

プロも使える総額8万円で2ヶ月参戦は高い。
ニュージーランドモトクロス選手権は、同国のモータースポーツ統括団体であるMotorcycling New Zealandによって公認される、国内で最も権威のあるモトクロスシリーズです。2026年シーズンは11月から開始され、全4ラウンドで構成されています。
参考)Motocross - Motorcycling New Z…
この選手権は49シーズン目を迎える歴史ある大会で、2023年シーズンではMX1クラスでMaximus Purvisが初タイトルを獲得、MX2クラスではCody Cooperが10度目の全国タイトルを手にしました。各ラウンドでは通常3レースが行われ、ポイント制で順位が決定されます。
参考)2023 New Zealand Motocross Cha…
現在はYamahaが冠スポンサーとなっており、「Yamaha New Zealand Motocross Championship」として開催されています。2026年シーズンの第1ラウンドは南島のBalcluthaで開催され、第2ラウンドはRiverside、第3ラウンドはTauranga、最終ラウンドはPukekoheで行われる予定です。
参考)MX Timing - 2026 Yamaha NZ Mot…
選手権は主にMX1とMX2の2つのクラスで構成されています。MX1クラスは450ccクラスに相当し、トップカテゴリーとして位置づけられています。2023年シーズンには約30名のライダーがMX1クラスにエントリーしました。
MX2クラスは250ccクラスに相当し、若手ライダーの育成カテゴリーとしての役割も果たしています。日本からの参戦者は主にこのMX2クラスでエントリーするケースが多く、2025年シーズンには田中淳也選手や中島漱也選手といった全日本IA2ライダーがMX2クラスに参戦しました。
参考)https://x.com/JmxPromotion/status/1882942711314932148
各クラスでは1位25点から20位1点までのポイントが付与され、シーズン全体でのポイント合計で総合順位が決まります。この形式は日本の全日本モトクロス選手権と同様のシステムです。
ニュージーランドのモトクロスコースは、北島と南島の各地に点在しています。2026年シーズンの特徴として、全ラウンドが北島で開催されるのは今年が初めてとなります。これにより移動距離が短縮され、参戦者の負担が軽減される見込みです。
参考)たまモト|2025 vol.1-2「渡邉豪インタビュー」ニュ…
タウランガのコースはMotorcycling New Zealandの公式戦会場として使用されており、テクニカルなセクションと高速セクションが混在する設計となっています。多くのコースでは自然の地形を活かした設計が特徴で、日本のコースとは異なるライン取りやテクニックが要求されます。
参考)Tauranga ready to roll out 202…
また、ニュージーランド最大のモトクロスイベントとして知られる「Honda Woodville GP」も開催されており、2025年には中島漱也選手が総合4位、田中淳也選手が12位という結果を残しています。このイベントは選手権とは別に開催される大規模な単発レースです。
参考)モトクロnet - ニュージーランド最大のモトクロスイベント…
近年、日本の若手ライダーがニュージーランドモトクロス選手権を全日本開幕前の実戦トレーニングの場として活用するケースが増えています。2025年シーズンには中島漱也選手と田中淳也選手が参戦し、Altherm JCR Yamaha Team ManagerのJosh Coppinsの指導のもとトレーニングを行いました。
このトレーニング方法はYamahaが継続的に行っているプログラムで、日本と季節が逆であることから全日本の開幕前まで実戦感覚を維持できる点が最大のメリットです。渡邉豪選手もインタビューで「日本と季節が逆だっていうのと全日本の開幕前まで乗れるっていうのが一番のメリット」と語っています。
海外からの参戦者はニュージーランド人だけでなく、オーストラリアからも多数のライダーが参加しています。2025年シーズンにはCaleb Ward、Jesse Bishop、Mitch Norrisといったオーストラリア人ライダーがMX1クラスに参戦しました。
これは競争力が高い。
全4戦すべてに参戦するライダーもいれば、2戦のみの部分参戦も可能です。参戦形式の柔軟性も日本人ライダーにとって参戦しやすい要因となっています。
参考)Instagram
ニュージーランドでレースに参戦するには、まずMotorcycling New Zealand(MNZ)の競技ライセンスを取得する必要があります。ライセンス取得のプロセスは明確で、MNZアプリまたは新しいライセンス申請フォームから申請できます。
参考)Your First MNZ Licence - Motor…
ライセンス取得の前提条件として、MNZ加盟クラブへの入会が必要です。クラブに加入した後、競技ライセンスの申請が可能になります。申請時には理論テストに合格する必要があり、このテストはManual of Motorcycle Sportに記載されたルールの理解度を確認するものです。
理論テストはオープンブック形式で、安全性、トラック、ライダーの責任などの分野をカバーしています。2問まで不正解が許容され、それ以上間違えると不合格となります。合格すれば競技ライセンスが発行され、選手権への参戦資格を得られます。
選手権への具体的なエントリーは、MX Timingという公式サイトを通じてオンラインで行います。各ラウンドごとに個別のエントリーが必要で、締切日が設定されています。2026年シーズンの第3ラウンドTauranga大会は2月21日開催で、エントリー締切は2月13日でした。
つまり開催日の約1週間前が締切です。
エントリーフォームには参加クラス、ライダー情報、マシン情報などを入力します。MNZ許可番号も必要となるため、事前にライセンス取得を完了させておく必要があります。
全戦参戦の場合は4ラウンドすべてにエントリーする必要がありますが、部分参戦も可能です。日本人ライダーの中には全日本のスケジュールとの兼ね合いで2戦のみ参戦するケースもあります。エントリー費用は各ラウンドごとに発生し、クラスによって異なります。
ニュージーランドモトクロス選手権に参戦する際の総費用は、参戦形式によって大きく変わります。個人参戦とチームサポート付き参戦では費用構造が異なるため、自分の予算と目的に合わせた選択が必要です。
主な費用項目は以下の通りです。
合計すると、個人での全戦参戦の場合は概算で65万円〜118万円程度の予算が必要です。
一方、Yamahaのような企業サポートや現地チームとの契約がある場合は、マシン提供やメカニックサポートが含まれるため、個人負担は大幅に軽減されます。プロライダーの場合はこうしたサポート体制のもとで参戦するケースが一般的です。
マシンの準備方法は大きく分けて3つのオプションがあります。1つ目は日本からマシンを輸送する方法で、海上輸送を利用すれば比較的コストを抑えられますが、輸送期間が1〜2ヶ月必要です。2つ目は現地でマシンをレンタルする方法で、チームや販売店との交渉が必要になります。
3つ目は現地チームと契約してマシン提供を受ける方法で、プロライダーが選択する形式です。中島漱也選手や田中淳也選手はAltherm JCR Yamahaとの契約により、Yamahaマシンとメカニックサポートを受けました。
マシン整備に関する消耗品やスペアパーツは現地調達も可能ですが、特殊なパーツは日本から持参する必要があります。現地のバイクショップでは一般的なパーツは入手できますが、レース専用パーツの在庫は限られているため、事前準備が重要です。
マシン規格については、ニュージーランドもFIM基準に準拠しているため、日本の全日本モトクロス選手権で使用しているマシンであれば基本的に問題なく参戦できます。ただし、騒音規制や排ガス規制の詳細は事前に確認することをおすすめします。
参考)New Zealand Motocross Champion…
ニュージーランドモトクロス選手権への参戦が全日本ライダーにとって有効な理由は、季節が逆である点に集約されます。日本の冬季(12月〜2月)はニュージーランドでは夏にあたり、最適なトレーニング環境が整っています。
全日本モトクロス選手権は通常3月頃に開幕するため、その直前まで実戦形式のレースに参戦できることは大きなアドバンテージです。冬の間に練習だけを続けるライダーと、実際のレース環境で競争するライダーでは、開幕時のコンディションに明確な差が生まれます。
結論は実戦経験の差です。
また、ニュージーランドのコースは日本とは異なる地形や土質を持つため、多様な路面への対応力が養われます。高速セクションとテクニカルセクションのバランスも日本のコースとは異なり、ライディング技術の幅を広げる機会となります。
競技レベルも高く、オーストラリアやニュージーランドのトップライダーと競うことで、国際的な視点でのレーススキルが向上します。この経験は全日本だけでなく、将来的な海外レース参戦への足がかりにもなります。
ニュージーランドの夏(11月〜2月)は日本の夏と比べて気温は低めですが、紫外線が非常に強いという特徴があります。オゾン層の薄い地域であるため、日焼け対策と熱中症対策の両方が必要です。レース中の日焼けは体力を消耗させる原因にもなります。
具体的な対策としては、高SPF値の日焼け止めの使用、レース間のインターバルでの日陰確保、十分な水分補給が基本です。日本の夏とは紫外線の質が異なるため、普段以上に念入りな対策が必要になります。
また、北島と南島では気候が異なり、南島は北島よりも気温が低くなります。2026年シーズンは全ラウンドが北島開催となるため、比較的温暖な環境でのレースとなります。それでも朝晩の気温差は大きいため、体調管理には注意が必要です。
コースコンディションについては、ニュージーランドは降雨量が多い地域もあるため、ウェットコンディションへの対応も想定しておくべきです。タイヤ選択やセッティング変更に柔軟に対応できる準備をしておくと安心です。
ニュージーランドは英語圏の国であるため、レース関連の手続きやコミュニケーションは基本的に英語で行われます。MNZライセンスの理論テストも英語での受験となりますが、オープンブック形式であるため辞書の使用も可能です。
現地のレース関係者やライダーは総じてフレンドリーで、海外からの参戦者に対しても協力的な傾向があります。日本人ライダーが複数参戦している実績もあり、言語の壁を感じる場面は比較的少ないと言えます。
ただし、レース中の無線指示やオフィシャルからの指示は英語で行われるため、基本的なレース用語や安全に関する英語表現は理解しておく必要があります。「Red flag(赤旗・中断)」「Black flag(黒旗・失格)」などの基本用語は覚えておきましょう。
文化的な面では、ニュージーランドのモトクロスコミュニティはアットホームな雰囲気が特徴です。レース後のライダー同士の交流も盛んで、国際的なネットワークを構築する良い機会となります。こうした人脈は将来的に他の海外レースに参戦する際の貴重な資産になります。
若手ライダーにとって、ニュージーランドモトクロス選手権への参戦経験は、キャリア上の重要なステップとなります。全日本でのパフォーマンス向上だけでなく、海外レース参戦の実績としても評価されます。
実際に、ニュージーランドから日本の全日本モトクロス選手権に参戦するライダーも存在します。Hadleigh Knightというニュージーランド人ライダーは、地元での活躍が評価されて日本のレーシングチームから招待を受けました。この事例は双方向の交流が活発であることを示しています。
参考)Reporoa motorcross rider to ta…
また、現地チームとの関係構築により、将来的なサポート契約や長期的なトレーニングプログラムへの参加機会が生まれる可能性もあります。Josh Coppinsのような元世界選手権トップライダーから直接指導を受けられる環境は、技術向上に大きく貢献します。
海外レース経験はスポンサー獲得の際にも有利に働きます。国内レースだけでなく海外での実績を持つライダーは、グローバルな視点を持つ企業からのサポートを受けやすくなります。これは将来的な世界選手権参戦を目指すライダーにとって重要な要素です。