

OZレーシングホイールを選ぶだけで、バイクの車重が純正より約3.74kgも軽くなります。
OZ(オーゼット)は1971年にイタリアで創業した、自動車・二輪車向けアルミホイールの老舗メーカーです。本社はイタリア・パドヴァ近郊に構え、100%イタリア製にこだわった製品を世界に供給しています。
F1やWRC(世界ラリー選手権)でのトップチーム採用実績を持ち、二輪の世界でもMotoGPで圧倒的な存在感を示しています。現地取材レポートによると「全クラスのマシンの約8割がOZホイール採用車両」と目撃されるほど、世界選手権の現場を席巻するブランドです。
OZが二輪向けに展開しているのが「OZ MOTORBIKE(オーゼット モーターバイク)」ブランドです。主力ラインナップは3つあり、アルミ鍛造5本スポークの「PIEGA(ピエガ)」、PIEGAよりも約10%軽量化したアルミ鍛造6本スポークの「GASS RS-A(ガスアールエスエー)」、そして最高峰のマグネシウム鍛造6本スポーク「CATTIVA(カティーバ)」という構成です。
つまり価格帯と性能に応じた3モデル展開が基本です。
製造の核となるのが、20,000t(2万トン)超の圧力を多方向からかける独自の鍛造製法です。一般的なダイキャスト(鋳造)製法とは根本的に異なり、金属内部の結晶を細かく均一にしながら圧縮成型するため、軽量でありながら高い強度と粘り強さを持つホイールが実現します。
リム部の肉厚も鍛造ゆえに薄く仕上げられ、ホイール外周部の慣性モーメント(回転しにくさ)を大幅に低減できます。これが「重たいホイールを軽くした」以上の走行性能向上につながる直接的な理由です。
1998年にはドイツのKBA(動力運輸当局)発行のISO 9001認定を取得し、生産サイクル全体での認定を取得した初のイタリアのホイールメーカーとなっています。品質管理体制の水準も、他の後発ブランドとは一線を画します。
バイク用OZホイールについての製品ラインナップは公式サイトで確認できます。
OZモーターバイク製品情報(国内正規取扱):http://www.ozmotorbike.co.jp/製品情報/
「ホイールを交換しても体感できないのでは?」と思っている人ほど、実際に変えると驚く結果になります。
Z900RSに対するGASS RS-Aの重量データを確認すると、純正ホイールはフロント5.095kg・リア7.420kgの合計12.515kgです。これに対してGASS RS-Aはフロント3.635kg・リア5.140kgの合計8.775kgで、差し引き3.74kgの軽量化になります。
ここで重要になるのが「バネ下重量」という概念です。バネ下とはサスペンション(バネ)より下側の部品を指し、ホイール・タイヤ・ブレーキディスクなどが該当します。バネ下重量は路面への追従性に直結するため、同じ重さを車体から取り除くよりも、走行感への影響がはるかに大きいとされています。
一般的に「バネ下1kgの軽量化はバネ上(車体)10kgの軽量化に相当する」と言われており、3.74kgの削減はバネ上換算で約37kg分のインパクトを持つ計算になります。成人男性1人分の体重に近い数字です。バネ下効果は10倍が基本です。
体感としては「車線変更した瞬間からクイックな動きになった」「重い靴を脱いで軽いランニングシューズに替えたような感覚」と表現するライダーもいます。切り返しの軽さ、ブレーキング時のコントロール性向上、立ち上がり加速のシャープさが、街乗りからワインディングまであらゆるシーンで体感できるのが特徴です。
| 項目 | 純正ホイール(Z900RS) | GASS RS-A | 差分 |
|---|---|---|---|
| フロント重量 | 5.095 kg | 3.635 kg | −1.46 kg |
| リア重量 | 7.420 kg | 5.140 kg | −2.28 kg |
| 合計 | 12.515 kg | 8.775 kg | −3.74 kg |
さらに、ホイールは外周部が重ければ重いほど慣性モーメントが大きくなり「回り出すのに力が必要で、止まるのにも力が必要」な状態になります。OZの鍛造製法はリム外周を薄く仕上げることで、この慣性モーメントを意識的に下げています。重量数値が同じでも、外周部の軽量化度合いが異なれば体感差はさらに大きくなります。
バネ下重量の仕組みと軽量化の体感差については、以下の記事でわかりやすく解説されています。
バネ下重量は軽いほうがいい、とは限らない件【今さら訊けない…】
モデル選びを間違えると、予算オーバーや「自分の乗り方に合わない」という後悔につながります。OZモーターバイクの3ラインナップはそれぞれ明確なコンセプトの違いを持っているため、正しく理解してから選ぶことが大切です。
PIEGA(ピエガ)はアルミ鍛造5本スポークで構成された、OZバイク用ホイールのエントリーモデルです。「エントリー」とはいえ製法は本格的な鍛造で、純正ホイールとは剛性・軽量性ともに別次元の仕上がりです。対応車種も広く、カラーはアルマイト仕上げとペイント仕上げの両方から選択できます。バネ下の軽量化と足元のドレスアップを無理のない価格帯で実現したい人向けのモデルです。
GASS RS-A(ガス アールエスエー)はPIEGAからさらに約10%軽量化を達成したモデルで、H断面の湾曲した6本スポークとリム部の肉抜き加工が大きな特徴です。スポークをH断面(横断面がHの字)にすることで、軽量化しながら剛性を保つという一石二鳥の構造を実現しています。一般的な価格帯でありながらMotoGP由来の設計思想が色濃く反映されており、OZホイールの中でも最もコストパフォーマンスが高いモデルとして人気を集めています。
CATTIVA(カティーバ)はマグネシウム鍛造という、OZバイクホイールの最高峰素材を採用したモデルです。アルミよりもさらに軽いマグネシウムを使用することで、圧倒的な軽量性を実現しています。さらにOZ独自の「テクノ・ショット・ピーニング処理」が施されており、セラミック微小球を専用設備でホイール表面に打ち付けることで金属表面の密度を高め、表面硬度を向上させる技術が加わっています。これはF1で培われた技術を二輪に落とし込んだもので、走行時の負荷に対する耐性がさらに向上します。
| モデル | 素材 | スポーク | 特徴 | 価格帯(前後セット目安) |
|---|---|---|---|---|
| PIEGA | アルミ鍛造 | 5本 | 入門〜中級向け。広い対応車種 | 〜30万円台 |
| GASS RS-A | アルミ鍛造 | 6本(H断面) | PIEGAより約10%軽量。バランス型 | 約40万円前後 |
| CATTIVA | マグネシウム鍛造 | 6本 | 最軽量+ショットピーニング処理 | 約60〜70万円台 |
※価格は車種・カラー・仕様により異なります。
軽さだけを求めるならCATTIVAが最上位ですが、コストと軽量化効果のバランスを考えると、多くのライダーにとってGASS RS-Aがベストバランスとなります。それが基本的な選び方の考え方です。
GASS RS-Aの詳細スペックと装着例については以下を参照してください。
ノーブレスト・KAWASAKI Z900RS/CAFE用 O・Z GASS RS-Aホイール(Heritage&legends)
バイクを乗り換えるたびにホイールも買い直しが必要だと思っているライダーは少なくありません。しかし実際には、OZホイールには「リア本体は全車種共通設計」という独自の構造的特徴があります。これが知られていないまま「車種を替えるから手放す」という判断につながっているケースがあります。
OZモーターバイクのホイールは、リアホイールの本体部分がMT-01やプロアーム採用車などの一部車種を除いて全車種共通です。車種ごとの違いは「スプロケットアダプター」「ディスクキャリア」「ハブカラー」などのアタッチメント類によって吸収される設計になっています。つまり、乗り換えの際にはアタッチメント類を買い足すだけで、既存のリアホイール本体はそのまま次の車種に転用できます。
フロントホイールは車種専用設計のため他メーカー車への流用は基本的に難しいですが、同一メーカーの別車種への乗り換えであれば、フロントも流用できるケースがあります。「今の車種名と乗り換え予定の車種名を伝えれば必要なパーツをピックアップしてくれる」とNOBLESTのような正規取扱店が案内しているため、乗り換え検討時は事前に確認することをおすすめします。
また、あまり知られていない点として「ラインナップにない車種でもフロントホイールのラインナップがあれば装着できる場合がある」という裏技があります。リア本体が共通設計である特性を活かし、公式ラインナップに載っていない車種でも取り付けできるケースがあるのです。対応可否は車種によって異なりますが、正規取扱店への問い合わせで解決できる可能性があります。
さらに、車検適合(JWL刻印)については、CATTIVAとPIEGAはリム部分に、GASS RS-Aはスポーク部分にJWL刻印が入っており、公道使用・車検対応に問題ありません。これも「高性能社外ホイールは車検に通らないのでは?」という誤解が多いポイントです。JWL刻印があれば問題ありません。
乗り換え時のOZホイール流用についての詳細は正規取扱店に直接確認するのが確実です。
性能とデザイン両面の魅力は確かですが、購入前に押さえておきたいポイントがあります。見落とすと後悔につながる注意点です。
まず最優先で確認すべきは「対応車種・年式・型式の適合」です。OZモーターバイクの公式サイトや正規取扱店では、対応車種リストを公開しています。例えばZ900RSの場合、GASS RS-Aのみの展開でCATTIVAの設定はありません。車種によって選べるモデルが限られるため、まず自分の愛車のラインナップを確認することが第一歩となります。
次に価格感の把握が重要です。GASS RS-Aの場合、Z900RS用でアルマイト仕上げがフロント約18.4万円・リア約24.8万円、前後セットで約40万円前後が目安となります(ペイント仕上げはやや高め)。ホイール交換はバイクカスタムの中でも高額な部類に入る投資です。しかし前述のように車種乗り換え時に流用できる設計のため、長期的に見たコストパフォーマンスを考慮して判断することをおすすめします。
取り付け作業については、タイヤ交換が自分でできる経験がある人であれば対応可能なケースもありますが、精密な工具と知識が必要な作業です。バイクショップや正規取扱店への依頼が安全です。取り付け時にはエアバルブの状態確認も忘れずに行いましょう(Z900RSにOZホイールを装着した際にエアバルブが緩んだという事例が報告されています)。
カラー選びについては、アルマイト仕上げ(ブラック・チタン)とペイント仕上げ(ブラック・ゴールドなど)の2系統があります。アルマイト仕上げは耐傷性に優れ価格もやや抑えられます。ペイント仕上げはカスタムペイントに近い発色の良さが魅力ですが、傷が目立ちやすい面もあります。日常的な取り扱いのしやすさを重視するならアルマイト仕上げが無難です。
最後に、OZホイールに交換後はタイヤのチョイスも重要です。ホイール性能を引き出すためには、社外ホイールのレスポンスに対応できるミドルクラス以上のスポーツタイヤとの組み合わせが推奨されます。ホイールとタイヤのセットで走行性能向上の効果を最大化できます。ホイール交換と同時にタイヤ新調を検討するのが条件です。
OZホイールの国内ラインナップ・対応車種・カラーバリエーションの最新情報は以下から確認できます。
OZ Racing(OZレーシング)ホイール一覧(Webike)

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