S字バイク教習のコツと目線・半クラの正しい使い方

S字バイク教習のコツと目線・半クラの正しい使い方

S字バイク教習のコツと目線・半クラの正しい使い方

コーナーの途中でフロントブレーキを握ると、教習所でも公道でも転倒が一気に起きやすくなります。


この記事の3つのポイント
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目線が9割

S字攻略は「どこを見るか」で8割以上が決まります。フロントタイヤの直前を見ていると、バイクがどんどん外側に流れて脱輪します。

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半クラとリアブレーキを組み合わせる

速度調節はリアブレーキで行い、エンスト防止には半クラを使います。フロントブレーキはコーナー中に使用禁止です。

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脱輪すると検定に影響が出る

S字内での脱輪(大)は検定中止。脱輪しないためのライン取りと、1回目の切り返しは減点ゼロという仕組みも知っておきましょう。


S字バイク教習の概要:なぜS字が難しいのか

バイク教習のS字コースを最初に見たとき、「これ本当に通れるの?」と感じた人は少なくないはずです。しかし実際のS字コースの道幅は約2メートルあり、バイク車体の幅(約0.7〜0.8m程度)に対して十分な余裕があります。見た目の圧迫感に騙されているだけで、正しい操作を身につければ通過は決して難しくありません。


S字が難しく感じられる主な理由は2つあります。1つ目は「バンクしながら曲がる」という、日常では感覚をつかみにくい操作が求められること。2つ目は、クランクと違いハンドルで車体をこじって曲がるのではなく、車体を傾けて(バンクして)コーナリングする必要があることです。この2点が初心者にとっての壁になっています。


S字はスラロームとも異なります。スラロームには規定タイムがありますが、S字には制限タイムがありません。つまり、ゆっくり慎重に通過しても問題ないということです。この事実を知っておくだけで、気持ちにかなり余裕が生まれます。


バイク教習でS字を練習する目的は、主に3つです。低速でのバランス感覚を養うこと、バンクを使ったコーナリング感覚を体に覚えさせること、そして目線の使い方を習得することです。これらは公道でのカーブ走行にそのままつながるスキルで、教習所卒業後も役立ち続けます。


参考:二輪教習S字のポイントについて詳しく解説されています。


二輪教習のS字 コツは目線とアクセルワークの2つ! - バイク初心者サポートラボ


S字バイク教習で最重要の「目線」の使い方と先行視線

S字攻略で最も重要なのは、目線の使い方です。これが正しくできるだけで、通過率がグッと上がります。


初心者が最もやりがちなミスは、フロントタイヤのすぐ前あたりを見てしまうことです。目線を足元近くに落としてしまうと、バイクも目線の方向に引きずられ、どんどんコースの外側に向かっていきます。これは目の前だけを見て歩いているのと同じで、体の向きがずれてしまうのと同じ原理です。


正しい目線の使い方は「常に進みたい方向の先を見る」です。具体的には次の3段階で目線を移動させます。


- 進入時:コースに入ったらすぐ、第1コーナーと第2コーナーの切り返し地点(コース中央)に目線を向ける
- 第1コーナー中ほど:すでに目線を第2コーナーの中ほどへ移す
- 第2コーナー:出口付近を注視し、コーナーを抜けた先まで視線を送る


「コーナーを曲がり切ってから次を見る」では遅すぎます。これが大事な原則です。目線の先行がワンテンポ遅れると、切り返しのタイミングも遅れ、一気にコースアウトしやすくなります。


目線を動かすときのコツとして、目だけ動かすのではなく上半身ごと目的地に向けるイメージが有効です。スキーやスノーボードのカーブと同じ感覚で、体全体を行きたい方向に向けると自然にバイクもついてきます。もしコースアウトしそうになったときは、コーナーの円の中心を強く意識して見てください。バイクは視線が向かう方向に自然と舵が取れる乗り物なので、内側の一点をガン見すると車体が引き寄せられるように内側に戻っていきます。


ニーグリップが甘いとどれだけ目線を正しくしても車体がフラつきます。目線を先行させつつ、太ももでタンクをしっかり挟む意識も忘れずに持ってください。


参考:S字コースでの視線の使い方が写真付きで分かりやすく解説されています。


流れるような目線の変更がポイント!S字コース - TANDEM STYLE 実技教習攻略


S字バイク教習の半クラ・リアブレーキ・アクセルワークの使い分け

目線の次に重要なのが、速度調節のための操作です。ここを間違えると脱輪やエンストといったトラブルが起きます。


S字内で使用するギアは2速が基本です。ローギアだと回転数が不安定でアクセル開け始めが急になりやすく、エンジンブレーキも効きすぎて失速しやすいという問題があります。2速に入れてから半クラとリアブレーキを組み合わせて速度をコントロールするのが定石です。


速度が速すぎると感じたときはリアブレーキを軽く「引きずる」ように踏んで調節します。後輪の回転が止まらない程度に、チョンと触れるくらいで十分です。ここで絶対にやってはいけないのがフロントブレーキを使うことです。コーナリング中にフロントブレーキをかけると前輪がロックしやすく、転倒リスクが一気に跳ね上がります。フロントブレーキはコーナー進入前の減速に使うものです。これが原則です。


切り返し時(バンクを反対方向に傾ける瞬間)には、アクセルをやや多めに開けて車体を一度起こしてあげると動作がしやすくなります。体が起きると同時に目線を次のコーナーに向け、アクセルをスムーズにオフに戻すとバイクが目線の方向に自然と傾き始めます。アクセル操作はラフにならないよう、手首全体でじわっと「絞る」イメージで回してください。手首だけでパタンと回すとガクンとした急加速になり、走りがギクシャクします。


エンスト防止には半クラが有効です。速度が落ちすぎてノッキングが始まったと感じたら、すかさずクラッチレバーを半握りにしてください。S字の走行中は常に左手をクラッチレバーに軽く触れた状態にしておくと、いざというときに素早く対応できます。


場面 使う操作 注意点
進入前の減速 フロント+リアブレーキ S字に入る前に終わらせる
コース内の速度調節 リアブレーキのみ(軽く引きずる) フロントブレーキは厳禁
エンスト防止 半クラッチ ノッキングを感じたらすぐ半クラ
切り返し アクセルやや開け→オフ 目線を次のコーナーへ先行させる


S字バイク教習のライン取りとニーグリップの正しい姿勢

目線と操作に加えて、ライン取りと姿勢も安定した走行に直結します。


S字でのライン取りの基本は「アウト・イン・アウト(またはアウト側からコーナーに入る)」です。カーブのイン側に寄って進入してしまうと、バイクをより大きく傾けなければ曲がり切れず、コーナリングが難しくなります。アウト側から入れば、バンク角を浅く保ちながらでも余裕を持ってコーナーをクリアできます。


左カーブから始まるS字を例にとると、まず右寄り(アウト側)から進入します。進入と同時に目線を切り返し地点に送り、バイクを穏やかに左に傾けながら走ります。第1コーナーの中ほどを過ぎたら目線を第2コーナーへ移し、切り返し地点でコースの中央を横断しながら今度は右側(第2コーナーのアウト側)に車体を寄せていきます。つまりS字全体でジグザグに道幅を使い切るイメージです。


S字内でのコーナリングフォームはリーンウィズ(バイクと体を同じ角度で傾ける)が基本です。クランクよりもバンク角を使えるため、むしろS字の方が自然な動きでコーナリングできます。ただし、ニーグリップが甘いと車体がフラついて安定しません。太ももの内側でタンクをしっかり挟み、上半身は力を抜いてリラックスさせてください。


腕に力が入りすぎているとハンドルがうまく動かず、バイクが曲がろうとするのを自分で妨げてしまいます。ニーグリップで下半身を固め、上半身はゆったりと目線の方向に向ける。これがS字を安定して走るための正しい姿勢です。


参考:コーナリングフォームとライン取りの詳細が解説されています。


流れるような目線の変更がポイント!S字コース - TANDEM STYLE 実技教習攻略


S字バイク教習の検定ルール:脱輪・切り返し・減点の仕組み

S字の検定ルールを正しく知っておくと、本番でパニックにならずに済みます。意外と知られていないポイントがいくつかあります。


まず重要なのは、S字内では速度に対する規定がないということです。どんなにゆっくり走っても、何回停止してもそれ自体は減点になりません。焦ってスピードを出す必要はまったくないということです。


次に切り返しについて。縁石に乗り上げそうになったときなど、必要な場面での切り返しは認められています。切り返し1回目は減点なし、2回目以降は5点減点となります。足をついた場合は1回目が減点なし、2回目からは累積で10点の減点です。ただしS字内で足がパイロンに触れると検定中止になります。これは知らないと焦る場面で足を無理に置いてしまうリスクがあるので、頭に入れておきたいルールです。


脱輪については程度によって判定が変わります。


- 脱輪(小):接輪程度であれば5点減点
- 脱輪(大):著しく大きい脱輪は検定中止


脱輪しそうになったときは、無理に進まず切り返すのが正解です。バイク教習の検定は100点満点の減点方式で、70点を下回ると不合格となります。切り返しで5点減点されても、他の課題を丁寧にこなせばトータルで合格点に届きます。「脱輪するくらいなら切り返す」という判断が、結果的に合格への近道です。


また、S字の出口が道路に接続している教習所のレイアウトの場合は、S字を抜けた後そのまま飛び出さず、必ず減速または停止して安全を確認してください。出口を確認せずに飛び出すと安全不確認で減点になります。


参考:二輪検定の減点項目と採点方法が詳しく解説されています。


【バイク教習】卒業検定試験で減点・一発検定中止となる項目まとめ


S字バイク教習を独自視点で攻略:「恐怖感」が失敗を生む心理的メカニズム

技術的なコツはたくさん語られますが、実はS字で失敗する最大の原因は「恐怖心からくる過度な減速」です。これはあまり語られない視点ですが、非常に重要です。


S字の走行で初心者が陥りやすい落とし穴は、「ぶつかりそう」「脱輪しそう」という恐怖心から必要以上にブレーキをかけてしまうことです。速度が落ちすぎると何が起きるかというと、バイク自体の安定性が失われます。バイクは一定の速度を維持することで車体が安定する乗り物なので、ゆっくりになればなるほどバランスを崩しやすくなるという逆説があります。


これは自転車で考えると分かりやすいです。超低速でフラフラしながら走るより、ある程度の速度で走るほうが安定しますよね。バイクも同じ原理です。


また、恐怖心があると視線が自然と近くに落ちます。「ぶつかりそう」と感じるとその対象物を見てしまうのが人間の本能なので、足元や縁石を見てしまいやすくなります。先述のとおり、目線が落ちるとバイクもその方向に向かってしまうため、恐怖心→目線が落ちる→コースアウトするという悪循環が生まれます。


この悪循環を断ち切るために有効なのが、「とにかく遠くを見る」という意識を強制的に持つことです。「見てはいけない方向(縁石・パイロン)に目が行きそうになったら、強制的に出口を見る」という習慣を練習中から付けておきましょう。


恐怖心を克服するには練習回数を重ねることが一番ですが、予習として頭の中でコースを何度もイメージトレーニングするのも効果的です。教習を受ける前に動画でS字を走るバイクの映像を見ておくだけでも、実際のコースへの慣れが早くなることが知られています。YouTubeには現役教官が解説する実践動画が多数公開されているので、事前にチェックしておくことをおすすめします。


参考:S字での恐怖心と心理的アプローチについて詳しく述べられています。


【教習課題深掘り⑥】S字~恐怖心を乗り越え、カーブの「滑らかさ」を磨く - note