

オイルフィルターを「2回に1回」の交換で済ませると、エンジン修理に60万円以上かかることがあります。
バイクのオイルフィルター(オイルエレメントとも呼びます)は、エンジンオイルの中に混ざり込んだ不純物を取り除くためのろ過パーツです。エンジン内部では、燃焼によって発生するススや、金属パーツが摩耗して出る金属粉、外気から侵入するホコリなどが常にオイルに混入しています。
これらの汚れをそのまま放置すると、エンジン内部をオイルが循環するたびに摩耗を加速させ、最終的にはエンジントラブルを引き起こします。つまりフィルターが汚れを止める「最後の砦」です。
オイルフィルターには大きく2種類あります。
- スピンオン式(エレメント交換式):ろ紙と金属容器が一体型になったタイプで、丸ごと交換します。取り付け時にOリングが付属しているため、別途追加で購入する部品が少なく手軽です。
- カートリッジ式:エンジン本体にフィルターハウジングが取り付けられており、ろ紙のみを交換するタイプです。交換時にはカートリッジと一緒にOリングの交換も必須となります。
使用するバイクの車種によってどちらのタイプが搭載されているかが異なります。自分の愛車がどちらのタイプか、まず確認しておきましょう。
フィルターが正常に機能している間は、きれいなオイルがエンジン全体に行き渡り、潤滑・冷却・洗浄といったオイル本来の役割が十分に発揮されます。フィルターの状態がエンジンの寿命を左右すると言っても過言ではありません。
一般的に広く知られている交換目安は「オイル交換2回に対して、オイルフィルター交換1回」というペースです。これが原則です。
たとえば5,000kmごとにオイル交換しているライダーであれば、10,000kmに1回のタイミングでフィルターを交換することになります。3,000kmごとにオイル交換している場合は、6,000kmに1回が目安となります。
ただし、この「2回に1回」はあくまで一般的な走行条件を前提にしたものです。以下に当てはまる場合は、早めの交換が必要です。
- 🏔️ 山岳地帯や悪路(オフロード)での走行が多い
- 🏙️ 渋滞が多い都市部での短距離走行を繰り返している
- ❄️ 氷点下になる環境での走行
- 🏍️ 総走行距離の30%以上がシビアな条件下の場合
こうした「シビアコンディション」と呼ばれる状況は、エンジンへの負荷が通常よりも格段に大きくなります。渋滞中の低速走行などは特に見落とされがちですね。
走行距離だけでなく、期間も目安にすることが大切です。年間走行距離が少ないライダーでも、最低でも1年に1回は交換することを推奨します。オイルは走行していなくてもエンジン内の空気と触れるだけで酸化が進むため、距離が短くてもフィルターに汚れが蓄積するからです。
また、新車の場合は初回オイル交換のタイミング(一般的には走行1,000km後または1ヶ月後)にオイルフィルターも一緒に交換することが推奨されています。新車ではエンジン慣らし中に金属粉が多く出るため、フィルターへの負荷が想像以上に大きいためです。これは意外ですね。
ナップス公式:オートバイ用オイル交換基本工賃表とオイルエレメント交換目安について
フィルターを長期間放置するとどうなるか、具体的に考えてみましょう。フィルターが目詰まりを起こすと、ろ過機能が低下します。
目詰まりが進むと、エンジンにはバイパスパイプという安全機構が作動します。これはフィルターが詰まりすぎた際にオイルをフィルターを通さずに直接循環させる仕組みです。安全装置ではあるものの、ろ過されていない汚れたオイルがエンジン内を流れ続ける状態になります。
その結果として起こりうる最悪のシナリオが「エンジンの焼き付き」です。焼き付きとは、金属パーツ同士が高温で溶着してしまう現象で、一度発生するとエンジンが停止し、自走不能になります。
修理費用が痛いです。バイクの排気量や損傷具合によって大きく異なりますが、以下が修理費用の目安です。
| 被害の程度 | 修理費用の目安 |
|---|---|
| 腰上オーバーホール(中型250〜400cc) | 約10万円〜 |
| 腰上・腰下フルオーバーホール | 約60万円以上 |
| エンジン全損(廃車レベル) | 修理不能のケースも |
フィルター交換にかかる費用は部品代込みで数千円程度です。それを惜しんだ結果、60万円超の修理費を払うことになれば、コストの損失は100倍以上になる計算です。フィルター交換が条件です。
また、焼き付きに至らなくても、汚れたオイルが循環し続けることで燃費が徐々に悪化します。加速が鈍くなったり、エンジンからの異音が増えたりといった変化も現れます。これらはエンジン内部が確実にダメージを受けているサインです。
グーバイク:バイクのオイルエレメントの交換時期・交換方法・費用を詳しく解説
オイルフィルターの交換は、適切な工具と手順さえ押さえれば、初心者でも自分で行うことができます。これは使えそうです。
必要な工具・道具
- 🔧 新しいオイルフィルター(車種適合品)
- 🔧 オイルフィルターレンチ(専用工具)
- 🔧 ドレンボルト用レンチ(メガネレンチまたはラチェット)
- 🔧 トルクレンチ
- 🔧 廃油処理ボックス(ポイパック)
- 🔧 オイルジョッキ
- 🔧 新しいエンジンオイル・ドレンワッシャ
- 🔧 ウエス・パーツクリーナー
- 🔧 Oリング(カートリッジ式の場合)
STEP 1:暖機運転でオイルを温める
作業前に5分ほどエンジンをかけてオイルを温めます。温まったオイルは粘度が下がり、より多くの不純物を一緒に抜き出すことができます。ただし、熱くなったエンジン部品には素手で触れないよう注意してください。
STEP 2:エンジンオイルを抜く
廃油処理ボックスをドレンボルトの真下に置き、ドレンボルトを緩めてオイルを抜きます。オイルが完全に抜けたら、ドレンワッシャを新品に交換してドレンボルトを規定トルクで締め直します。
STEP 3:オイルフィルターを外す
廃油処理ボックスをフィルター下にも用意してください。フィルター内にもオイルが残っているため、外す際にこぼれます。オイルフィルターレンチを使ってゆっくり緩め、最後は手でゆっくり回しながら取り外します。
STEP 4:新しいフィルターを取り付ける
新しいフィルターを取り付ける前に、取り付け面の汚れをウエスで丁寧に拭き取ります。フィルターのOリング部分には、新しいエンジンオイルを薄く塗布しておくことで密着性が上がり、オイル漏れを防げます。
締め付けトルクに要注意です。Oリングの接着面がエンジン側に当たってから、さらに4分の3回転(約10〜14N・m)が標準的な締め付け量です。締めすぎると次回交換時にフィルターが固着して外れなくなります。逆に緩すぎるとオイル漏れが発生します。トルクレンチの使用が原則です。
STEP 5:新しいオイルを補充する
フィルターとオイルを同時交換する場合、フィルター内部にもオイルが充填されるため、オイル量が通常より少し多くなります。必ずサービスマニュアルで指定量を確認し、オイルレベルゲージのFとLの間に収まるよう調整してください。
STEP 6:エンジンを始動してオイル漏れチェック
エンジンをかけて数分間アイドリングさせた後、ドレンボルト周辺とフィルターの取り付け部にオイルのにじみがないかを確認します。エンジン停止後、再度オイルレベルゲージでオイル量をチェックして不足があれば補充します。
廃油の処理方法は、大きく「廃油処理ボックス(ポイパック)でゴミとして自治体に出す」「エンジンオイルを購入したお店に持ち込む」「ガソリンスタンドに持ち込む(4リットルまで無料が多い)」の3通りです。自治体によって扱いが異なるため、事前確認を忘れずに。
2りんかん:初心者向けバイクのオイル交換やり方・手順と注意点の詳細解説
バイク用品店に行くと、純正品よりも安い社外品のオイルフィルターが多く並んでいます。「値段が安いなら社外品でもいいんじゃないか?」と思うのは自然な発想です。しかし、実際にフィルターを分解・検証したデータは驚くべき事実を示しています。
オートバイ整備の研究者・Andyさんが複数メーカーのオイルフィルターを実際に分解して比較した検証によると、以下の結果が判明しています。
| 比較項目 | 純正品 | 社外品 |
|---|---|---|
| ろ紙の重量(Kawasaki比) | 社外品の約3.4倍 | 基準値 |
| リリーフバルブ開口面積(Kawasaki・Yamaha比) | φ13mm(約2.8倍) | φ7.9mm |
| 価格 | ほぼ同等 | ほぼ同等 |
価格がほとんど変わらないにもかかわらず、純正品はろ紙の量が社外品の約3.4倍にもなるということです。これは驚きです。ろ紙が多いほどろ過できる不純物の総量が多くなり、フィルターの寿命も長くなります。
リリーフバルブの開口面積でも、YamahaやKawasakiの純正品は社外品の約2.8倍の大きさを持っています。フィルターが詰まったときにバイパスが開く際の流れやすさが大きく異なることを意味します。
では、なぜバイク用品店では純正品がほとんど売られていないのでしょうか? それは「純正品は利益率が低く、在庫しても儲けが出にくいから」という理由が大きいとされています。用品店にとっての仕入れルートの問題と、適合情報の管理の手間も関係しています。
純正品が条件です。用品店での取り扱いがなくても、バイクショップやディーラーに事前注文(客注)すれば必ず手配してもらえます。Amazonや楽天でも純正品番で検索すれば購入可能です。まず車種の純正品番をサービスマニュアルや各メーカーの部品検索サービスで調べ、その番号で注文するのが確実です。
MOTO ACE TEAM Andy氏:バイク用オイルフィルターの純正品と社外品を分解比較した検証記事(ろ紙重量・リリーフバルブ面積など詳細データあり)
工具が揃っていない場合や、廃油処理が面倒に感じる場合は、専門ショップへの依頼が安心です。費用の目安を知っておけば、依頼時に「高すぎる・安すぎる」の判断もしやすくなります。
ショップ別の費用目安(工賃+部品代込み)
| 依頼先 | エンジンオイル交換のみ | オイル+フィルター同時交換 |
|---|---|---|
| バイク用品店(ナップス・2りんかんなど) | 工賃1,100円+オイル代 | 工賃1,980円+オイル+フィルター代 |
| バイクショップ(ディーラー) | 工賃1,500円〜+オイル代 | 工賃3,000円〜+部品代 |
| ガソリンスタンド | 対応外が多い | バイク専用オイルの在庫に注意 |
排気量ごとのエンジンオイル交換費用の相場は以下の通りです。
- 🏍️ 50cc以下・125cc以下:約1,500円〜2,500円
- 🏍️ 400cc以下:約2,000円〜4,000円
- 🏍️ 400cc超:約3,000円〜6,000円
- フィルター交換の追加費用:約1,000円〜3,000円
オイルとフィルターをセットで交換するタイミングを合わせると、工賃を節約できることが多いです。別々に依頼すると合計の工賃が余計にかかる場合があるため、フィルター交換のタイミングが来たらオイル交換も同時に行うのが賢い方法です。つまりセット交換がお得です。
バイク用品店では「オイル会員」や「メンテナンスパック」といった制度を提供しているところがあります。たとえば2りんかんのオイル会員制度に加入すると、交換工賃が無料になるケースもあります。年間の交換頻度が高いライダーなら、こうした会員制度の利用を検討してみる価値があります。
ガソリンスタンドでのバイク用フィルター交換は、バイク専用オイルや部品の在庫がないことが多く、対応できない店舗がほとんどです。もし依頼する場合は事前に電話で確認が必要です。
ショップを選ぶ際には、購入店のディーラーやバイクショップが最もおすすめです。愛車のエンジン状態を熟知したスタッフがいるため、オイルフィルターの状態からエンジン内部の異変を早期発見してもらえるメリットもあります。定期的に同じショップを使うことで、トラブルの早期発見につながります。
AZ-OIL公式:バイクのエンジンオイル交換時期と費用相場・排気量別の詳細データ

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