

チェーンだけ新品に換えても、スプロケットが摩耗したままだと寿命が半分以下になります。
ノンシールチェーンの寿命目安として5,000km前後という数字が広く知られています。 これはシールチェーンのように内部にグリスを密封するシールリングを持たないため、ピンとブシュが直接金属接触して摩耗が進むためです。rk-japan.co+1
グリスが封入されているシールチェーンであれば、15,000〜30,000kmは使えることを考えると、ノンシールチェーンの消耗の速さは歴然です。 つまり寿命の差は構造の違いによるものです。
では、なぜそれでもノンシールチェーンが使われるのでしょうか?
ノンシールチェーンはシールリングがない分、チェーン1コマあたりのピンを短くでき、フリクションロス(摩擦抵抗)が少なくなります。 重量も軽くなるため、オフロードやモトクロスなどの競技バイク、また原付〜125ccクラスの小排気量車に多く採用されています。goobike+1
最高のパフォーマンスを発揮できる期間は短い、それがノンシールチェーンの宿命です。
ノンシールチェーンは100kmごとに注油が必要です。 これはシールチェーンが基本的に外部からの注油なしでも一定期間機能するのとは大きく異なります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/374/
注油を怠ると、ピンとブシュの間の潤滑が切れて金属摩耗が加速し、チェーンが急速に「伸び」ていきます。 チェーンが伸びるとスプロケットとのかみ合わせが悪化し、歯飛びや最悪の場合チェーン切れにつながります。 怖いですね。
一方、注油を怠らなければ寿命を大幅に延ばせる例もあります。ホンダ スーパーカブはノンシールチェーンを採用しながら、チェーンカバーによる保護と定期的な注油によって2万km以上走った事例も存在します。
| 条件 | ノンシールチェーン寿命目安 |
|---|---|
| 注油なし・屋外保管・雨天走行あり | 〜2,000km程度 |
| 100kmごと注油・標準的な使用 | 5,000km前後 |
| チェーンカバーあり・こまめな注油(カブ系) | 20,000km超の事例あり |
KSR110のようなノンシールチェーン採用の小排気量スポーツ車では、500kmほどで伸びが出始めるケースもあります。 バイクの出力特性と使用環境で寿命は大きく変わるということです。
注油のタイミングを見落とさないために、チェーンオイルをシート下やサドルバッグに常備しておく習慣が効果的です。DIDやRKジャパンなどのチェーンメーカーが販売する専用チェーンルブは粘度と飛び散りにくさのバランスが取れており、ノンシールチェーンとの相性も良好です。
チェーンの交換時期は走行距離だけでは判断できません。 実際の状態を目視・触診で確認することが重要です。
参考)この症状が出たらバイク用チェーンは寿命!プロが解説する「要交…
以下のいずれかが当てはまれば、即交換を検討してください。
特に「チェーンの一部だけ硬い」状態は要注意です。 走行中の負荷が特定のリンクに集中し、急なチェーン切れを引き起こすリスクがあります。
チェーンの伸び量を数値で確認するなら、チェーンチェッカー(1,000〜2,000円程度)を使うのが確実です。20リンク分(20コマ)の長さを測定し、規定値より3%以上伸びていれば交換サインです。これは使えそうです。
D.I.D公式 チェーンメンテナンスガイド(交換のタイミングや判断基準を詳しく解説)
チェーンだけ交換してスプロケットを使い回すと、新品チェーンの寿命を自ら縮めることになります。 これは多くのライダーがやりがちなコスト節約策ですが、実は逆効果です。
理由はピッチずれにあります。チェーンが伸びた状態で走り続けたスプロケットは、歯の先端が尖った「ホーク状」に摩耗しています。 この摩耗したスプロケットに新品チェーンを組み合わせると、ピンとスプロケット歯のピッチが合わず、新品チェーンが短期間で再び伸びる悪循環が始まります。
フロント・リヤのスプロケットとチェーンの3点セット交換が原則です。 RKジャパンのデータによれば、シールチェーンが15,000kmノーメンテで走れる状況でノンシールチェーンはチェーンとスプロケットを3回交換する計算になります。 ノンシールチェーンはランニングコストも計算に入れて選ぶ必要があります。rk-japan.co+1
スプロケット交換費用の目安はフロント1,000〜3,000円・リヤ3,000〜8,000円程度(工賃別)。チェーン単体で節約しても、スプロケットを何度も早期交換すると総額でかえって高くなることを覚えておいてください。
WEBike:チェーンとスプロケットを同時交換すべき理由(メーカー解説つき)
注油と調整に注目するライダーは多いですが、「保管時の処置」に注目している人はほとんどいません。 これは見落とされがちな盲点です。
バイクを屋外に長期保管する場合、ノンシールチェーンは雨・湿気・紫外線にさらされ続けます。シールチェーンであればシールが内部グリスをある程度守りますが、ノンシールチェーンには保護する仕組みがありません。 1ヶ月以上動かさないだけで、チェーン表面の油膜が蒸発・酸化し、錆の進行が始まります。
対策は走行後の注油だけでなく、長期保管前に専用チェーングリスをたっぷり塗布し、チェーンカバーや使い古しの布で覆っておくことです。この一手間で錆の進行を大幅に遅らせられます。
また、ノンシールチェーンはチェーン洗浄にパーツクリーナーを使えるのが利点です。 シールチェーンはシールゴムを溶かす可能性があるため、専用クリーナーが必要ですが、ノンシールチェーンは気兼ねなくパーツクリーナーで徹底洗浄できます。 これは使えそうです。
参考)小排気量用ノンシールタイプだけにできる荒技。汚れたチェーンを…
洗浄→乾燥→注油のサイクルを300〜500kmごとに実施することで、5,000kmの寿命目安を6,000〜8,000kmに延ばせるケースもあります。洗浄にはコンテナや大きめのビニール袋を使い、後輪を浮かせた状態でチェーンを一周させながら作業すると効率的です。
RKジャパン:シールチェーンとノンシールチェーンのコスト比較データ(公式)