

リアフェンダーをカットすると車検で落ちます。
参考)車検の保安基準について徹底解説!基準に適合しないケースもご紹…
ボバーレーサーは1950年代のアメリカで誕生したカスタムスタイルです。そのルーツはダートトラックレースにあり、未舗装路のコースで速く走るために市販車から無駄なパーツを徹底的に削ぎ落としたレーサーが起源となっています。
当時のレースシーンでは、インディアン・スカウトやハーレーのWRなどのマシンが、重い鉄製の前後フェンダーを外して軽量化されていました。この軽量化されたレーサーのスタイルが、戦後の復員兵を中心としたアウトローな若者たちの間でストリート仕様として広まったのです。
「ボバー(Bobber)」という名前は、フェンダーを短くカットする意味の「Bobbed」に由来します。元々は髪の毛を短くカットすることを意味する言葉でした。
つまり語源からして引き算の美学ですね。
参考)バイク界を席巻する、アンチヒーロー「ボバー」って何だ?
レーサーのレプリカ的な意味合いが強かったボバーは、性能を追求する実用的なカスタムとしてスタートしました。カリフォルニア州ホリスターで起こった暴動事件が報道されたことをきっかけに、やがて大きなムーブメントとなり、ストリートカスタムという文化の始祖となったのです。
ボバーレーサーの最大の特徴は、ショートフェンダーです。リアフェンダーを大胆に短くカットし、後輪を露出させることで野性的な存在感を演出します。これはダートトラックレースで泥が詰まらないようにする実用的な改造が起源です。
フロントフェンダーは撤去されるか、WLA用の小型フェンダーに交換されることが多いです。メーターは小型のスピードメーターのみとし、ライト類も小ぶりなメッキ仕様にするのが基本です。
シンプルが原則です。
ハンドルは低くて幅の広いタイプに変更します。レーサー仕様を再現するため、ハンドルポジションは低めに設定されるのがボバースタイルのマナーです。
シングルシートの採用も重要な特徴です。「ひとりで走る」ことを前提とした潔いスタイルで、タンデムシートは取り外されます。誰かを乗せるのではなく、自分とバイクの関係だけで完結する哲学がここにあります。
極太リアタイヤがボバーレーサーの視覚的なアクセントとなります。ホイール径はフロントが16〜19インチ、リアが16〜18インチが一般的で、厚みのあるタイヤを履かせることでダートでもしっかりグリップする仕様を再現します。ホイールカラーはブラックアウトするのが主流です。
参考)https://www.motomegane.com/news-release/item-report/bobbercustom_20220329
ボバーレーサーとチョッパーは混同されやすいカスタムスタイルですが、その思想は正反対です。ボバーは「引き算の美学」であるのに対し、チョッパーは造形美を追求する「足し算の美学」です。
デザイン面では、ボバースタイルはシンプルで洗練された外観が特徴で無駄を省いたクリーンなルックスが魅力ですが、チョッパースタイルはより個性的で派手な装飾が特徴となります。チョッパーは特にフレームの改造やフォークの延長が顕著です。
参考)ハーレー愛好家必見!ボバースタイルとチョッパースタイルの完全…
乗り心地にも違いがあります。ボバースタイルは日常のライディングに適しており、低いシート位置とシンプルな設計で長時間の運転にも対応できます。一方チョッパースタイルは主に短距離の乗り心地に最適化されており、長いフォークと複雑なフレームにより速度が出ると安定性が低下することがあります。
メンテナンス面でもボバーが有利です。ボバースタイルはメカニズムが比較的シンプルでアクセスしやすい部分が多いため、メンテナンスが容易です。これに対してチョッパースタイルはカスタムの範囲によっては特殊なツールや知識が必要になり、メンテナンスコストが増加する場合があります。
リセールバリューを考えると、ボバースタイルはそのシンプルさからより広い市場に受け入れられやすいという特徴があります。チョッパースタイルは個性的かつ極端なカスタムが施されているため、特定の愛好者にのみ高く評価される傾向です。
ボバーレーサーカスタムで最も注意すべきなのが保安基準です。特にフェンダーカットとタイヤのはみ出しには厳しい規制があります。2017年6月の保安基準改正により、タイヤのフェンダー部分へのはみ出しは10mm未満と規定されました。
フェンダーからタイヤがはみ出している場合は保安基準から外れるため、違法行為に該当します。オーバーフェンダーに関する車検の注意点は、後付けしたフェンダーとタイヤにある程度の隙間があるかどうかです。取り付け後の隙間が少ない場合、フェンダーとタイヤが干渉すると判断され車検が通らなくなります。
参考)オーバーフェンダーは車検に通る?サイズや注意点、取り付け方を…
違法カスタムは車検に通らないだけでなく、「整備不良」として交通違反に問われるケースもあります。不正改造により車が保安基準に適合しない状態にある場合、使用者に対して必要な整備の実施が言い渡されます。
命令を受けた日から15日以内の整備実施と運輸支局などへの現車提示が行われない場合には、最大6ヶ月に及ぶ車の使用停止命令や車検証・ナンバープレートの没収が実行され、50万円以下の罰金が科せられます。
カスタムする際は、国が定めた「指定部品」をボルトなど外せる形で固定すれば合法となるケースがあります。スクリーンやカウル、エンジンガード、キャリアなどが指定部品です。法令違反にならないよう事前確認が必須ですね。
カスタムショップに依頼する場合も、各部の取り付けの甘さや走っていると折れそうな取り付けステー類、エンジンからの異音やブレーキのオイル漏れなど安全な走行ができない状態にならないよう信頼できる業者を選ぶことが重要です。
カスタム後の安全性チェックがカギです。
参考)SR400 NOR-CALチョッパーカスタム製作記 滋賀県か…
ボバーレーサーカスタムを始める際は、まずベース車両の選定が重要です。ハーレーダビッドソンのスポーツスターシリーズやヤマハSR400など、クラシックなスタイルを持つバイクがボバーカスタムのベースとして人気です。
フェンダーカスタムから始めるのが基本です。リアフェンダーを短くカットする作業は、ボバーカスタムの象徴的な改造となります。ただし前述の保安基準を守ることが絶対条件です。
シートの変更も重要な要素となります。市販のボバー用シングルシートを使用するか、純正シートを加工してソロシート仕様にします。シート高を下げることで、ボバー特有の低重心なスタイルが生まれます。
ハンドル交換では、低くて幅の広いハンドルバーを選びます。ドラッグバーやトラッカーバーなどが人気です。メーター類も小型化し、必要最小限の計器類のみを残すことでレーサーの雰囲気を演出できます。
タイヤとホイールの選定では、極太タイヤとブラックアウトしたホイールがボバースタイルの完成度を高めます。ダートトラックレーサーの厚みのあるタイヤを再現することで、視覚的なインパクトと安定感のある走行の両立が可能です。
マフラーはライダーの股下を通すように配された2INTO1メガホンマフラーがダートトラックレーサーらしい特徴と言えます。排気音と見た目の両面でボバーレーサーの雰囲気を高めることができます。
カスタムを進める際は、ビルダーが独自の考えでオリジナリティーを演出するため、ボバーにも色々なスタイルが生まれています。自分だけのボバーレーサースタイルを追求することがカスタムの醍醐味です。
完璧な正解はありません。
ボバーカスタムの詳細な作例とパーツ選びの参考情報
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