

専門店に頼む前に、まずこれだけは知っておいてください。
ホンダCB72は1960年に登場した250ccの空冷OHC並列2気筒スポーツバイクで、当時の新車価格は18万7,000円でした。これは現在の価値に換算すると300〜400万円相当とも言われており、当時の若者にとっては手が届きにくい「憧れの一台」でした。
CB72は「ドリームCB72スーパースポーツ」として発売され、最高出力24PS(9,000rpm)を誇る高回転型エンジンを搭載。最高速度はタイプ1が155km/h、タイプ2でも145km/hに達していました。当時のライバルたちを圧倒する性能です。
しかしこのバイク、登場からすでに65年以上が経過しています。部品の多くは純正での供給が終了しており、通常のバイクショップでは受け付けてもらえないことも少なくありません。これが「CB72専門店」が全国でも数えるほどしかない大きな理由のひとつです。
全国的に名が知れたCB72専門店としては、神奈川県の「テッズスペシャル(Ted's Special Motorcycle Works)」、大阪府八尾市の「HONDA REVIVAL」などが挙げられます。いずれも40年以上の歴史を持ち、CB72・CL72を中心とした1960年代ホンダ車の修理・再生・販売に特化しています。
専門店が少ない理由はもう一つあります。それは知識の深さとノウハウの希少性です。例えばHONDA REVIVALは、1980年に廃盤パーツの再生産をホンダ浜松製作所に陳情しに行った経験を持つほどです。そこまで深い知識と歴史のある人物でなければ、CB72を満足のいく状態に仕上げることは難しいということです。
つまり専門店が少ないことは当然です。
テッズスペシャル(Ted's Special Motorcycle Works)公式サイト:CB72・CL72などを中心に修理・再生・販売を行う専門店の詳細はこちら
HONDA REVIVAL公式サイト:1983年開業、大阪府八尾市のCB72専門店。40年超の歴史とハンドメイドパーツ製作の詳細はこちら
CB72には「タイプ1」と「タイプ2」という2種類が存在しています。見た目はほぼ同じですが、エンジンの性格はまったく別物です。これを理解せずに購入すると、後から「こんなはずじゃなかった」と感じることになります。
タイプ1は180度クランクを採用した高回転型エンジンです。2本のピストンが交互に上下する不等間隔爆発のため、ドコドコとした独特のサウンドが特徴で、最高速155km/hを誇る走り屋向けのセッティングです。点火コイルとポイントが2系統あるため、構造が複雑で整備のコストがやや高い傾向があります。
タイプ2は360度クランクを採用した低中速型エンジンです。2気筒が同時に動く等間隔爆発で、エンジンのトルク感が扱いやすく、日常での使い勝手に優れています。最高速は145km/hとタイプ1より若干低いですが、壊れにくさという点では一般的にタイプ2に軍配が上がります。
どちらにするかが重要です。
専門店でも「走り屋さんにはタイプ1が人気ですが、外観からはほとんど見分けがつかない」と言われているほど外見での区別は難しいのが実情です。購入時には必ずフレームナンバーおよびエンジン番号を確認し、専門店スタッフに鑑定してもらいましょう。
また購入後の整備コストの観点からも、タイプ1のほうが整備のたびに手間と費用がかかる可能性があります。カジュアルに日常乗りを楽しみたい方にはタイプ2、レーシーな乗り味を求める方にはタイプ1、という選び方が基本です。
| 項目 | タイプ1(Type I) | タイプ2(Type II) |
|---|---|---|
| クランク角度 | 180度(不等間隔爆発) | 360度(等間隔爆発) |
| 最高速度 | 155km/h | 145km/h |
| エンジン特性 | 高回転型・スポーティ | 低中速型・扱いやすい |
| 点火系 | 2コイル・2ポイント | 1コイル・1ポイント |
| 向いている人 | 走り重視のライダー | 日常乗り・初の旧車オーナー |
ホンダ公式メモリー CB72ページ:タイプ1・タイプ2の技術的な説明や当時のスペックを確認できる権威ある情報源
CB72を入手したら、多くの場合「動かせる状態にするための整備費用」が発生します。この費用を軽く見ていると、思わぬ出費でダメージを受けることになります。
一般的なCB72の復活整備では、タンクのサビ取り、キャブレターのオーバーホール、プラグ交換、オイル交換、燃料ホース・ゴム部品の交換、エアクリーナー交換、ポイント確認、タイヤ・チューブ交換、チェーン交換といった作業が必要です。これだけでも新車の125ccスクーター1台分(25〜30万円前後)程度の費用になることは珍しくありません。
さらに「専門店に持ち込んでちゃんと仕上げてもらう段階」まで含めると、新車の125ccスクーター2台分(50〜60万円前後)の出費になることもあります。これはあくまで基本的な整備が中心の場合です。
痛いですね。
特にCB72のキャブレターは構造が複雑で、旧い個体には「謎の穴がある」と専門店すら頭を悩ませるほどです。キャブのオリジナルパーツが欠品の場合は社外品を使うことになり、見た目のオリジナル感を損なうリスクもあります。専門店によっては「タコメーター取り出し口のOリング」「キックシャフトのスプラインナメ対策部品」など、オリジナルの自作パーツを用意しているところもあります。こうしたノウハウを持っているかどうかが、専門店選びの重要なポイントです。
フルレストア(完全再生)となると費用はさらに跳ね上がります。某HONDA専門レストアショップでは200万円以上の見積もりになるケースもあると言われており、程度の良いCB72の販売価格が168万円前後(税別)という事例も実際に存在します。
費用感が基本です。
グーバイク CB72作業実績一覧:実際のショップによるCB72の整備・修理実績と内容を確認できるページ
「CB72のパーツは入手困難」というイメージを持っている方は多いかもしれません。しかし実際には、CB72は世界中にコレクターやマニアが存在するため、リプロダクション(復刻)パーツの供給が比較的豊富なほうだといえます。
Webikeなどのバイクパーツ通販サイトでもCB72用の中古パーツが53点以上ラインナップされているほか、タイのパーツ業者からの取り寄せルートも存在します。ゴム部品(コネクティングチューブなど)についても、海外からの調達によって入手できるケースが報告されています。これは同世代の他車種と比べると恵まれた環境です。
いいことですね。
ただし、ネット通販で手に入るパーツがすべて「CB72に適合する正しいもの」とは限りません。旧車の世界では流用部品が当たり前のように混在しており、フレームナンバーと年式による微妙な仕様の違いが大きく影響することがあります。「マフラーのステーが間違ったものがついていた」「クラッチワイヤーが別車種のもので長すぎた」といった事例は実際に専門店で指摘されるほど一般的なことです。
専門店の目利きが不可欠です。
自分でパーツを取り寄せてDIYで整備することは不可能ではありませんが、適合確認のために専門店に1度は見てもらうことを強くおすすめします。特に1964年以前と1965年以降ではパーツの細かな仕様が異なる場合があるため、年式の確認は必須です。
なお、CB72と兄弟車であるCL72(スクランブラー)やCB77(305cc)はエンジン系パーツに互換性のあるものも多く、パーツ探しの幅が広がることもあります。CB72専門店であれば兄弟車の流用パーツ情報にも精通していることが多いため、ここでも専門店の知識が活きてきます。
Webike CB72中古パーツ一覧:53点以上のラインナップを確認できるページ。パーツ探しの第一歩に
CB72のオーナーや購入検討者の中には「専門店は遠い」「敷居が高そう」という理由で、近所の一般的なバイクショップに整備を依頼してしまう方が少なくありません。しかしこれが結果的に大きな損失につながる可能性があります。
実際のオーナー体験でも、最初は「絶版車に精通している」という理由で近所の馴染みのショップに依頼したものの、CB72特有のキャブレター調整がうまくいかず、結果として社外キャブに交換されてしまったケースがあります。その後、神奈川県の専門店に持ち込んだところ、純正キャブを復元してもらえただけでなく、マフラーのステー・クラッチワイヤー・Oリングなど複数の部品が「実は間違ったものだった」と判明したそうです。
最初から専門店にお願いしたほうが、トータルの費用はむしろ安く済んだという結論に至っています。専門店は「敷居が高い」と思われがちですが、実際に連絡してみると丁寧に相談に乗ってくれるケースが多いです。しかも「専門店だから高い」というイメージは多くの場合、誤りです。
これは意外ですね。
もちろん遠方からのアクセスには交通費・輸送費がかかります。CB72を自走できる状態でない場合は、トランポ(積載車)やバイク輸送サービスを利用することになります。バイク輸送の費用は距離にもよりますが、1〜3万円程度が相場です。それでも「近くの一般ショップで二度手間になった場合の追加費用」を考えれば、最初から専門店に送る判断は十分合理的です。
結論はトータルコストの比較です。
バイク輸送を利用する場合は、全国対応のバイク輸送専門サービスを活用するのが便利です。複数の業者を比較して見積もりを取ることで、費用を抑えることができます。
carview Yahoo!:CB72 TypeI/TypeII比較試乗記事。専門店「テッズスペシャル」が提供した2台を使った貴重な比較レポート