

開通初日に現地へ行ったのに、路面凍結でバイクを押して引き返したライダーが毎年数十人います。
志賀草津道路(国道292号)は、長野県山ノ内町の渋峠付近から群馬県草津町を結ぶ、日本国道最高地点(標高2172m)を通る絶景ルートです。その標高の高さゆえ、毎年冬季には大量の積雪が発生し、通行が不可能になります。
閉鎖される区間は、長野県側の志賀高原・硯川(すずりかわ)付近から群馬県側の草津温泉・殺生河原付近までの約40kmです。この区間は完全通行止めになり、バイクはもちろん自動車も一切通行できません。
閉鎖期間は例年11月中旬〜翌年4月下旬にかけての約5ヶ月間です。カレンダーで見ると、ほぼ半年近く閉じている計算になります。
つまり走れるシーズンは5月〜11月頃が基本です。
具体的な日付は年によって異なります。2024年は4月19日に開通しましたが、2023年は4月28日と10日近くズレていました。雪解けの進み具合や気象条件で毎年変動するため、「例年この日に開く」という固定概念は危険です。
参考:国土交通省 北陸地方整備局 長野国道事務所による国道292号の道路情報
https://www.hrr.mlit.go.jp/nagano/
「開通したらすぐ走りたい」というライダーは多いですが、情報収集の方法を間違えると現地で痛い目に遭います。SNSや個人ブログの情報は鮮度が不確かなため、必ず公式ソースで確認するのが鉄則です。
確認すべき公式情報源は以下の通りです。
これら複数のソースを組み合わせるのが確実です。
なかでも「みちナビながの」はスマートフォンからでも見やすく、規制区間をマップ表示で確認できるのでツーリング前のチェックに向いています。Googleマップの交通情報と併用すると、より直感的に状況を把握できます。
開通予定日が近づくと、地元メディア(信越放送・群馬テレビ)がニュース速報として開通式の情報を出す場合もあります。開通式は毎年行われており、地元の観光関係者や行政が参加するイベントです。ライダーにとっては「開通したサイン」として知られています。
情報確認は前日の夜が基本です。
開通初日だからといって路面が安全とは限りません。これが最も多くのライダーが誤解しているポイントです。
標高2000mを超える渋峠付近では、4月下旬〜5月上旬でも路肩に数メートルの雪壁が残っています。道路の路面自体は除雪されていますが、日陰部分や朝晩は凍結していることがあります。特に「朝イチで走ろう」と早出したライダーが、日の当たらない北向きのカーブで滑るケースが毎年報告されています。
路面温度が5℃以下になると、濡れた路面でも凍結が始まります。
開通直後の時期は、標高の低い草津側や山ノ内側では問題なくても、頂上付近だけが凍っているという「部分的な危険地帯」が生まれやすい状況です。走り始めてから気づくのが怖いところです。
対策として有効なのは、出発前に路面温度を確認することです。天気アプリの気温情報に加えて、「渋峠 気温」でリアルタイムの気象情報をチェックする習慣をつけましょう。渋峠ホテルの公式サイトでは、現地の気温・天気情報を掲載していることがあります。
参考:渋峠ホテル公式サイト(現地の天気・積雪情報を随時掲載)
https://www.shibutoge.com/
多くのライダーが「志賀草津道路=春の開通」をイメージしますが、実は秋の閉鎖直前シーズンも非常に価値が高いです。これはあまり語られない視点です。
10月中旬〜11月上旬は、紅葉と草紅葉(くさもみじ)が頂上付近を覆い、春とは全く異なる景色になります。特に渋峠〜芳ヶ平(よしがだいら)ヒュッテ周辺のエリアは、10月上旬から色づき始め、標高が高い分だけ平地より約1ヶ月早く秋を体感できます。
秋は観光客が春より少ない傾向があります。
春の開通直後は「開通ライダー」が集中するため、渋滞や駐車場不足が起きやすい状況です。一方、秋は走る人が比較的少なく、雪が降る前の澄んだ空気の中でゆったり走れます。天気が安定しやすい9月後半〜10月は、ツーリングのコンディションとして春と同等かそれ以上の場合もあります。
ただし、秋も閉鎖直前になると突然の降雪で通行止めになるケースがあります。11月に入ったら、毎回走る前に規制情報を確認するのが原則です。
絶景ルートとして有名な志賀草津道路ですが、実はインフラの「空白地帯」でもあります。閉鎖区間の約40kmの間にガソリンスタンドは1件もありません。
草津温泉側で満タンにしてから入るのが鉄則です。
山ノ内町(長野県側)のスタンドか、草津温泉(群馬県側)のスタンドで必ず給油してから走り始めましょう。特に燃費の悪い大型バイクや古い車両は注意が必要で、40km走りきれないほど燃料が少ない状態で入ると、頂上付近で動けなくなるリスクがあります。
休憩スポットとして使えるのは、渋峠ホテル(日本国道最高地点・2172m)と、長野県側の熊の湯ホテル・志賀高原山の駅などです。渋峠ホテルは宿泊もできますが、軽食・トイレ休憩だけの立ち寄りも受け付けています。
エスケープルートも頭に入れておく価値があります。走行中に天候が急変した場合、中間地点付近まで行ってしまうと引き返すのも前進するのも同距離になります。事前にGoogle マップで万座温泉・草津・山ノ内への分岐ルートを確認しておくと安心です。
なお、山岳ルートでは突然の霧や雨もよくあります。レインウェアは必ずシート下に忍ばせておくのが、志賀草津道路を走る上での最低限の準備です。気温が平地より10〜15℃低くなることを想定し、真夏でも防寒インナーを携帯することをおすすめします。
参考:国土交通省 道路交通情報(長野・群馬エリアの規制情報)
https://www.jartic.or.jp/(日本道路交通情報センター)