は圧縮点火(CI)エンジン、つまりディーゼルエンジン専用の燃料として設計されており、ガソリンエンジンに用いてはなりません。バイオディーゼル燃料とそのブレンドはディーゼル車、トラック、トラクタ、ボート、港湾機械、灌漑システム、鉱山機械、発電装置などディーゼルが使われる大部分のアプリケーションで使用されます。
参考)https://afdc.energy.gov/files/pdfs/biodiesel_japanese.pdf
二輪車の世界では、むしろバイオエタノールやバイオメタノールといった代替燃料への対応が進んでいます。日本の二輪メーカーは「明日からでもバイオエタノールの使用に切り替えられる」準備が整っており、燃やすと水が出る問題についても、ゴムやシールの改善により対応済みです。水素とe-fuel(合成燃料)、そしてバイオエタノールが、二輪エンジンの代替燃料としての選択肢となっています。
参考)日本の二輪エンジンは「明日から」でも代替燃料に対応できる:日…
ディーゼル車両においては、B5(軽油への混合率5%)を超える高濃度利用の際に、エンジン性能や耐久性への影響が懸念されます。特に燃料系統のゴム部品の膨潤や燃料漏れへの対応が必須で、定期点検の頻度を増やすことが必要です。実際の利用事例としては、空港のトーイングトラクター、建設工事の重機、循環バス、配送トラックなどでB100(純粋なバイオディーゼル燃料)の使用実績があります。
参考)一般社団法人 リーゼル協会 href="https://hp-bio.com" target="_blank">https://hp-bio.comamp;#8211; 高純度バイオディ…
エンジン性能面では、バイオディーゼル燃料の添加により熱効率の若干の低下と燃料消費量の微増が見られます。しかし排気ガス温度の上昇や、HC、NOx、COといった排出物質の削減といった環境面でのメリットは顕著です。マン島TTレースへの挑戦事例など、モータースポーツでのバイオディーゼル燃料の活用も試みられています。
参考)ナベショー、マン島TTレースに挑戦 バイオディーゼルバイクで…
脂肪酸メチルエステル(FAME)を使用したバイオディーゼル燃料は、日本国内外で様々な分野で実用化されています。日本では自治体やNPO等が中心となって、原料となる廃食油の回収からバイオディーゼル燃料の製造・利用まで一連のシステムを構築しています。京都市のバイオディーゼル燃料化事業や東近江市の資源循環の取り組みなど、地域レベルでの活用が進んでいます。
参考)活用事例集 - 一般社団法人日本有機資源協会
具体的な活用事例として、JALのトーイングカー、熊本地震復旧活動拠点の発電機、産業廃棄物処理場内の什器、災害派遣車両などへの利用があります。建設工事では植物由来の再生可能エネルギーのためCO2排出がゼロカウントとなり、持続可能な建設工事が実現されています。輸送車両では黒煙や硫黄酸化物の排出を大幅に抑えることができます。
高純度バイオディーゼル燃料「ReESEL」と呼ばれる製品は、従来のバイオディーゼル燃料をさらに蒸留した高純度品で、B100として空港内トーイングトラクターやコンビニエンスストアの商品配送、大阪・関西万博会場建設現場における発電機・重機などで使用されています。農業用トラクター等にも使用することで、持続可能な食の循環を生み出すことが可能です。
参考)バイオディーゼル燃料 - 植田油脂株式会社
今後の展開として注目されるのは、燃料規格の整備です。現在日本にはB5(軽油へのBDF混合率5%)を超える燃料規格が存在せず、建設機械メーカー等はB5超燃料の使用についてメーカー保証を出していません。しかし環境対策の必要性から、B20以上の高濃度利用を想定した技術指針の整備が進められており、今後さらなる普及が期待されます。防災燃料としても、被災地の発電機や緊急車両、復興に向けた建設工事で活用され、環境に配慮した復興を実現する可能性を秘めています。
参考)https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2504/17/news080_3.html

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