リバウンド バイクの物理現象とサスペンション調整の基本

リバウンド バイクの物理現象とサスペンション調整の基本

リバウンド バイクの物理現象

あなたが硬めに調整したリアサスは、実は曲がりにくさの原因になっている。


この記事の3つのポイント
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リバウンドの基本原理

サスペンションが縮んだ状態から伸びる動作と、その速度を制御する減衰力の仕組みを理解できます

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物理現象と走行への影響

リバウンドストロークが直進性やコーナリング特性に与える具体的な影響を解説します

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正しい調整方法

リバウンド減衰力の適切な設定手順と、よくある失敗パターンの回避法を紹介します

リバウンドとバイクサスペンションの基本構造


リバウンドとは、サスペンションが路面からの衝撃で縮んだ後、スプリングの反発力によって元の位置に戻る伸び側の動作を指します。バイクに乗車すると、ライダーと車両の重量によってサスペンションは常に一定量沈み込んでいます。この沈み込んだ状態からさらに伸びることができる余裕量を「リバウンドストローク」と呼びます。


バイクのサスペンションは、フロントフォークとリアショックの2箇所に装備されています。それぞれに調整ダイヤルが備わっており、リバウンドダイヤルを時計回りに回すと伸び側の減衰力が強くなり、サスペンションが伸びる速度が遅くなります。


参考)マウンテンバイクの前後サスペンションの調整 – …


リバウンド調整が必要な理由は2つあります。1つ目は、減衰力がないとスプリングの反発力でサスペンションが勢いよく伸びてしまい、ライダーが跳ね上げられる危険があるためです。2つ目は、適切な減衰力によってタイヤの接地性を保ち、安全な走行を実現するためです。


参考)サスペンションセッティング 2018 ~ダンパー編その2~


伸び側減衰力の役割は、単なる衝撃吸収だけではありません。後輪の接地性を維持し、バイク全体の直進性を確保するという重要な機能を担っています。


リバウンドが生み出すバイクの物理現象

リバウンドストロークは、バイクの走行安定性を左右する物理的な要素として機能します。ライダー乗車時にサスペンションが沈んでいる量、つまりリバウンドストロークが適切に確保されていると、路面追従性が向上し、万一のスリップ時にも一気に転倒しないリカバリー能力を発揮します。


参考)硬いサスが速いライダーのセッティングは間違い!?【ライドナレ…


物理法則の観点から見ると、バイクの直進性は主に後輪が担っています。後輪が進行方向に対して摩擦力を保ちながら進行軸を維持し、前輪はトレール効果によってその方向に追従する仕組みです。このとき、リバウンドストロークが十分に確保されていれば、フロントブレーキを強く効かせても後輪が浮き上がらず(ジャックナイフを防止)、しっかりと接地して直進性を保ちます。


興味深いのは、リバウンド調整が前後のサスペンション間で同調していないと、バイクの挙動に悪影響が出る点です。例えば、リアのリバウンド減衰が強すぎると、ガレ場からの下りでタイトコーナーに進入する際、フロントに荷重をかけても「バイクが曲がりにくい」という現象が発生します。これは、リアサスが沈み込んだまま戻らず、車体姿勢が後ろ下がりになってしまうためです。


参考)リバウンドの調整、実践編 その2: ヒントになれば幸いです(…


つまり調整次第で曲がります。


リバウンドの物理現象は、コーナリング性能だけでなく、直進安定性やタイヤのメカニカルグリップにも大きく影響を及ぼします。適切なリバウンド設定により、サスペンションが次の衝撃に備えて元の位置に戻る準備が整い、連続するギャップでも安定した走行が可能になります。


参考)プロフェッサーのラジコン?? リバウンド!


リバウンド調整を誤ると起きる走行トラブル

リバウンド減衰力の設定を誤ると、さまざまな走行トラブルが発生します。代表的な2つのパターンを理解しておくと、セッティングの方向性を判断しやすくなります。


リバウンドが速すぎる場合の症状は以下の通りです。

リバウンドが遅すぎる場合の問題はより深刻です。

  • 衝撃を受けて縮んだサスペンションが元の位置に戻るスピードが遅くなる
  • 次の衝撃に対する準備ができず、縮んだ状態のまま次の衝撃を受けてさらに縮む
  • この現象を「パッキングダウン」と呼び、最終的にはサスペンションが底付きする

    参考)セッティングを間違えると・・・


  • ガレ場のタイトコーナーで、フロントに荷重をかけても曲がりにくくなる

特に注意したいのは、リアのリバウンド減衰が強すぎる状態です。この状態では後輪が沈み込んだままになり、コーナリング時にバイクを曲げられる状態になるまでの時間が長くなります。


初心者が陥りがちなのは、ボトミング(底付き)を防ごうとしてスプリングレートを上げ、さらにリバウンド減衰を強くしてしまう悪循環です。実際には、リバウンドが強すぎることでサスペンションが戻りきらず、有効ストロークが減ってボトミングしているケースが多いのです。


この誤調整を避ける第一歩は、リバウンド減衰を適切に戻すことです。その後、必要に応じてコンプレッション(縮み側)減衰を徐々に足していくのが正解となります。


リバウンドストロークと直進性・コーナリングの関係

リバウンドストロークの量は、バイクの直進安定性とコーナリング特性の両方に影響を与える重要なパラメータです。路面グリップの状況によって、最適なリバウンドストローク量は変化します。


参考)https://ameblo.jp/showcraft/entry-12653626051.html


一般的な傾向として、以下の関係が成り立ちます:

  • 路面グリップが悪い → リバウンドストロークを多めに設定
  • 路面グリップが良い → リバウンドストロークを少なめに設定

この理由は、リバウンドストロークが多いとロール(左右の傾き)が増え、同時にピッチング(前後の傾き)も増加するためです。アクセルオフやブレーキング時の荷重移動量が増えるため、コーナー進入からクリッピングポイントまではむしろ曲がりやすくなります。


逆に、フロントのリバウンドストロークが不足していると、立ち上がりでテールスライドを誘発する「立ち巻き」と呼ばれる現象が発生することがあります。これは、リアに荷重が移動した際に、フロントサスペンションが十分に伸びる余裕がないことで起こります。


サスペンション調整の基本原則として、リバウンドとコンプレッション(圧側)の減衰力の総和を一定に保ちながら、配分を変えることで乗り味を調整する手法があります。例えば、縮み側をソフトにして伸び側をハードにすることで、突き上げ感を抑えつつ車体姿勢を安定させることができます。


参考)AutoExe:貴島ゼミナール


コーナリングと直進安定性を重視する場合は、適度な減衰力設定が求められます。減衰調整を強くするとフラット感のメリットが大きくなりますが、強すぎると前述のような曲がりにくさの問題が発生します。


参考)MINORU TANAKA BLOG » H…


サスペンションセッティングでは、ピストンスピード0.1m/sec以下の低速域での減衰力が、コーナリングの初期応答性やS字の切り返しに大きく影響します。この領域の減衰力を適切に調整することで、ステアリング入力に対してリニアな反応が得られ、ヨーとロールのつながりが良い乗り味になります。


リバウンド調整の正しい手順とダイヤル設定

リバウンド調整は、適切な手順で行うことで、バイクの性能を最大限に引き出せます。


ここでは、基本的な調整手順を解説します。


調整前の準備
まず、フロントフォークとリアショックのリバウンドダイヤルの位置を確認してください。多くのバイクでは、フロントフォークの下部やリアショックの下端に赤色または専用のダイヤルが配置されています。


参考)マウンテンバイク サスペンションセッティングの基本【MTBは…


基本的な調整手順

  1. リバウンドダイヤルを時計回り(SLOW側)に止まるまで回し切る
  2. この状態が「リバウンド最遅」の設定になります
  3. メーカー推奨値または体重に応じた表の数値を確認する
  4. ダイヤルを反時計回り(FAST側)に、ノッチ(クリック感)を数えながら回す

調整の優先順位ですが、リアショックから先に調整するのが推奨されます。これは、バイク全体の挙動の基準となる後輪側の設定を固めてから、フロント側で微調整を行うほうが効率的だからです。


実走での確認ポイント
調整後は、以下の症状が出ていないか実走で確認してください:

  • 曲がる際の反応が鈍い → リバウンド減衰を増やす方向へ
  • バンプ通過後にバイクが浮いたような感覚がある → リバウンド減衰を増やす
  • ホイールが継続的に上下に揺れる(ポゴ現象) → リバウンド減衰を増やす
  • バンプ通過後すぐに地面に戻らない → リバウンド減衰を減らす方向へ

フルサスペンションバイクの場合は、前後サスペンションのリバウンドスピードがある程度同調していることが大前提となります。スピードが極端に違うと、バイク全体のバランスが崩れ、予測不能な挙動につながります。


多くのライダーが犯しがちな間違いとして、サグ(1G沈下量)を正確に測定せずに調整を始めてしまうケースがあります。サグの設定が不適切だと、リバウンド調整だけでは問題が解決しません。まずは適切なサグを設定し、その上でリバウンド調整を行うのが正しい手順です。


調整に迷ったときは、一度すべてのダイヤルを基準位置(メーカー推奨値)に戻し、そこから少しずつ変化させていく方法が安全です。大幅な変更は避け、1~2ノッチ単位で調整しながら違いを体感することで、自分のバイクと走り方に合った最適なセッティングが見つかります。


路面状況別のリバウンド設定と体感の違い

路面状況によってリバウンド設定を変更することで、バイクの性能を最大限に引き出せます。ここでは、異なる路面での最適な設定と、その体感の違いを解説します。


舗装路でのリバウンド設定
滑らかな舗装路では、比較的速めのリバウンド設定が適しています。路面からの突き上げが少ないため、サスペンションが素早く元の位置に戻ることで、次のコーナーや操作に対する反応性が向上します。ただし、速すぎると路面の小さな凹凸でバイクが跳ねる感覚が出てくるため、調整が必要です。


荒れた路面やオフロードでの設定
ガレ場や連続するギャップのある路面では、やや遅めのリバウンド設定が有効です。速すぎる設定だと、連続する衝撃に対してサスペンションが十分に伸び切らず、パッキングダウンが発生します。結果として有効ストロークが減少し、最終的にボトミングに至ります。


ウェット路面での調整
濡れた路面では、タイヤのグリップ力が低下します。この状況では、リバウンドストロークを多めに確保することで、タイヤの接地性を維持しやすくなります。ロールやピッチングが増えることで、荷重移動がスムーズになり、グリップの限界を感じ取りやすくなる効果もあります。


体感の違いを確認する方法
リバウンド調整の効果を体感するには、以下の方法が有効です。

  • 同じコーナーを繰り返し走行し、ステアリングの応答性を確認する
  • 連続する段差を通過して、サスペンションが次の衝撃に備えているか感じ取る
  • ブレーキング時の車体姿勢の変化と安定性をチェックする

フロントフォークのリバウンドが適切に設定されていると、ブレーキング時にフロントが沈み込んでも、コーナー進入時には適切な姿勢に戻っていることが体感できます。リアについては、アクセル操作に対する車体の反応が自然で、立ち上がりでのトラクション感が安定していることが目安になります。


初めてリバウンド調整を行う場合は、まず基準値から±2ノッチ程度の範囲で試してみてください。大きな変更は予期しない挙動を引き起こす可能性があるため、少しずつ調整しながら体感の違いを確認していくアプローチが安全です。


同じ路面でも、走行スピードや乗車姿勢によって最適な設定は変わります。自分の走り方や体重、よく走る路面の特性を考慮しながら、じっくりと最適なセッティングを探っていくのが、バイクとの一体感を高める近道です。


サスペンションセッティングの詳細なダンパー調整方法についてはこちら
リバウンド調整は、サスペンションセッティングの中でも特に重要な要素です。適切な設定により、バイクの直進安定性、コーナリング性能、そして乗り心地が大きく向上します。自分のバイクと走行スタイルに合った最適なセッティングを見つけることで、より安全で楽しいライディングが実現できるでしょう。




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