520チェーン クリップの向きと取り付け方の正しい手順

520チェーン クリップの向きと取り付け方の正しい手順

520チェーン クリップの正しい取り付けと交換の基本知識

クリップを逆向きに付けたまま走ると、チェーンが外れてクランクケースが割れます。


📋 この記事の3つのポイント
⚠️
クリップの向き・表裏は2つある

「進行方向」だけでなく「表裏(膨らみの向き)」も正しくセットしないと外れやすくなる。両方正しくして初めて安全。

🔧
クリップは再利用禁止

一度外したクリップは弾性が落ちている。チェーン交換のたびに新品ジョイントを使うのが原則。

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チェーン・スプロケは3点同時交換が基本

チェーンだけ新品にしてもスプロケットが摩耗していると、ピッチが合わずチェーン寿命が大幅に短くなる。


520チェーン クリップジョイントの構造と種類を理解する


520チェーンは、ピッチ(コマとコマの間隔)が15.875mm(5/8インチ)のドライブチェーンで、250cc〜400cc前後のバイクや、オフロードバイクに多く採用されているサイズです。ローラーリンク内幅は6.35mmで、スポーツ走行にも対応できる強度と軽量さを両立した、いわば中堅クラスの万能サイズです。


チェーンをつなぐ「ジョイント」には、大きく分けて3種類あります。


| ジョイント種別 | 特徴 | 専用工具 |
|---|---|---|
| クリップジョイント(RJ/CL) | プライヤーのみでOK | 不要 |
| 圧入+クリップ(FJ) | プレート圧入後にクリップ留め | 必要 |
| カシメジョイント(ZJ) | ピン先端を専用工具でかしめる | 必要 |


この記事で主に扱う「クリップジョイント(RJタイプ)」は、専用工具なしでプライヤーのみで取り付け・取り外しができます。これが基本です。小排気量車やオフロードバイクに広く使われており、DIYでのチェーン交換でも最も取り扱いやすいタイプです。


ただし、構造上の理由から、クリップジョイントはカシメジョイントと比べてジョイント部の強度がチェーン本体よりも若干劣ります。RKジャパン公式サイトでも「ジョイントプレートを圧入していないため、構造上強度はチェーン本体よりも劣る」と明記されています。これはデメリットというより「適切な用途がある」という話で、使用する排気量や走行スタイルにあったジョイントを選ぶことが重要です。


また、DIDのFJジョイント(圧入+クリップタイプ)は、中型以上の多くの車種で採用されており、プレートの圧入作業後にクリップで固定するため、専用工具なしでは正しく取り付けられません。「クリップ式だから工具不要」と思って圧入を省略してしまうと、非常に危険な状態になります。自分のバイクのジョイント種類を必ず確認しましょう。


RKジャパン公式:チェーンのジョイント種類と構造解説(クリップ・カシメ・FJの違い)


520チェーン クリップの向きと表裏の正しいセット方法

クリップジョイントの取り付けで最も重要なのが「向き」と「表裏」の2点です。どちらか一方でも間違えると、走行中にクリップが外れる原因になります。


① 進行方向(向き)の確認


クリップには「背の丸い側(切り欠けのない側)」と「開口部(切り欠けのある側)」があります。取り付け時は、チェーンの進行方向に対して背の丸い側が来るようにセットします。つまり、切り欠けが「進行方向と逆」を向く形です。


なぜこの向きにするのか? チェーンが走行中に何かに引っかかった場合、「丸い背面」側が先に当たるため、クリップが押し出されにくい構造になっています。逆向きにすると、切り欠けが引っかかりを受けてクリップが飛び出すリスクが生まれます。これは絶対に間違えてはいけません。


② 表裏(膨らみの向き)の確認


こちらは見落とされがちなポイントです。クリップを平らなところに置くと、わずかに反り(湾曲)があることがわかります。この反りには重要な意味があります。


正しい取り付けは、膨らんでいる面を表(外側)に向けて挿入します。内側に反りが来るようにセットすると、クリップのバネ反力によってジョイントプレートを内側から押さえ、クリップ自身もピンの溝にしっかり固定される設計です。逆に表裏を間違えると、この反力が正しく機能せず、外れやすくなります。


つまり2点の確認が条件です。


取り付け手順をまとめると次のとおりです。


1. ジョイントピンにシールリング(シールチェーンの場合)とグリースを塗布する
2. ジョイントプレートをはめ込む(FJの場合は圧入工具で圧入する)
3. クリップの向きを確認:切り欠けが「進行方向の逆」を向くように
4. クリップの表裏を確認:膨らんでいる側が外を向くように
5. プライヤーでクリップをしっかりピン溝にはめ込む


ラジオペンチよりもチェーンプライヤー(専用工具)を使うと、クリップが飛びにくく作業が安定します。ツノダのチェーンプライヤーや、KTCの専用工具などが各1,000〜2,500円程度で入手できます。これは使えそうです。


RKジャパン公式PDF:クリップジョイントの取り付け手順(進行方向と挿入向きの図解あり)


520チェーン クリップの再利用がNGな理由と新品交換の基準

「チェーンは交換したけど、クリップは前回のものをそのまま使った」――このやり方は、メーカーが明確に禁止しています。


RKジャパン・DIDともに「一度外したジョイントピンやジョイントプレート、クリップは絶対に再利用しないでください」と注意事項に明記しています。再利用NGの理由は明確で、クリップはバネ鋼製であり、一度ピン溝にはめ込まれて荷重を受けると弾性(スプリング力)がわずかに低下します。この弾性低下により、溝への保持力が落ち、走行中の振動でクリップが緩んで外れるリスクが高まります。


再利用禁止は原則です。


新品のチェーンジョイントを単品で購入した場合、D.I.Dであれば「RJタイプ」、RKであれば「CLジョイント」として数百円〜1,000円前後で販売されています。チェーン本体が1万円以上するのに対し、ジョイントはごく安価です。ここで節約するメリットはほぼゼロと考えてください。


また、メーカーからは「ジョイントは必ずチェーン本体と同一銘柄のものを使用すること」とも指示されています。同じ520サイズでも銘柄が違うとピン径・プレート厚・シールの規格が異なり、混用すると局部伸びや最悪の場合は破断につながります。「サイズが合えばOK」という考えは危険です。互換性はありません。


さらに細かいポイントとして、RKのシールチェーンのジョイントには「からし袋」と呼ばれる小袋にチェーングリースが同梱されています。これを継手ピンとシールに塗布することも忘れがちな重要ステップです。これを省くとシールリングの摩耗が早まります。


520チェーン クリップ交換時に見落としがちなチェーン伸びの限界値

クリップを正しく付けても、チェーン本体が限界まで伸びていれば意味がありません。チェーンの「伸び」は実際には金属が伸びているのではなく、ピン(軸)とブッシュ(軸受け)の摩耗によって生じるすきまの積み重ねです。


520サイズのシールチェーンの使用限界は「初期長さから+1.0%」とされています。120リンク(1,905mm)のチェーンで計算すると、約19mmの伸びが限界です。これはちょうど1円玉の直径(20mm)に近い長さ感です。たった19mmの伸びでも、120コマ全体に積み重なっているためスプロケットとのピッチが大きくズレ、歯飛びや破断リスクが出てきます。


| サイズ | ピッチ | 120L長さ | シールチェーン交換目安(+1.0%) |
|---|---|---|---|
| 520 | 15.875mm | 1,905mm | +約19mm |


ノンシールチェーンの使用限界は+2.0%とやや緩いですが、シールチェーンが伸びを見せ始めるのはシールリングが劣化・損傷して内部グリースが抜け始めたサインです。急速に局部伸びが進む傾向があるため、「少し伸びたかな?」と思ったらすぐに交換するのが原則です。


チェーンの伸びを確認するシンプルな方法は、リアスプロケットのチェーンを指でつまんで引っ張ることです。チェーンがスプロケット歯から大きく浮く(目視で歯が見える)ようなら、すでに交換時期を過ぎています。また、定規やチェーンチェッカーを使う方法も精度が高いです。D.I.Dのチェーンチェッカーは市販されており、1,000〜2,000円程度で購入できます。走行距離の目安としては、良好なメンテナンス状態でシールチェーンは15,000〜20,000km以内が交換推奨とされています。


D.I.D(大同工業)公式FAQ:シールチェーンの交換時期・メンテナンス頻度の目安


520チェーン クリップ交換と同時にすべき「3点同時交換」の理由

チェーンのクリップが外れる・チェーンが切れるといった重大トラブルの多くは、「チェーンだけ新品にして古いスプロケットをそのまま使った」ケースで起きやすい傾向があります。これはピッチエラーと呼ばれる現象が原因です。


バイクの駆動系にはフロントスプロケット・リアスプロケット・チェーンの3点が噛み合って動力を伝えます。チェーンが伸びた状態で長期間使うと、スプロケットの歯先が「鉤爪(かぎつめ)」状に偏摩耗します。この状態のスプロケットに新品チェーンを組み合わせると、ピッチが合わずローラーが歯先に乗り上げるため、新品チェーンが異常磨耗・歯飛び・最悪の場合は切断に至ります。


厳しいところですね。


スプロケットの交換目安は、フロントが10,000〜15,000km、リアが20,000〜30,000km程度とされています。ただし使用状況や路面条件によって大きく変わるため、チェーン交換時は必ず前後スプロケットの歯の状態を目視で確認することが重要です。歯先が鋭くとがっている・一方向だけ削れているといった場合は同時交換が必要です。


費用感としては、DIYで部品代のみを考えると以下が目安です。


- 520サイズシールチェーン(110〜120L):約8,000〜15,000円
- フロントスプロケット:約1,500〜4,000円
- リアスプロケット:約3,000〜12,000円
- ジョイント(単品):約300〜1,000円


ショップに依頼する場合、チェーン&前後スプロケット3点同時交換の工賃は6,600円〜(ナップス基準)で、部品代と合わせると総額2〜3万円前後になることが多いです。DIYで行えば部品代だけに抑えられますが、カシメ式チェーンの場合は専用工具(チェーンカッター&カシメツール)が別途必要です。D.I.Dの「かし丸君(KM500R)」は約15,000〜20,000円前後で、複数回の作業に使えるため長期的には元が取れます。


Webike:チェーンとスプロケットを同時交換すべき理由(ピッチエラーの解説あり)




D.I.D(大同工業)バイク用クリップジョイント 520DZ2-RJ G&B(ゴールド&ブラック) SDHピン加工 二輪 オートバイ用