フランジとバイクのエキゾーストの役割と交換手順

フランジとバイクのエキゾーストの役割と交換手順

フランジとバイクのエキゾーストの役割と交換の基本

ガスケットを1度でも外したなら、再利用すると排気漏れで出費が2倍以上になります。


この記事でわかること
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フランジの構造と役割

エンジンとエキゾーストパイプをつなぐフランジがどんな部品で、なぜ重要なのかを解説。

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排気漏れの症状とリスク

放置すると燃費悪化・パワーダウン・パーツ腐食・異常燃焼など、修理費が膨らむ前に早期発見する方法。

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交換・メンテナンスの手順

スタッドボルトの固着対策からガスケット選びまで、DIYで失敗しないためのポイントをわかりやすく紹介。


フランジとはバイクのエキゾーストにおける接続部品



バイクのマフラーは、大きく分けて「フランジ」「エキゾーストパイプ(エキパイ)」「サイレンサー」の3つで構成されています。このなかでフランジとは、エンジンのシリンダーヘッドとエキゾーストパイプをつなぐ接続部品のことです。ボルト穴が2つ開いた金属板というシンプルな見た目ながら、排気ガスを漏らさずに誘導するという、非常に重要な役割を担っています。


フランジの形状は車種によって異なります。量産品に多いプレス打ち抜きタイプのほか、振動吸収スプリングを備えたアルミ削り出しタイプなど、各メーカーがそれぞれ工夫を凝らしています。つまりフランジは見た目よりも奥が深い部品です。


フランジとエンジンの間には「ガスケット」と呼ばれるシール材が挟み込まれています。ガスケットが自らつぶれることで気密性を高め、排気漏れを防ぐ構造になっています。このガスケットの役割を正しく理解しておくことが、後述するメンテナンスのミスを防ぐうえで非常に大切です。


素材については、純正フランジの多くはスチール(鉄)製です。社外品ではSUS304などのステンレス製が主流で、錆びにくさと耐久性を両立しています。一部ハイエンドモデルではチタン製も存在し、軽量かつ耐熱性・耐食性に優れています。ただし価格は跳ね上がります。素材の選択が条件です。


▶ バイクのマフラー各部の名称・構造・働き(4ミニ.net)— フランジ・エキパイ・サイレンサーの構造を写真付きで詳しく解説


フランジのエキゾーストガスケットを再利用してはいけない理由

マフラー交換のDIYをするライダーが犯しやすいミスが、「使用済みガスケットの再利用」です。外したガスケットは一見きれいに見えても、内部はすでに潰れた状態になっています。元の形には戻りません。


ガスケットの役割は「自分が潰れることで密着度を高め、気密性を保つ」ことです。一度潰れたガスケットを再利用すると、新しい取り付け面に対して適切に潰れず、わずかな隙間が生じます。その隙間から排気ガスが漏れ出し、様々なトラブルに発展します。これが原則です。


バイク用マフラー専門メーカーのRPMも公式FAQで「古いエキゾーストガスケットを再利用すると排気漏れの原因となります。必ず新品に交換してください」と明言しています。ガスケット単品の価格は安いもので数百円〜数千円程度です。ここをケチると後の修理費のほうがはるかに高くつきます。痛いですね。


ガスケットには素材の種類があります。ペーパー(紙)、ゴム、金属(メタル)、コルクの4タイプが主流で、エキゾーストフランジ部には耐熱性の高いメタルガスケットが多く採用されます。ハーレーなどのビッグバイクでは「ファイアーリング構造+ペーパー外周」という複合素材のガスケットが使われることもあります。


ガスケットが新品であっても、取り付け直後すぐにエンジンをかけるのは危険です。液体ガスケットやシーラント剤を併用した場合は、完全硬化するまでの待機時間(目安:24時間)を必ず守りましょう。中途半端に乾いていない状態でエンジンをかけると、排気圧でガスケットが押し戻され、再び排気漏れが発生します。これだけ覚えておけばOKです。


▶ ガスケットの交換時期と種類・用途(GUTS CHROME)— ガスケットの素材ごとの特性と、再利用が危険な理由をわかりやすく解説


▶ よくあるご質問(FAQ)— バイク用マフラー専門メーカーRPMが「ガスケット再利用禁止」を明言している公式ページ


フランジ周辺の排気漏れが引き起こす5つのダメージ

排気漏れを「音が少し大きくなっただけ」と軽視しているライダーは少なくありません。しかし放置すると、バイクへのダメージは想像以上に広がります。主な影響を整理しておきましょう。


① 排気音の増大
フランジやジョイント部から排気が漏れると、サイレンサーを通過する排気量が減り、本来とは異なる経路から音が漏れます。アイドリング中に「いつもより車体下からの音が大きい」と感じたら要注意です。


② エンジンパワーの低下
排気ガスはエンジン内部へ戻る分も計算されてチューニングされています。漏れが生じると排気圧が乱れ、燃焼効率が落ちてパワーダウンに直結します。実際にフランジ部の排気漏れを修理したライダーが「40〜50km/h域の伸びが体感で明らかに改善した」と報告している例もあります。


③ 燃費の悪化
パワーが落ちると自然とアクセルを多く開けることになります。ガソリン消費量が増え、燃費が悪化します。


④ 異常燃焼のリスク
排気圧のバランスが崩れると、燃焼室内の圧縮比・温度が変化し、意図しないタイミングで自着火する「異常燃焼」が起こる可能性があります。これはピストンや点火プラグへのダメージにつながる深刻なトラブルです。意外ですね。


⑤ 周辺パーツの腐食・損傷
走行中のエキパイやマフラーは数百℃に達します。漏れた高温ガスが周辺のゴムや樹脂パーツ、配線に触れ続けると溶けたり断線したりします。サイドバッグが排気熱で溶けてしまうケースも実際に報告されており、ライダーの荷物や車体への被害も無視できません。


修理費用の目安は、軽微な排気漏れなら3,000円前後のガスケット交換で済むケースもあります。しかし溶接が必要になると5,000〜10,000円、新品マフラーへの交換になれば部品代+工賃で数万円規模になります。早期発見・早期対処が条件です。


▶ 排気漏れのデメリット5選と確認方法(moto-camping.com)— 排気漏れの各症状を具体的なエピソードつきで解説


フランジのスタッドボルト固着と折れに注意すべき理由

フランジをエンジンに固定しているのが「スタッドボルト」です。このボルトは常時エンジンの高熱にさらされており、経年で酸化・固着が進みます。マフラー交換の際にこのボルトを外そうとして折ってしまうのは、ベテランライダーでも経験するトラブルです。


スタッドボルトが折れると問題が大きくなります。折れた残部がエンジンのネジ穴内に残り、そのままでは新しいマフラーを取り付けられません。バイクショップでの修理が必要になり、折れたボルトをドリルで除去してネジ穴を再切削する「ヘリサート加工」が必要になるケースもあります。工賃だけで数千〜1万円以上かかることもあります。


折れを防ぐためには、作業前に「浸透潤滑剤(ラスペネ等)」をボルト根元に吹き付けて30分ほど浸透させることが有効です。また、固着が激しい場合はバーナーでボルト周辺を加熱して熱膨張させてから外す方法もあります。いずれも「力任せに一気に回す」のは最悪の方法です。力任せはダメということですね。


さらに、再取り付け時には「焼き付き防止用耐熱グリス(アンチシーズ)」をスタッドボルトに薄く塗布しておくと、次回のメンテナンスで固着しにくくなります。このひと手間が将来の出費を大きく抑えます。アンチシーズの塗布は必須です。


































トラブル内容 修理内容の目安 費用の目安
ガスケット劣化による排気漏れ ガスケット交換 数百〜3,000円程度(DIY可)
フランジ接合部の隙間漏れ 液体ガスケット・耐熱テープで補修 1,000〜3,000円程度
エキパイの亀裂・穴あき 溶接修理 5,000〜10,000円程度
スタッドボルト折れ ボルト除去・ヘリサート加工 10,000円〜(工賃のみ)
マフラー全体の交換 社外品または純正新品取り付け 3万〜10万円以上


フランジ周りのエキゾースト点検と正しい交換手順

フランジ周辺の排気漏れは、早期発見できれば費用をほとんどかけずに対処できます。正しい点検手順と交換の基本ステップを把握しておきましょう。


【点検の手順】


まず、エンジンをかけてアイドリング状態にします。このとき、いつもより排気音が大きくないかを耳で確認します。次に、エンジンが十分に暖まったら(ただし触れるほど冷ましてから)、フランジ部・エキパイとサイレンサーのジョイント部などに手をかざします。アイドリングに合わせてパルス状の風が感じられたらそこから排気漏れが起きています。絶対にエキパイ本体には触れないようにしましょう。


【交換・補修の基本手順】



  1. 浸透潤滑剤をスタッドボルトやフランジボルトに吹き付け、30分〜1時間浸透させる

  2. ボルトをゆっくりと「外す方向・締める方向」を交互に動かしながら緩める(一気に回さない)

  3. 古いガスケットをスクレーパーで丁寧に除去し、取り付け面を清掃する

  4. 新品ガスケットをセットし、液体ガスケット(シーラント)を規定量塗布する

  5. フランジを仮組みし、対角線上のボルトを均等に締め付ける(規定トルクを守る)

  6. シーラント使用時は完全硬化まで(目安24時間)待ってからエンジンを始動する

  7. エンジン始動後、排気漏れがないかを再確認する


フランジの向きが斜めになったまま締め付けると、取り付け後も排気漏れが続く原因になります。仮組み時に正対しているかを目視確認するひと手間が大切です。対角締めが基本です。


社外マフラーへの交換時は、車種と口径が合ったフランジを選ぶことも重要です。口径が合わないと漏れが発生するだけでなく、フランジそのものが割れるリスクもあります。WebikeやWebike、WirusWinなどバイクパーツ専門サイトで車種適合を確認して購入するのが確実です。


▶ バイクのマフラー交換後の排気漏れ確認方法と修理方法(グーバイク)— 排気漏れの確認手順・修理方法を実践的に解説した記事


▶ WirusWin 2輪マフラー用フランジ一覧 — ステンレス製フランジのラインナップと仕様が確認できるメーカーページ




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