

あなたが普段乗っているバイクの3気筒エンジンは、Moto2では年間契約でレンタルされている。
Moto2世界選手権は、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が統括するロードレース世界選手権の中間クラスで、2010年に従来の250ccクラスに替わって新設されました。世界最高峰のMotoGPクラスとエントリークラスのMoto3の間に位置し、若手ライダーがトップクラスへステップアップするための重要なカテゴリーです。
参考)FIM 世界ロードレース選手権『Moto2クラス』【2022…
このクラスは1949年に始まった二輪ロードレース世界選手権の一部として、リバティメディアが各種権利を管理し、スペインのDorna Sportsが商用権やTV放映権を統括しています。全世界で約20戦が開催され、日本ではツインリンクもてぎで日本グランプリとして開催されています。
2009年まで250ccという名称だった頃の最後のチャンピオンは日本人ライダーの青山博一選手でした。その後Moto2として生まれ変わり、より技術的に洗練されたカテゴリーへと進化しました。
参考)モトGPのクラスの違い(MotoGP,Moto2&#…
スペインのDorna Sportsが運営することで、グローバルな放映体制と統一的な競技運営が実現しています。
Moto2クラスの最大の特徴は、全チームが同一のトライアンフ製エンジンを使用するワンメイク方式です。2019年からトライアンフが公式エンジンサプライヤーとなり、Street Triple RSをベースにレース専用チューンを施した3気筒765ccエンジンを供給しています。
参考)Moto2™
このエンジンは最高出力140PS超を発生し、市販モデルよりも吸気効率を高めつつ高回転化が図られています。2010年から2018年まではホンダがCBR600RRの改良エンジンを供給していましたが、排気量600cc・4気筒から765cc・3気筒へと大きく変更されました。
参考)Moto2™ エンジン
つまり全チームが同じエンジンです。
エンジンはFIMの規定により、公式Moto2イベント時(公式テスト及びグランプリレース)にのみ使用できます。タイヤもダンロップのワンメイクとなっており、エンジンとタイヤという2大要素が統一されることで、シャシーセッティングとライダーの技量が勝敗を分ける構造になっています。
このレース専用3気筒エンジンは、一般の公道用バイクとは全く異なる特性を持ちます。
エンジンが統一される一方で、シャシーは複数のメーカーから選択できる方式を採用しています。2022年シーズンではカレックス、ボスコスクロ、GASGAS、MVアグスタの4社がシャシーを製作していました。
特にドイツのカレックス・エンジニアリングは圧倒的なシェアを誇り、2013年以来Moto2カテゴリーで14連続タイトルを獲得しています。2020年には全エントリー68%にあたる17名のライダーがカレックス製シャシーを使用し、上位25台すべてがカレックスでした。
参考)Moto2 テクニック: カレックス シャーシの優位性 - …
カレックスが優勝するシャシーです。
カレックスの強さの理由は、横方向に数ミリメートルフレックスする2002年からのイノベーション技術にあります。初代Moto2チャンピオンの2010年はグレシーニチームとトニ・エリアスがモリワキシャシーで優勝しましたが、その後の競争でカレックスが他メーカーを圧倒しました。
シャシー選択の自由度はありますが、実質的にはカレックス一強の状況が続いており、トップチームのほとんどがこのドイツ製シャシーを採用しています。毎年新しいシャシーが販売されますが、2014年の「古い」シャシーでヨハン・ザルコが世界チャンピオンになった例もあります。
参考)[ファイル] Moto2: シャシーにいくつかの問題が… (…
Moto2クラスに参戦するライダーは、以前は16歳以上であれば出場可能でしたが、2023年から最低年齢が18歳以上へ引き上げられました。この変更はMoto3、Moto2、MotoGP全カテゴリーで統一的に適用され、安全性と成熟度を重視した規則改正です。
参考)Moto2 および Moto3 レギュレーション: テスト、…
ただし例外措置として、2022年にすでにMoto3で16歳または17歳として参戦を許可されているルーキーやジュニアGPの優勝者には、継続出場が認められています。また上限年齢は50歳に達したシーズン終了時までと定められています。
厳しいところですね。
FIM世界選手権全カテゴリーでの年齢制限引き上げは、若年層の安全確保と競技者の成熟度向上を目的としています。2022年シーズンにすでに同じクラスにエントリーしているライダーには、レース継続の例外が認められました。
参考)MotoGP速報:全カテゴリーのドライバーの最低年齢が18歳…
この規則変更により、才能ある若手ライダーは18歳になるまでタレントカップやジュニアGPなどの育成カテゴリーで経験を積む必要があります。
Moto2への参戦には莫大な費用がかかり、トップクラスのMoto2チームの年間予算は200万~250万ユーロ(約3億2000万~4億円)に達します。これに対してトップのMoto3チームは約100万ユーロ、最高峰のMotoGPトップ独立系チームは1000万~1200万ユーロとなっており、Moto2は中間的な予算規模です。
参考)Reddit - The heart of the inte…
マシン自体はレンタル方式で、Moto2の場合エンジンなしで1台約10万ユーロ(約1600万円)程度と推測されます。これに加えてエンジンレンタル費用、タイヤ代、メカニック人件費、移動費などが発生します。
参考)motogp、moto2、moto3のマシンの値段はそれぞれ…
痛いですね。
参戦費用にはグランプリごとのエントリー料も含まれますが、具体的な金額は公表されていません。ただし国内レースの例では、1戦あたり6万500円程度のエントリー料がかかり、年間6戦で約36万円という規模感があります。
個人スポンサーやチームの支援なしに参戦を続けることは極めて困難で、多くのライダーは複数のスポンサー契約を獲得して資金を調達しています。トップライダーになればチームから給与を得られますが、下位ライダーは逆に参戦費用を支払う「ペイドライダー」として席を確保するケースもあります。
2024年シーズンのMoto2クラスには小椋藍選手が日本人唯一のライダーとして参戦しています。小椋選手は2001年1月26日生まれで、2019年にMoto3クラスへフル参戦デビューを果たし、2020年には同クラスランキング3位を獲得しました。
参考)2024年シーズンのMotoGP、Moto2、Moto3クラ…
2021年にMoto2クラスへステップアップし、ルーキーながら2位表彰台を1度獲得しました。2022年シーズンには最終戦までチャンピオン争いを繰り広げ、ランキング2位という輝かしい成績を収めています。
参考)2022年シーズンのMotoGPに参戦する若き日本人ライダー…
これは使えそうです。
小椋選手はゼッケン79番を使用し、イデミツホンダチームアジアに所属してカレックス製シャシーで参戦しています。MotoGPパドックでは若手有望株として高い評価を受けており、近い将来のMotoGPクラス昇格が期待されています。
國井勇輝選手も2024年からMoto2世界選手権へ挑戦しており、アジア選手権を制覇した実績を持つライダーです。日本人ライダーの活躍は国内のモータースポーツファンにとって大きな励みとなっています。
参考)アジア選手権制覇の國井勇輝、Moto2世界選手権へ挑戦!
2024年シーズンのMotoGP全クラス日本人ライダー情報
全クラスで6名の日本人ライダーが参戦する2024年シーズンの詳細情報が掲載されています。
Moto2で使用されるトライアンフ製エンジンは、市販車Street Triple RSをベースにしていますが、レース専用のチューニングにより全く別物の性能を持ちます。市販モデルの最高出力が約130PSであるのに対し、Moto2仕様は140PS超を発揮します。
参考)【試乗レポート】トライアンフ・デイトナMoto2 765「公…
トライアンフは2019年にMoto2マシンのレプリカモデルとして「Daytona Moto2 765リミテッドエディション」を世界限定約1500台で販売しました。欧州・アジア市場に765台、アメリカ・カナダ市場に765台という配分で、公道版Moto2マシンとして話題になりました。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000031383.html
意外ですね。
このDaytona Moto2 765は水冷4ストローク並列3気筒DOHCエンジンを搭載し、最高出力130PS/12250rpm、最大トルク80Nm/9750rpmを発生します。圧縮比12.9、総排気量765ccという仕様は、Moto2レーシングマシンの技術が市販車にフィードバックされた好例です。
ボア・ストロークは78.0mm×53.4mmで、高回転型のショートストローク設計が採用されています。レース技術と市販車の架け橋となるモデルとして、バイク愛好家から高い評価を受けました。
トライアンフ公式Moto2ページ
Moto2エンジンの詳細な技術仕様とトライアンフのレース活動について解説されています。