

空気圧を上げすぎると逆に転がり抵抗が増えてしまいます。
転がり抵抗とは、タイヤが回転するときに進行方向と逆向きに生じる抵抗力の総和を指します。バイクを走らせるエンジンの力に対抗して、常にブレーキをかけているような現象です。
参考)転がり抵抗
この抵抗の正体は主に3つの要因で構成されています。タイヤの変形によるエネルギー損失、接地面での摩擦による損失、そしてタイヤ回転時の空気抵抗による損失です。この中でタイヤの変形が約9割を占める主因となっています。
参考)転がり抵抗とは?タイヤの変形や摩擦によって路面との間に発生【…
走行中のタイヤは、路面に接地するたびに変形と元の形状に戻ることを繰り返します。この繰り返し変形がゴム内部で熱としてエネルギーを奪い、走行抵抗になるわけです。つまり変形が大きければ大きいほど抵抗も増えるということですね。
バイクが一定速度で走行するために必要な駆動力は、「転がり抵抗」「空気抵抗」「登坂抵抗」の3つを足し合わせた値になります。平地を定速走行する場合、転がり抵抗と空気抵抗のバランスをいかに最適化するかが燃費と走行性能の向上につながります。
転がり抵抗が燃費に与える影響は想像以上に大きいものです。一般的に市街地走行では、転がり抵抗による燃費への寄与率は約10%程度とされています。転がり抵抗を20%減らすだけで、燃費は2%向上する計算です。
具体的な数字で見てみましょう。レギュラーガソリンが1リットル170円の場合、燃費が2%改善すると1リットルあたり3.4円の節約になります。月に200リットル給油するライダーなら、年間で約8,000円の差が出る計算です。
参考)https://fukushima-tire.jp/column/149/
バイクの場合、車両重量とライダーの体重を合わせた総重量が転がり抵抗に直接影響します。転がり抵抗は「転がり抵抗係数×全重量×重力加速度」で計算されるため、重いバイクほど転がり抵抗も増大するのです。
軽量化が燃費に効くのはこのためですね。
タイヤの転がり抵抗係数は、タイヤの種類や空気圧、路面状況によって大きく変化します。乾いたアスファルト路面でのロードタイヤには0.005、ピストタイヤには0.004が一般的に適用されています。この小さな数値の違いが、長距離走行では大きな差となって現れます。
タイヤ選びの際は、転がり抵抗グレードにも注目してください。グレードが1ランク上がると転がり抵抗が約10%減り、燃費は約1%向上します。例えばグレードBからAAに変更すると、転がり抵抗が20%減って燃費が2%改善する効果が期待できるわけです。
「空気圧を上げれば転がり抵抗が減る」という常識は、実は実験室の理想的な路面でのみ成立する話です。実際の路面では、空気圧を上げすぎると逆に転がり抵抗が増してしまうという実験結果が報告されています。
参考)【なぜ?】タイヤ空気圧を上げ過ぎると、転がり抵抗が増す【実験…
どういうことでしょうか?実験室の滑らかなドラム上では、確かに空気圧を上げるほど転がり抵抗は小さくなります。しかし実際の道路には微細な凹凸があり、タイヤが硬すぎると路面の段差を吸収できず、バイク全体が上下に振動してしまうのです。
参考)荒れた路面の転がり抵抗(修正版) −モデル計算− - マイペ…
この振動こそが「ローリングインピーダンス」と呼ばれる追加の抵抗です。空気圧が高すぎると、タイヤが路面の凹凸をまともに受けて跳ね返され、その度にエネルギーを失います。結果として、ケーシングロス(タイヤ変形による損失)は減っても、インピーダンスロス(振動による損失)が増え、総合的な転がり抵抗は増加するということですね。
最適な空気圧は、ライダーの体重、バイクの重量、使用するタイヤの種類、そして走行する路面状況を全て考慮して決定する必要があります。荒れた路面では、むしろ空気圧を下げることで段差伝達係数が下がり、転がり抵抗が低減するケースもあるのです。
参考)パワーメーターで確かめてみた話: (その5) タイヤの空気圧…
一般的な目安として、体重とバイクの合計重量が86kgの場合、滑らかなアスファルトでは高めの空気圧、粗い路面では低めの空気圧が有利になる傾向があります。自分の走行環境に合わせた空気圧調整が重要です。
転がり抵抗は路面の種類によって劇的に変化します。平坦なアスファルト舗装路での転がり抵抗係数は0.01ですが、砂利道では0.125、砂地や石ころの路面では0.165、粘土質の自然路では0.25にまで跳ね上がります。
つまり砂利道では、アスファルトの12.5倍もの転がり抵抗が発生するということです。東京から大阪まで約500kmの距離を走ると仮定した場合、アスファルトで消費する燃料が5リットルだとすれば、同じ条件の砂利道では62.5リットルも必要になる計算になります。これは非現実的な数値ですが、路面の影響がいかに大きいかがわかりますね。
雨や雪が降るとさらに状況は悪化します。濡れた路面では水の膜がタイヤと路面の間に入り込み、接地面での摩擦抵抗が増加します。また、タイヤが水を掻き分けながら進むために、追加のエネルギーが必要になるのです。
路面の粗さが転がり抵抗に与える影響は、空気圧の調整である程度コントロールできます。荒れた路面を走行する際は、適度に空気圧を下げることでタイヤの柔軟性が上がり、段差からの衝撃を吸収しやすくなります。結果として等価転がり抵抗係数が低減し、燃費悪化を抑えられるというわけです。
ツーリング前に走行ルートの路面状況を確認して、それに応じた空気圧調整を行うのが賢い選択です。高速道路の滑らかな路面なら高め、山道や未舗装路が多いなら低めに設定するとよいでしょう。
バイクをニュートラルで押したり、惰性で走らせたりする際の転がり抵抗は、実は多くのライダーが想像するよりも大きいものです。ギアをニュートラルに入れればエンジンからの抵抗はなくなりますが、タイヤの転がり抵抗、ホイールベアリングの抵抗、チェーンやドライブトレインの抵抗は依然として存在します。
参考)バイクはニュートラル走行での転がり抵抗が案外大きいんじゃー無…
特にバイクの場合、自動車と比較してニュートラル走行での転がり抵抗が案外大きいという感想を持つライダーは少なくありません。これはバイクの車重に対するタイヤの接地圧が高いこと、そしてチェーン駆動による機械的な抵抗が影響しているためです。
駐車時にニュートラルにしておくと、車輪に負荷がかかれば前後に動いてしまいます。誰かがぶつかった拍子や地震の振動でバイクが動き、そのまま倒れる可能性があるのです。特に気をつけたいのが坂道での駐車で、ニュートラルのままだと自重でバイクが動き出し転倒するリスクが高まります。
参考)バイクを停めておく時はニュートラル?1速?〜教習所では教わら…
このリスクを避けるため、バイクを停める際は1速に入れておく方が安全です。ギアが入っていればエンジンの圧縮抵抗が効いて、簡単には動かなくなります。発進時にニュートラルに戻してからセルを回せば問題ありません。
バイクを押して移動させる際に重く感じる場合は、ブレーキの引きずりやアクスルベアリングの劣化も疑ってください。定期的なメンテナンスで転がり抵抗を最小限に保つことが、燃費維持にもつながります。
参考)バイクのニュートラルでの転がり抵抗 - バイクはCBR100…
転がり抵抗を低減するための最も基本的な対策は、タイヤの空気圧を適正に保つことです。空気圧が不足すると、タイヤの変形が大きくなり転がり抵抗が急増します。自転車で空気が抜けたタイヤを漕ぐのに余計な力が要るように、バイクでも同じ現象が起きるわけです。
こまめな空気圧チェックが重要です。最低でも月に1回、できれば週に1回は空気圧を測定して、メーカー推奨値に調整してください。タイヤの空気は自然に抜けていくため、気づかないうちに燃費が悪化していることがあります。
ホイールベアリングやドライブチェーンの状態も転がり抵抗に影響します。ベアリングが劣化すると回転抵抗が増え、チェーンが錆びたり汚れたりすると駆動効率が低下します。定期的な清掃と注油で、これらの機械的な抵抗を最小限に抑えられます。
ブレーキの引きずりも見逃せないポイントです。ブレーキパッドがディスクに常に接触している状態では、走行抵抗が大幅に増加します。バイクを押してみて異常に重い場合は、ブレーキキャリパーの点検が必要です。整備工場でピストンの固着やパッドの状態を確認してもらいましょう。
タイヤ選びでは転がり抵抗グレードの高い製品を選ぶのも効果的です。グレードが2ランク上がるだけで転がり抵抗が20%減り、年間で数千円の燃料費節約につながります。タイヤ交換のタイミングで、低転がり抵抗タイヤへの変更を検討してみてはいかがでしょうか。

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