

新品タイヤより摩耗したタイヤの方が雨に強いケースがあります。
バイクタイヤのウェット性能は「排水性」と「ウェットグリップ」という2つの要素で構成されています。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/404/
排水性はタイヤの溝のパターン形状と溝の数によって決まります。溝が路面とタイヤの間の水を効率的に外へ排出することで、タイヤが路面に接地しやすくなるわけです。縦溝に加えて横や斜め方向にも大きな溝があるパターンは排水性能に優れています。
参考)ウエット性能をパターンで判断しよう!|タイヤ市場水戸笠原店|…
ウェットグリップはタイヤのコンパウンド(ゴム素材)と接地面積によって決まります。高品質なシリカをコンパウンドに配合すると、濡れた路面への密着性が向上し、グリップ力が高まります。つまり、溝で水を逃がしつつゴムで路面を掴む、この両立が重要です。
参考)ヨコハマタイヤの強み_雨の日に強い- ヨコハマタイヤ [YO…
この2つの要素は相反する関係にあります。溝を増やすと排水性は上がりますが、接地面積が減ってグリップ力は下がりやすくなるのです。タイヤメーカーは高度なコンピュータシミュレーションを駆使して、この2つを高次元でバランスさせた製品を開発しています。
タイヤの溝が減ると雨天での危険性が急激に高まります。
参考)溝の減ったタイヤでも晴れの日なら性能は問題ないのか?(WEB…
湿潤路面での比較では、溝の深さが3mm以下になると制動距離が急激に伸びることがデータで示されています。新品タイヤの溝深は通常8mm程度ですが、約50%摩耗して残り溝3.2mmになると、タイヤのかなりの部分が水膜の上に浮いてしまいます。
参考)https://www.bridgestone.co.jp/blog/2017063001.html
残り溝が1.6mm(法定使用限度)になると、タイヤは殆ど路面に接地できず、水膜の上に浮いている状態になるという検証結果があります。これは晴天時でも問題で、溝のないタイヤは湿った路面でも制動距離が伸びてしまうのです。
実際にタイヤを交換しているユーザーの約4割が残り溝3〜4mmで交換しています。ウェット性能が変わり始めるこのタイミングが理想的な交換時期ですね。溝は排水だけでなく、路面の凸凹への追従性にも影響するため、浅くなると滑りやすくなります。
参考)Q.溝が細くて浅い最新タイヤは雨で大丈夫?【教えてネモケン1…
残り溝が3mm以下になったら、雨天走行の予定があるなら早めの交換を検討しましょう。
現代のバイクタイヤには様々なウェット性能向上技術が搭載されています。
ブリジストンの「パルスグルーブ」は、二輪車用タイヤとして世界初搭載された独自技術で、ウエット走行時の性能を高めます。ミシュランの「ロード5」は、タイヤ表面が減っても排水溝がより広くなり、ウェット性能が高まる特殊な形状の溝を採用しています。
ブリジストン「T31」は、溝の配置と割合を厳密に工夫することで排水性を高め、前モデルからウエット性能がさらに進化しました。メッツラー「ROADTEC01」は、やわらかめのコンパウンドでタイヤの形が柔軟に変化してグリップ力を高め、大きな溝と細かな溝が絶妙に組み合わされています。
シリカリッチコンパウンドは、タイヤの温度が低い時でもグリップを損なわない特徴があります。小径化したシリカをゴム内に均一に分散させることで、路面との接地面を拡大し、グリップ力を向上させる技術も使われています。これらの技術により、雨天時でも安心して走行できる性能が実現されているわけです。
メーカー各社の最新技術を比較して、自分の走行スタイルに合ったタイヤを選びましょう。
ブリジストン公式サイトでパルスグルーブ技術の詳細を確認できます
ツーリングタイヤとスポーツタイヤでは、ウェット性能の特性が大きく異なります。
参考)http://hkrider.com/blog/motorcycles/motorcycle-culture/motorcycle-tirechoise-2/864/
ツーリングタイヤは溝が多く深いパターンを持ち、直進時やライトなコーナリングでの排水性に優れています。雨天時の排水性に特化したタイプもあり、タイヤが減るほど溝が大きくなって排水性が高まる製品も存在します。梅雨時期に頻繁に使用するライダーに適した選択です。
一方スポーツタイヤは、溝の少なさ(シーランド比の高さ)が特徴で、深くバンクさせると接地面の溝がさらに減る設計になっています。近年のスポーツタイヤは、ハーフバンク程度の角度で既に全く溝のない領域を使っていることもあります。条件を限定すると、ウェット時のグリップ性能でスポーツタイヤがツーリングタイヤを上回るケースもあるのです。
スポーツツーリングタイヤは、ハイグリップ性能と高耐久性を合わせ持ち、ウェット時のコーナリンググリップやブレーキ性能にも貢献します。走行シーンに応じて、直進重視ならツーリング、バンク重視ならスポーツ系を選ぶのが基本ですね。
タイヤの空気圧はウェット路面での性能に大きく影響します。
バイクタイヤの指定空気圧は一般的に1.5〜3.0kg/cm²の範囲で、車種ごとに最適な数値が設定されています。ウェットコンディションや荒れた路面を走る場合は、指定空気圧の範囲内で空気圧を少し下げると良いとされています。
参考)【ロードバイク初心者向け】タイヤの空気圧が走りに及ぼす影響と…
空気圧を適度に下げると接地面積が増え、グリップ力が増します。ただし、下げ過ぎると返ってグリップ力が下がることもあるため注意が必要です。やりすぎると「グリップ力が下がって燃費も悪化」という状態になり、バーストやスリップの危険性も高まります。
空気圧不足はグリップ力低下や燃費悪化など様々な問題を引き起こすため、日頃からチェックする心掛けが大切です。雨天走行前には、まず空気圧が適正範囲にあるか確認しましょう。
基本は指定空気圧に合わせるのが原則です。
メーターでの測定は10秒以上入れ続けても達しない場合、単位の読み間違いの可能性があります。バイクのタイヤは通常2.0kg/cm²前後なので、それほど時間はかかりません。
雨天走行前の空気圧チェックを習慣化すれば、ウェット性能を最大限発揮できます。

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