ブレーキダイブとは バイク物理現象の原因と対策方法

ブレーキダイブとは バイク物理現象の原因と対策方法

ブレーキダイブとは バイク物理現象

プリロードを強めてもブレーキ時の荷重移動量は減りません。


この記事のポイント
🏍️
ブレーキダイブの仕組み

制動時の荷重移動により、フロントが沈み込みリアが浮き上がる物理現象を詳しく解説

⚙️
サスペンション調整

プリロードと減衰力の調整でダイブ量をコントロールする具体的な方法

⚠️
安全なブレーキング技術

停止寸前のブレーキ操作で安定性を保つライディングテクニック

ブレーキダイブの物理現象とは何か


バイクでブレーキをかけると、フロントフォークが沈み込み、車体が前のめりになります。これがブレーキダイブと呼ばれる物理現象です。業界用語では「フロントダイブ」、リアが浮き上がる現象を「リアリフト」と表現します。


参考)制動時の姿勢変化[モーターサイクルの運動学講座・その4]


つまり制動時の基本現象です。


この現象は制動時の荷重移動によって発生します。バイクが減速すると、慣性力によって車体の重量がフロント側に移動し、フロントフォークに大きな負荷がかかります。その結果、サスペンションが縮み込み、ライダーは前のめりの姿勢を強いられることになります。


参考)アンチダイブ機構:快適性と走行安定性の秘密 - クルマの大辞…


急ブレーキ時にはフロントフォークが大きく沈み込み、まるで前のめりにつんのめるような状態になります。この状態を「ノーズダイブ」と呼ぶこともあります。ノーズダイブが大きすぎると、ライダーは不安定な姿勢を強いられ、快適性や安全性を損なう可能性があります。


ブレーキダイブによる荷重移動の数値

ブレーキング時の荷重移動量は、計算式で表すことができます。荷重移動量 = 車両重量 × ブレーキングG × 重心の高さ ÷ ホイールベースという式です。例えば車重240kgのバイクでは、定常ブレーキング状態で約24%にあたる荷重が前輪に移動します。


参考)ダンパーと過渡特性と荷重移動と - ピッチング編その1|ta…


具体的には一輪あたりの荷重変化が大きいです。


重要なのは、この荷重移動量はアンチダイブ機構の有無に関わらず変化しないという点です。アンチダイブを増やしても前のめり姿勢は少なくなりますが、タイヤに掛かる荷重の変動は同じなのです。つまり、サスペンションの沈み込み量を抑えることはできても、物理法則による荷重移動そのものは避けられません。


参考)VD講座 第2回


体重50kgのライダーがバネレート5kg/mmのバイクに乗ると、バイクは10mm沈み込みます。プリロード調整でスプリングを10mm縮めると50kgの反力が発生し、ストロークは0mmになります。このように、プリロード設定によって初期姿勢は変わりますが、ブレーキング時の荷重移動量自体は変わりません。


参考)サスペンションの調整とは?プリロードや減衰力を調整して乗り心…


バイクの場合、タイヤが接地していなければブレーキは機能しません。ブレーキングによって発生した細かな凹凸にタイヤが跳ね上げられないようにするのがサスペンションの役目です。タイヤが跳ね上げられそうになった時、素早く伸びることで地面にブレーキの効果を伝えるために、サスペンションの設定が重要になります。


参考)ブレーキングとサスペンション: ヒントになれば幸いです(仮)


ブレーキダイブ対策のサスペンション調整方法

フロントのプリロードを強めると、ブレーキングでのダイブを抑えることができます。しかしプリロードを強めるだけではストロークしにくくなり、ブレーキが効かないように感じることがあります。そのため、圧側減衰を抜いて調整する必要があります。


圧側減衰を抜くのが基本です。


具体的なセッティング例として、フロントはプリロードを強め減衰を弱めるという方法があります。この調整により、ブレーキをかけたままコーナーに入っていけるようになり、全体的な安定感が向上します。伸び側減衰を抜くのは、ストロークが深い位置でもサスを動かしたいからです。


圧側減衰はスプリングに負荷がかかった時に縮むスピードをコントロールします。ゆっくりと縮む動きに対応する「LOW」と、速く縮む急激な動きに対応する「HIGH」の2種類を調整できます。狙ったストローク位置でサスペンションを動かすには、プリロードを調整した後、それに合わせて減衰も調整することが大切です。


1980年代のバイクには「アンチノーズダイブ機構」という装備がありました。これはブレーキ機構からフロントフォークへと作られた油圧ラインによって、急制動時にはブレーキの油圧によりフロントフォークへのフォークオイル通路を遮断し、新たな油圧ラインへ逃すことで、無用なフロントフォークの沈み込みをキャンセルする仕組みです。現行車種ではこの機構を採用していることはほぼありませんが、サスペンション技術の進化を知る上で重要です。


参考)https://www.goobike.com/magazine/ride/technique/37/


グーバイクマガジンのアンチノーズダイブ機構の解説
ブレーキダイブを防ぐ機構の仕組みと歴史的背景について詳しく説明されています。


ブレーキダイブを考慮した安全な停止方法

減速時に前後のブレーキを通常通り使い、停止寸前にフロントブレーキを解放し、リアブレーキのみで停車すると安定した姿勢で停止できます。これはノーズダイブを起こさないブレーキングテクニックの基本です。


停止直前が重要ですね。


ブレーキングのテクニックを会得することで、機械的な対策なしでもダイブを抑えられます。停止寸前にフロントブレーキを緩めることで、フロントフォークが伸びて車体姿勢が安定し、安心感のある停車ができるのです。この技術は日常のライディングで誰でも実践できます。


急ブレーキ時にはブレーキを離して回避しようとすると、制動距離が伸びてしまいます。さらにフロントフォークが伸びることで、リアタイヤが沈み込むような感覚に陥り、ライダーがパニックを起こしてしまうことがあります。したがって、急ブレーキ中にブレーキを緩めるのは危険な行為です。


オーバースピードでカーブに入ってしまった時は、ABSが作動するぐらい強いブレーキをかけて速度を落とす必要があります。強くブレーキペダルを踏み込みながら、進みたい方向を見て、ハンドルをその進みたい方向に切ることが重要です。絶対にやってはいけないのは、オーバースピードのまま下り坂のカーブを抜けようとすることです。


参考)カーブが続く緩やかな下り坂で起きた悲劇|事故ファイル|JAF…


ブレーキダイブとタイヤグリップの関係

フロントタイヤへの荷重移動を抑制することで、タイヤのグリップ力を最大限に活かすことができます。これにより安定したブレーキングを実現し、制動距離の短縮にも貢献します。


グリップ力を活かすことですね。


ブレーキング時には前輪に荷重が集中するため、フロントタイヤのグリップが最も重要になります。しかし過度な荷重移動はタイヤの負担を増やし、グリップの限界を超えやすくなります。アンチダイブ機構はフロントフォークの沈み込みを抑制することで、車体の姿勢を安定させ、タイヤに適切な荷重を配分します。


タイヤが接地していない状態ではブレーキは効きません。細かな凹凸でタイヤが跳ね上げられると、その瞬間はブレーキの制動力が失われます。少ないサグでは跳ね上げられてしまいますし、強過ぎるリバウンドはサスペンションが伸びて接地するまでの時間が長くなります。サスペンションが適切に機能することで、タイヤは常に地面と接触し続け、ブレーキ性能を最大限に発揮できるのです。


下り坂では通常より前輪に荷重が移り、後輪のグリップが失われてスピンするケースがあります。オーバースピードのまま、少しハンドルを切った状態で緩いブレーキをかけることは、車を不安定な状態にする行為です。


特に雨天時は危険度がさらに増します。



ブレーキダイブを意識したライディング姿勢

ブレーキング時の姿勢変化を理解することで、より安全なライディングが可能になります。フロントが沈み込みリアが持ち上がる動きに対して、ライダーも体の位置を調整する必要があります。


体の位置調整が必要です。


急制動時にはライダーが前のめりになってしまうため、あらかじめ腕で体を支える準備をしておくことが重要です。腕を突っ張った状態でブレーキをかけると、フロントフォークの沈み込みと同時にライダーの体も前方に移動し、不安定な姿勢になります。腕は適度に曲げ、肘でショックを吸収できる姿勢を保つことが理想的です。


日常のライディングでは、信号や一時停止での減速時に毎回この現象が発生します。停止直前にフロントブレーキを緩める技術を習慣化することで、スムーズで安定した停車ができるようになります。この技術は乗車姿勢を安定させるだけでなく、同乗者がいる場合の快適性も向上させます。


サスペンションのセッティングは、ライダーの体重やライディングスタイルによって最適な設定が異なります。体重が基準の70kgよりも重い場合、またはスポーツ走行などサスペンションに負荷のかかる走行をする場合は、プリロードを強めに設定する必要があります。調整手順としては、プリロードを調整した後、それに合わせて減衰力も調整することが基本です。


プリロード調整やダンパー調整には、メーカーが推奨する基準値があります。まずは標準設定から始めて、少しずつ調整を加えながら自分に合った設定を見つけていくのが安全です。調整の際は必ず調整前の設定値をメモしておき、元に戻せるようにしておくことをおすすめします。


ライダースクラブのサスペンションセッティング記事
プロのセッティング手法と調整の考え方について実例を交えて解説されています。




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