

GB400TTの中古は走行2万km超でも40万円超えで落札された実績があります。
1985年(昭和60年)7月、ホンダはレーサーレプリカブームが熱狂のピークを迎えていた時代に、意図的に時代へ「逆行」するバイクを世に送り出しました。それがホンダ GB400TT(ツーリストトロフィー)です。
当時の国内市場はスズキのGSX-RやヤマハのFZR、ホンダ自身のCBR400Rといったレプリカ車が激しく競い合っていた時代。その中でホンダがあえて1960年代の英国ロードレーサーのスタイルを踏襲したビッグシングルスポーツを投入した理由には、深い背景があります。
ホンダとイギリスの関係は切っても切り離せません。ホンダが世界GPへの挑戦を始めた舞台こそが、イギリス・マン島で行われる「ツーリストトロフィー(TT)レース」だったからです。1959年、創業者・本田宗一郎がマン島TTに挑み、そこでの経験がその後の技術開発の礎になりました。GB400TTの「TT」はまさにその歴史への敬意を込めた命名です。
「GB」という名称にも意味があります。英国の正式名称「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」の「Great Britain」から頭文字を取ったもの。ホンダが英国文化とモーターサイクルレースから深く影響を受けたことを、車名そのものが物語っています。
また、GBシリーズは250cc版「GB250クラブマン」が1983年に先行発売されており、GB400TTはその2年後に登場した大排気量版という位置づけです。つまり、同じ精神を持つシリーズのビッグブラザー的な存在といえます。
GB400TTのエンジンは、空冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ399ccというスペックを持ちます。ベースとなったのは当時のオフロードモデル「XR500R」のエンジンユニット。これは、デザインこそクラシカルでもエンジンの中身は本格的なオフロードレーサー譲りという、かなりマニアックな組み合わせです。
最高出力は34馬力(7,500rpm)、最大トルクは3.4kgf-m(6,000rpm)。燃費は60km/h定地走行テスト値で45.0km/Lとなかなか優秀です。燃料タンクは17Lと大容量なので、計算上の航続距離は約765kmに達します。東京から広島まで無給油でほぼ走れる計算で、ツーリングでの安心感は格別です。
ライバルのヤマハSR400(1984年モデル)と比べてみましょう。SR400のエンジンはSOHC2バルブで最高出力は27馬力。GB400TTの34馬力と比べると7馬力の差があります。また始動方式も大きく異なり、SR400がキックスターターのみなのに対し、GB400TTはセルフスターターとキックスターターを両方装備しています。女性や体力に不安のある方でも安心して始動できる配慮は、当時としてはかなり先進的でした。
下の表で3台を比較してみましょう。
| 項目 | GB400TT | SR400(1984) | SRX400(1985) |
|------|---------|-------------|--------------|
| エンジン | SOHC 4バルブ | SOHC 2バルブ | SOHC 4バルブ |
| 最高出力 | 34馬力 | 27馬力 | 33馬力 |
| 始動方式 | セル+キック | キックのみ | キックのみ |
| タンク容量 | 17L | 12L | 15L |
| 乾燥重量 | 150kg | 不明 | 不明 |
スペック面ではGB400TTが3車中でトップクラスです。GB400TTが条件です。ただし、SR400が人気争いで圧倒的優位に立っていたのも事実で、スペック以外の「雰囲気や文化」がバイク選びにいかに大きく影響するかを示す好例といえます。
バイクブロス:GB400TT/Mk2のカタログ・諸元表・スペック情報(詳細仕様一覧)
GB400TTには、通常モデルのほかに「MkⅡ」と呼ばれる特別仕様車が存在します。通常モデルの発売から1ヵ月後の1985年8月にリリースされた限定モデルで、生産台数はわずか4,000台です。日本全国に4,000台しか存在しないと考えると、その希少性がよく伝わるでしょう。
MkⅡの最大の特徴は、レトロなデザインの大型ロケット型ハーフカウルとシングルシートです。これは1960年代の英国ロードレーサー、いわゆる「カフェレーサー」スタイルを強調したもので、シルバー1色のボディカラーと相まって独特の世界観を演出しています。価格は当時46万9,000円で、通常モデルより3万円高く設定されていました。
通常モデルは2人乗り可能(乗員定員2名)ですが、MkⅡはシングルシートによる1人乗り専用(乗員定員1名)という違いもあります。これはツーリングでの利便性よりもスタイルを優先させたメーカーの思想を反映しています。
さらに1987年6月には「スペシャルエディション(特別仕様車)」が46万9,000円で発売されました。クロームメッキの前後フェンダー、立体エンブレム、ガンメタグレー塗装のエンジンなど、質感を徹底的に高めたモデルです。こちらもMkⅡ同様に希少性が高く、現在の中古市場ではお宝扱いになっています。
MkⅡが希少だということですね。入手を考えるなら、バイクオークションや旧車専門の販売店をこまめにチェックするのが条件です。
moto-auc:GB400TTスペシャルエディションの詳細紹介(希少モデルの見どころまとめ)
2026年2月時点のデータによると、GB400TTの業者間買取の平均相場は14.6〜23.9万円、最高値は41万円を超える取引も記録されています(バイクパッション調べ)。10年前と比較して約97%値上がりしており、旧車バブルの波を受けてきた車両のひとつです。
ただし、注意すべき動向もあります。対前年比では-13%、対3年前比では-25%と、ここ数年は下落基調に転じています。旧車バブルが一服した影響と見られており、今後も相場変動に目を向けておく必要があります。
年式別で見ると興味深い傾向があります。直近2年間のデータでは、1987〜88年式の平均買取額が21.5万円と1985年式(18.9万円)を上回っています。対10年前比でも1987〜88年式は+135%の上昇を記録しており、後期モデルの方が市場での評価が高い状況です。これは少々意外な結果と言えるでしょう。
カラー別では銀系(シルバー)が最も高値で取引される傾向があります。MkⅡのボディカラーがシルバー1色であることも影響しているかもしれません。
旧車購入には特有のリスクが伴います。40年近く前のバイクだけに、ゴム類の劣化・電装系の不具合・キャブレターの詰まり・錆といった問題が潜んでいることが多いです。購入前には実走テストと整備記録の確認が必須です。旧車を専門に扱うショップでの購入を検討すると、アフターフォローの面でも安心感が違います。
バイクパッション:GB400TT買取査定相場の最新データ(年式・走行距離・カラー別詳細)
GB400TTは「すでに完成されたデザイン」に見えながら、実はカスタムのベースとして奥が深い車両です。これは長期オーナーたちが口をそろえて言うことです。
まず、カスタムパーツの選択肢について整理してみましょう。
- マフラー交換:WM製マフラーはGB400専用パーツとして知られ、装着すると重低音が増してビッグシングルの鼓動感がより一層際立ちます。流通量が少ないため、見つけたら即確保が鉄則です。
- シート交換:WM製シングルシートはタンクからのラインが美しく、モトグッツィのルマンを彷彿とさせるデザインと評されます。ただしスポンジが薄くロングツーリングにはやや過酷です。
- ミラーのカスタム:純正のスクエアミラーはどうしても野暮ったく見えるため、カウルステーにマウントを追加してカウル内部からミラーを出すスタイルが好評です。
エンジン内部に搭載されたRFVC(ラジアル フォーバルブ コンバスチョンチャンバー)は、ピストンを放射状に配置して燃焼効率を高める構造です。このエンジン由来のキビキビした反応は、細かいアクセルワークに正直に答えてくれるため、ワインディングでの操作が楽しくなります。これは使えそうです。
GB400TTはSR400と比べてバランサーを内蔵しているにもかかわらず、鼓動感が残っている点も評価されています。「程よく振動を抑えつつも単気筒の醍醐味は消さない」という絶妙な味付けが、長く乗り続けるオーナーを生んでいます。また、オートデコンプ機能付きキックスターターは軽い踏み込みでエンジンがかかるため、キックのセレモニー感を楽しみながらも実用性が損なわれていません。
維持するうえで特に気をつけたいのが、クロームメッキパーツの錆対策です。GB400TTにはメッキパーツが多く、長年使用された個体ではウォータースポットから始まり点錆び、最終的にはメッキ剥離につながることがあります。日常の拭き取りに加え、メッキ保護剤(メッキング等)でミクロの穴を塞ぐケアを習慣にするだけで、維持コストが大きく変わってきます。
メッキ工房NAKARAI:GB400TT MkⅡの魅力とクロームメッキの手入れ方法

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