

普通のバイクでスパイクタイヤを履いても、あなたは氷上で転倒します。
FIMアイススピードウェイ・オブ・ネイションズは、凍結したトラックでバイクレースを行う国別対抗戦の世界選手権です。かつては「アイススピードウェイ・チーム世界選手権」という名称で開催されていましたが、現在の名称に変更されました。1979年にロシアのカリーニン(現トヴェリ)で初めて開催されて以来、40年以上の歴史を持つ競技です。
参考)Ice Speedway of Nations - Wiki…
この競技では、500ccのバイクを使用し、しかもブレーキが装着されていません。つまり減速は基本的にスロットルワークと車体を横に滑らせることのみで行います。氷の上で転倒したら大怪我に直結するため、選手には極めて高度な技術と度胸が求められます。
ブレーキなしが基本です。
バイクのタイヤには特殊なスパイクタイヤが装着されており、これがこの競技の最大の特徴です。普通のスタッドレスタイヤやスパイクタイヤとは全く異なり、釘のような長いトゲトゲが無数にタイヤ表面に打ち付けられています。このスパイクが氷に食い込むことで、信じられない速度でのコーナリングが可能になります。
アイススピードウェイのライディングスタイルは、一般的なバイクレースとは全く異なります。通常のロードレースやモトクロスではバイクを傾けて曲がりますが、アイススピードウェイではリーンウィズの状態で体を起こしたまま、バイクを横滑りさせてコーナーを駆け抜けます。
参考)【スゴい!けど無理…】FIMアイススピードウェイ世界選手権 …
コーナーでは驚くほどのバンク角でバイクを寝かせながら、後輪を大きく滑らせて旋回します。その様子はまさに二輪ドリフトと呼ぶにふさわしいもので、見る者を圧倒します。モトクロスを何十年も経験したライダーでさえ「全く理解できない」と語るほど、トラクションの概念が根本的に異なります。
理解を超える走りです。
レース開始から5周するまでのタイムはわずか32秒という驚異的な速さです。小さなコースとはいえ、氷の上でこのスピードを出すのは常軌を逸しています。選手たちは横滑りしながらも全開でアクセルを開け続け、コーナーでも加速を続けます。
この競技の歴史において最も顕著な特徴は、ロシア(旧ソ連およびCIS含む)の圧倒的な強さです。1979年の第1回大会から2020年まで開催された全ての大会のうち、ロシア勢が優勝を逃したのはわずか3回のみです。
非ロシア勢が優勝したのは、1983年の西ドイツ、そして1985年、1995年、2002年のスウェーデンだけという事実は驚異的です。つまり40回以上開催された大会のうち、ロシアとその前身国家が37回以上優勝していることになります。
ロシアが圧倒的です。
開催地は主にヨーロッパ各国で、ドイツのインツェル、ベルリン、オランダのヘーレンフェーン、ロシア国内の各都市などで行われてきました。特にベルリンとクラスノゴルスクは複数回開催された会場として知られています。残念ながら2020年のベルリン大会を最後に、新型コロナウイルスのパンデミックとその後のロシアによるウクライナ侵攻の影響で、大会は開催されていませんでした。
アイススピードウェイで使用されるスパイクタイヤは、一般的な自転車や自動車用のスパイクタイヤとは全く別物です。自転車用スパイクタイヤの場合、例えばシュワルベ製の700Cサイズで118本から120本程度のスパイクピンが装着されています。
参考)SCHWALBE(シュワルベ) 2本セット SCHWALBE…
しかし、アイススピードウェイ用のスパイクタイヤは、釘のような長いトゲが無数にタイヤ表面に打ち込まれています。このスパイクの長さや本数は一般的なものとは比較にならないレベルで、氷に深く食い込むことで強大なグリップ力を生み出します。
グリップ力が段違いです。
自動車用のスパイクタイヤでは、スパイクピンの先端がタイヤ表面より1mm程度突出する程度ですが、アイススピードウェイ用は比較にならないほど長いスパイクが使われています。このため、一般道で使用すると路面を著しく損傷させるだけでなく、非常に危険です。
2026年、FIMアイススピードウェイ・オブ・ネイションズは6年ぶりに復活します。開催地はオランダのヘーレンフェーンで、日程は4月12日です。
これは第43回目の大会となります。
参考)2026 – The Netherlands &…
2026年のFIMアイススピードウェイ世界選手権シーズンは、1月31日にスウェーデンのエルンシェルズヴィークで予選ラウンドが行われ、3月14日から15日にドイツのインツェルで決勝第1戦と第2戦が開催されます。そして4月11日にヘーレンフェーンで決勝第3戦、翌12日に国別対抗戦のオブ・ネイションズが行われる予定です。
参考)2026 FIM Ice Speedway World Ch…
4月12日に開催されます。
オランダのヘーレンフェーンは、過去にも1980年、1987年などに世界選手権が開催された実績のある会場です。FIM-MOTO.TVでは大会の模様がライブ配信される予定で、世界中のファンが「氷上で国の誇りがぶつかり合う」瞬間を目撃できます。
日本国内でもアイススピードウェイに近い体験ができる施設があります。北海道の新千歳モーターランド アイスサーキットでは、スパイクタイヤを装着したオフロードバイクで氷上のサーキットを走行できます。
この施設ではマシンをレンタルして気軽に楽しめるため、特別な準備をしなくても氷上ライディングの感覚を味わえます。もちろん世界選手権のような過激な走行ではありませんが、冬の北海道ならではのアクティビティとして人気を集めています。
レンタルで楽しめます。
氷上でのバイク走行は通常の路面とは全く異なる感覚で、スロットルワークやバランス感覚が重要になります。初めての方でもインストラクターの指導を受けながら安全に楽しめる環境が整っているため、興味がある方は冬季に訪れてみる価値があります。
公式ウェブサイトで詳細を確認できます。
新千歳モーターランド アイスサーキット公式サイト
新千歳モーターランド アイスサーキットでは、スパイクタイヤ装着バイクのレンタルと氷上走行体験が可能です。
アイススピードウェイの観戦は、他のどのモータースポーツとも異なる独特の興奮があります。バイクが氷上を横滑りしながら全開走行する様子は、まさにパフォーマンスアートのようです。
選手たちは信じられないバンク角で侵入し、後輪を大きく流しながらコーナーを駆け抜けます。その迫力と技術の高さは、見る者の度肝を抜きます。普通のライダーが同じように走ろうとすれば、数秒で転倒するでしょう。
これは見る価値があります。
FIM-MOTO.TVでは2026年の大会がライブ配信される予定です。氷の上でバイクが横滑りしながら加速する様子、スパイクタイヤが氷を削りながら走る音、選手たちの緊張感あふれる走りを、自宅にいながら楽しめます。6年ぶりの開催となる2026年大会は、ロシアが不参加となる可能性もあり、新たな歴史が生まれるかもしれません。
FIM-MOTO.TV アイススピードウェイ公式ページ
FIM-MOTO.TVでは、FIMアイススピードウェイ世界選手権の全レースがライブ配信されます。