

実はこのレース、オートバイのライセンス管轄です。
FIM EBKワールドカップは、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が主催する世界初の電動アシスト自転車による国際レースシリーズです。このレースは都市の中心部で開催されるクリテリウム形式を採用しており、従来の自転車競技とは一線を画す新しいスポーツとして注目されています。
競技に使用されるのはペダレック(ペダル電動アシスト自転車)で、通常の公道用E-Bikeよりも強力な電動アシストを搭載しています。ペダルを漕がなければアシストは発生しませんが、公道用の時速24km制限を超えてもアシストが継続する点が大きな特徴です。
参考)https://ebkwc.com/the-series/
このレースの管轄がFIM(オートバイの統括団体)である理由は、電動アシストの出力が通常の自転車を大きく超えるためです。FIMと自転車競技の統括団体UCIは、「自力駆動」と「電動駆動」という基準で管轄を区分しており、EBKワールドカップは電動駆動側に分類されています。
参考)New EBK World Cup e-bike racin…
つまりオートバイ扱いということですね。
レースは2.5kmから5kmの都市型サーキットで行われ、各都市によってコース設計や路面、チャレンジ要素が異なります。競技時間は40分から60分で、予選タイムトライアルの上位6名が自動的にブレークアウェイグループを形成してレースをスタートします。
FIM EBKワールドカップへの参加には、18歳以上であることが必須条件です。これはMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)の国内競技規則にも明記されており、他のFIM主催のE-Bike系競技と比較しても最も年齢制限が高い部類に入ります。
参考までに、同じくFIMが主催するEバイクエンデューロワールドカップは14歳から、E-エクスプローラーワールドカップは16歳から参加可能です。18歳という年齢制限は、競技の速度域や都市部での開催というリスク要因を考慮したものと考えられます。
参考)https://www.mfj.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/00-1_%E7%B7%8F%E5%89%87%E5%85%A8%E6%96%87.pdf
国際レースへの参加には原則としてFIMライセンスが必要です。日本からの参加者は、まずMFJの国際または国際A級ライセンスを取得した上で、FIMの年間ライセンスを申請することになります。
FIMライセンスの申請にはMFJ国際または国際A級ライセンスの所持が条件です。
ただし、EBKワールドカップが具体的にどのライセンス区分に該当するかは、競技規則の詳細によります。スポーツ国籍の問題もあり、海外のFIM公認大会でない国内格式レースに参加する場合は、その国への移籍手続きが必要になることもあります。
EBKワールドカップの競技形式は、予選と本戦で構成されています。予選はタイムトライアル方式で行われ、上位6名がレーススタート時に自動的にブレークアウェイグループを形成する権利を獲得します。
レース本戦は40分から60分の間で設定され、チームマネージャーの戦略が各ライダーのエネルギー消費や温存戦術を左右します。重要なポイントとして、予選終了後からレーススタートまでの間、バッテリーの再充電は禁止されています。
レース中には中間スプリント、エリミネーション(脱落方式)、パワーゾーンなどの要素が設けられ、レース全体を通じてアクティブな展開が維持されます。これらの要素により、単純な速さだけでなく戦略的な判断力も求められる競技となっています。
男女両方のレース結果が総合チーム順位に加算されます。
特筆すべきは男女平等の理念で、男性レースと女性レースの両方の結果が総合チームタイトルにカウントされます。これは従来のモータースポーツや自転車競技では珍しい試みで、真の意味での性別平等を実現するシステムです。
フランチャイズチーム制を採用しており、各チームが世界規模のシリーズ戦に参戦する形式となっています。
EBKワールドカップで使用される車両は、ペダレック(Pedalec)と呼ばれる電動アシスト自転車です。これは「Pedal Electric Cycle」の略で、ペダルを漕いだ時のみモーターがアシストを提供する仕組みです。
参考)https://erway.zepan.jp/blogs/news/20
通常の日本の公道用電動アシスト自転車は、時速10km以下で最大1:2のアシスト比率(人力1に対してモーター2)となり、時速24kmでアシストがゼロになります。しかしEBKワールドカップの車両は、公道用の規制を大きく超える電動アシストを搭載しています。
公道で乗れるレベルを超える出力です。
具体的な出力規定は公式には明示されていませんが、過去のFIM E-XBIKEワールドカップ(eMTB競技)では、市販車ベースのEXB2クラスが出力250W・時速25kmまでのアシスト、改造無制限のEXBGPクラスが出力250W以下・時速45kmまでのアシストという規定でした。
興味深い事例として、2019年のFIM E-XBIKEワールドカップでは、電動バイクにペダルを装着したスペシャルマシンが登場し、平均時速28.8kmで優勝を果たしました。このような技術的挑戦がEBKワールドカップでも期待されます。
センサーがペダルの踏力を感知し、その時に応じた適切なアシスト力をモーターが供給する仕組みは共通ですが、レース用途に最適化された高出力・高応答性のシステムが採用されていると考えられます。
EBKワールドカップは都市の中心部での開催を基本コンセプトとしています。これは観客のアクセス性を高め、都市型モビリティの可能性を広く訴求するための戦略です。
2023年には英国で最初のイベントが開催される予定でした。公式サイトによれば、世界各都市で革新的なスポーツショーを展開し、持続可能な変革的モビリティを通じて開催都市とコミュニティに測定可能な変化をもたらすことをミッションとしています。
観客が至近距離で観戦できるのが魅力です。
このレースシリーズの目標は、よりクリーンで緑豊かで健康的な都市、近隣地域、環境を創造するためにコミュニティを巻き込むことです。単なるスポーツイベントではなく、アクティブなマイクロモビリティを推進するプラットフォームとしての役割も担っています。
先進技術と世界の都市をつなぐアドレナリン全開の世界的スポーツスペクタクルとして、サステナビリティと変革的モビリティ発展の触媒となることを目指しています。
真の平等性、多様性、アクセシビリティを提供するスポーツという点も強調されています。これは男女平等の競技形式だけでなく、電動アシストにより体力差を補える点でも実現されています。
日本での開催情報はまだ確定していませんが、FIMとMFJの関係性を考えると、将来的に日本でも開催される可能性は十分にあります。都市型レースという性質上、東京や大阪などの大都市での開催が現実的でしょう。
参考リンク:FIM EBKワールドカップ公式サイトでは、最新の開催情報や競技規則、参加チーム情報を確認できます。
FIM EBK World Cup 公式サイト
参考リンク:MFJ公式サイトのFIMライセンス申請ページでは、国際レースに参加するためのライセンス取得方法が詳しく説明されています。
MFJ FIMライセンス申請方法
FIM EBKワールドカップは、モーターサイクルスポーツの新しい可能性を示すと同時に、環境に配慮した都市型モビリティの未来を体現する革新的な競技です。バイク愛好者にとっても、電動二輪の進化を目の当たりにできる貴重な機会となるでしょう。