

空気圧が適正より10%低いだけでコーナリング時の接地面積が減ってグリップが下がります。
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バイクのタイヤには大きく分けてバイアスタイヤとラジアルタイヤの2種類が存在します。バイアスタイヤはカーカス(骨格となる繊維層)を斜めに重ねる構造で、強度は高いものの柔軟性に欠けます。一方、ラジアルタイヤはカーカスをタイヤの回転方向に対して垂直に配置し、一層だけで構成することで柔軟性を確保しています。
バイクがコーナーを曲がる際、車体を傾けることで発生する「キャンバースラスト」が主な旋回力となります。これは車体のバンク角によって生まれる力で、二輪車用タイヤはこのキャンバースラストを積極的に活用するよう設計されています。つまり、タイヤが変形して路面に接することが基本です。
ラジアルタイヤはバイクがバンクした際に大きく変形し、高いグリップ力や旋回力を生み出せるため、コーナリング性能が飛躍的に向上しました。スポーツ走行を楽しみたい場合、ラジアルタイヤを選択することで、より安定した旋回と高い応答性が得られます。
空気圧が低すぎるとタイヤは大きく変形しますが、接地形状が不安定になり、コーナリング時にはむしろ接地面積が減ってグリップが低下します。応力を支えられないため、コンパウンドが柔らかくてもズルズルと逃げてしまう傾向があるのです。低圧でタイヤが凹めば接地面積が増えると考えがちですが、実際はそう単純ではありません。
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空気圧が高すぎる場合も問題があります。タイヤの剛性が上がって変形が抑えられ、接地圧が上昇するとミューが下がっていくため、コーナリングフォースは低下します。高圧でも低圧でもコーナリング性能に悪影響を与えるということですね。
適正な空気圧はメーカーが指定する値が基本ですが、走行状況や路面に応じた微調整も重要です。一般的なツーリングでは4~500km走るごとに空気圧をチェックする習慣をつけると、コーナリングの気持ちよさが維持できます。空気圧管理を怠ると、転がり抵抗が増えて燃費が悪化するだけでなく、ブレーキングの効きやコーナリング時の安定性も損なわれます。
バイクのタイヤ空気圧管理について徹底解説! | Bike Life Lab
空気圧の適正値や測定方法について詳しい解説があります。
タイヤの溝は主に排水性能のために設けられていますが、晴天時のコーナリング性能にも関係します。溝が減ってくると雨天での駆動力や制動力が低下するのは当然ですが、実は晴天でも性能は落ちていきます。JAFのテストでは、タイヤの山が2部山になると新品に比べてドライ路面でも約10%制動距離が伸びるというデータがあります。
溝の深さが3mm以下になると、湿潤のアスファルトでの制動距離が急激に伸びることも確認されています。日本の年間降水日数は全国平均で117日、つまり3日に1度は雨が降る計算です。通り雨やゲリラ豪雨のリスクを考えると、溝が浅いタイヤで走り続けるのは現実的ではありません。
溝が減るということは長時間使用したということであり、時間の経過でゴムの硬化も進みます。劣化したゴムは路面の凹凸を吸収するダンピング性能が落ち、グリップ力が下がってしまいます。溝が十分残っていても、古くなったタイヤは交換を検討すべきなんですね。
ツーリングタイヤとスポーツタイヤでは、コーナリング性能に対するアプローチが大きく異なります。スポーツタイヤやハイグリップタイヤは「コーナリング性能」や「スピード重視」であるのに対し、ツーリングタイヤは「耐久性」「安定感」「ウェット性能」をバランス良く実現しています。
スポーツ走行を楽しみたい場合、ハイグリップタイヤを選ぶことで限界性能は上がりますが、性能が高いものは限界を超えたときの制御が非常に難しくなります。扱いきれない性能は危険につながるため、自分のライディングスキルに合ったタイヤを選ぶことが大切です。
参考)バイクのハイグリップタイヤとツーリングタイヤ、コーナーでスリ…
最近の次世代ツーリングタイヤは、デュアルコンパウンドを採用してコーナリンググリップと高速安定性を両立させたモデルも増えています。街乗りからワインディングまで幅広く対応したい場合は、こうしたバランス型タイヤが使えそうです。タイヤ選びに迷ったら、まず自分の走行スタイル(ツーリング中心か、峠攻めも楽しむか)を明確にすることが条件です。
コーナリングフォースとは、タイヤが旋回中に発生させる横方向のグリップ力のことです。バイクを傾けるとハンドルが倒した方向に切れていき、それによってコーナリングフォースと遠心力が発生します。この力のバランスが取れている状態が、安定したコーナリングなんですね。
タイヤは旋回中に横方向の力が加わり、サイドウォールが変形します。それによりホイールの向きと車両の進行方向にはズレが生じ、このズレのことをスリップアングルと呼びます。スリップアングルが適切な範囲にあるとき、コーナリングフォースが効果的に働くわけです。
ブレーキング中はタイヤのグリップが縦方向(減速)に使われているため、コーナリングフォース100%の状態でさらにブレーキをかけると、横方向のグリップが限界を超えて外へ滑り出します。コーナーの進入が上手くいったかどうかで、コーナリングの速度やタイムが8割形決まると言われるのはこのためです。タイヤのグリップ力の配分を理解することで、より安全で速いコーナリングが実現できます。
タイヤの役割|二輪車用タイヤ | ブリヂストン
キャンバースラストやコーナリングフォースの詳しいメカニズムが解説されています。
タイヤの真ん中だけが減っている場合、直進走行が多く、バイクを大きく傾ける機会が少ないことを示しています。街乗り中心のライダーに非常によく見られる現象で、決して悪いことではありません。
むしろ安全運転の証とも言えるでしょう。
タイヤのサイド部分が摩耗している場合、コーナリング技術が反映されていると考えられます。バイクを傾けてカーブを曲がることで、タイヤのサイド部分が路面に接触し、その部分が摩耗するのです。サイドの摩耗が均等であれば、左右両方向のコーナリングをバランスよく行っていることを意味します。
片側だけが多く摩耗している場合は、片方のコーナリングに偏りがあるかもしれません。これはライディングフォームやバイクのセッティングを見直す良い機会ともなります。定期的にタイヤの摩耗状態をチェックすることで、自分のライディングスタイルを客観的に把握できるということですね。