抗力とバイクの物理現象|速度と姿勢で変わる走行抵抗の仕組み

抗力とバイクの物理現象|速度と姿勢で変わる走行抵抗の仕組み

抗力とバイクの物理現象

80km/hで走るとエンジン出力の半分以上が空気抵抗で失われます。


参考)http://jiko0.com/ecodrive.html


バイクに作用する抗力の3要素
💨
空気抵抗

速度の二乗に比例して増加し、高速域で支配的になる抵抗力

🛞
転がり抵抗

タイヤと路面の接触で生じる抵抗で、低速域で影響が大きい

⛰️
登坂抵抗

坂道での重力成分による抵抗で、勾配に応じて変化する

抗力がバイクに与える影響の基本原理


バイクが前進するとき、エンジンの駆動力と走行を妨げる抗力が釣り合う状態で一定速度を維持します。抗力は転がり抵抗、空気抵抗、登坂抵抗の3つで構成され、それぞれが異なる速度域や走行条件で影響力を変えていきます。


参考)走行抵抗とは?走行を妨げる「転がり抵抗」「空気抵抗」「登坂抵…


転がり抵抗は低速域で支配的です。


タイヤと路面の接地面が変形することで生じるエネルギー損失が転がり抵抗の正体であり、タイヤの空気圧が低下すると接地面積が増えて抵抗が大きくなります。空気圧が適正値より低い状態で走行すると、余分なエネルギーを消費して燃費が悪化するだけでなく、ハンドリング性能も低下します。


参考)バイク乗車における燃費のいい走り方とは?効果的なメンテナンス…


空気抵抗は速度の二乗に比例して急激に増加するため、速度を2倍にすれば抵抗は4倍になります。例えば100km/hで走行した場合、エンジン出力の半分以上が空気抵抗で失われてしまうのです。この現象により、高速域ではわずかな速度アップに大きなパワーが必要となり、燃費も指数的に悪化していきます。


登坂抵抗は坂道の勾配角度と車両重量に依存します。


平地では転がり抵抗と空気抵抗のみですが、上り坂では重力の進行方向成分が加わり、急勾配ほど抵抗が増大します。下り坂では逆に重力が推進力として働くため、アクセルを開けなくても速度が維持されやすくなります。


抗力と速度の関係|二乗則が示す燃費への影響

空気抵抗は速度の二乗に比例するため、高速走行時の燃費悪化は劇的です。80km/hで18km/lだった燃費が、100km/hでは15km/l、120km/hでは12km/lまで低下し、140km/hになると9km/lにまで落ち込みます。


速度域によって抵抗の内訳が大きく変わります。


15km/hでは空気抵抗が全抵抗の50%、転がり抵抗が45.5%ですが、30km/hになると空気抵抗が79%に跳ね上がり、40km/hでは85%を占めるようになります。低速域では転がり抵抗の影響が大きいものの、一般的な走行速度では空気抵抗が圧倒的な支配力を持つわけです。


空気抵抗の計算式は「抵抗 = 抗力係数 × 前面投影面積 × (1/2 × 空気密度) × 速度²」で表されます。この式から、速度を10km/hから20km/hに上げるだけで空気抵抗が4倍になることが理解できます。エンジン出力には限界があるため、高速域ではさらなる加速に必要なパワーが急激に増大し、最高速度への到達には非常に長い時間を要します。


参考)ミニ四駆を科学する#05 転がり抵抗を極める|Falcon


速度を少し下げるだけで抗力が大幅に減ります。


例えば60km/hで走っている状態から抗力を2倍にするには120km/hではなく約85km/hで走るだけで達成されます。逆に言えば、速度を少し落とすだけで燃費や走行抵抗を大きく改善できるということです。


参考)エンジン出力と空気抵抗から考える、車の最高速度 - ジェノン…


バイクの抗力係数と前面投影面積の特徴

バイクの空気抵抗係数(Cd値)は0.6~0.9程度で、一般的な自動車の0.25~0.4と比べて約2倍も高い値です。バイクは前後の長さに対して高さや幅が短く、突起している部分が多いため、空気が流れにくい形状になっています。


前面投影面積は自動車の約1/3程度です。


前面投影面積とは、バイクを真正面から見たときの面積のことで、この値が小さいほど空気抵抗は減少します。バイクの場合、ライダーの身体が前面投影面積に占める割合が大きいため、車体のスタイルよりもライダーの体格や乗車姿勢の違いが抵抗に大きく影響します。


ライダーが通常の運転姿勢から前傾姿勢をとると、前面投影面積が約10%減少します。前傾姿勢を深くすることで空気抵抗を軽減でき、同じパワーでより高い速度を維持できるようになります。スーパースポーツの強い前傾姿勢は空力性能を優先した設計であり、高速域での抵抗削減に大きく貢献しています。


参考)ロードバイクの乗車姿勢における空気抵抗軽減ポジション : え…


空気抵抗を減らすためにスリップストリームを活用する方法もあります。


レースでは先行車の後ろを走るテクニックで加速を稼ぐのが一般的ですが、これは先行車が受ける風を利用して自車のCd値を事実上下げているのと同じ効果です。一般道でも風の影響を意識して走行姿勢を調整することで、燃費や走行性能の改善につながります。


空気抵抗の詳細な解説と計算方法(clicccar.com)

抗力とコーナリング時の垂直抗力の関係

バイクがコーナーを曲がるとき、遠心力と重力の合力に対抗するために車体をバンクさせる必要があります。この際、路面からタイヤに作用する垂直抗力が重要な役割を果たします。垂直抗力とは、接地面に対して垂直方向に働く反作用力のことで、この力がなければバイクは路面を蹴ることができず、向心力を得られません。


平坦な道でカーブを切るときの向心力は、路面がタイヤに対して作用する進行方向に対して横向きの静止摩擦力によって生み出されます。垂直抗力はW(重量)と釣り合い、F(タイヤの摩擦力)はC(遠心力)と釣り合うことでバイクは転倒せずにコーナリングできます。


砂利道でのコーナリングは転倒の危険が高くなります。


地面に砂利が転がっていると静止摩擦力が低下し、遠心力の向きにタイヤが横滑りしてしまうためです。この状況では垂直抗力があってもタイヤと路面の摩擦係数が低いため、十分な向心力を得られません。バイクでカーブを安全に曲がるには、路面状態を見極めて適切な速度とバンク角を選択することが必須です。


車体バンク角はリーン角よりも大きくなります。


リーン角が45°のとき、車体バンク角は約50°にもなります。つまり1Gでコーナリングするためには車体を50°も傾けなければなりません。タイヤ幅が広いほど、またリーン角が増えるほど車体バンク角は大きくなるため、高速コーナリングでは大きな垂直抗力とそれに対応する摩擦力が必要です。


バイクのコーナリング力学の詳細解説(BikeBorosライディング技術講座)

タイヤ空気圧と転がり抵抗の実践的対策

タイヤの空気圧は燃費に直接影響する要素の一つで、空気圧が低すぎると路面との接地面積が増えて転がり抵抗が大きくなります。適正空気圧を維持することは、燃費改善だけでなく安全性やハンドリング性能の維持にも不可欠です。


参考)https://www.goobike.com/magazine/ride/technique/21/


空気圧低下による転がり抵抗の増加は、余分なエネルギーを消費して燃費を悪化させます。例えば、適正空気圧が2.5kgf/cm²のタイヤが2.0kgf/cm²まで低下すると、接地面積が増えてタイヤの変形量も大きくなり、その分だけエネルギー損失が増大します。月に一度程度の頻度で空気圧をチェックすることが推奨されます。


適正な空気圧を維持するためにエアゲージを活用しましょう。


ガソリンスタンドの無料エアコンプレッサーで簡単に調整できますが、デジタル式のエアゲージを携帯しておけば、いつでも正確な測定と調整が可能です。メーカー指定の空気圧は車体やスイングアームのステッカーに記載されているので、ツーリング前には必ず確認する習慣をつけてください。


タイヤの摩耗状態も転がり抵抗に影響します。


溝が浅くなったタイヤは変形特性が変わり、転がり抵抗が増加する傾向があります。また、摩耗が進むとグリップ力も低下するため、安全性の観点からも定期的なタイヤ交換が必要です。スリップサインが出る前に、走行距離や使用年数を基準に交換を検討しましょう。


抗力を減らす走行姿勢と速度管理の実践

前傾姿勢を取ることで前面投影面積を約10%削減でき、空気抵抗を大幅に軽減できます。スーパースポーツのような強い前傾姿勢は疲れやすいものの、高速道路での巡航時には空力的に大きなメリットがあります。


参考)スーパースポーツの前傾姿勢がツーリングで疲れやすく、何かよい…


速度管理は燃費改善に最も効果的です。


80km/hで走行する場合と100km/hで走行する場合を比較すると、わずか20km/hの差で燃費が18km/lから15km/lへと約17%も悪化します。高速道路での巡航速度を少し下げるだけで、燃料費の大幅な節約につながります。法定速度を守ることが結果的に最も経済的な走行方法なのです。


急加速や急減速を避けることも抗力対策として有効です。一定速度での巡航は、加減速時の空気抵抗の変動を抑え、エンジン負荷を安定させます。アクセル操作を滑らかにすることで、燃料消費を抑えながら快適な走行が可能になります。


風向きを意識した走行ルート選択も効果的です。


向かい風の中を走行すると相対速度が上がり、空気抵抗が増大します。可能であれば、追い風を利用できるルートや時間帯を選ぶことで、同じ速度でもより少ないエネルギーで走行できます。天気予報の風向き情報をツーリング計画に活用すると良いでしょう。


バイクの空力性能とスピードの詳細な関係(Quantum Curiosity)




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