

あなたの舵角、5度ズレただけで転倒リスクが3倍になるんです。
舵角とは、前輪の向きが車体中心線に対してどれだけ傾いているかを示す角度のことです。クルマではハンドルの切れ角として理解されがちですが、バイクでは体重移動と密接に連動します。
つまり、単純にハンドルを切るだけでは旋回できないということです。
実際には、時速20kmの低速走行であっても舵角が3度違うとバンク角(傾き)に約10%の差が生じます。小さな差が大きな動きにつながるのがライディングの怖いところです。
正しく理解すれば、狙ったラインを安定して保てます。
つまり「舵角の感覚」が上達の鍵です。
多くのライダーが誤解しているのは、「ハンドルを多く切る=よく曲がる」という思い込みです。実はこれ、逆効果です。
バイクの設計では、ハンドル切れ角が大きいときほどフロントタイヤが外側に逃げやすくなります。250ccクラスでは最大舵角が35度前後に制限されており、それ以上切るとバランスを失います。
これはサーキット走行でも顕著で、舵角が5度を超えるとタイヤの摩擦係数が急落するというテスト結果もあります。
つまり、ほんの5度で命取りになることもある。
たとえばUターンの時、舵角を大きく取ればと考えるでしょう。しかし、実際はハンドルを少し戻して車体を寝かせる方が安定します。
結論は「切りすぎない」ことです。
よく聞くのが「カウンターステア」の話です。これは、曲がりたい方向と反対に一瞬ハンドルを切る操作のこと。舵角がマイナス方向に働く現象です。
この一瞬の逆ハンドル動作によって、車体が内側に傾き、自然に曲がり始めます。たとえば時速60kmで進入するコーナーでは、0.2秒間のカウンター操作が舵角1.5度の差を生み、旋回ラインを約30cm内側に修正します。
ほんの一瞬の判断ですが、コーナリングの安定性を大きく左右しますね。
初心者ほどこの感覚を無意識に無視しがちです。つまりカウンターが舵角の起点です。
練習法としては、時速30km程度で8の字走行をするのが効果的です。
停止に近い低速では、舵角の影響が特に大きくなります。たとえば、5km/h以下での半クラ走行中にハンドルを10度切ると、フロントが外を向きすぎて自立バランスを崩します。
これは多くのライダーが「Uターンで急に倒れる」原因です。
教習所の統計では、卒業検定で転倒するケースの約6割がこの舵角誤差によるものでした。平地では問題なくても、わずかな上り坂で特に顕著になります。
つまり、低速こそ舵角管理が命です。
練習では、まず「ハンドルを大きく切らない」ことを意識して、代わりに体重移動を強調することが重要です。
バランスを取るならニーグリップを強めにするのが基本です。
知られていませんが、舵角のズレは整備上の不具合でも起こります。特にステムベアリングの摩耗やフロントフォークの歪みは、舵角を最大で2度狂わせる原因になります。
実際、国土交通省の定期点検ガイドでは「前輪操舵装置のガタ」が整備項目として明記されています。わずか2度のズレでも、直進時に車体が右に流れることがあります。
つまり、舵角はメカ的な健康診断でもあるのです。
もし走行中にハンドルが自然に戻らない感覚があるなら、早めに点検しましょう。修理費は1万円前後で済みます。
軽視せず、バイクの命綱として確認するのが正解です。
国土交通省:定期点検の重要項目解説ページ
(ステムや操舵系統の点検箇所に関する正式なガイドラインを参照)