

任意保険に入っていれば盗難もカバーされていると思っているライダーが大半ですが、実はバイクの任意保険では原則として盗難は補償対象外です。
バイクを大切にしているライダーほど、「自分のバイクは大丈夫」と思いがちですが、その油断が最大のリスクになることがあります。警察庁の統計によれば、2024年のオートバイ盗難認知件数は11,641件にのぼりました。これは1日あたり約31台のバイクが盗まれている計算です。東京ドームのグラウンドにバイクを並べると約200台ほど収まるそうですが、それを約1ヶ月半で全部盗まれるイメージです。
しかも、検挙率は18%前後と非常に低い水準にとどまっています。残念ながら盗まれたバイクの約8割は手元に戻ってきません。返ってきたとしても、パーツを取られてバラバラの状態だったり、乗れない状態に破損させられていたりするケースも少なくありません。
盗難被害の大きな特徴は「都市部に集中している」という点です。都道府県別では大阪府(1,352件)・東京都(1,278件)・神奈川県(1,124件)・埼玉県(1,056件)・千葉県(987件)が上位を占めます。関東・近畿圏に住んでいるライダーは、特に注意が必要です。
なぜ盗難件数が増えているかというと、プロの窃盗団による組織的犯行の増加が背景にあります。電波妨害装置でGPS追跡を妨害したり、イモビライザー搭載車でも短時間で解除したりと、手口が年々巧妙化しています。U字ロックや地球ロックをしていても、プロに狙われれば数分で持ち去られます。物理的な防犯グッズだけに頼るのは限界があると言えるでしょう。
つまり盗難リスクは「他人事」ではないということですね。特に人気車種・高額バイク・ローン返済中のバイクに乗っているライダーは、盗難保険を真剣に検討する必要があります。
参考:2024年のオートバイ盗難件数・都道府県別データ・手口の最新情報はこちら
【2024年】オートバイ盗難が再び増加!傾向と防犯対策 - AlterLock
「任意保険に入っているから盗難も大丈夫」と考えているライダーは多いのですが、これは大きな落とし穴です。意外ですね。バイクの任意保険(対人・対物賠償保険など)は、原則として盗難を補償対象外としている保険会社がほとんどです。
つまり、どれだけ手厚い任意保険に加入していても、バイクが盗まれた場合は自己負担になります。任意保険とバイク盗難保険はまったく別の保険だということが前提の基本です。
自動車の場合は「車両保険」に盗難補償が含まれていることが多いのですが、バイクの場合は事情が異なります。一部の損保会社が「盗難補償付きバイク保険」を提供していますが(例:日新火災「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」)、対象が35歳以上に限定されるなど、条件が設定されているケースもあります。
バイクの盗難に備えるためのルートは主に3つあります。まず、単体の盗難保険(ZuttoRide Club・SBI「みんなのバイク保険」など)に加入する方法。次に、任意保険に盗難補償特約を付帯する方法。そして、バイクメーカーが提供する盗難補償サービスを利用する方法です。
補償内容や保険金額、手続き方法を自由に選べるという点では、単体の盗難保険が一番柔軟です。現在乗っているバイクのメーカーや、加入中の任意保険の会社に関係なく加入できるという強みがあります。
なお、盗難保険に加入していても注意すべき点があります。「鍵の差しっぱなし」や「施錠のし忘れ」など、本人の重大な過失が認められる場合は、保険金が支払われないケースがあります。保険加入と同時に、日頃の鍵の管理習慣も見直しておきましょう。
参考:任意保険とバイク盗難保険の違いについて詳しく解説されています
バイク(原付)の盗難保険。加入はおすすめ?必要?|チューリッヒ
現在、バイク向けの単体盗難保険として代表的なのが「ZuttoRide Club盗難保険」と「SBI日本少額短期保険 みんなのバイク保険」の2つです。どちらもネットで完結して申し込みができる利便性の高い保険ですが、補償の考え方が根本的に異なります。
まずZuttoRide Club盗難保険の特徴を整理します。引受保険会社は三井住友海上火災保険で、補償上限は最大300万円です。補償範囲は「全損・分損どちらも対象」で、パーツ盗難(最大20万円)やカギ穴いたずら補償(最大5万円)まで含まれます。免責金は補償額の5%で、補償金額は経過年数に応じて下がるしくみです。例えばセロー250(購入時47万円・年式2016年)で見積もると、年間15,900円・補償上限34万円という試算になりました。1日あたりに換算すると約44円です。
続いてSBI「みんなのバイク保険」です。こちらは盗難補償の場合、補償対象は「全損のみ」で、経過年数にかかわらず購入時と同額を補償するのが最大の強みです。免責金は0円で、購入金額の書類があれば購入から何年経過していても加入できます。ただし被保険者(バイク所有者)が25歳以上で、排気量126cc以上が加入条件です。前述のセロー250(47万円)で盗難補償のみに加入した場合の年間保険料は約7,943円と、ZuttoRideより安くなります。
| 比較項目 | ZuttoRide Club | SBI みんなのバイク保険 |
|---|---|---|
| 補償範囲 | 全損・分損どちらも | 全損のみ(盗難補償単体の場合) |
| 補償金額 | 経過年数に応じて下がる | 購入時金額をずっと補償 |
| 免責金 | 補償額の5% | 0円 |
| パーツ盗難補償 | あり(最大20万円) | あり |
| カギ穴いたずら補償 | あり(最大5万円) | なし |
| 加入条件 | 制限なし | 25歳以上・126cc以上 |
| 等級への影響 | なし | |
| 申し込み方法 | ネット完結 |
「盗難保険のコストをできる限り抑えたい」という方にはSBI、「盗難時のあらゆるケースをカバーしたい」という方にはZuttoRideという選択が基本です。
参考:ZuttoRide ClubとSBIみんなのバイク保険を実際の見積もりで比較した記事
バイク盗難保険はZuttoRideがおすすめ!他社比較を交えながら魅力を解説
盗難保険を選ぶうえで、「どの保険が一番良いか」というよりも「自分の状況に合っているか」を確認することが大切です。つまり選び方が条件です。以下の3つの基準を順番に確認してみてください。
① ローンの有無とバイクの市場価値を確認する
まず最初に確認すべきなのは、ローンの残債と現在のバイクの市場価値です。ローンが残っている状態で盗難被害に遭うと、バイクが手元にないのにローンだけが残り続けるという最悪の事態になります。例えば、50万円のローンが残っているバイクが盗まれると、次の買い替えに必要な費用と合わせて実質的な損失は100万円以上になることもあります。ローンが残っているライダーは、補償金額がバイクの残債をカバーできるプランを選ぶのが原則です。
② 「全損のみ補償」か「全損・分損どちらも補償」かを決める
盗難保険で特に重要な判断軸は、全損・分損どちらでも補償が受けられるかどうかという点です。一般的には、盗まれたバイクが「修理可能な状態(分損)」で戻ってきた場合、多くの保険では補償対象外になります。費用を抑えたい場合はSBI「みんなのバイク保険」の盗難補償プラン単体(全損のみ・年間約7,943円〜)を、盗難に遭ったすべてのケースに備えたい場合はZuttoRide Clubを選ぶと良いでしょう。
③ バイクのメーカー系保険も視野に入れる
ホンダ・ヤマハ・カワサキ・スズキなどの国内4大メーカーは、それぞれ独自の盗難補償サービスを提供しています。実はこれらのメーカー系保険は、ZuttoRide ClubのOEM(相乗り提供)となっている場合が多いという点は意外に知られていません。ただし、メーカー系は「店頭のみ申し込み可能」「そのメーカーのバイクのみ対象」「登録後○ヶ月以内という期限あり」といった制約が設けられていることが多いです。利便性を重視するなら、ネット完結で申し込めるZuttoRide ClubやSBIの方が使い勝手は上です。
どの保険を選ぶにしても、まずは愛車の保険料をネット見積もりで確認することから始めるのが最短ルートです。ZuttoRide ClubはWebサイトから1分程度で見積もりが取れるため、加入を迷っているなら試してみる価値があります。
参考:補償内容・保険料・選び方について詳しくまとめられたページ
多くのライダーが盗難保険に踏み切れない理由として、「保険を使うと等級が下がって、翌年の保険料が上がるのでは?」という心配があります。これは大切な確認ポイントです。
結論から言うと、ZuttoRide Clubや「みんなのバイク保険」などの少額短期保険(盗難専用保険)は、任意保険の等級とは完全に別の制度です。盗難保険で保険金を受け取っても、任意保険の等級は下がりません。「保険を使うと等級が下がる」という仕組みは任意保険の話であって、盗難専用保険には適用されません。これは知っておいて損がない情報です。
一方で、バイクの「任意保険に盗難補償特約をつける」タイプ(日新火災「おとなのためのバイク保険 盗難補償付」など)の場合は、保険金支払いによって等級が下がる場合があります。どちらのタイプを選ぶかによって、翌年の保険料への影響が変わってくるため、加入前に確認が必要です。
また、「みんなのバイク保険」はSBI日本少額短期保険が提供する少額短期保険であり、経過年数にかかわらず購入時と同額を補償するという点が他社と大きく異なります。一般的な盗難保険は時間が経つにつれて補償額が下がっていくのですが、SBIの場合は購入価格がずっと補償されます。特に「新車購入直後に加入した後、長期間乗り続ける予定」というライダーには向いています。
なお、ZuttoRide ClubやSBI「みんなのバイク保険」はともに自動更新や手続き不要の継続ができる仕組みのため、更新漏れのリスクが低いという利点もあります。補償が失効している期間に盗難に遭っても保険金は支払われませんから、更新管理がしやすい仕組みは安心材料になります。
バイクをローンで購入している場合は特に注意が必要です。万が一の盗難時に「ローンだけが残る」という最悪の事態を防ぐためにも、補償金額がローン残債をカバーできるプランを選んでおくことが重要です。
参考:補償内容・等級への影響について整理されたページ