

Moto3は軽量だから安全じゃない
Moto3世界選手権は、FIMロードレース世界選手権(MotoGP)の軽量級クラスとして2012年から始まったカテゴリーです。かつての125ccクラスに替わるクラスとして導入され、排気量250cc・4ストローク・単気筒エンジンのみを使用します。
参考)https://www.honda.co.jp/WGP/spcontents2016/regulations/moto3/age.html
このクラスは若手ライダーがプロキャリアをスタートさせる登竜門となっており、2023年から参戦最低年齢が18歳に引き上げられました。ただし、FIM Junior GP世界選手権やRed Bull MotoGPルーキーズカップで上位3位に入った選手は17歳から参戦できる例外規定もあります。
Moto3マシンは約60馬力と控えめな出力ですが、車両とライダーを合わせた最低重量が152kgと非常に軽量なのが特徴です。現在はKTMとHondaがエンジンを供給しており、世界中のチームがこれらのマシンでレースを戦っています。
参考)【MotoGP・Moto2・Moto3】排気量の違いを徹底解…
つまり最高峰への第一歩です。
Moto3クラスのマシンは、排気量250ccの4ストローク単気筒エンジンに限定されています。これはMoto2の765cc並列3気筒や、MotoGPの1000cc4気筒と比べると、かなり小さなエンジンサイズです。
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馬力は約60馬力とMotoGPクラスの280馬力以上と比較すると3分の1以下ですが、車両重量が100kg程度(ライダー込みで152kg以上)と軽いため、軽快な走りが可能です。ちなみに車両単体で100kg切るというのは、原付バイクとほぼ同じくらいの重さです。
参考)Moto3排気量が250cc→700ccへ大幅アップ 202…
この軽量さと低出力の組み合わせにより、スリップストリーム効果が絶大になります。前走車の後ろにピッタリと付いて空気抵抗を減らし、コーナー立ち上がりやストレートで追い抜くという激しい順位変動が特徴的なレース展開となるのです。
軽快さが魅力ということですね。
Hondaの公式解説ページには、Moto3クラスのレギュレーション詳細が掲載されています。マシンの技術的な制約について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
なお、Moto3クラスは2028年から大幅なレギュレーション変更が予定されており、排気量が250ccから700ccへと大幅に引き上げられる可能性があります。この変更の目的はコスト削減とMoto2クラスとのギャップを埋めることで、市販車ベースのエンジン使用が検討されています。
700ccは大型バイク並みです。
2026年シーズンのMoto3世界選手権は、過去最多の全22戦で開催される予定です。開幕戦は3月1日のタイGP(チャーン・インターナショナル・サーキット)で、最終戦は11月22日のバレンシアGP(リカルド・トルモ・サーキット)となります。
注目すべき変更点として、ブラジルGPが2004年以来22年ぶりにカレンダー復帰を果たします。会場はアウトドローモ・インテルナシオナル・アイルトン・セナで、3月22日に第2戦として開催予定です。
日本ラウンドは10月4日に「Motul Grand Prix of Japan」としてモビリティリゾートもてぎで開催されます。日本人ライダーの活躍を地元で応援できる貴重な機会となるでしょう。
日本戦は10月上旬です。
全22戦というスケジュールは、ライダーやチームにとって体力的にも経済的にも大きな負担となります。3月から11月まで約9ヶ月間にわたり、世界各地を転戦する過酷なシーズンとなるのです。
MotoGP公式サイトの2026年カレンダーページでは、各レースの詳細スケジュールや会場情報を確認できます。
観戦計画を立てる際の参考にしてください。
ちなみに、アルゼンチンGPは2026年の開催を見送り、2027年に開催地をオスカル・イ・フアン・ガルベス・サーキットに移して復帰する予定です。南米ファンにとっては残念なニュースですが、新会場での再スタートが期待されています。
南米は1戦のみとなります。
Moto3の最大の魅力は、最終ラップまで勝敗が分からない接戦レースです。マシンの出力が低く、軽量であるため、スリップストリームを使った集団走行が展開され、順位が目まぐるしく入れ替わります。
先頭グループでは5台から10台以上のライダーが団子状態で走行することも珍しくありません。最終コーナーを抜けてからゴールまでの数百メートルで順位が3つも4つも変わることがあり、まるでF1のDRSゾーンのような駆け引きが楽しめます。
ただし、この接近戦は同時にリスクも高めます。2025年10月のマレーシアGPでは、Moto3クラスで大規模なクラッシュが発生し、MotoGPクラスのライダーたちからレース開催判断への疑問の声が上がりました。軽量マシンとはいえ、高速走行中の接触は重大事故につながる危険性があるのです。
参考)集中力を保てない……Moto3大クラッシュ後のレース開催判断…
痛いところですね。
観戦時には、スタート直後と最終ラップに特に注目してください。スタート直後は全車が密集しており、ポジション争いが最も激しくなります。また、最終ラップではスリップストリームを使った劇的な逆転劇が頻繁に起こります。
レース中盤では、誰が集団をリードするか、誰が体力を温存しているかといった戦略的な動きにも注目です。早めに抜け出そうとするライダーと、スリップストリームを使うために集団に留まるライダーの駆け引きが見られます。
駆け引きが勝負を左右します。
日本人ライダーはMoto3クラス、そして前身の125ccクラスで輝かしい実績を残してきました。特に印象的なのは、1995年と1996年に青木治親が125ccクラスで2年連続チャンピオンに輝いたことです。青木治親は全13戦中7勝という圧倒的な速さでタイトルを獲得しました。
参考)Into The World -日本人ライダーの軌跡-
1995年の日本GPでは、125ccクラスで1位から6位までがすべて日本人ライダーという歴史的な結果となり、大きな話題となりました。この時期は日本人ライダーの黄金期とも言える時代でした。
最近では、2024年シーズンに山中琉聖選手がイタリアGPで3位に入り、2020年からのMoto3挑戦で初の表彰台を獲得しました。また、鈴木竜生選手は2015年からMoto3クラスに参戦し、これまでに3勝(2019年サンマリノGP、2020年アンダルシアGP、2023年アルゼンチンGP)を飾っています。
3勝は立派な成績です。
2024年シーズンにはMT Helmets MSiから参戦する日本人ライダーも活躍しており、若手の育成が着実に進んでいます。日本人ライダーにとってMoto3クラスは、世界最高峰のMotoGPクラスへステップアップするための重要な通過点となっているのです。
Hondaの日本人ライダー軌跡ページでは、世界選手権における日本人ライダーの歴史が詳しく紹介されています。過去の栄光と現在の挑戦を知ることで、より深くレースを楽しめるでしょう。
Moto3からMotoGPへのステップアップを果たした代表例として、中上貴晶選手が挙げられます。中上選手は2018年にMoto2クラスから最高峰クラスに昇格し、日本人として4年ぶりのMotoGPライダーとなりました。
段階的な成長が必須です。
Moto3クラスで優秀な成績を収めたライダーは、次のステップとしてMoto2クラスへ昇格するのが一般的なキャリアパスです。Moto2では765cc並列3気筒エンジンを使用し、マシンのパフォーマンス差をある程度制限することで、ライダーの実力を見極めやすい環境が作られています。
2024年には、2023年のMoto3でチャンピオン争いを演じランキング2位となった佐々木歩夢選手がMoto2へステップアップしました。佐々木選手は優勝1回を含む11回の表彰台を獲得し、トップライダーとしての実力を証明してからの昇格となりました。
このように、Moto3での安定した成績がMoto2への切符となり、さらにMoto2で結果を残すことでMotoGPへの道が開けます。各クラスでの経験が、ライダーのスキルアップに不可欠なのです。
実力が確実に測られます。
ステップアップのタイミングは個人差があり、Moto3で2〜4年ほど経験を積んでからMoto2へ移行するライダーが多いです。早すぎる昇格は適応に苦労する可能性があり、遅すぎると成長機会を逃すリスクもあります。
チームやスポンサーにとっても、どのタイミングでライダーを昇格させるかは重要な判断となります。Moto3での成績だけでなく、年齢やポテンシャル、資金面なども考慮されます。
最適なタイミングが鍵です。
若手ライダーの育成に力を入れているメーカーもあります。ヤマハはVR46ジュニアチームと協力し、「Yamaha VR46 Master Camp Team」としてMoto2に参戦し、MotoGPライダーの育成を目指しています。こうした育成プログラムが、次世代のスター誕生を支えているのです。